国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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JOG Wing No.0217 by melma!

2000/09/12

 _/          _/  _/                      未だ還らざる特殊潜航艇
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H12.09.12 3,335部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/        JOG Wing No.0217
                                 _/     国際派日本人の情報ファイル
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     南十字星さんより、心に残る文章をいただきました。臨時増
    刊号として発信させていただきます。(伊勢雅臣)
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     露西亜海軍の原潜クルスク号の沈没事故で、我が佐久間艇長
    の第六号潜水艇が想ひ 出されて居ります。

     子曰く、鳥の死なんとするやその声哀し、人の去らんとする
    やその言良し。佐久間 勉大尉以下の御最期と遺書は眞に見事
    でしたが、決して例外的な事象ではなく、當時に於る我が海軍
    精神、ひいては日本文化そのものの顕現でありました。佐久間
    艇長の精神は、その後も脈々と受け継がれて來たのです。今日
    は、その極一部を例に擧げさせて戴きませう。

     表題は、眞珠湾攻撃に海中から参加した豆潜水艦の未帰還を
    報ずる海軍省報道部の發表です。

     「甲標的」とふ秘匿名を冠せられた、この二人乗りの超小型
    潜水艇は、戦前、艦隊決戦用に準備され、日本海海戦型の決戦
    場に於て、敵前で母艦より發進、魚雷二本を抱いて突撃、帰投
    すへき秘密兵器でした。

     當初豫想されたる如き艦隊決戦場裡なら、行動自由な広闊の
    洋上で、眼前至近に特殊潜航艇母艦を含む味方の大艦隊が居ま
    すから、攻撃後の収容は充分可能でしたし、その目的の為には
    それなりに良く出來た兵器でした。

     が、甲標的単獨で長躯敵の大軍港へ突入となると、決死隊と
    は言ひでう、限りなく特別攻撃隊に近いものとなりま した。
    聯合艦隊司令長官山本五十六大將は、後の概念に言ふ特攻を断
    然斥け、飽くまで通常攻撃として攻撃後の帰投収容に努めまし
    たが、生還した例を知りません。

     初めて用ひられたのが、眞珠湾攻撃です。

     353機の大編隊を率ゐて海空同時攻撃の大空襲を敢行した
    總隊長淵田美津男中佐(當時)は、接敵、進入時、眼下湾口に
    敵が防潜網を展張しつつあるのを望見し、ああこれで海面下に
    ぢっと潜伏する特殊潜航艇部隊に生還の望みは全く絶たれた、
    と目頭が熱くなったさうです。

     勿論五隻全艇未帰還。「未だ還らざる特殊潜航艇五隻」とし
    て、軍神に列せられ、歌にも謳はれ、獅子文六こと岩田豊男に
    よって小説『海軍』に描かれ、映画にも成りました。

     次で昭和十七年に豪州シドニー、マダガスカルのデイエゴ。

     シドニー攻撃の特殊潜行艇隊指揮官として壮烈に散華された
    松尾敬宇大尉(戰死後全軍布告、二階級特進して中佐)は、作
    戰直後から敵國豪州に於て比類無き勇士と讃へられ、戰争中に
    も拘らず、弔ふに海軍葬の禮遇を以てせられたのみならず、そ
    の様子は全豪にラジオ中継迄されました。

     敵將グルド提督は「最高度の勇氣」と讃へ、「これら勇士が
    為した犠牲の千分の一の犠牲を捧げる心構へのある豪州人が果
    たして何人ゐるであらうか」と迄断じました。如何にも、未だ
    寡聞にして甲標的の生還例を聞きません。

     斯くて松尾中佐の名は我が軍人精神と共に今も豪州全土に轟
    きわたり、オーストラリア聯邦戰争記念館に飾られた乗艇と遺
    品の前には「此の勇氣を見よ」と記されてゐるといひます。

     まだ海外旅行が解禁されてゐなかった頃の話ですが、同館長
    がわざわざ熊本なる中佐の生家と墓所を表敬訪問に來られ「御
    子息の勇氣を我が全國民が尊敬してゐます」と母堂まつ枝刀自
    に挨拶し、且つ豪州に招待して呉れました。母堂は

       とつ國のあつき情けにこたへはや老を忘れて勇み旅立つ

    と詠んで出發されました。

     向ふでは随分高名らしく、カンタス航空(フラッグ・キャリ
    アーだと思ひます)機に乗れば、スチュアーデスも幼時より軍
    神松尾中佐を知ってゐて下へも置かぬもてなし。豪州官民は改
    めて慰霊祭を執行し、最高の禮遇をして呉れたと言ひます。

     然るに現代日本はどうでせうか。

     母堂が歸國すると「良心的」テレビだかラジオだかが早速出
    演を依頼して來ました。打合せで左傾した局員が何時もの癖を
    出し、「戰争って嫌なものですね」で締め括って呉れ、と要求
    して來ました。 母堂は即座に突っ跳ねられました。

    「戰争誰もが好きません。ばってん、せにゃならん時がありゃ
    致し方ありませんタイ」

     流石軍神の母と感服しましたが、其にしても此が良心的マス
    コミとやらの正體です。何たる軽薄、何たる偽善。恥づかしい
    限りです。

        全國戦争未亡人協會長安藤てる子媼
      かくはかり醜き國となりたれは捧けしひとの唯に惜しまる

■編集者・伊勢雅臣■

     オーストラリア海軍による松尾大尉他の方々の海軍葬につい
    ては、JOG(153)でも述べましたが、その後の母堂まつ枝刀自の
    お話しも長く胸に刻んでおきたい逸話です。これらのエピソー
    ドが日豪友好の礎になります。

■JOG Link■
a. JOG(153) Common Sense: 海ゆかば〜慰霊が開く思いやりの心
   慰霊とは、死者のなした自己犠牲という最高の思いやりを生者 
   が受け止め、継承する儀式である 
  http://www.melma.com/mag/15/m00000115/a00000082.html

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