国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

全て表示する >

JOG Wing No.0178 by CLICK INCOME

2000/06/07

 _/          _/  _/                      ニューズウイーク日本版
 _/          _/      _/_/_/      _/_/_/   「戦後補償に時効はない」
_/    _/    _/  _/  _/    _/  _/    _/     への反論
 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H12.06.07 3,265部
  _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/        JOG Wing No.0178
                                 _/     国際派日本人の情報ファイル
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/   _/_/     _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 

     伊勢雅臣です。以下は「ニューズウイーク日本版」(5/3
    1)に掲載された連載コラム「戦後補償に時効はない」(キャ
    ロル・グラック・コロンビア大学教授)への反論として投稿し
    たものです。
    
    (1) 米政府が結んだ国際条約に、米国民は拘束されないのか?

     グラコック教授は、

         日本政府は戦争賠償が決着している根拠として、51年の
        サンフランシスコ平和条約や72の日中共同声明を何度も引
        き合いに出してきた。ほとんどの国の裁判所は、あらため
        て国家間の賠償問題を取り上げることを否定している。
 
         だが、最近の補償請求訴訟は性格が異なる。いま訴えを
        起こしているのは、個人あるいは個人に代わる代表訴訟だ。
        
     として、国家と個人の訴訟は別々と主張していますが、これ
    は事実としても、論理としても誤った議論です。

     サンフランシスコ条約では次のように定めています。

         連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中
        に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及び
        その国民の他の請求権・・・を放棄する。
        
     「国、および、国民」とありますから、民間請求もできませ
    ん。国が結んだ条約は、国民は関係ないというなら、国際条約
    など成り立ちません。アメリカ政府と条約を結んでも、アメリ
    カ国民にはそれを守る義務がない、というなら、どこの政府が
    アメリカ政府と国際条約を結ぶでしょうか。

     今回の例でも、ドイツ企業はアメリカ政府に今後の補償請求
    をしないよう「法的保障」を求めていますが、これも、またア
    メリカ政府との約束になるわけで、国と国民は違うと言ったら、
    この保障自体が成り立ちません。
    
     結局、国際条約で、国家と国民とを分けて考えたら、国際条
    約そのものが成立し得ないわけで、これは国際社会を無法状態
    に陥れる暴論です。

     ちなみに、アメリカ政府は法的保障を与えたら、今度は自分
    が訴訟の対象となるので、躊躇しているようです。アメリカ政
    府が保証しなり限り、ドイツは和解金を支払わない可能性があ
    ります。今回の和解方式は、この点に無理があります。
    
     日本の場合では、すでにアメリカ政府がすべての請求権を放
    棄するとの条約を結んだのですから、補償についてなお文句の
    ある米国民は、米政府を訴えるべきなのです。

    (2) 連合国側の戦争犯罪、強制労働は補償しない欺瞞
    
         現在のドイツと昔のドイツは違うが、戦争当時の責任に
        関しては、やはりドイツはドイツだ。三菱もあのスリーダ
        イヤのロゴをつけているかぎり、過去に対する責任を問わ
        れるときは、やはり三菱なのだ。反論もあるだろうが、歴
        史上の責任に関して、現在の世界はこうした論理で動いて
        いる。

     グラコック教授の主張は、アメリカの立法が「ナチスとその
    同盟国」のみを対象にしたもので、連合国側の強制労働、戦争
    犯罪に対する訴訟を許していない、という欺瞞を隠しています。
    
     過去に対する責任は、戦勝国も敗戦国も同じ筈です。アメリ
    カによる原爆や空襲による一般市民の無差別虐殺、イギリス、
    オランダ、ソ連による捕虜の強制労働と虐待は、どう補償して
    くれるのでしょうか。
    
     こういう問題を解決するためにこそ、講和条約があるわけで、
    それを否定することは、平和を構築するための人類の知恵を失
    うことになります。

購読申込・既刊閲覧: http://come.to/jogwing Mail: jog@y7.net
購読解除: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/quit_jog.htm
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座 http://come.to/jog 
JOG Town: 自分のホームページを無料で
    http://www.simcommunity.com/sc/jog/jog_master/main

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:1999-03-10  
最終発行日:  
発行周期:3回/週  
Score!: 89 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。