国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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JOG Wing No.0155 by CLICK INCOME

2000/04/14


 _/          _/  _/                       シベリア紀行(1)
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H12.04.14 3,090部
  _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/        JOG Wing No.015
                                 _/     国際派日本人の情報ファイル
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                     東 知世子(モスクワ在住)さんより

     一体、オムスクとかノボシビリスクとか言って、すぐに位置
    が分かる人が日本にどのくらいいるのだろう? わたしは、最
    初まったく見当もつかなかった。では、なぜそんな所に行こう
    と思ったか。それは単純な目的であった。そこに、おもしろそ
    うな芝居をやっている劇場があるから。

     ふつう、たったそれだけで飛行機に4時間乗って、途中吹雪
    きのためにウファというこれまたロシア中央の町で、一時着陸
    して2時間も待たされ、さらにオムスクからは9時間の夜行列
    車に揺られてみたりするものだろうか?

     自分でも、これはもう単なる物好きの域を越えてしまった気
    がする。しかし、シベリアとはなにか不思議な魅力のあるとこ
    ろなのだ。その人間によって捉え切れない存在であるにもかか
    わらず、なんだか、わたしにはその自然に温もりや寛大さを感
    じる。あらゆるものの存在を許す超然としたものであるにもか
    かわらず、どこか人肌に近い情熱を秘めている。

     同じロシアといえども、モスクワには絶対にない荒涼とした
    風景、原始の気配を残している場所。聖域のようなものか。わ
    たしにとって。

     同じロシア人でも、シベリアには原住民の方々がけっこうい
    るわけで、彼らは驚くくらい日本人にそっくりだ。もしかする
    と同じ祖先を持っている気がするくらいである。会うと、思わ
    ず懐かしくなるくらい彼らの容貌はやさしく素朴な感じがする。
    また、どこか人間的に謙虚なものを感じる。

     やはり都会の垢にまみれてしまうと、失われて行く本能的な
    性質がそのまま、残っているのかもしれない。

(1)オムスクにて考えたこと。

     地理を少しでもかじっていたわたしは、オビ川の名前はなん
    となく覚えていた。そう、街の中心にはオビ川が流れている。
    3月のはじめでも、まだ全体に氷が覆っていた。両岸を歩いて
    渡ることができるくらいである。地図帳で見ると、カザフスタ
    ンの国境に近いのであるが、事実上ソ連崩壊後別の国になった
    ので、ビザがないと入国もできないので今回は断念した。

     地下鉄こそないが、バスやトロリー、路面電車もあり、鉄道
    で国境を越えることもできるため、隣国との交流はそれなりに
    あるようだ。中国からサーカスが来ているようだったし、以前
    は強制移住でドイツ人が住んでいた地区もあり、そのような名
    称が残っていた。

     モスクワのような都会では、たいてい小さな木造家屋などお
    目にかかることはないが、ここではシベリアに典型的な一階建
    てのかわいらしい家をたくさん見かけた。よくペンキを塗り替
    えるらしく、けっこう古い感じの家でも青、緑、黄色とけっこ
    うカラフルである。もちろん、アパートもあったが、全体的に
    高層の住居やビルが少なく、ポツポツ建っているという感じだ
    った。

     一番の中心街でさえ、歴史的に古い100年以上前の建築で
    も、きれいに補修して普通の店舗になっていて、たいてい高く
    て3階建てくらいだった。

     日本ではめったにないが、こちらは雪に映えるからか淡い黄
    色の建物が、こういった歴史的建造物に多い気がする。

     河川の道を少し入った公園のような敷地に「文学博物館」と
    いう小さな建物があった。最初、なんてみすぼらしい建物だろ
    う・・・と思ったが、それもそのはず。この街が流刑地であっ
    た150年前、ドストエフスキーのような知識人、あるいは貴族
    など皇帝の反感を買って流された人々が住まわされていた建物
    だというのだから。

     正直言って、オムスクを甘く見ていた気がした。イルクーツ
    クでもやはりデカブリストの乱で流された貴族の関係する史跡
    が多く残っていて、そのうち、トルストイの「戦争と平和」に
    出てくる貴族のモデルになった人物の館にお邪魔したことがあ
    ったが、ドストエフスキーが4年もこの街にいたとは思っても
    なかった。おそらく、彼の人生に大きな影響を与えたに違いな
    い。壁に美しいレタリングで刻まれた彼の言葉の引用に、それ
    を感じた。(例:ロシアという国家がいかなるものでも、自分
    はロシア人の心の美しさや素朴な力強さを信じている。等)

     自筆の弟に宛てた手紙の受刑の刑期が4年であると分かった
    ときの字体と、刑期が終了した後の筆跡にもその感情がありあ
    りと表れていた。字が踊っているのだ。几帳面な細かい字であ
    るが、明らかに心の変化が素直に出ているので驚くほどだった。
    刑期中も持病の癲癇が出て、たびたび病院に入院していたとい
    う、その病院の建物が今も残っているらしい。

     他にも、公立の美術館があり、思いがけず素晴らしい作品に
    出会った。ロシアの19世紀を代表するような画家(レーピン
    など)の小品から西洋絵画の意外なくらいすばらしい中世の油
    絵、そして地元の現代絵画まで幅広く収集してあり、大変に見
    ごたえがあった。しかし、どうしてナチスに対するゲリラ戦呼
    びかけ広告や戦争関係のつまらないポスターが、大事そうにガ
    ラスケースに入れて、その上ご丁寧に白い布カバーまでしてあ
    るのか、その辺はちょっと理解に苦しんだが。

■編集長・伊勢雅臣より■

     モスクワ在住の東知世子さんの「シベリア紀行」を4回に分
    けて、毎週金曜日にご紹介します。東さんの若々しい感性でと
    らえたシベリアの風物、人々は、まことに興味ぶかいものです。
    また東さんは、下記のメールマガジンを発信されています。演
    劇にご興味ある方は、ぜひご覧下さい。

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