国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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JOG Wing No.0124 by CLICK INCOME

2000/02/03


 _/          _/  _/                      ラスト・エンペラーの嘘
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H12.01.02 2,952部
  _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/        JOG Wing No.0124
                                 _/     国際派日本人の情報ファイル
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                佐々木さん(富山)よりの投稿

     JOG121,122号は故笹川良一氏に関する内容でしたが、私にと
    っては今まで知らなかった事も多く、とても興味深く拝読しま
    した。その中でも、

  >   そして裁判での主張のしかたを、自らの3年間の獄中での法
  >   廷闘争体験から教授した。
  >   そのポイントは、少しでも刑を軽くしてもらおうと、検事
  > に迎合したウソの供述をしては絶対にいけない、ということで
  > あった。裁判が長びこうが、検事の心証を悪くしようが、とに
  > かく自分の真実と信ずる所を語る。裁判とは裁判官や検事と協
  > 力して真実を明らかにするプロセスだ、と心得よというのであ
  > る。

    というくだりを読んで、私は笹川氏がこの時「絶対にやっては
    いけない。」と言った事を、本当にやってしまった人物の事を
    考えました。その人物とは「ラストエンペラー」こと愛新覚羅
    溥儀帝です。

     溥儀は後に自ら「東京裁判では戦犯となるのが恐ろしくて、
    『満州国皇帝になったのは自分の意志ではなかった。日本軍に
    強要され仕方なかった。』と嘘の証言をした。」と語っていま
    す。
    
     (この「溥儀証言」の状況は映画「東京裁判」や「プライド
    −運命の瞬間」の中にも有りましたが、特に「プライド」では
    東条氏ら戦犯たちには「彼には失望した。」と言われたり、ま
    たキーナン検事とウェップ裁判長の会話の中では「溥儀の証言
    は時間の無駄だった。」と言われたり、と全く散々な扱いを受
    けていました。)
    
     そして溥儀のその後を考えてみると、まさに笹川氏が当時言
    っていた通りになったのではないか、と思ったのです。

     東京裁判後の溥儀は(「検事に迎合して嘘の供述をした」に
    もかかわらず)戦犯として旧ソ連、その後共産中国に送られ戦
    犯収容所に入れられます。そしてその後溥儀を待っていたのは、
    早く言ってしまえば「戦犯収容所で思想改造を受け、共産党の
    広告塔として利用される。」という道だったのです。
    
     この「思想改造」は今で言えばカルト宗教の「洗脳」と同じ
    物であり、むしろかつて戦犯収容所等で行われていた「改造」
    こそが現在言われる「洗脳」の原形である事は多くの人々が知
    る所となっています。しかし、昨年末の日本テレビ系の番組
    「知ってるつもり?」はこの共産党の戦犯収容所での「改造」
    を「この収容所の生活が溥儀を『皇帝』から『人間』へ戻した。
    」と全く美化した、中国共産党の宣伝そのままの内容で放映し
    ていました。
    
    (この番組の問題点については、先日雑誌「SAPIO」連載中の
    「新ゴーマニズム宣言」で小林よしのり氏が徹底的に批判して
    いたので、御存知の方も多いと思います。)

     溥儀は収容所生活の中で、自らの「罪」を償うため東京から
    旧ソ連を経て中国国内に移送される間もずっと隠し持っていた
    宝石類を看守たちに差し出します。これとて先ほどの番組では、
    収容所の看守たちは溥儀が宝石を隠し持っていた事を知ってい
    たが、溥儀が反省して自白するまで待っていた、という「美
    談」として紹介していたのですが、私にはとてもそうは思えま
    せんでした。
    
     溥儀がずっと持っていたという宝石類は、愛新覚羅家に代々
    伝わる物だったに違いありません。だからこそ溥儀は収容所生
    活の中でもずっと持ち続けていたのでしょう。それを自分の罪
    を償う為に看守に差し出した、というのは満州民族の名家「愛
    新覚羅家」の御先祖様に対する裏切りだった、といっても過言
    ではないように思います。
    
     そして「溥儀は皇帝時代の『罪』を許され、一市民として平
    和に生活している。これが共産党政府の『寛大政策』である。
    」と宣伝されている間もずっと、当の共産党政府、言い換えれ
    ば「赤い皇帝の一族」の間では激烈な権力闘争が繰り返され、
    それが「大躍進」あるいは「文化大革命」となって多くの人々
    がこの権力闘争の犠牲になっていきました。その中には溥儀の
    属する満州民族の人々も含まれています。溥儀が自分の命を惜
    しんで行った事は、結局愛新覚羅家にとっても満州民族にとっ
    ても、最悪の選択だったのではないか、と思えてなりません。

     しかし一方では、「彼だけを一方的に責める事はできない。
    」という気もしています。私も同じような状況になったらどう
    なるかは分かりません。もしかしたらやはり「偽証してでも助
    かりたい。」と考えるかもしません。しかし彼に対しては、同
    情の余地はあるが少なくとも尊敬することはできない、という
    気がします。そして、このような状況で自分の命を捨てる事が
    できた人々は確かに尊敬に値するし、もっと評価されてしかる
    べきではないか、とも思います。

■編集長・伊勢雅臣より■

     共産主義は、建前の立派さと、現実の悲惨さのギャップを埋
    めるために、嘘で塗り固めなければやっていけません。JOG
    でご紹介した文化大革命や大躍進を見れば、よくわかります。
    
     保身のために、嘘をつき、他人を攻撃する、という、人間の
    もっとも弱い、醜い側面を引き出してしまう体制なのでしょう。

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創刊日:1999-03-10  
最終発行日:  
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