国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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JOG Wing No.0116 by CLICK INCOME

2000/01/14


 _/          _/  _/                      スイスに学ぶ心理的防衛
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H12.01.14 2,952部
  _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/        JOG Wing No.0116
                                 _/     国際派日本人の情報ファイル
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                            ほそかわ・かずひこさんよりの投稿

     敗戦後、「戦争放棄」をし、「平和憲法」を持つ我が国にと
    って、スイスは一つの理想のように言われます。永世中立国・
    スイスは、戦乱の多いヨーロッパで150年以上もの間、平和
    を保っています。そして、「守る」という心構えが、我が国と
    は全く違うようです。焦点を「心理的防衛」に絞ることにしま
    す。

◆スイスの『民間防衛』

     平和愛好国・スイスは、国民皆兵であることで知られていま
    す。国防は、国民の義務です。若者も老人も、男性も女性も、
    侵略や災害などに対し、不断の備えを怠らないようです。平時
    から戦時に備えて2年分位の食糧・燃料等の必要物資を蓄え、
    国民の95%を収容できる核シェルターをつくるなどして、常
    に体制を整えていると伝えられます。わが国とは、基本的な考
    え方に大きな違いがあるのです。

    『民間防衛』という本があります。これはスイス政府が、全国
    の家庭に1冊づつ配っているものです。戦争のみならず自然災
    害などあらゆる危険に備えるためのサバイバル教本です。日本
    語版が原書房から出ており、阪神大震災の後にはベストセラー
    となりました。

     戦争については、核兵器、毒ガス、細菌兵器が使用された場
    合、占領下のレジスタンスの場合など、さまざまな状況を想定
    しています。そして、国民は何をなすべきかを具体的に説き、
    示しています。また、現代は「全面戦争」の時代ととらえ、国
    防は軍事的防衛だけでなく、政治的防衛、経済的防衛など「全
    面防衛」が必要だとしています。

     ここで注目したいのは、「心理的防衛」がいかに重要かが、
    強調されていることです。

◆まず「心理的防衛」が重要

     わが国では、「周辺地域」(=朝鮮半島・台湾海峡)におけ
    る戦争の勃発(=「有事」)や国際反日運動の高揚が、憂慮さ
    れています。これらは、東アジアの危機という一つの状況とと
    らえるべきでしょう。そして、まず必要なことは、「心理的防
    衛」からしっかり立て直すことではないか、と私は思います。

     スイス政府による『民間防衛』の序文には、次のように記さ
    れています。

        …戦争は武器だけで行われるものではなくなりました。戦
        争は心理的なものになりました。作戦実施のずっと以前か
        ら行われる陰険で周到な宣伝は、国民の抵抗意志をくじく
        ことができます。精神−心がくじけたときに、腕力があっ
        たとて何の役に立つでしょうか…

     同書は「心理的な国土防衛」という項目でも、繰り返し次の
    ように述べています。

         軍事作戦を開始するずっと前の平和な時代から、敵は、
        あらゆる手段を使ってわれわれの抵抗力を弱める努力をす
        るであろう。敵の使う手段としては、陰険巧妙な宣伝でわ
        れわれの心の中に疑惑を植え付ける、われわれの分裂を図
        る、彼等のイデオロギーでわれわれの心をとらえようとす
        る、などがある…

    『民間防衛』は端的に、「国防とはまず精神の問題である」と
    説いています。自ら国を守ろうという気概が、国防の根本です。
    そしてその気概のあるところ、外国のさまざまな働きかけに対
    する「心理的防衛」が自覚されます。

     ところが我が国では、戦後、「平和憲法」と日米安保の下で、
    自ら国を守るという気概が薄れ、「心理的防衛」という意識が
    低下しています。政府も国民も、国防という観点から外国の宣
    伝に防備・対抗するという意識を、忘れてしまったかのようで
    す。その結果、今日では外交・報道・教育などあらゆる面で、
    外国の対日宣伝に対し、ほとんど無防備に近い状態となってい
    ます。(まるで免疫不全に陥った末期患者のように)

     現行憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に
    信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあ
    ります。しかし、現実には、国際社会で紛争や侵略が繰り返さ
    れています。そして、我が国の周辺には、我が国に不信と敵意
    を表す国家も存在しています。我が国に照準を合わせたミサイ
    ルが配備されています。

    『民間防衛』が教えるように、侵略国はある日突然、侵攻して
    くるのではありません。武力による直接侵略を行う前に、その
    攻撃を容易にまた効果的に行うため、長期的に、宣伝・諜報や
    反政府勢力の育成などを行っているのです。ですから、私はま
    ず「心理的防衛」の意識を回復することが重要であると、思う
    のです。

◆心理戦としての反日運動

     宣伝等の活動は、顕著に攻撃的な場合には、間接侵略と認識
    できます。この実例は、旧ソ連などの共産国が、わが国の左翼
    勢力を育成・援助してきた例です。彼らは日本の社会主義化を
    目指して、現行憲法の「戦力不保持・交戦権否認」「言論の自
    由」などの規定を巧妙に利用してきました。「非武装中立」
    「無抵抗降伏」の思想ほど、侵略と占領支配に役立つものはあ
    りません。

     スイスの『民間防衛』は「外国の宣伝の力」という項目で次
    のように述べています。

         国民をして戦うことをあきらめさせれば、その抵抗を打
        ち破ることができる。…敗北主義−−それは猫なで声で最
        も崇高な感情に訴える。−−諸民族の間の協力、世界平和
        への献身、愛のある秩序の確立、相互扶助−−戦争、破壊、
        殺戮の恐怖…。そしてその結論は、時代遅れの軍事防衛は
        放棄しよう、ということになる。新聞は、崇高な人道的感
        情によって勇気付けられた記事を書き立てる。学校は、諸
        民族との間の友情の重んずべきことを教える。…この宣伝
        は、最も尊ぶべき心の動きをも利用して、最も陰険な意図
        のために役立たせる

     宣伝は、相手国の国民に、自信や誇りを失わせ、その国民で
    あることを自ら嫌悪するまでにすれば、抵抗意志をくじき、失
    わせてしまうこともできます。そこで近年、周辺諸国が力を入
    れているのが、日本の歴史を断罪する教育内容と、「戦争の謝
    罪と賠償」の要求などだと見ることができるでしょう。この活
    動は今や、国際的な反日運動にまで拡大しています。

     これは単なる「謝罪と賠償」の人道問題ではありません。ま
    た単なる外交と経済のゲームでもありません。総合的な安全保
    障という観点から、とらえてみることも必要でしょう。つまり、
    軍事的侵略の前段階としての間接侵略、心理戦の一環としてと
    らえてみる見方です。

◆どのように防衛を行うか

     それでは私たちは、どのように「心理的防衛」を行うべきで
    しょうか。『民間防衛』は次のように説きます。

         国民の義務とは、武器を用いることが第一なのではなく、
        まずその精神が問題である。外敵から国を守るため、およ
        び国内の秩序を保つため、岩のように固い意志を持つ必要
        があり、その意志が強固であるときのみ、われわれは持ち
        こたえることができるのである。

     そうした固い意志を持つとき、平時における「心理的防衛」
    は真に有効なものとなるのでしょう。それではそうした強い意
    志は、何によって可能となるのでしょうか。

    『民間防衛』は、スイス国民に問うています。

        われわれは生き抜くことを望むのかどうか。われわれの財
        産の基本たる自由と独立を守ることを望むのかどうか
        
    と。「生き抜くことを望むのかどうか」という問いは、重要で
    す。たとえ、核兵器や毒ガスなどが使用された場合、首都や政
    府の機能が麻痺した場合、外国軍に占領される結果となった場
    合など、どのような状況となっても、どこまでも生き抜こうと
    いう意志。それが、全国民に求められています。

     さて、次が「何を守るのか」という問いです。スイスでは、
    それは「自由と独立」とされています。これが国民の末端にま
    で、徹底されています。スイス国民は、命をかけて、「自由と
    独立」を守るのです。そのために老若男女みな、日々、国防の
    備えを怠らないのです。

     それでは、私たち日本人は、「何を」守ると言うべきでしょ
    うか。 自分の生命? 現在の生活? 民主主義? 主権と独
    立? 国益?……日本国民は、皆で何を守るのか、そのコンセ
    ンサスさえできていないでしょう。

     私たちは、何を守るべきなのか。しっかり考える必要がある
    と思います。「守る対象」を明確にしたうえで、それをいかに
    守るのか、が問われることになるでしょう。

     国防や安全保障にお詳しい方のご教示を頂けますと幸いです。

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      ほそかわ・かずひこの<オピニオン・プラザ>
      http://www.simcommunity.com/sc/jog/khosokawa
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■編集長・伊勢雅臣より■

    「諸民族の間の協力、世界平和への献身、・・・この宣伝は、
    最も尊ぶべき心の動きをも利用して、最も陰険な意図のために
    役立たせる」、まさに戦後の日本の精神状況を形容しているか
    のような文章ですね。まず我々は心理的無抵抗主義、敗北主義
    から脱しなければなりません。
    
★ JOG(095) スイス、孤高の戦い
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog095.html
   中立は口先だけでは守れなかった。

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