文学

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風物語

2004/09/26

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         あすかマガジン  失恋博物館 VOL.2

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「もう、ここでいいわ」
 わたしはそっと、彼に手を振った。
「本当にここでいいのかい?」
「うん」
 彼はいかにも悲しいと言いたげにふぅとため息をつく。
(あなたはいつもそうなんだ。誰に対しても変わらない
態度。わかってるんだよ。それがあなたのポーズだって)
 口に出そうになった言葉をわたしは思いっきり飲み込
んだ。
 せっかく、綺麗に別れようって決めたんだ。
 何もぶち壊しにすることはない。
「さよなら」
 もうそれ以上、わたしには彼に告げる言葉がない。
 彼の視線を避けて、後ろ向きになったとき、
「由美、ごめん。俺が悪かった」
 えっ?そんな言葉が翔太の口から出るとは思わなかっ
たわたしが振り向いたとき、
「由美に対して、不誠実だったって認めるよ。だけど、
俺は、俺は…由美と別れたくない」
 そのセリフが彼の口から飛び出したとたん、今まで
吹き付けていた北風が止まった。
「由美…もう一度考え直してくれないか?俺とのこと」
「翔太…」
 そう、NOと言うことも出来た。今まで、何度、彼の
その言葉に騙されて来ただろう。だけど…
 わたしは彼の胸に飛び込んだのだ。
 馬鹿な女だと言われても良かった。
(もう一度、信じてみたい)
 もう一人のわたしがそう叫ぶのをわたしは抑えられ
なかったのだ。
 ヘッドライトが照らす中でわたしは翔太のキスを受
けたのだった。

                                    発行人 南風あすか

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創刊日:2000-11-03  
最終発行日:  
発行周期:隔週  
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