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映画館で逢いましょう

「映画との最良の出会いの場は映画館」を信条とし、劇場公開作品のREVIEW、オススメビデオ・名作映画のご紹介、その他特集記事を月一回お届けする映画批評月刊誌です。

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映画館で逢いましょう 第231号 【 華氏911 】【 デビルズ・バックボーン 】

2004/09/11

─映画の真価は、映画館でこそ問われるべき───────────────
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< 紅パパの 映画館で逢いましょう >  vol.231(2004. 9.11)

発行者:映画館鑑賞推進委員長 紅乃ちゃんのパパ

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==contents==
1.本日の上映作品
  【 華氏911 】
  【 デビルズ・バックボーン 】
2.徒然なるままに・・・編集後記
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1.本日の上映作品
【 華氏911 】
 原題:FAHRENEHEIT 9/11
 製作:2004年 アメリカ映画 122分

 私的作品評価 ☆☆    /ドキュメンタリー?映画?政治批判?
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
【華氏911】それは自由が燃える温度。大ヒットドキュメンタリー映画【ボ
ーリング・フォー・コロンバイン】やアカデミー賞受賞式での爆弾発言ニュー
スで大躍進を遂げたマイケル・ムーア監督が、痛烈な批判の次なるターゲット
として選んだのは、なんと現アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュ!
アメリカのみならず、日本でも記録的ヒットを続けるこのドキュメンタリーは
果たしてマイケル・ムーア自身が言うように、楽しめる娯楽作品なのか、それ
とも一個人の政治批判を押し付ける政策映画なのか。答えは劇場で観たあなた
が出してください。

●作品データ―
監督/脚本:マイケル・ムーア 出演:ジョージ・W・ブッシュ

●REVIEW
マイケル・ムーアの名を世に知らしめた【ボーリング・フォー・コロンバイン
】は、「銃社会アメリカ」の病巣を探り当てようとするうちに、アメリカ社会
が抱えている闇の部分まで踏み込んでいく過程が実にスリリングな、ドキュメ
ンタリー映画を娯楽にまで押し上げた傑作だった。そのマイケル・ムーアの次
なるターゲットは、現アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュ。現在白熱中の
アメリカ大統領選にまで影響し、社会現象と化した【華氏911】だが、その
政治的側面の偏りには、一部マスコミから批判も報じられている。

前作【ボーリング・フォー・コロンバイン】では、監督自身が現場に足を運び
無謀とも思える突撃インタビューを繰り返す爽快さが話題となっていた。とこ
ろが同じような作風を期待して劇場に出かけた多くの観客にとって【華氏91
1】は、望んでいた作品とは違った物であっただろう。前半はマイケル・ムー
ア自身がプライベートでも批判しているブッシュ大統領の失策と体たらくな日
常、金まみれの裏話を披露していくが、ほとんどの映像はテレビなどのメディ
アが撮った映像の編集に終始し、マイケル・ムーア監督は画面にもほとんど現
れることはない。中盤は、報道されなかったイラク戦争の凄惨な状況を映し出
すフィルムが流れ続け、その真意は十分伝わるものの、マイケル・ムーアらし
い鋭い切り口は一切見られず、フィルムが持つ真実の重みだけが圧し掛かって
くる。後半ようやくムーア監督自身が行動を起こすのだが、これも【ボーリン
グ・フォー・コロンバイン】に比べると明らかにトーンダウン。二時間もの上
映時間を退屈させない編集は見事ではあるが、マイケル・ムーアならではのエ
キサイティングなドキュメンタリー映画はここには無い。

最もこの【華氏911】は、マイケル・ムーア自身の政治的意見を世間に公表
し、ブッシュ政権を打倒しようとする意図で撮られた作品であるのだから、そ
の内容が暴露的な方向へと進むことは止むを得ない。【ボーリング・フォー・
コロンバイン】には「銃社会への警鐘」というテーマが、「恐怖によりコント
ロールされたアメリカ」というマイケル・ムーアすら予想していなかった結末
へと(監督がそう意図して作ったとしても)観客共々導かれる映画との一体感
こそが優れた点であった。【華氏911】も終盤、同じように「ブッシュ批判
」から「アメリカの病巣」に切り込んでいこうという試みは行っているものの
前半から中盤のブッシュ批判に時間を割きすぎて、すべてが中途半端に終わり
最後のメッセージも空回りしている。個人的には、アメリカの底辺を支えてい
る下層階級の人たちと軍隊とのかかわりをもっと掘り下げて、予想も出来ない
結末を見せてほしかった。

アメリカの内情をほとんど報じられていない日本人にとって【華氏911】は
極めて危険な作品だ。この作品を観て、大いに問題点を感じたとしたら、必ず
自らマイケル・ムーアのごとく多角的な情報を収集し、真実を見定めなければ
ならない。この作品の内容を鵜呑みにするのは、一個人の意見を丸々受け入れ
ることになってしまうのだから。

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【 デビルズ・バックボーン 】
 製作:2001年 スペイン映画 106分

 私的作品評価 ☆☆☆★ /ホラー映画ではありませんのであしからず
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
内戦下のスペイン。人里離れた孤児院につれてこられた少年カルロスの元に夜
毎訪れる不気味な影。最初は気配でしかなかった「それ」は徐々に悲しげな少
年の幽霊となってその姿を現してくる。孤児院に隠された悲しくも恐ろしい真
実とは。交錯する大人たちの思惑と内戦の不気味な影がつかの間の平和すらも
奪ってゆく。
【ミミック】【ブレイド2】とハリウッド進出も果たしたデル・トロ監督によ
る伝説のゴシック・ホラー、ついに日本公開。

●作品データ―
監督/脚本:ギレルモ・デル・トロ(ブレイド2)(ヘル・ボーイ) 撮影:
ギレルモ・ナバロ 音楽:ハビエル・ナバレッテ 出演:マリサ・パレデス/
エドゥアルド・ノリエガ

●REVIEW
【デビルズ・バックボーン】を恐怖に満ちたホラー映画として宣伝している日
本の配給会社のせいで、そちら方面で期待していたファンにとってはさぞかし
がっかりさせてしまったことだろう。但しその落胆は、宣伝会社に騙されて、
怖がることが出なかったものでしかなく、恐らくこの作品を観たことについて
がっかりすることは無いはずだ。何故なら【デビルズ・バックボーン】という
悲しみに満ちた戦争映画の傑作に出会えることができたのだから。

人里離れた荒野にぽつんと立つ孤児院。そこには戦災孤児たち20人あまりと
4人の大人が暮らしている。孤児院を切り盛りする大人たちは、決して聖人と
いう訳ではなく、それぞれが秘めたる欲望と悪意を抱えながら暮らしている。

孤児たちも、それぞれは大人たちの戦争の犠牲者であり、やがて4人の大人た
ちの確執から更なる悲劇へと誘われる被害者的立場であるのだが、デル・トロ
監督は、「子供は可哀想だった」などという簡単な結論へと映画を導くことは
ない。極限状態におかれた子供達は、やがて被害者である立場から加害者へと
姿を変え、映画は予想だにしない展開へ進む。「戦争では最後に、みんな敗者
となる」という監督のメッセージを見事に示したらラストシーンは、単なる幽
霊を扱ったホラー映画とは一線を駕し、戦争のもつ悲しみと恐ろしさを描きき
った。

この作品で描かれる幽霊は、どちらかと言えば西洋風ではなく日本の幽霊に近
い。命はすでに潰えてしまっているにも関わらず、この世に残した恨みや想い
を叶えたいという願いだけで現世に留まる幽霊たち。戦争と言う絶望的な状況
下で、行き場を失った子供や大人が、薄氷を踏むようなつかの間の平和にしが
みつきながら生きる極限状況は、絶望的な想いだけでそこに留まり続ける幽霊
たちとどれほどの違いがあるのか。この作品で監督が提示するテーマは実に重
い。

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2.徒然なるままに・・・編集後記
今日は、午前中にかみさんと二人で家事を済ませ、その後公園でバトミントン
をして遊んだ。月曜日には子供達が学校に行っている間に、二人で池袋に出か
け【ヴァン・ヘルシング】を観て来た。と言うのも、転勤後、息子が通ってい
る幼稚園には「延長保育」というものがあり、通常14時にお迎えのところ、
600円の追加料金で17時まで預かってくれるお陰で、二人で遊ぶ時間が持
てるようになったのだ。ところが今日延長保育の息子を16時頃迎えにいった
ところ「お友達がお迎えに来てもらっている時間にパパやお母ちゃんが来ない
のは寂しくて、ちょっと泣いちゃった」と告白されて、非常に後ろめたくなっ
てしまった。お詫びに帰りがけにトイザラスで500円のウルトラマン人形を
買ってあげたのだが、でも月1〜2回のことなので、息子には今後も勘弁して
頂くことになるだろう。ごめんね孝虎君。

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