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映画館で逢いましょう

「映画との最良の出会いの場は映画館」を信条とし、劇場公開作品のREVIEW、オススメビデオ・名作映画のご紹介、その他特集記事を月一回お届けする映画批評月刊誌です。

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映画館で逢いましょう 第228号 【 スチーム・ボーイ 】【 マッハ!!!!!!!!】

2004/08/26

─映画の真価は、映画館でこそ問われるべき───────────────
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< 紅パパの 映画館で逢いましょう >  vol.228(2004. 8.26)

発行者:映画館鑑賞推進委員長 紅乃ちゃんのパパ

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       http://www.geocities.jp/kurenataka/  (毎週金曜日更新)
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メルマガ【映画館で逢いましょう】は鑑賞前でも安心してお読みいただける
ネタバレ無添加のREVIEWを心がけております。
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ご無沙汰しています。夏休み期間中は子供達が家にいる為、家族サービス優先
となり、なかなかパソコンの電源すら入れられない日々が続いていました。昨
日まで家族旅行に出かけ、ようやく家族の許しを得て、自室に閉じこもること
が出来ましたので、メルマガの発行を再開いたします。

==contents==
1.本日の上映作品
  【 スチーム・ボーイ 】
  【 マッハ!!!!!!!! 】
2.徒然なるままに・・・編集後記
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1.本日の上映作品
【 スチーム・ボーイ 】
 原題:STEAMBOY
 製作:2004年 日本映画 126分

 私的作品評価 ☆☆   /大友流冒険活劇を期待したファンは肩透かし
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
後進の漫画家やアニメーターに計り知れない影響を与えた漫画史に残る傑作、
【AKIRA】を生み出した大友克洋監督9年ぶりのアニメーション。
蒸気機関の発達により爆発的に発展した19世紀のイギリスを舞台に、祖父が
発明した謎の発明「スチーム・ボール」を手にした少年レイの大冒険活劇。実
写を超えた密度を見せる世界観、まるで生き物のように動くスチームを再現し
た技術力の高さは、日本アニメーションの最先端を行く素晴らしい出来栄え。
圧倒的作画力を武器に、魅力的なストーリーが加わった過去の大友作品を、大
友監督自身が超えることが出来るのか?、アニメファンのみならず多くの映画
ファンに注目された待望のアニメーション大作、ついに公開。

●作品データ―
監督:大友克洋(MEMORIES)(AKIRA) 脚本:大友克洋/村井
さだゆき 音楽:STEVE JABLONSKY 声の出演:鈴木 杏/小
西真奈美/中村嘉葎雄/津嘉山正種

●REVIEW
9年のブランクすらも意に返さない、大友克洋という名のブランド。日本のコ
ミック界にとって、大友は単身アメリカに乗り込んで成功した先駆者、大リー
グで言えば野茂選手のように、語り継がれるべき伝説の存在なのだ。常に新た
な映像革命を期待されている大友監督の【スチーム・ボーイ】へのプレッシャ
ーは相当な物だっただろう。【AKIRA】から一転、子供も大人も楽しめる
冒険活劇というテーマに取り組んだ大友監督は、映画ファン、アニメファンの
期待に答えることが出来たのだろうか。

【スチーム・ボーイ】の舞台は産業革命で急速な機械化が進んでいたイギリス
。ベースとしては史実どおりのイギリスを描きながら、登場する蒸気で動く機
械は、ありえない構造とレトロな雰囲気を兼ね備えた素晴らしいデザインとユ
ニークかつダイナミックな動きを魅せてくれる。動力源として蒸気を活用した
ことにより、吹き上げる水蒸気や煙で躍動感を生み出す手法は、手間に見合っ
た迫力ある映像となっている。しかしながら、まるで少年漫画のインフレ現象
のように、どんどん機械が大げさに、大きくなっていく様は、古き良きイギリ
スのリアルな風景とはどんどんかけ離れてしまい、終盤スチーム城が登場する
ことにより、破天荒な物語を支えていた現実感は消えうせてしまうのは実に残
念。

作画面では、さすが大友監督らしいこだわりが随所に見られ、実写すら超えた
情報量を持つ「絵」の魅力は、【スチーム・ボーイ】最大の見所だ。声優陣の
多くに俳優を配した所からも、大友監督がこの作品を「アニメ」ではなく、「
実写」をライバルに想定していることが伺える。作画、美術といった点では確
かに実写を凌駕する域に達した大友監督。ところが物語としての、【スチーム
・ボーイ】は、冒険活劇らしい驚きと興奮を生み出す活力が欠落してしまって
いる。

マッドサイエンティストの父親と祖父の主張の狭間で揺れ動く主人公レイ。危
険な冒険を潜り抜け、ギリギリの状況で、自らの意思で生きるべき道を見出し
ていく、という少年冒険小説の王道を描こうとした大友監督の意図は理解でき
る。子供向けの作品として通用するように、レイをトコトン素直な少年にした
のも、間違ってはいない。だが、素直さゆえに、父親、祖父、他の大人たちの
思惑に騙され、翻弄されてしまうレイに対して、観ている側は今ひとつ同化す
ることが出来ない。一本で完結させようとする冒険活劇は宮崎駿監督の【天空
の城 ラピュタ】のように、「勧善懲悪」であったほうが分かりやすい。目指
す方向性は同じ冒険活劇でも、ヒロインを一捻りしたり(ユニークなキャラで
はあるが)大人の醜い面を見せたりと、余計な肉つげをしてしまう大友監督に
は、ストレートな少年冒険活劇は似合わないと言うことを奇しくも証明してし
まった。
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【 マッハ!!!!!!!! 】
 原題:ONG−BAK
 製作:2003年 タイ映画 108分

 私的作品評価 ☆☆☆★ /男なら劇場を出た途端、戦いたくなるはず
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
1.CGを使いません
2.ワイヤーを使いません
3.スタントマンを使いません
4.早回しを使いません
5.最強の格闘技ムエタイを使います
ブルース・リー、ジャッキー・チェンに次ぐアクションヒーロー、その名はト
ニー・ジャー。CG、ワイヤーと言った特殊技術によるありえないアクション
が主流となった近年のアクション映画に一石を投じ、スター自らが、己の鍛え
上げた肉体を武器に驚くべきスタントを繰り出すタイ発の【 マッハ!!!!
!!!! 】は、久しぶりに「男の血を熱くたぎらせる」真のアクション映画
だ。

●作品データ―
監督:ブラッチャヤー・ピンゲーオ 脚本:スパチャイ・シティアンポーンパ
ン 撮影:ナタウッド・キティクン 音楽:アトミックス・クラビング 出演
:トニー・ジャー/プマーワーリー・ヨートガモン

●REVIEW
かつてアクション映画とは、主演俳優もしくはスタントマンが、己の鍛え上げ
られた肉体だけを信じて、不可能と思われる危険なシーンに挑み、観客はその
勇気とスリルに酔いしれ、至極の興奮を得ることが出来た。そして私も含め、
男性映画ファンは、多かれ少なかれ、アクションスターの肉体美とその技に憧
れ、劇場を出た後、熱くたぎる血潮を感じながら、真似をしたい衝動に駆られ
ていたはずだ。

かつてのアクション映画は、スタントが主流のハリウッドアクション映画(派
手なカースタントシーン)とその対極としてブルース・リーやジャッキー・チ
ェンに代表される主演俳優自らが危険なシーンに挑むアジア系アクション映画
(肉体と肉体がぶつかり合う格闘シーン)があり、劇場を出た男の子が熱くな
るのは、スター自らが繰り出す華麗な技と危険なアクションだった。ところが
自らの肉体を危険にさらす、アクションはスターの命すらも危険にさらすこと
になり、ビジネスとしてリスクも高い。当然の帰結として、危険なアクション
は、ワイヤーの補助やCGにより生み出されたありえない映像に差し替えられ
た。観客は、人工的に生み出されたより派手なアクションを手に入れたと同時
に、自らが真似したくなるような、熱い血のたぎりを失ってしまった。

かつてのアクション映画を懐かしむ、私のようなオールド映画ファンも、CG
が生み出す重力を無視した派手なアクションを見慣れた若い映画ファンも是非
観てほしい、必見の映画がこの【 マッハ!!!!!!!! 】である。この
作品、決して昔のアクション映画を懐かしむような後ろ向きな作品ではない。
むしろかつてのアクション映画の歴史を踏まえたうえで、新たなるアクション
映画の歴史を刻む、先鋭的作品として高く評価したい。

主人公を演じるトニー・ジャーがこの作品で見せる「ムエタイアクション」は
鍛え抜かれた身体能力のみが生み出す本物の重量感と、長いスタントマン経験
から磨かれた映画的に魅せるキレとパフォーマンスが組み合わさった非常に完
成度の高いものだ。映画の中で世界一強い男に見える為には、本当に世界一強
い必要は無くても、並みの人間を超えた力強さを持つ必要があるし、映画の中
でより派手に華麗に魅せるアクションの演技力も兼ね備えていなければならな
い。この両方を持つトニー・ジャーがいたからこそ、この【 マッハ!!!!
!!!! 】は、世界中のアクション映画ファンの度肝を抜き、スマッシュヒ
ットを飛ばすことが出来たのだ。

ドラマ部分が非常に弱かったり、本筋となっている仏像を取り戻す物語も正直
面白いとは言いがたい。ただ、そんな些細な事は、トニーのアクションが全て
吹き飛ばしてくれるはずだ。あなたも【 マッハ!!!!!!!! 】を観て
早速家に帰ってムエタイの特訓を膝蹴りから開始しようではないか。気分はす
でにトニー・ジャーになっているのだから。

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2.徒然なるままに・・・編集後記
遅いお盆休みがようやく取れ、家族で長野県戸狩野沢温泉へ出かけた。そこで
は宿のご主人が、子供達を中心に家族に色々な体験をさせてくれるという企画
物で「水鉄砲作り」「焼き板工作」「紙芝居」「沢カニを捕まえよう」「カヌ
ー体験」「夜の森でカブトムシを探そう」「野草パン作り」「飯ごう炊飯とキ
ャンプ宿泊」など色々なイベントをやらせていただいて、非常に充実した三日
間だった。田んぼと山に囲まれた宿に三日間、目が洗われるような自然に接し
た後に、新幹線を降りて大宮駅に着いたときは、その毒々しい都会の雰囲気に
子供達も驚いていたようだ。自然の風景がまったく失われた町に住むのは、今
回の転勤で来た埼玉県川口市が初めてなのだが、人間適度な自然がないとどう
も殺伐としてしまうような気がしてしまう。ところが映画ファンである私は、
都会に近いほうが都合がよいので、東京が近い川口市は趣味という面では、最
高の立地でもある。映画館すらない田舎で暮らすのは、正直しんどい気もする
時点で、田舎に住む資格は私には無いのかも・・・。

実はお盆中に【サンダーバード】と【リディック】【ポケットモンスター】も
観てきたので、公開が終わってしまう前に、次のメルマガを発行できるように
がんばります。
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