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映画館で逢いましょう

「映画との最良の出会いの場は映画館」を信条とし、劇場公開作品のREVIEW、オススメビデオ・名作映画のご紹介、その他特集記事を月一回お届けする映画批評月刊誌です。

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映画館で逢いましょう 第224号 【 友引忌 】

2004/07/09

─映画の真価は、映画館でこそ問われるべき───────────────
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< 紅パパの 映画館で逢いましょう >  vol.224(2004. 7. 9)

発行者:映画館鑑賞推進委員長 紅乃ちゃんのパパ

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==contents==
1.本日の上映作品
  【 友引忌 】
2.映画館で逢えなかった作品は、ビデオでチェック!
  【 阿修羅のごとく 】
  【 クジラの島の少女 】
3.徒然なるままに・・・編集後記
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1.本日の上映作品
【 友引忌 】
 製作:2000年 韓国映画 97分

 私的作品評価 ☆☆★ /闇の狭間に潜む怨念がかつての友人を死へと誘う
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
2003年に日本でも公開された韓国最恐のホラー映画【ボイス】を生み出し
たアン・ビョンギ監督のメジャーデビュー作【友引忌】がついに劇場公開。
大学院に進学した女子大生ヘジンの元に突然大学時代のサークル仲間ソネが訪
ねて来た。ソネはかつての快活さが失せ、病的なまなざしをヘジンに向けなが
ら「ギョンアがつきまとうの…」とつぶやく。ギョンア、それは二年前同じサ
ークルにいて投身自殺を図った友人の名前だった。その日を境に、ヘジンの元
にもギョンアの亡霊が現れはじめる。
日本の「リングブーム」をよく研究しており、日本人の恐怖のツボはしっかり
押さえている。夏の納涼に相応しいエアコン要らずの怪談映画だ。

●作品データ―
監督:アン・ビョンギ 脚本:ウォン・ジョンフン 撮影:イ・ソッキョン 
音楽:イ・テボム 出演ハ・ジウォン(ボイス)/ユ・ジテ/キム・ギュリ/
ユ・ジュンサイ/チェ・ジョンユン

●REVIEW
深夜の死体安置所。亡骸が納められている鉄の扉の向こうで鳴るはずの無い音
が響き渡る。当直の老人が扉を開けると、目を見開いた女の死体が。硬直の為
目を閉じさせられない死体に対して、老人はなんと針と糸でまぶたを縫い付け
ていく。冒頭から、実に嫌な気持ちにさせてくれる【友引忌】だが、残念なが
らここが恐怖の序章ではなく、クライマックスだったようだ。

かつて超能力のような物を持っていた少女が死後怨念となる設定は、ご存知【
リング】のヒロイン貞子のパクリであることは今更言うまでもないことだが、
【友引忌】に登場する恐怖シーンはどれもが日本のホラー映画ファンならお馴
染みのパターン。アン・ビョンギ監督は、前フリで恐怖感を煽りながら、突然
幽霊が登場という黄金パターンの恐怖のツボをよく研究しており、【友引忌】
の中でも、ビクッとさせられるシーンに出会うことはできる。但しそこにある
のは恐怖というより、突然後ろから友人にびっくりさせられたのと同じような
驚きの域を超えることはない。それはなぜか。

それはアン・ビョギン監督に限らず、多くの恐怖映画が勘違いしていることで
あるのだが、「怖さ」というものは「結果」ではなく「過程」で生まれると言
う大前提を見失っているに他ならない。たとえば想像力をフル活動して自分自
身をホラー映画の状況に追い込んでみてほしい。確かに実際に幽霊がでたら、
驚きと恐怖で体がすくんでしまうだろう。でも怖くて心臓が張り裂けそうにな
るのはむしろ、幽霊がいるんじゃないかと誰もいない廃墟を一人さまよってい
る時なのだ。人は「怖いものが目前に迫っているのでは」と考えながら戸惑っ
ている「待つ」時間にこそ恐怖を感じるのだ。ましてや自分自身が幽霊と出会
う訳でもない映画では、幽霊が出ても実害はないわけだから、むしろ登場人物
にいつ恐ろしいことが起きるのかとハラハラしているその時間こそが「恐怖映
画」が怖い所以であるのだ。

この私のかってな理論に基づくと【友引忌】は、亡霊が出るまでの溜めが短く
恐れおののく時間が短いことに加え、幽霊が出そうなシーンでは、必ず幽霊が
登場するという失態を犯している。ホラー映画の定番シーンである「怖そうな
雰囲気の中ドキドキしていると、いきなり何かが出てきてビックリしたら黒猫
だった」というお決まりの肩透かしは、実は何かが襲ってくるのでは、という
待つことに対する恐怖を増幅させる重要な複線であるのだ。開けたら必ず飛び
出すことがわかっているビックリ箱なんて誰も驚かない。空っぽの箱を混ぜる
からこそ、ビックリ箱に当たった時の驚きも倍増する。この緩急こそがホラー
映画に求められる重要なファクターなのだ。

とは言え、【友引忌】自体、凡庸な他のホラー映画と比べても十分怖がること
ができる作品となっているので、自宅で観るより数倍怖い映画館での鑑賞を試
して観るには最適な作品である。ただ難を言えば、怨霊となる少女を演じるハ
・ジウォンがあまりに可愛らしすぎて、幽霊になってメイクを変えてもその可
愛さを隠し切れないのは、致命的なミスキャスト。もっと地味な女の子を使え
ば怖さ倍増だったのに…。
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2.映画館で逢えなかった作品は、ビデオでチェック!
【 阿修羅のごとく 】
 私的作品評価 ☆☆★
 2003年 日本映画 135分
 監督:森田芳光 出演:大竹しのぶ/黒木瞳/深津絵里/深田恭子
小林薫がラストに呟く「女は阿修羅だねー」という台詞に対して、共感できた
か否かで大きく評価が分かれる作品。ワイドショーで観たことがあるような家
庭崩壊劇に対して、脚本の古臭さを感じてしまうのも事実。新旧女優対決も見
所なのだが、これも深田恭子の演技力の欠如が大きく足を引っ張る結果に。た
だし、これは深田恭子が悪いというより客層を広げることを最優先にキャステ
ィングしたスタッフ側に大きな責任があることは言うまでも無い。4姉妹の中
でもやはり大竹しのぶの演技力は群を抜いており、こんな女性がいたらたまら
んなといつも私にぞっとさせてくれる大竹しのぶは日本を代表する女優なので
ある。
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【 クジラの島の少女 】
 私的作品評価 ☆☆☆★
 2003年 ニュージーランド/ドイツ映画 102分
 監督:ニキ・カーロ 出演:ケイシャ・キャッスル=ヒューズ
時代の流れの中で薄れていくマオリ族の伝統を守ろうと一人奮戦する老族長と
孫娘として生まれた為、族長の跡目を継ぐことも出来ず、必要とされない存在
であることを悲観しながらも族長である祖父の期待に答えようとする少女パイ
ケア。孫娘を愛しているのに、伝統を一人で守らなければならないというプレ
ッシャーから孫娘に対して異常なまでに冷たく当たってしまう祖父の辛さとそ
れを理解し受け止めようとする孫娘の切ない思いの交錯が丁寧に描かれている
。ラストはやや神秘的過ぎた感も否めないが、若者が自ら伝統を守る為に立ち
上がる様は、すでに多くの伝統を失ってしまった日本人には痛い物語とも言え
る。
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3.徒然なるままに・・・編集後記

埼玉は暑い。というより都会は暑い。歩いていても、日差しをさえぎる木々も
ないし、目の前には家と車とアスファルトしか見えない。実際の気温も日差し
とアスファルトからの照返しで上昇しているのに加えて、心のヒーリング効果
も皆無では体感温度は異常なまでに跳ね上がります。千葉の臼井で5年、水戸
で2年暮らした我が家の家族は、木々と生き物がいない土地では暮らせない身
となっていたようです。

7日は出張が早く終わったので久しぶりに新宿で途中下車し【シルミド】を鑑
賞。歌舞伎町は、石原知事による町の浄化が進んでいるなんて水戸で聞いてい
たのですが、確かに学生時代に歩いていた歌舞伎町の妖しい賑やかさは随分影
を潜めてしまったような気がします。でも街頭で「合法ドラックあります」な
んて露天を開いている人や、池袋では1500円で明らかにコピーしたDVD
が売られていたり、やっぱり東京は違う!!(って私は東京の大学に通ってい
たのですが、すっかり田舎に毒されてしまったようです)

最近、個人的ブームな作家は嶽本野ばら先生。先日観た【下妻物語】に感動し
た私は、その足で書店にて原作本を購入。嶽本先生の乙女チックな文章にショ
ックを受けつつ、一晩で読み終わり次の日には【鱗姫】の文庫本を手にしてい
る自分がいました。でも嶽本先生の本はほとんど文庫化されていないので、こ
の後は読むのが辛くなりそうです。

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