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映画館で逢いましょう

「映画との最良の出会いの場は映画館」を信条とし、劇場公開作品のREVIEW、オススメビデオ・名作映画のご紹介、その他特集記事を月一回お届けする映画批評月刊誌です。

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映画館で逢いましょう 第222号 【 下妻物語 】【 ビッグ・フィッシュ 】

2004/06/25

─映画の真価は、映画館でこそ問われるべき───────────────
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< 紅パパの 映画館で逢いましょう >  vol.222(2004. 6. 25)

発行者:映画館鑑賞推進委員長 紅乃ちゃんのパパ

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==contents==
1.本日の上映作品
  【 下妻物語 】
  【 ビッグ・フィッシュ 】
2.徒然なるままに・・・編集後記
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1.本日の上映作品
【 下妻物語 】
 製作:2004年 日本映画 102分

 私的作品評価☆☆☆☆☆/ロココなハートを描ききった侮りがたい傑作喜劇
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
ロココ時代の自由奔放な生き方を目指しロリータファッションを愛用する孤高
の女子高生桃子ちゃん。一人ぼっちなんかぜんぜん寂しくない、ひらひらフリ
ルの服に包まれているだけで幸せな桃子だが、住んでいる街はトコトン日本の
田舎風景が広がる茨城県下妻市。そして突然押しかけてきた友達は、絶滅寸前
と思われたバリバリのヤンキー娘。ロリータとヤンキーというまったく共通点
のない二人の少女は、お互いまったく別の精神世界に住みながら次第に友情を
深めていく。
ロリータ娘にはフリフリのお洋服が見事に似合ってしまう深田恭子、ヤンキー
には一流ファッションモデルの土屋アンナという共演も見もの。嶽本野ばらの
原作の持ち味を映像で表現しきった中島哲也監督の手腕は本物だ。

●作品データ―
監督/脚本:中島哲也 原作:嶽本野ばら 撮影:阿藤正一 音楽:菅野よう
子 出演:深田恭子(死者の学園祭)(陰陽師?)/土屋アンナ/樹木希林/
宮迫博之/篠原涼子/岡田義徳/荒川良々/小池栄子

●REVIEW
【下妻物語】の上映中、劇場は何度も笑いの渦に巻き込まれた。そして恐らく
誰もが心の底から楽しんだ満足感を持って映画館を後にしたことだろう。これ
ほどの傑作コメディ映画がよもや日本から生み出されることがあろうとは。上
映終了ギリギリに劇場鑑賞に間に合って本当によかった。

嶽本野ばらの原作は、映画を観た帰りに本屋で買ってその日に読み終わってし
まうぐらい面白い作品だったが、そのエッセンスをこれほど見事に映画に表現
してしまった中島哲也監督の偉業は、映画を観れば誰もが納得するはずだ。

主人公の桃子は、とんでもない家庭をバックグランドに持ちながら、自らのポ
リシーである「ロココの精神で生きる」という信条を貫き通すことで、友達も
作らないで一人で生きていくすごい少女だ。日本の田舎、下妻にはまったく似
つかわしくないロリータファッションに身を包み、後ろ指差されながらも堂々
としている桃子は、己さえ幸せなら世の中がどうなろうと知ったことではない
という自己中心的で他人に対する優しさはかけらも持っていない、むしろ毒気
タップリの人間。優れたコメディ映画は、他者に対しての非情な態度が笑いを
生み出すブラックさが必要であり、これを勘違いしている人には真のコメディ
映画は作れない。【下妻物語】を作り出した原作者の嶽本野ばらと監督の中島
哲也はここを十分理解している。

【下妻物語】の世界観は、現実と非現実の境界線があやふやになるほど自由奔
放さを許容できる広い受け皿を生み出すことに成功している。主人公の呟きに
対して、テレビに映っているバラエティの司会が返事をするような唐突なシー
ンすらも、乙女たちが中心のこの世界では許される。圧倒的に濃いキャラクタ
ーが羽目を外して暴れても、とんでもない自己中心的な桃子の発言があろうと
も、アニメが突然挿入されようとも、ぜんぜんOKな器を作り出したことこそ
が【下妻物語】を類稀なる傑作コメディとして成立させた。

恐らくは、今年は、【下妻物語】を超えるコメディにめぐり合うことは叶わな
いであろうと確信している。決してアイドル映画ではございませんので、映画
ファンなら偏見を持たずに絶対に観なければいけない作品です。
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【 ビッグ・フィッシュ 】
 原題:Big Fish
 製作:2003年 アメリカ映画 125分

 私的作品評価 ☆☆☆★/当たり前のように存在する肉親にもドラマがある
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
ひところのダークなイメージを払拭し正統派監督となりつつあるティム・バー
トンが自らの原点とも言えるファンタジーにも明るい光を差し込ませた往年の
ファンには少々複雑な思いがつのる、親子再生のドラマ。
あること無いことを大げさに話しまくる父親に愛想を尽かし、断絶していた息
子が、父親の死期が近いことを知り、父親の真意を探ろうとするのだが、病床
の父親からは相変わらずありえない物語が次々と語られていく。

●作品データ―
監督:ティム・バートン(スリーピー・ホロウ)脚色:ジョン・オーガスト 
撮影:フィリップ・ルースロ 音楽:ダニー・エルフマン 出演:ユアン・マ
クレガー(ムーラン・ルージュ)/アルバート・フィニー/ビリー・クラダッ


●REVIEW
両親という存在が当たり前のようにそばにいる子供の頃と違い、自分が大人に
なった時、ふと両親が自分の知らない人生を送って来ている事に気付いた時、
お互いに知り尽くしているという自信が揺らぎはじめることがある。【ビッグ
・フィッシュ】に登場する親子は、父親の仕事柄一緒にいる時間が短かった為
、お互いの気持ちに溝があったことに加え、父親のホラ話がなおさら父の真意
を曇らせ、結果として嫌いな訳でもないのに断絶してしまっている。

【ビッグ・フィッシュ】は、過去の事実に夢を織り交ぜる父親の寓話と常に現
実を踏まえて行動し事実のみを掴みたい息子の現実の二つの側面で描かれる。
父親の寓話は、ティム・バートンが自らの得意分野として来たファンタジーで
あり、昔のような毒気は失せてしまったものの、洗練された絵作りによって、
現実と非現実の境界線のあやふやさなラインを見事に表現している。対して、
父親の作り話をはなから否定し、父親の心の真意のみを探ろうと模索する息子
は、生き生きと嘘をつく父親とは対照的に、苦渋に満ちた表情を崩さない。こ
の二人の対比を「夢に生きる自由」と「現実を見つめる重み」としてバランス
よく配置しており、物語としての完成度も高い。

しかしながら、寓話という形で自らの愛を息子に伝えようとした父親に対して
、その信憑性を疑い反目する息子が描ききれていない結果、終盤の盛り上がり
に不満が残る。【ビッグ・フィッシュ】で描かれる父親の寓話を映像化するに
はティム・バートンが本来持っている子供の視点が見事にはまっているのだが
、逆に親子のドラマを描ききるにはティムはまだ深みが足りない。「子供」と
「大人」の矛盾する二つの視点を兼ね備えた【ビッグ・フィッシュ】に登場す
る父親のような魅力的なドラマになれば、私自身も大ホラを吹きながら宣伝し
たくなる傑作になっただろう。
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3.徒然なるままに・・・編集後記
この二本は台風が日本海を直撃した日に有楽町に観に行きました。【下妻物語
】を観ているとはまだ天気ももっていたのですが、【ビッグ・フィッシュ】を
観て劇場を出ると外は暴風雨。日比谷のビルの間はビル風で、傘もさせないほ
どでした。ちなみに有楽町で映画を観る時は、駅前の交通会館一階にあるチケ
ットセンターに行きましょう。そこには公開中の作品の前売り券が1300円
で買えます。これだけで一本あたり500円浮きますよ。

先日、娘の小学校の開放日ということで、給食時間に娘のクラスにおじゃまし
た。さすがにその時間に観に来ている親はほとんどいなかったが、子供が給食
を準備している姿は、はたから見るとハラハラさせられます。面白かったのは
男の子が盛り付けしていたのですが、その日のおかずであるお肉の炒め物とデ
ザートのカットメロンを同じ皿にくっつけて乗せていたことです。メロン味の
お肉なんて想像もしたくありませんが、さすがに先生も見るに見かねて盛りな
おしていました。自分もあんながさつなことしてたんでしょうね。
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