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映画館で逢いましょう

「映画との最良の出会いの場は映画館」を信条とし、劇場公開作品のREVIEW、オススメビデオ・名作映画のご紹介、その他特集記事を月一回お届けする映画批評月刊誌です。

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映画館で逢いましょう 第211号 【 嗤う伊右衛門 】【 タイムライン 】

2004/02/18

─映画の真価は、映画館でこそ問われるべき───────────────
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< 紅パパの 映画館で逢いましょう >  vol.211(2004. 2. 18)

発行者:映画館鑑賞推進委員長 紅乃ちゃんのパパ

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ネタバレ無添加のREVIEWを心がけております。
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==contents==
1.本日の初回上映作品
  【 嗤う伊右衛門 】
2.本日二本目の上映作品
  【 タイムライン 】
3.徒然なるままに・・・編集後記
4.映画批評集「映画館で逢いましょう」注文受付中!!
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1.本日の初回上映作品
【 嗤う(わらう)伊右衛門 Eternal Love 】
 製作:2004年 日本映画 128分

 私的作品評価 ☆☆☆  /恨めしいほどに、愛しい伊右衛門と岩の悲恋劇
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
浪人に身を落とした伊右衛門は、無愛想ではあるが根が真面目な性格が幸いし
長屋の友人から侍の家系、民谷家への婿入り話を持ちかけられる。浪人風情に
は申し分のない話しではあったが、民谷家の娘、岩はかつては町でも評判の美
しい娘であったものの、大病を患った結果顔の半分が醜く崩れていた。岩の容
姿を知りつつ婿入りを承諾した伊右衛門の行動をきっかけに、民谷家に隠され
ていた因縁が次々と露見され、やがて芽生え始めた伊右衛門と岩の愛も翻弄さ
れていく。
日本一有名な怪談「四谷怪談」をベースにしながら、まったく新しい物語を構
築した京極夏彦の原作を元に、これまで演劇や映画で幾度も「四谷怪談」を取
り上げてきた世界的演出家蜷川幸雄が映画化。怪談話がベースであるものの、
まったく怖くはないので、恋愛映画好きな方でも安心してオススメできます。

●作品データ―
監督/脚本:蜷川幸雄(青の炎) 脚本:筒井ともみ 撮影:藤石 修 音楽
:宇崎竜童 出演:唐沢寿明(みんなのいえ)(ラヂオの時間)/小雪(ラス
ト・サムライ)(回路)/香川照之(鬼が来た!)池内博之(精霊流し)

●REVIEW
極悪非道な伊右衛門の策略により毒殺されたお岩が怨霊となって復讐を果たす
恐ろしい物語「四谷怪談」。怪談小説の第一人者京極夏彦の手によって新たな
命を吹き込まれた新生四谷怪談と言うべき【嗤う伊右衛門】を原作としたこの
映画は、サブタイトル「Eternal Love」に有るように、悲恋劇と
して四谷怪談の伊右衛門とお岩の物語を再構築している。四谷怪談がベースと
聞いて、怖い話と構えていた人は肩透かしを喰らうことだろう。

もし四谷怪談を知らない人が見たのならば、この作品のベースが怪談話とは思
得ないほど、【嗤う伊右衛門】はとことん恋愛映画の路線を貫く。蜷川監督は
、怖いと感じさせる演出やしぐさを徹底的に排除することで、怨念めいた物語
になることをかたくなに拒んでいるかのようだ。その最もたる象徴が、お岩演
じる小雪の特出した美しさだろう。確かに顔の半分は、醜いアザが残っている
ものの、顔の片側だけを映せば小雪の整った顔が残っており、小雪の凛とした
美しさは、アザがあってなお輝かしくスクリーンを彩る。確かに物語を追うご
とに深まっていく伊右衛門との愛を考えると、小雪演じるお岩の美しさがつじ
つま合わせの為に必要不可欠な要素ではある、しかしながら、本来恐ろしい怨
念を描いた四谷怪談が元ネタであることを考えると、その美しい容姿に、物足
りなさを感じてしまうことは否めない。伊右衛門が、醜いお岩の内面にある真
の美しさを見抜いたという展開が、単なる小雪の美しさに引かれたのではとい
う浅い解釈に留まってしまう危険性もあり、醜いが心根は美しいという難しい
役をきれいな女優さんが演じる弊害を強く感じてしまった。

特筆すべきは、無愛想な伊右衛門を演じた唐沢寿明の予想外の力演だ。正直テ
レビ俳優のような軽い演技しか見たことがなかったのだが、この作品での唐沢
が魅せた伊右衛門が数々の苦難を前に抑えに抑えた感情が、やがて抑えきれず
に噴出していく狂気のラストに至る極上の緊張感は、恋愛映画になりかけた【
嗤う伊右衛門】を一気に恐ろしい物語へと引き戻す重鎮となっている。唐沢が
魅せた伊右衛門の演技は、今後の彼のプロフィール上最も重要な転換期になる
ほどの名演であろう。但し、せっかく唐沢が決めてくれた終盤の緊張感も、蛇
足のようなラストシーンで、結局恋愛映画へと終結してしまうのには、少々首
を傾げざるを得ない。

あまり音楽に詳しくない私が言うのも何なのだが、時代劇であるはずのこの作
品が、山場になるとわざとらしいぐらい仰々しい音楽を鳴らすことには個人的
にはまったく受け付けなかった。せっかく丁寧に作られた時代劇なのだが、西
洋楽器による曲ではなく、時代劇らしい日本古来の音楽を使って欲しかったと
思うのは、私があまりに保守的なのだろうか。
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2.本日二本目の上映作品

【 タイムライン 】
 原題:TIME LINE
 製作:2003年 アメリカ映画 116分

 私的作品評価 ☆☆★  /お金をたっぷりかけた超大作B級映画
     (☆20点★10点 ☆☆☆が標準ライン)

●作品紹介
ベストセラー作家にして映画化された作品は大ヒットを記録し続けるヒットメ
ーカー,マイケル・クライトンが描く次なる世界は、時空を超えたスペクタク
ル・アドベンチャー。14世紀への時間旅行中に失踪した教授を救うべく、教
え子たちと教授の息子が時空を超えた旅路へ向かう。タイムトラベル物ではあ
るが、あくまで現代と1357年のヨーロッパで勃発していた百年戦争の間で
しか行き来が出来ないのでじっくりと中世ヨーロッパの時代劇を楽しむことが
できる。危険な時間旅行の末に彼らは無事現代に帰ることが出来るのか。

●作品データ―
監督/脚本:リチャード・ドナー(オーメン)(リーサル・ウェポン 脚本:
ジェフ・マグワイア/ジョージ・ノルフィ 撮影:カレブ・デシャネル(ユー
・ガット・メール) 音楽:ブライアン・タイラー 出演:ポール・ウォーカ
ー(ワイルド・スピード)/ジェラルド・バトラー(ドラキュリア)(トゥー
ム・レイダー2)/フランシス・オコナー(A.I.)

●REVIEW
タイトルから読み取れるように時間旅行を題材とした作品ではあるが、この作
品に関して言えば、タイムマシンはあくまで物語を語るための手段に過ぎない
。物語の主軸にあるのはあくまで中世ヨーロッパの戦乱と必死に生き残ろうと
する主人公たちの冒険活劇だ。

タイムパラドックスのつじつまあわせは、タイムトラベル物の楽しみの一つで
あるが、【タイムライン】では、過去へ干渉したことで歴史が変わってしまう
と心配してみたものの、実はその干渉自体が元々歴史の一部とて組み込まれて
いるという、一番ありがちなパターンで流しており、タイムトラベル物を楽し
みにしていた方には少々肩透かし気味だろう。

史劇としてみた【タイムライン】は莫大な予算を注ぎ込んだ迫力ある戦闘シー
ンやフルスケールで再現された城、丁寧に作られた衣装など観るべき点の多い
。特に夜間に行われる火をつけた矢や炎に包まれた巨大な石を城めがけて投げ
る投石器が入り乱れる戦闘シーンの美しさは迫力満点。中盤以降の戦闘シーン
は映画らしい楽しさに満ちている。

しかしながら、【タイムライン】を楽しく観ることが出来るのはこの戦闘シー
ンだけであることも事実。救出を待つ教授は人間的魅力に欠け、助けに向かう
メンバーも型にはまったパターンで意外性は皆無。転がせば面白くなりそうな
癖のあるメンバーは早々に舞台から退場し、残ったのは予想の範囲を超えない
優等生的主人公たちでは、映画が面白くなろうはずもない。予算のほとんどを
迫力あるセットに使いたかったのか、俳優たちも有名どころを一切使っておら
ず、かと言って、二級線の俳優から掘り出し物を探しだしたという功績を生む
ことも出来ていない為、多大な予算を費やした超大作であるにも関わらず、な
んだかビデオスルーしてしまったB級映画のような迫力のなさを感じてしまう
のは実にもったいない。

タイムマシンを題材にした作品として観るのならば、まったくオススメできな
いが、史劇として観るのなら、楽しむことは可能だろう。マイケル・クライト
ン原作による他の映画を観ても分かるように、内容的に深いものはまったくな
いので、多少の矛盾や深みのない物語を笑い飛ばして楽しめるあなたの懐の深
さが試される超大作B級映画なのだ。

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3.徒然なるままに・・・編集後記
2月18日(水)
巷では【ロード・オブ・ザ・リング】の上映が始まってますが、こればっかり
はできる限り大きなスクリーンと大迫力の音響で観たいというのが映画ファン
ならば当然の欲求でしょう。残念ながら水戸ではその願いを近隣でかなえるの
はかなり難しいので、なかなか劇場に行く踏ん切りがつきません。しかも、我
が家は全員、シリーズの大ファンでして、私が一人で行くことを許してくれな
いのです。でも子供も連れて行くと当然吹き替え版になってしまうので、休み
がたくさんある来週あたりに「今日はゼブラーマンでも観に行くか」と言って
【ロード…】をこっそり鑑賞する予定です。

このメールは早朝に仕上げているのですが、実はこれから鹿島方面に釣りに行
って来ます。毎回釣りに行くときは、「今日の晩御飯はアイナメだ」と息巻い
ているのですが、最近坊主続きでかみさんも私の発言を完全に聞き流していま
す。今日は、釣りの本を読みあさって得た必殺の技があるので、大物を釣り上
げてきますよ。釣果については次回ご報告しますが、もし載っていないときは
坊主だったと思ってください。では行ってきます。
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ルvol. 1 】【マトリックス・レボリューションズ】【少林サッカー】【
フレディvsジェイソン】【座頭市】【黄泉がえり】【呪怨】【クレヨンしん
ちゃん】【ゴジラvsメカゴジラ】他、ジャンル、洋画邦画を問わない138
本の映画批評を収録。
映画の真価は映画館でこそ問われる!を信条とし、鑑賞前でも安心のネタバレ
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00号&創刊4周年の集大成。パソコン用のプリンターで印刷し、著者本人の
手による製本での出版です。本格的な出版物に近い状態に仕上がっています。

◆申込方法
電子メールにて住所、お名前、メールアドレスをお知らせください。製本が出
来次第お送りいたします。手作りの為万が一注文が重複した場合お届けが遅れ
る場合もございます。
◆返礼方法
お送りした本に返信用封筒が入っています。封筒に図書券1000円分を入れて添
付された住所までご返送ください。
◆お断り事項
送料はこちらで負担させていただきます。(返信用封筒の切手のみご負担お願
いします)
本の代金は送料+制作費でほとんど占められてます。この本は営利目的ではあ
りません。ご満足いただけない時は、図書券の返送はいりません。
完全手作りの為、お一人様一冊の注文に限らせていただきます。
◆発送日程について
初回掲載時、筆者の予想以上の注文があり、10日間ほど暇な時間はほとんど
本の制作に費やされてしまいました。これでは映画すら観れなくなってしまう
ので、月の受注を5名様までとさせていただきます。これを超える場合は、翌
月以降の発送にさせていただく旨の連絡をさせていただくこともございます。

注文先電子メール  kurenataka@ybb.ne.jp
見本写真あります  http://www.geocities.jp/kurenataka/
では、よろしくお願いします。
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