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球面と「同じ形」の図形は何か?

2019/09/14

地球の表面のような2次元の球面を考えます。

この図形と「同じ形」の図形にはどんなものがあるか、という問題を今回は考えてみたいと思います。

数学の問題です。

数学では「同じ」にも色々な種類があります。

したがって、ここでの「同じ」がどの意味なのかはっきりさせておかなければなりません。

今回扱いたいのは数学でも特に位相幾何学と呼ばれる分野で用いられる「同じ」です。

つまり、図形を破ったり切ったりせず、連続的な変形だけを考え、この変形で移り合う2つの図形は同じ、より専門的には位相同型と呼ばれます。

有名な一例を挙げるなら、コーヒーカップとドーナツは連続的な変形で移り合うので位相同型、同じ形です。

連続的な変形は大雑把に言って穴の数を変えないような変形です。

コーヒーカップとドーナツの例でもどちらも穴が一つ(前者は取っ手の部分、後者はドーナツの穴の部分)であることから同じ形ではないかと推測が付く方もいるでしょう。

「同じ」の意味がはっきりしたところで冒頭の問題に戻りましょう。

つまり、2次元の球面と同じ形は何か?という問いです。

明らかになった「同じ」の定義を用いて球面の穴の数を数えアタリを付けてみましょう。

球面はツルっとしていて穴はありません。

したがって、穴の数が0個の図形と同じ形ではないか?という予想ができます。

穴の数が0個の図形というとどんなものをご存知でしょうか。

最も一般的なのはサイコロの表面のような正六面体でしょうか。

これをヒントにすると、正四面体も穴は空いていません。

同様に他の正多面体も穴の数は0個です。

(ウィキペディアに視覚的にイメージしやすいアニメーション付きで載っていましたのでリンクを貼っておきます:

https://ja.wikipedia.org/wiki/正多面体)

このような比較的「簡単」な図形ならば穴の数は見ただけでわかりますが、もっと複雑な図形の場合はどうすれば良いでしょうか?

この問いに対する答えは偉大な数学者オイラーによって与えられています。

彼がどうやって発見したのかは知りませんが、彼は正多面体の頂点、辺、そして面の数にある関係があることを見つけました。

その関係とは

(頂点の数)ー(辺の数)+(面の数)=2

というものです。

この関係を、一番馴染み深いであろうサイコロ(正六面体)を例に確かめてみましょう。

サイコロには8個の頂点、12本の辺、そして6つの面があります。

したがってオイラーの関係式に代入すると8-12+6=2となり、この場合にはオイラーの関係が成立していることがわかります。

試しに正四面体でもチェックしてみましょう。

(正四面体のイメージがわかなければ上のウィキペディアをご覧ください。)

この図形は4つの頂点、6本の辺、そして4つの面を持っています。

したがって4-6+4=2となり、やはりオイラーの関係が成り立っています。

この数2は今日ではオイラー数と呼ばれています。

このオイラー数がなぜ図形の穴の数を教えてくれるのでしょうか?

実は、オイラー数は一般的に2-2×(穴の数)となることが知られています。

正多角形では穴の数が0でしたので、2-2×0=2で、どの図形もオイラー数2を与えていました。

当初考えていた球面も穴の数が0でしたのでオイラー数2を持っています。

(このことは球面を三角形などで分割し、頂点、辺、面の数を数えることで確認できます。)


さて、上では説明を省きましたが、オイラー数が2-2×(穴の数)で与えられることを証明するには少し難しい数学を使わなければなりません。

この証明においては、考えている空間が境界を持たないということが仮定されています。

(球面も正多面体も「端っこ」を持っていないことがわかると思います。)

境界のある空間というのは例えば冒頭の球面を半分に割った半円などです。

この半円の切り口の円がこの場合の境界です。

そして数学では大抵まず境界の無い場合が調べられ、遅れて境界のある場合の理解が進みます。

数学に限らず物理学でも同様のことが起こっています。

実は、私が最近考えている問題もその一つです。

境界の無い空間の場合はよく知られているのですが、そこに境界を入れるとどうなるか、というテーマです。

今回この問題の内容まで書こうと思ったのですが、オイラー数の説明だけで長くなってしまいましたので、また次回にしたいと思います。

最近コピーライティングの話ばかりでしたので、たまには本業の話もしようということで今回はこんな話をしました。

因みに、来週山形で行われる物理学会で発表するために、このメルマガが届く前日の金曜日から日本に来ています。

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