物理学

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脱・量子力学「初心者」

2019/03/19

おはようございます。

前回までの2回で情報量を公理的に定義し、さらにその期待値、シャノンエントロピーを定義しました。

実はあと一歩で「量子もつれ(entanglement)」も説明できるのですが、その前に少し量子力学の準備をしておきます。


以前、物理の世界は2つの軸を用いて4つの領域に分割できるという話をしました。

1つの軸は(光速に比べて)速いか遅いか、もう一つの軸は(原子サイズと比べて)小さいか大きいかです。

速い領域を記述するには相対性理論を用いる必要があり、小さい領域を記述するには量子力学を用いる必要があります。

ここでは量子力学だけに注目しますので、前者の速いか遅いかという軸は置いておきます。

すると、この世界を小さいか大きいか、で二分できますが、二分された世界の顕著な違いは量の扱いにあります。

我々が馴染み深い大きな世界では、位置などはただの数と思っています。

例えば日本はだいたい東経135度にありますが、この「東経135度」はただの数だと思っているはずです。

このただの数が小さい世界に行って量子力学を使うと「操作」になります。

(なぜ操作になるのかは私が知る限り未だに理解されていません。

大きな世界の数が量子力学では操作になると考えると実験をうまく説明できるので、量子力学では取り敢えず操作と考えよう、ということになっています。)

では何にその操作を行うのかというと、ある状態に対してです。

その状態はどのように得るかというと次のような手続きを踏みます(少し専門的な話なので興味のない方は読み飛ばしてください);

まず、ある時刻を選び、その時刻において元々ただの数と思っていた量を操作に格上げします。

これらの操作は何でも良いわけではなく、正準交換関係という条件を課すことで「正しい」計算ができることが知られています。

そして最後に得られた操作の一部(その名の通り消滅演算子と呼ばれます)を作用させると消える状態を集めてきます。

この集合をヒルベルト空間と呼びます。

ヒルベルト空間を得るまでの一連の手続きを量子化と呼びます。

量子化によって定義されたヒルベルト空間の1つ1つの要素(状態)はその名の通りある状態を表しています。

したがって、ある粒子の状態を表す要素をヒルベルト空間から持ってきて、その状態に対して位置を測る操作を行うと、その粒子の位置が得られます。

また、状態に対して操作を行うと、一般には状態は変化してしまいます。

これが量子力学における不確定性の原因でもあります。

例えば、運動量はニュートン力学では質量と速度の積として定義されます。

大きな世界ではどちらもただの数ですから、運動量と位置という2つの数は掛け算の順番によりません。

運動量をp、位置をrと書くなら、p×r=r×pとなります。

ところが、量子力学に移行すると、運動量も位置も操作になります。

そして2つの操作は、それらを作用させる順番を変えたときに結果が同じ保証はありません。

以前は料理を使ってこの「事実」を説明しました。

今回はまた別の例を使ってみましょう。

右手を前ならえのように、肘は体に付け、手のひらを体の左側を向くように出します。

この状態から、手のひらを右肩まで持ってくる2つの操作を考えましょう。

一つはそのまま肘を曲げる方法。

この方法だと手のひらは依然として左を向いたままです。

もう一つの操作は、まず肘から先を腹の方へ水平に回転させ、次に肘を曲げて手のひらが胸の前を通るように手のひらを右肩の前まで持ってくる方法。

この方法だと手のひらは後ろを向いているはずです。

どちらも同じスタート地点から同じゴール地点まで手のひらを運びましたが、操作によって結果が変わりました。

あまり良い例ではありませんが、量子力学で起こっていることも本質的にはこの例と同じです。

長くなってきましたので今回はここまでとしますが、重要な点は1.量子力学では量子化という操作によって状態の集合であるヒルベルト空間を得ること、2.状態は操作の影響によって変化すること、の2点です。

ではまた次回。



最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。

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