小説

魔法の小箱

オリジナル小説(リレー小説も含む)&ラジオのお便りの募集等。

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創刊日:2017-07-14  
最終発行日:2017-09-20  
発行周期:不定期  
発行部数:6  
総発行部数:51  
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魔法の小箱No.11 林檎作オリジナル小説[ラグナロクー終焉の刻ー]のギャグ

2017/09/20

―亡国オーディン
11年前に滅んだ王国……滅んだ理由は謎に包まれている。
真実を知る者はおらず、歴史を記した文献にさえ記されてない。
滅んだ国にシエラ、カイン、クロードの姿があった。
「酷い…………」
「こんなのって…、いったい11年前に何があったんだろ……」
城下町にある建物は、全て焼かれいて形を保っておらず、悲しい出来事があった事を物語っている。
その光景にシエラとクロードは、誰に言うでもなく独り言のように小さく呟いた。
カインは何も言わず二人から視線を反らして、黒焦げに焼けた民家に触れたその時、カインの脳裏に映像が流れ込んできた。
『殺せ!皆殺しだ!誰一人として生かしておくなっ!』
『熱い!!誰か助けてくれ!まだ死にたくない!死にたくないっ!!』
『お父さん!お母さん……!恐いよっ……恐いよっ!!』
なんだ、さっきのは…?この国に起こった出来事か?そうだとしたら、何故そんなものが俺に見える…?
カインの脳裏に流れ込んできた映像は、背中に翼の生えた種族たちが人間を殺したり、民家を燃やしたりしている映像だった。
そんな映像がどうして見えるのかも、カインには分からないのだ。
カインが民家に触れた自分の手をじっと見つめていると、シエラが不思議そうな表情を浮かべて覗き込んでくる。
「カイン…?どうしたの?」
「……何でもない、それより城に行くんだろ。ドラゴンゾンビの封印はとけているはずだ…」
「え、ええ……もちろんよ、行きましょう。ドラゴンゾンビの封印がとけていたら、この剣でまた封印しなくちゃ」
問いかけにカインは、見つめていた自分の手を降ろして、先に見える城の方へ顔を向けシエラに尋ねる。
カインの問い掛けにシエラは頷いて答えた。
シエラの言葉にカインとクロードが頷けば、三人は城に向かって歩き出した。

城門前にたどり着くと、外から見てもわかる程に城はボロボロで、シエラは立ち止まり中に入るのをためらう。
クロードは立ち止まったシエラを見上げてから、開かれたままの城門を通って城の中に入って行ってしまう。

「クロード!待って!一人だと危険だわ!」
「ったく……少しは落ち着いて行動できないのか」
シエラとカインも、クロードの後に続いて城の中へと入る。
城の中に足を踏み入れると、やはり中もボロボロで普通ではない異様な空気が流れていて、油断すると精神が押し潰されてしまいそうな程だ。
ホールへ進むとクロードは立っていて、二人が側に行って瞳に飛び込んできた光景は、おびただしい量のこびりついた血だった。
「……………」
その光景にシエラとカインは言葉を失い、クロードも俯いて言葉を失ったままその光景から目を反らしている。
目の前に広がる光景を黙って見ていると、カインの脳裏に、再び映像が流れ込んできたのだった。
『アーサーを殺すんだ!女王も殺してしまえ!!』
『陛下たちをお守りしろ!何としても食い止めるんだ!』
『この子たちを連れて逃げるんだ!』
『行け、行くんだ!!!』
―レイスとアレスを頼んだぞ!!―
……またか…一体なんだ、あの映像は……。
ったく、いい加減にしろ、俺にこんな映像を見せた所で、何も変わりはしないだろうが。
カインは左手を額に当てて、目の前に広がる光景から視線を外し、シエラの方へ顔を向けると声をかける。
「おい、移動するぞ。この場所には、何もないみたいだしな…」
「え……そ、そうね……行きましょう…」
カインの言葉にシエラは頷くと、三人はその場所を離れて、別の場所へ移動を始める。
奥に進んで行くにつれて、先程から感じていた異様な空気が、どんどん濃くなっていくのが分かった。
奥に進む間は会話が全くなく、ただ三人は黙々と歩き続ける。
シエラとクロードは先程の光景が脳裏から離れず、カインは自分に見えた昔の映像について考えているのだった。
―色んな部屋を見ていきながらも、進んで行くと謁見の間が見えてきた。
謁見の間に進むと其処には、ホールと同じように幾つもの血痕があってその光景は、王座の後ろに見えている割れたステンドグラスから射し込む光によってハッキリと見えてしまう。
シエラとクロードがその光景に再び言葉を失い顔を反らすが、カインは二人を横切って進んで行く。
「あなた達は誰……?」
その時、後ろから声がして三人が一斉に振り返ると、ピンク色の髪と金髪のクロードと同じ耳が翼の天空人の女性と男性が立っている。
シエラとクロードは自分たちの他に人がいた事に安心した表情を浮かべるも、カインだけは瞳を細めた。
「あの、私たちは……この聖王の剣を…」
「それは……聖王の剣…、どうして君達が持っているんだい?」
シエラが抱えた聖王の剣を見せると、男性は驚いたような表情を浮かべて尋ねてきた。
まるで、男性の言い方は、聖王の剣を知っているかのような口振りだ。
シエラは男性の問いかけに、今までの経緯を話し始める。
「……なる程……そいう事だったのかい。だけど…聖王の剣が予言者の神殿にあったとは……」
「予想もしなかったわね…。あ……、ごめんなさい、私はニアでこっちは夫のセシル」

シエラから聞いた話しは二人にとっては予想外の事だったらしく、二人は沈んだ表情をしていたが、ニアが謝って笑顔を浮かべて自己紹介をするとシエラも紹介をする。

「私はシエラ、この子がクロード、あっちにいるのがカイン」
紹介が終わるとカインはクロードの隣に行き、シエラの抱えている聖王の剣を見てから二人に視線を移すと、疑問に思っていた事を問いかけてみた。
「オーディンに充満している、この異様な感じが何か分るか?」
「オーディンに充満している異様な感じは、ドラゴンゾンビが吐き出す瘴気なんだ。ドラゴンゾンビの吐き出す瘴気は、この地に留まる事を望まない魂さえも縛りつけてしまう」
「ねえ、それよりさ、早く地下墓地に行こうよ、そのドラゴンゾンビ封印しないと」
セシルの話しが終わりやり取りを聞いていたクロードが、腰に手を当てて呆れたような口調で言うと一同は頷いて地下墓地へ行くために、ニアとセシルの案内で墓地に通じている螺旋階段のある場所に向かう。
「クロード……貴方プリーストよね?攻撃呪文は知っているの?」
「うん、そうだよ………僕は、傷を癒す魔法と補助魔法しか教えられてないんだ………大司教様が教えたくなかったみたいだから」
地下墓地へと通じている場所に向かっている最中、クロードの隣にいるニアが話し掛けてきたので、問いかけに対して眉尻を下げて答えた。
返答の内容にニアが黙るとクロードは、何故だか分からないが胸が締め付けられるような思いだった。
ニアとセシルの案内により迷う事なく、地下墓地へ通じている螺旋階段のある場所に、五人はたどり着けていた。
「この階段から墓地へと通じているのか」
「そうだ、この階段を降りると大きな扉があって、その先が墓地になっているんだ」
カインの言葉にセシルは首を縦に振って頷いた。
階段を降りる為にカインが中を覗き込むと中は暗く、今まで感じてたものとは比べようのない程の瘴気で充満している。
階段を降りるには明かりが必要でカインが、隣から見ているシエラの方を見れば、何を言いたいか伝わったらしくシエラは呪文を唱えだす。
「光の精霊よ…暗き路を光にて示せ、ライト……」
シエラが呪文を唱えて螺旋階段が照らされ明るくなると、カインが先に降りようとする。
「俺が先に行く。滑ったりするなよ、お前が一番危なっかしいからな」
「う、うん……。カインも気を付けて」
降りようとした動きを止めると、カインは背を向けたままシエラに対して言葉を投げ掛けたが、いつものようなキツい言い方ではない。
シエラがコクリと頷いてから返事をすると、カインは階段を降り始める。
カインの後に続いてシエラ、ニア、クロード、セシルの順番で螺旋階段を降りて行く。
長く続く螺旋階段を慎重に降りていくと、セシルの言った通りに地下には大きな扉があった。
カインは扉の前で立ち止まって、後ろに振り返り全員揃っているかを確認すれば、扉を開ける。
「これが……地下墓地……」
扉を開けると今までとは、全く異なる景色が広がっていて、クロードは服を強く掴むと呟いた。
クロードの隣にいるセシルは、優しく頭を撫でて笑いかけてから、真剣な表情を浮かべる。
「ここからは、更にドラゴンゾンビの瘴気で充満している。油断してはいけない……瘴気は生きている者たちさえ精神を破壊し、グールへと変えてしまうんだ」
セシルの言った言葉に頷くと墓地へ足を踏み入れ、ドラゴンゾンビのいる最深部を目指す。

―冥界ヘルヘイム
女王デスの王座の間

「デス様、ご報告申し上げます。地下墓地にあの者たちが、進みました」
ホワイト色の髪に漆黒の鎧を身に纏った女性が、王座の前で膝まづいて言った。
デスと呼ばれた人物はその言葉に首を縦に振れば、女性が立ち上がって一礼をし謁見の間を出て行くと、口の端を吊り上げ笑うのだった。

五人は最下部を目指して墓地を進んでいる。
墓地というだけあって棺が幾つもあり蓋は閉じられているが、いつその蓋が開くかも分からない。
「棺が沢山……やっぱり王家の人たちが、眠ってるのかしら?不気味だわ……」
「怖いのか?」
隣にいるシエラの呟いた言葉に、カインは、シエラの方に顔を向けて問い掛ける。
「ち、違うわ!そんなじゃないわよ」
カインの問い掛けにシエラが首を激しく左右に振って否定の言葉を述べるが、表情は嘘をつけてはいなかった。
一方クロードはシエラの隣を歩きつつ、二人の会話に目を細める。
足を進めながらセシルの背中をじっと見つめていると、顔も見た事のない父親の姿が、思い浮かんだのだった。
奥へ歩みを進める度に体が次第に重くなっていくのを感じる、クロードは、ぽつりと呟いて問い掛けた。
「何だか体が重いような…そう感じるのは、僕だけ?」
「ううん、クロードだけじゃないわ…。私も少しずつ体が重くなっていくのを、感じてるから…」
クロードの問い掛けるような言葉にシエラは自分も同じだと返答をした。
「俺は全くそんなの感じない。それに、あの二人も俺と同じはずだ」
カインは二人の体が重くなるのを感じるという言葉に、自分と前の二人を指して述べた。
その言葉にシエラとクロードの二人は、セシルとニアを見れば、確かに二人もカインと同じで感じてないようである。
カインの言う通りだわ、セシルとニアさんも感じていないみたい……。何で私とクロードだけなのかしら……?
シエラは心の中で思ったが口には出さない。

その時――――
ガタン!
何かの落ちる音が後ろから聞こえ全員が振り向くと、棺の蓋が次々と地面に落ちて中から眠っている筈の死体が、起き上がってきたのだ。
「一体、何なの!?何で棺の中の人達が……!」
「きっと……瘴気によって眠っていた人達も、グールになってしまったんだと思うわ」
クロードの言葉に答えたのはニアだ。
棺から出てきたグールによって、シエラ達は囲まれてしまった。
シエラが呪文を唱え始めるも、間に合わないと思った、カインがグールに切りかかろうとした時―。
「ホーリージャッジメント!!」
誰かの声と共に辺りは、眩しい程の光に包まれシエラ達は目を閉じる。
少しして目を開くと今まで自分達を囲んでいたグールが、跡形もなく消えていたのだ。
「グールが…………消えた………?」
「いや、消えたのではない。私とニアが聖呪文を使ったんだ」
シエラの言葉にセシルは、隣に立っているニアに視線を向けた後、シエラを見ながら答えた。
「ニアさんとセシルさんは、聖呪文を使えるんですか?」
シエラはセシルの返答に聖魔法というのを聞いて、二人を交互に見て問い掛けると、セシルとニアは首を縦に振り頷く。
…そういえば、天空人は白魔法の使い手だって聞いた事があるわ。
「呑気に喋ってる場合じゃないみたい。まだ向こうから来てるよ!」
クロードが奥を指差しながら言えば、四人もそちらを見ると奥からグールが此方に向かって来ている。
「いいか、ドラゴンゾンビのいる最下部までは後少しだ。私とニアが前に進む道を切り開く、一気に最下部まで駆け抜けるぞ!」
セシルの言った言葉に四人は頷いて一斉に走り出す。
ニアとセシルが前線に立ち聖魔法でグールを倒して、前へ進む道を切り開き、五人は最下部を目指して走った。
最下部を目指すうちにグールの数は少なくなっていき、最下部に着く時には、あれほど沢山いたグールも全くいなくなっていたのだった。
「ここが最下部か」
「ああ、ここがドラゴンゾンビのいる最下部。この道を少し進むと、アーサー王の王父が眠っていたと思われる棺があるんだ」
カインの言葉ににセシルは、視線をカインから真っ直ぐ続いている道に、視線を向けて答えた。
眠っていたと思われる…?
まるで知っているかの様な言い方に三人は疑問を感じたが、今はそれ所ではないと、何も言わず黙っておく事にしたのだった。
「行きましょう。この聖王の剣でドラゴンゾンビを封印して......、縛りつけられている魂を解放しなくちゃ」
シエラがそう言えば、ニアとセシルが歩き出したのでシエラ達も後に続いて歩き出し、真っ直ぐ奥に続く薄暗い道を進んで行く。
奥に暫く進むと綺麗な模様が施された扉があり、ニアとセシルが扉の前で足を止めたので、後ろから来ていたシエラ、クロード、カインの三人も足を止めた。
「この扉の向こうがドラゴンゾンビのいる場所………。ドラゴンゾンビに聖王の剣以外の攻撃は一切効かないわ。準備はいい?」
「ええ」
ニアの問い掛けにシエラが答えると、セシルは扉に手を当てて押して開いていく。
扉が開くと其処には、王父の物と思われる棺の前に身体中、焼けただれたかの様な鱗の腐ったドラゴンゾンビがいる。
ドラゴンゾンビはシエラ達に気付くと、ギョロリとした目で此方を見て口から紫色の炎を吐いた。
「ホーリーシールド!」
紫色の炎が吐かれた瞬間、クロードがとっさに前に出て聖呪文の盾を発動させ防ぐ。
行くなら今しかないわ!!
聖呪文の盾が発動している今がチャンスだと考えたシエラは、抱える様に持っている、聖王の剣の柄を両手で握り構える。
しかし、ドラゴンゾンビの吐き出す瘴気を間近で受けているせいか、身体は思う様に動いてくれない。
「俺に貸せ!」
シエラを見ていたカインが、自分に聖王の剣を貸す様に言って、魔剣レヴァンティンを持っていない方の手を差し出す。
「ええ、分かったわ」
シエラはその言葉に頷いて、聖王の剣をカインに渡した。
その時、クロードが発動させていた聖なる盾が消えるとクロードは、力が入らず床に座り込んでしまった。
「クロード!!」
「…僕なら大丈夫だよ、それより…………」
ニアがクロードに駆け寄り背中に腕を回して身体を支える。
クロードは安心させる様に言いながら顔を上げた。
クロードの視線の先には、此方を見ているドラゴンゾンビ………。
ドラゴンゾンビは大きく口を開いて再び炎を吐いた。
セシルが即座に聖なる盾を発動させたが、炎はレヴァンティンによってかき消された。
再び炎が吐かれる前にカインは、ジャンプをして背中に乗れば聖王の剣を上からドラゴンゾンビに突き刺した。
ドラゴンゾンビに突き刺した瞬間、聖王の剣が輝きだして辺りは眩しい光に包み込まれる。
「っ………」
「眩しい………」
シエラが目を閉じ、クロードは目を手で覆い隠して光がおさまるのを待つ。
暫くしてクロードが目を覆い隠していた手を外すと、其処に今までいた、ドラゴンゾンビの姿は骨に変わり果てていた。
「皆……ドラゴンゾンビが!」
クロードの嬉しそうな声にシエラは、目を開いて見れば驚きに目を見開くも、みるみる内に表情は喜びに変わっていく。
カインは骨に変わり果てた、ドラゴンゾンビの背中から降りると、じっと、その骨を見つめる。
「ようやく、ドラゴンゾンビを封印する事が出来たな」
「ええ、本当に………長い年月だったわ」
セシルとニアの言葉に、三人が視線を向けると二人の身体は、淡い光りに包まれていた。
シエラとクロードの驚いている顔に二人は、微笑んで顔を見合わせてから、三人に向き直り経緯を話し始めた。
「私とセシルは、11年前のオーディン国が滅んだとされる日から、一ヶ月後にこの国に来たわ。大司教様からドラゴンゾンビを、封印したとされる聖王の剣が、何者かによって持ち出されたという話を聞いて………」
「そして、オーディン国に来てみると瘴気が充満していた……。大司教様の話は本当だという事が判明したので、私とニアは地下墓地に行き、ドラゴンゾンビを倒そうとしたのだ……。しかし、聖呪文でさえ全く歯が立たず……私とニアは、ドラゴンゾンビの吐き出した炎に焼かれ死んでしまった」
二人から聞かされた話しにクロードとシエラが言葉を失ってしまっていると、二人を包んでいた淡い光りは強い光りを放ち始め次第に身体は透けていく。
言葉を失っていたクロードは、11年前という内容に引っ掛かりを感じて不安そうに呟く。
「お父さん…?お母さん…?」
「クロード、私達の魔力を貴方に託すわ……」
「クロード、私とニアの魔力を受け取ってくれ」
セシルとニアがそう言うと、クロードの周りを優しい光りが包んで身体の奥から魔力が高まっていくのを感じ、新しい呪文の言葉が脳裏に駆け巡った。
それと同時に二人の身体は消え、光りを放つ魂となればオーディン国に縛り付けられていた、大勢の者達の魂が三人の居る場所に集まり出す。
「魂が………」
「この地に縛り付けられていた魂たちか……」
全ての魂が集まると光を放ちながら一つずつ天に向かって消えていく……それは、神秘的な光景。
『クロード、私とセシルは貴方を心から愛しているわ』
『クロード……私の息子……心から愛してるよ』
そして、最後まで残った二つの魂が消える瞬間、三人にはニアとセシルの言葉が確実に聞こえた。
「お父さん...!お母さん....!....わああああ!!!」
父と母の魂が消えると、クロードは、我慢していた涙が一気に溢れだすように泣き出した。
クロードの悲痛な泣き声が、墓地内に響き渡る。それは、いつも強がっているクロードではなく年相応の姿であり、シエラもそんなクロードの姿を見ていて涙が滲み出した。
頬から伝って流れ落ちた涙は床を濡らしていった。


「………これで、オーディン国に縛り付けられていた、全ての魂は解放されたわよね?」
シエラ達は魂が消えるのを見送ると、地下墓地から出てオーディン城の門前に来ていた。
シエラは隣にいるカインを見ながら、悲しそうな表情で問い掛けた。
「ああ、行くぞ。ったく……何で俺がこいつを背負わないといけないんだ」
「駄目よ、クロードは泣き疲れてるんだから。起こさないであげて」
カインは自分の背中で泣き疲れて静かに寝息をたてて眠る、クロードに対して悪態をつく。
カインの悪態にシエラが笑顔で言って歩き出すと、うんざりしつつもカインは後に続いて歩き出し、次の目的地を目指すのだった。

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