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月光為替のマーケットよもやま話

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第19回 時系列分析の基礎 その2

2017/08/13

さて、では時系列分析の基礎シリーズを、今回より始めていきたいと思う。


まず今回は、基礎知識として、いくつか用語の整理を行っていきたい。

そもそも時系列データとは何ぞや、ということなのだが、時系列データとは、「時間軸に沿って値を並べたデータ」のことである。例えば、為替のデータが110.01,110.03,110.04,110.08というように時刻t=1,2,3,4としてとれたとすると、この4つのデータは時系列データとなる。

言うまでもなく、金融市場で扱う全てのデータは、そのタイムフレームに差はあれど、時系列データである。


ここで、このような生の時系列データのことを、「原系列」と呼ぶ。

原系列データの特徴は、ばらつきが大きいことだ。株価のチャート等を見れば一目瞭然だが、リーマンショックだったり、ブレギジットだったり、ところどころ大きなボラティリティが見れる。

こういったボラティリティが大きいものは、その時点で定常性が失われてしまうので、非常に分析対象として扱いにくい。なので、よりマイルドとするために、対数変換をすることが多い。(一般的に、正規分布に振る舞いが近づくと言われている)

ブラックショールズ方程式でも、原系列で理論を作っていかず、対数系列で理論を作っていったのは、そのためだ。


さて、更に時系列分析では、「差分系列」「階差系列」という言葉も出てくる。これは、時系列において、1時点離れたデータとの差分の系列のことだ。つまり、データ水準そのものではなく、その変化率(リターン)などに重要性がある場合、このような階差系列を用いることが多い。当然ながら、対数階差系列が用いられることもある。



さて、このような時系列を扱っていく上で大切なことは、「得られた時系列データは、ある普遍母集団としての確率変数列から得られたある一つの実現値であり、その確率変数列の生成過程に関して何らかの性質や構造を仮定する」のが時系列分析の基本であるということだ。


これでは意味不明だと思うが、噛み砕いて言うと、今観測した時系列データというのは、無限に続いている母集団としての時系列において、一時点において観測できたその一部の集合でるということ。

そして、時系列分析では、その大きな母集団である確率変数列がどのように生成されていくのかという構造そのものを仮定しに行くということである。

ちなみに、母集団としての確率変数列のことを「確率過程」、その確率過程の構造を計量時系列分析では「時系列モデル」と表す。



さて、次に「定常過程」という基本用語の説明に移る。

これは共和分検定のときにも出てきた用語だが、時系列分析においては必ず登場するワードの一つだ。

簡単に言うと、「時間が経過しても、全体でみるとその時系列は変化しない性質を持つ過程のこと」を定常過程と呼ぶ。この、変化しない性質のことを定常性という。


さて、変化しない、と大雑把に書いたが、ここで何が不変なのかで、定常性というのは弱定常性と強定常性に分けられる。

弱定常性とは、過程の期待値と、自己共分散が時間を通じて一定であることであり、強定常性とは、同時分布が不変であることである。


まぁ、ここではとりあえず「期待値とか、分散とかがずっと変わらない過程が定常過程なんだぁ」程度の理解で良い。言うまでもなく、金融時系列は、その原系列は定常過程ではない。


そして、当然ながら分析対象としては、定常過程の方が扱いやすいことは言うまでもない。

ここで、金融時系列分析においては、先程出てきた階差系列の存在が重要になってくる。
階差をとることで、原系列からトレンドが除去される。やってみるといいが、ずーっと右肩上がりの株価も、毎日のリターンだけを並べたら、当然それはなんのトレンドも何もない、系列となる。

こうすることで、ある程度先程の、定常性を仮定することができる。(必ずしも階差系列が定常過程にならないことに注意)

なので、金融時系列分析では、基本的に階差系列を扱うことが多いのである。


さて、では最後に、「自己相関」という概念に移る。

メルマガでは数式を書けないので是非ググってほしいが、自己相関とは、簡単に言うと、「異なる時点間でその過程が何かしらの関係性を持っているかどうかを表す指標」のことである。

これが全くないと、単なるノイズということになってしまうので、自己相関を調べることがまず時系列データの性質を調べる上での第一歩だと言える。


それでは、基本用語の解説はこれで終了、次回はまず、基本分析として、ARモデル、MAモデルというものを扱っていく。


ちなみに、このシリーズは、かなり有名な時系列分析に関する書籍である、沖本竜義先生により書かれた、「経済・ファイナンスデータの計量時系列分析」という本に準拠している。笑


なので、より興味が出た読者は、この通称「沖本本」を手に取って、自分でプログラムを動かして行ってほしいと思う。


ということで、今週は終了。また次週をお楽しみに。




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