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月光為替のマーケットよもやま話

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第10回 ヘッジファンドマネージャーのリスク管理その2

2017/06/04

さて、前回リスクの概念的な話をしてきたが、今回は実際にファンドで行っているリスクの測り方というものを紹介していきたい。


基本的に、自分で測っている人もいれば製品を使って測っている人もいる。だが、まぁどういうリスクを測っているのか、そして中でどういう風に計算されているのかっていうのはどのようにリスクを測ろうが同じだ。

さて、ここでは簡単に、pというポジションを持っているとしよう。

基本的には一つのp毎にリスクを測っていく。そして、ポートフォリオ全体のリスクエクスポージャーを見たいのであれば、加重平均していくという流れになる。


なので、pのリスクの測り方さえ定義できれば、あとはそのまま応用していくことが出来るということになる。

では、pのリスクはどのように測るのか。

例えば、βリスクというものを取り上げよう。

これは、所謂マーケットの方向に対するリスクをどの程度取っているのかというリスクだ。
普通、為替でポジションを取っている場合、そのベンチマークに対するβリスクは、

βリスク = レバレッジ×(ポジションとベンチマークの相関係数)

で測ることが出来る。


ドル円をレバレッジ25倍で持つなら、βリスクは、25×1で25となる。

ここではベンチマークというものが為替では測りにくいので、原資産そのものをベンチマークとしている。これが株であれば、基本的にベンチマークが日経やTOPIXなので、そことの相関係数を取るということになる。


さて、他にはカントリーリスクを測るのであれば、そのポジションの持つ地域性をある法則に基づいて数値化していく。

通貨ペアなら単純に、その通貨が主に使われている国の重みを1にして、ポジション毎に足し合わせればいい。株なら少し複雑だが、まずその株式が上場しているマーケットの属している国と、その会社の売上や利益の地域セグメントごとのエクスポージャーに対して国ごとにウェイトを足し合わせ加重平均していくことで、どの地域のエクスポージャーが高いのか図ることができる。

地政学リスクなども、カントリーリスクと基本的な考え方は同じだし、セクターリスクも同じだ。

ファクターリスクというのは、あまり聞き慣れないと思うが、主に株式を持つ場合、例えば株式にはPERやPBRなど、さまざまなファクターといわれる指標がある。

例えば、PERの低い銘柄ばかりもっていないか、高い銘柄ばかりもっていないか、などを見ることで、そのファクターに対するポートフォリオの脆弱性を見ることが出来るというわけだ。


測り方としては、一つ一つのポジションのファクターの加重平均でもいいが、例えばマーケット全体で標準化(全体のファクターの平均と分散を算出し、全体のファクターを再度スコアリングする)して、その標準化したファクタースコアに対して加重平均をかけたりするのが一般的だ。


少しこの文章では伝わりずらいかもしれないが、こういった計算をポートフォリオ全体に行うことによって、自分のポートフォリオのリスクを視える化し、日々トレーディング業務にあたっているというわけだ。



リスクをちゃんと測っているのと測っていないのとでは、結局パフォーマンスに差が出てくることは否めない。

例えば、優良割安株だけを持ったポートフォリオを自分が保持していたとしよう。
この場合、多分PBRやPERなどのファクターエクスポージャーは、かなり小さいものとなる。(つまりかなりPBRやPERが低いものばかり扱うということ)

となると、PBRやPERが効く相場ではかなり儲かるが、逆をいかれるときついという結果になる。

さて、実はPBRやPERは歴史的にずっと効いているのだが、昨今”最少分散ETF"というものの存在により、それがだんだんと変わってきている。

最少分散とは、簡単に言えば、リスクをあまりとらず、つまりボラティリティが低く、シクリカルではない(季節性や、景気に敏感ではない)株でできたスマートβで、リスクは取りたくないけどカネが余っているという時に、資金逃避先として昨今かなり使われてきた。


で、最少分散の特徴として、PERやPBRが高く、βが低いという特徴がある。
なので、これが人気化するにつれ、PBRやPERが中長期にわたって効かなくなるという事態が頻発し始めた。


こういう背景と、自分のポートフォリオのリスクエクスポージャーを理解していれば、ある程度対応はできただろう。だが、自分のリスクがどうなっているのかすら理解していなければ、何も顧客に説明できることなく、ただ”マーケットがおかしい”という言葉を発するのみになっていたかもしれない。



リターンを直接生むというよりは、不測の事態や、マーケットの変化に自分たちが対応できるよう、リスクは測っていると考えてもらっていいだろう。



さて、少しこの2回は内容が重かったかもしれない。次回はなるべくもう少し、分かりやすい話題を選ぼうと思う。

では、また次週もお楽しみに。




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創刊日:2017-03-09  
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