「措置入院」精神病棟の日々(60)

2017/09/06

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「措置入院」精神病棟の日々(60)
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“シーチン”修一 2.0

家事とか仕事、あるいは作業療法と言うべきか、相変わらず忙しかった。

小生はいろいろな仕事(バイトを除く)をしてきたが、単純なのか性格なのか、仕事に没頭するタイプで、千葉刑務所でのお勤めを終えた(保釈)20歳から就いた仕事は皆好きだし、肥やしになった。

建築金物店の販売・配達(同僚の詩人・吉田修との出会いで世界観が変わるきっかけにもなった)、その縁で鳶(給料が良く学資を貯められ専門学校で学べた。その経験から建築士を目指したが、「専門学校案内」(自由国民社)を立ち読みしていたら急遽、編集者になりたくなった。運命的だった)、その後に編集、やがて編集プロダクション創業、会社清算後はタバコ販社の営業・配達の仕事をした。

いずれも仕事を覚えたり、いろいろな人生を観察できるなどなど、面白かったし、夢中になったもので、確かに苦労や苦痛もあったけれど、やりがいもあり、結構、趣味的に楽しめた。創意工夫は楽しいし、苦難を乗り越えての達成感は格別だった。

料理もそうで、料理屋で酒を飲んでいても板場の様子をじっくり観察し、それを真似ていくうちに大体の料理は作れるようになった。先日はスーパーのレジの女性が立ったまま服をたたんでいるのを見て感動し、「なんと器用なことか、俺もやりたい」と今は練習している。「餃子の王将」の職人は片手で餃子を作れると聞いたので、その練習もしてみたが、これはできなかった。ひだが作れなかった。

和洋中華、「主夫、クッキングパパとしては大したもの」というレベルだろう。先日はKが“つぶつぶマスタードソース”のビンを手に「これ使って」と言う。「使わないのなら買わなきゃいいのに」と難じると、「だって食べたかったんだもん」。絶句するしかない。

で、鶏のもも肉をそぎ切りにし、酒以外の調味料なしでマスタードソースに漬けこんだのを焼いてみたら大好評。辛みが飛んで孫にもOKだろう。ヂイヂのメニューがまた一つ増えた。

昔、シロガネーゼの若奥さんから「代々木のプールでデートしましょう」と誘われ、押入れの奥から小さな水泳パンツを探し出して同行したが、50メートルプールで小生は1往復してゼーゼー、クタクタ。

彼女は水泳部出身で、水着姿はもろキン肉マン。服を着ている時は顔と手足しか見えないからスタイルがいいなあ、サレンダーだなあ、と思っていたからびっくり仰天。すごい体格で、まさしくスイマー、とてもじゃないが歯が立たないし、小生の不埒な欲望も一挙に萎えた。

もっとも彼女の旦那は社会人ラグビーの選手だというから、そんな体格でも全然気にしないのだろう、2人で200キロ、閨房(けいぼう)はリングの如しか。

彼女は飽きもせずに何往復もしてから、ようやく上がってきてタオルで髪を拭きながら「ああ、久し振りに“スイマーズハイ”を楽しんだわ」。

<競技ではなく健康のための水泳なので、ゆっくり長く泳ぐようにします。私はもっぱらクロールですが、20分ほど泳いでいると何とも言えない、いい気分になってきます。これがいわゆるスイマーズハイです。有酸素運動のランナーズハイと同じですが、水が肌を伝う感覚が格別で、水圧がかかるのも体にいいようです>(ジャーナリスト・高嶋久)

スイマーズハイのように小生は仕事が過酷であっても“ハイ”になって楽しめる。やはり達成感が何とも言えずにいい。

仕事中はいろいろなことを考える。「昨日ヒーロー、今日ヒール」「昨日トップ、今日ボトム」「昨日スター、今日ベガ―」「昨日天国、今日地獄」とか他愛のないダジャレも思いついたりする。

産経新聞は8/24号から9/6号まで13日分がツンドクになっている。1面トップの見出しは見ているが、9/2の「中国軍中枢 4人拘束・更迭 習氏大なた 軍にも恐怖政治」は面白そうだから今朝読んでいるが、その4人は胡錦濤派(共青団派=団派)らしい。最強の瀋陽管区(現在の北部軍区)は上海閥(江沢民派)で、北を支援してミサイル発射を繰り返させ習近平の国際的立場を貶めている。

記事によると団派は海軍を握っている。ちょっと前は習近平派(太子党)は団派と組んで上海閥を攻撃し、今回は団派を攻撃したわけだ。何しろ三つ巴の権力闘争で、昨日の敵は今日の友、昨日の友は今日の敵のような「孫子の兵法」のままに水面下で戦争をしているのだからまるで乱麻。10月の党大会で次期トップクラスの人事が決まるまでは暗闘が続くに違いない。

上海閥は北を使って習近平を叩き(瀋陽管区が自分のために発射実験を北にさせているのではないか)、団派はシナ海で暴れて習近平を叩く。習近平はアンタッチャブルの上海閥と団派の軍を叩く。

習近平と派閥が異なるとはいえ軍と敵対して権力を維持できるものかどうか・・・国民の血を流さない戦争である選挙がないと血だらけ、恨みだらけの権力闘争というガラガラポンになる。

“聖域”(にしておいたほうがいいはず)の軍にまで手を突っ込んだ習近平は、暗殺や反乱のリスクを招いているように見える。「昨日元首、今日斬首」になるのではないか。

クレイジー“ハイ”、発狂亭雀庵の病棟日記から。

【2016/12/16】*10:00〜11:15、作業療法でラヂオ体操、柔軟運動、ゲームなど。昨日より気分は改善したが、元気とは言えない。

小生の関心は半径1.5万キロで、大西洋、北極、南極以外の地域の動きを知りたいと思っている。アフリカについては、「中共製雑貨の安物攻勢で軽工業の発展さえも覚束ない」くらいしか知らない。マスコミもテロやクーデター、内戦、疫病といったニュースばかりのようだ。

大多数の日本人の関心は半径100メートルで、病棟の患者たちを見ていると、天気、食事、テレビ、事件、事故、女性の場合はオシャベリ=サエズリ、ファッションが加わるくらいで、天下国家のことなどまったく関心がないようだ。

ホールで日記を書いていたら66歳の“令夫人”が「何を書いているの?」と尋ねるので、読んで聞かせたら「グローバリゼーションってなーに?」。これが現実だ。

【12/17】*ベランダで日向ぼっこをしながら“シャベリヤ”が3人相手にサエズリまくっている。眠っているor 個室にいるとき以外の15時間は「オールデイニッポン」古舘一郎みたいにしゃべっている。その理由、原因らしきものが分かった。

彼女は農村に住んでおり、近所におしゃべりの相手がまったくいないそうだ。おしゃべりは彼女の趣味、快感、生き甲斐で、これができないとストレスが溜まり、発狂するのだろう。病院の常連のようだ。

AIを使ったオシャベリ相手ロボ「AITE」はどうか。最新の天気、エンタメ、ファッション、事件、事故などの話題をネットで集めて、「今日の天気は?」と聞くと、「東京、横浜は快晴だよ。神代植物園でも散歩したら? 今、ベゴニア展をやっているし、帰りには先日オープンしたばかりの調布のレストラン“フィレンツェ”でパスタなんてどう? 評判いいみたい」とか答える。

おしゃべり相手がなくて寂しいというひとには大いに受けるだろう。

そう言えばちょっと前に米国では「SEXロボットが進化し、結婚しない男が増えるのではないか」と物議をかもしていた。

昔は「ダッチワイフ」と言われていたものだが、知人は「ラブドール」というのを作っており(今は知らない)、世界最先端を行っているのではないか。モノがモノだけに大っぴらには宣伝できないが、同好の士が結構いるらしく、社内で新作発表会をするときは客が恥ずかしがらないように女子社員は全員早退させるそうだ。女子社員も「キモスギ」とさっさと帰っていくという。(つづく)2017/9/6









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創刊日:2017-02-04  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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