「措置入院」精神病棟の日々(38)

2017/05/13

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「措置入院」精神病棟の日々(38)
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“シーチン”修一 2.0

大学時代からの友人“Sam”は、小生が緊急措置入院で音信不通になると心配してわが家まで足を運んでくれた。He is a good guy.ありがたいことだ。

Samは懐メロのGSやロックなどのレコードコレクターでもあり、2年ほど前だろうか、神奈川新聞でも紹介されていた。愛着があれば古いものでも大切にする嗜好、傾向があり、一時期はクラシックな乗用車やオートバイを楽しそうに運転していたが、維持費がとてもかさむので(多分奥様のコンプレインもあって)、この趣味というか道楽は諦めたようだ。

男は諦観、断念の人生、女は幾つになっても18歳、夢見る乙女は少年のままの男のロマンなんて忖度しないだろうな。

そのSamからメールが届いた。要約すると――

<毎号愛読していますが「頂門の一針」2017/5/8の記事は大いに疑問です。

そもそもテレビというメディアは、好むと好まざるにかかわらず、通信インフラでほとんどライフラインです。革命家はまずここを占拠しますよね。世捨て人ならいざ知らず、頂門の一針たらんとし「中共殲滅」を志す人は、逃げないでください。
 
「一億総白痴化」(大宅壮一)というのも当時の番組コンテンツのくだらなさを指したもので、必ずしもテレビという媒体を否定したわけではなかったですか?

「読書派とテレビ派」というのも無理筋、酒派と飯派みたいな分け方でしょう。両方たしなむのが当たり前ではないかしら。

映像というものの重要さは、元ジャーナリストの方は十分ご存じではないですか?だからチャイナは人民に視聴の自由を与えないわけでしょう。

テレビというメディアが有効とされるからこそ、教育番組や放送大学があるのでは?

活字媒体だけでどうやって、例えば古典芸能、例えば新車情報を表しますか?

ただ放送の最大の欠点は、我々の都合に関係なく(試験期間であれ夕餉の団欒時であれ)、一方的に番組が送られて来ることで、このことを指して山本夏彦は「切れ」といったのだと思う。しかし当時と違って今は録画機械が普及し、テレビの見方が変わってきたという話は知りませんか?

例えば西部邁ゼミナールでも一度騙されたと思って、見てみてください。そのうえでコンテンツ論をお願いします。確かに大半の番組は中2以下レベルですが、そればかりではないはずです(人間には「人には言えない話」が必要と個人的に考えますが、それは措いといて)。

中共殲滅をテーマにした映像を作りユーチューブに流すなんて、どうですか?川崎のゲッペルス、期待しています。

くどいようですが、論ずべきは器のあり方というよりも、その器の料理だと思いますが、いかがでしょう>(以上)

ゲッペルスって、確かナチスの宣伝担当相だったが、小生は蟷螂の斧、しがない瓦版屋、ゲ(ッペル)ス記者に過ぎない。

テレビは1960年前後から急速に世界に普及していったが、テレポリティク/telepoliticsは「テレビを意識した政治活動」で、それを活用してのし上がったのがJFK=ケネディだった(小生にとって彼はインチキ淫乱ゲス野郎でイルカ大使の親父に過ぎないが)。「1994年版 時代感覚用語」から。

<テレポリティックス :「テレビ政治」「メディア選挙」。テレビというマスメディアが政治のあり様に大きなインパクトを与えるようになった最初の予兆は、1960年に行われた「ニクソン対ケネディ」のアメリカ大統領選挙であった。

2期8年間も副大統領をつとめたリチャード・M・ニクソン (共和党) と、当時ほとんど無名だった若き上院議員ジョン・F・ケネディ (民主党) の一騎打ちだから、みんな「ニクソンの楽勝」と思い込んでいた。

しかし(テレビで生中継された)“大討論”の際、ニクソンはテレビカメラの前にほとんど化粧っ気のないペイル・フェース (青白い顔) をさらけ出してしまったため、メディア利用のうまいケネディにまんまとやられてしまった>

今はネットも利用した「E・テレポリティクス」になっているようだ。

Samは「テレビというメディアではなく、その内容=料理=コンテンツこそが問われるべきだ」と言っているのだが・・・その通りだが、昔から「まじめな話は暗くなる」からジャンクフードのようなゲス番組がほとんどなのではないか。

ビデオリサーチ2017年4月24日(月) 〜 4月30日(日) によると、視聴率トップ10入りしたNHKEテレは「アニメ」部門で9位「アニメおさるのジョージ」4/29(土) 3.5%、10位「アニメひつじのショーン」同3.1%だけだった。

放送大学はネットなどでも見ることができるが、視聴率は1%あるのかどうか。「現在は放送大学本部に収録スタジオを保有していることからNHK、テレビ朝日(修一:両者とも偏向報道で有名)との関係はなくなったもののNHKの子会社で教育テレビの番組制作を手掛けるNHKエデュケーショナルが番組制作協力にあたっている」(ウィキ)そうだ。

悪貨は良貨を駆逐する、真面目な番組を創ったところで視聴率は稼げない。書籍も同様で、今や「売れる本」が良書になった。

ところで西部邁。ブント系全学連の中央執行委員として60年安保に参加したそうだが、逮捕歴ゼロって・・・まるでカンカラ菅直人、中核派ながらおめおめと白ヘルを捨てた猪瀬直樹と一緒で、「アジは上手いが逃げるのも上手い」(佐々淳行氏)? 西部は今はテレビでメシを食っているようだが、総合視聴率は「おさる」や「ひつじ」をはるかに下回っているだろう。

イギリス生まれのジャーナリスト、コリン・ジョイス氏(ニューズウィーク元東京支局長)によると、英国では今でも厳然とした階級があり、小生思うにそれは知的階級(頭脳労働、大卒以上、セレブ、読書派、保守党支持、有事にあっては将校)と労働階級(肉体労働、高卒止まり、庶民、テレビ派、労働党支持、有事にあっては兵士)で、氏は仕事柄、労働階級の知人友人と交流するのだが、知的階級からはほとんど変人のように思われていると書いていた。

つまり2大階級は口さえ利かないのだ。分家の米国も似たようなものではないか。

Samは「一億総白痴化というのも当時の番組コンテンツのくだらなさを指したもの」というが、大宅はこう書いている。

<テレビに至っては、紙芝居同様、否、紙芝居以下の白痴組が毎日ずらりと列んでいる。ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって、『一億白痴化運動』が展開されていると言って好い(「週刊東京」1957/2/2)>

それから60年経っても白痴番組が主流なのではないか。5/12/金のゴールデンタイム(19〜22時)の番組は――

NHK:1300年前の飛鳥美人像に秘められた暗号、NHKEテレ:年を取るほど美しく 辛口娘ブログで大変身、日テレ:テレビに一瞬映った美女は誰?、テレ朝:話題のアニメ映画SING、TBS:梅沢富美男 バレた浮気80回、テレ東:釣りバカ日誌2、フジ:さよなら!おばさんデカ

60年前が「くだらない番組」なら今は「思いっきりくだらないゲス番組」の全面開花ではないのか。

読書階級(高2レベル以上)2割、テレビ階級(中2レベル以下)8割。1票は1票だから為政者は8割の方に顔を向ける、昔から。

1934年、ヒトラーがどん底、絶望、自殺願望を繰り返しながら首相に這い上がり、「最後の自由な選挙」を前にしたゲッペルスはほとんど躁状態だった。2/3の日記にこう書いた(「第三帝国の興亡」)。

「今度は戦いを進めるのがやさしいだろう。我々は国家資源のすべてを投入できる。ラジオも新聞も我々の自由になる。我々は宣伝の傑作を上演するだろう。今度は無論、金に困ることはない」

所詮マスコミ、民衆はそんなもの・・・ナチスが政権を握る100年前にゲーテはこう書いている、「私は、個人としてあれほど尊敬に値するのに、全体としてはあれほど浅ましいドイツ民族のことを考え、しばし悲痛な思いをする」(同)。

「もっと正気を」か。

正気で冷徹なリアリストのマキャベリ曰く――

<「民衆ほど軽薄で首尾一貫とは程遠いものはない」とはリヴィウスの評価ではあるが、他の多くの歴史家もこれと同じことを書いている。「卑屈な奴隷か、さもなければ傲慢な主人か、これが民衆の本質である」とも。

(非難覚悟で)あえて弁護するが、歴史家たちが民衆の欠点として糾弾するこの性格は、実は人間全体、その中でも特に指導者たちに向けられるべきものだと言いたい。

なぜなら、法に反する行為をする者は誰であれ、秩序なき民衆と同じ誤りを犯すものだからである。

後先のことを考えないで暴走するという民衆の性格は、指導者のそれよりも罪が深いわけではない。両者いずれとも、思慮に欠ける人ならば誰でもこの誤りは同じように犯しているのだ。(修一:まるで小生そっくり)

それ故に、この場合での理にかなった議論としては、階級で分けずに、人間全体に共通する欠点への糾弾という形でなされるべきだと思う。

「民の声は神の声」と言われるのも、まんざら理由のないことではない。何しろ世論というものは不可思議なる力を発揮して、未来の予測までしてしまうことがある。

また判断力ということでも、民衆のそれは意外に正確だ。二つの対立する意見を並べて提供してやりさえすれば、世論はほとんどの場合、正しい方に味方する>

まあSamの意見には八分の道理、小生の意見もそんなものだろう。ただ、マスコミは「二つの対立する意見を並べて提供」なんてまずしない。まともな新聞は産経、読売、日経くらいで、シェアは20%、多くはフェイク新聞、フェイクテレビではないのかと・・・

久し振りに興奮して記事が長くなったので、精神病棟における発狂老人の心理検査は次回に。(つづく)2017/5/13



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創刊日:2017-02-04  
最終発行日:  
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