「措置入院」精神病棟の日々(31)

2017/04/28

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「措置入院」精神病棟の日々(31)
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“シーチン”修一 2.0

哲学とは何か。諸説あるだろうが、畢竟「人間とは何か、生きる意味は何か、いかに生きるべきか、いかに死ぬか」を探る学問だと思う。この問題の「解」があってもいいし、なくてもいい、「探る行為自体に価値がある」と小生は思っているが、小生は「生きることは、大義に殉じるための手段であり、生きること自体は目的ではない」と、老境を迎えた5年ほど前に自分なりの結論にはたどり着いた。

それでどうなのか、というと、それは別に新説ではないし、新渡戸稲造の「武士道」や佐賀藩の「葉隠」の亜流なのかもしれない。結論自体が、ごく個人的なもので、「そうすべきだ」などとは言う気さえない。己が納得すればいいのであり、一定の結論(のようなもの)にたどり着くまであちこちを逍遥するから、その逍遥、探索が哲学であり、意味があるのだと思う。

山本夏彦翁は「人は2種類に分類することもできる、たとえば『捕まる人』と『捕まえる人』とか。私はもちろん前者だが」と書いていたが、小生も記憶しているだけで4回捕まっているからまごうことなく前者だ。(交通違反、拾得物横領も犯罪だからほとんどの人は犯罪者で、運が悪い(?)ごく一部が捕まって下獄するだけという見方もある)

精神病は誰でもなり得る病気だから、患者は世間の縮図だ。精神病棟の患者40人を3か月間観察して、以下のような感想を持った。

人間を2種類に分類するとなれば、次のようにも分けられるかもしれない。

享楽派 VS 学習派
流行派 VS 個性派
右脳派 VS 左脳派
感情派 VS 理論派
散財派 VS 倹約派
映像派 VS 文字派
饒舌派 VS 寡黙派
受動派 VS 能動派
フォロワー/追従派 VS リーダー/牽引派

人間を社会的有用性から評価すると、上、並、不可の3種類に分類できるかもしれない。

上:シェア20%。“できる奴”だ。同期や先輩を追い越して出世するような人。(国際線旅客機のビジネスクラスは全席の30%で、“できる奴”と金や地位のある人がこのクラスを利用しているのだろう。「上」が20%というのは実態に近いのではないか)

その「上」を凌駕する特上は千人、万人に1人いるかどうかで、数字には表れないだろうが、いることはいる。ゲイツとかジョブズのような人だ。

並:40%。社会/組織が期待する能力がそこそこあり、合格ラインはクリアする仕事をするが、何年勤めていても大手企業なら課長にはなれないタイプ。「仕事はできて当たり前」の世界であり、抜きんでるためには「口八丁、手八丁」というスネ夫のような狡猾さや、匠のような技量、あるいは創意工夫/チャレンジ精神/イノベーションといった「プラスαの能力」が必要なのだが、「並」はそれに欠ける。

不可:40%。この層は監督と支援が必要な“できない坊主”30%、箸にも棒にもかからない“足を引っ張るお邪魔虫”10%の合計だ。

上記の2種類分類で、「上」は右側の人々、「並、不可」は左側の人々が多いと思ってまず間違いはないだろう。「上、並」で合わせて60%と過半数を超えている国はまず安泰で、G7の先進国しかないのではないか。

知識と思考力という知的レベルでは、「上」は高2レベル以上、それ以外の「並、不可」、すなわち全人口の80%は中2レベル以下である。NHK放送文化研究所によると、テレビ番組は中2でも分かる内容にしているそうだから、彼らはテレビをよく見るし、「並」なら新聞も読んでいるかもしれない。つまり「並、不可」の人々はCMや広告をよく見てくれる層であり、消費欲も旺盛だろう。

「並、不可」の人々をどう呼ぶべきか。大衆とか庶民、普通の市民、国民、生活者とかになるのか。ここでは善男善女と呼ぼう。

善男善女は基本的に身近な事柄にしか関心はない。あれを買いたい、これを食べたい、あそこへ行きたい、とかで、間違っても「人間とは何か、どう生きるべきか、どうすれば理想的な社会を実現できるのか」などはまず考えてみたこともないだろう。それがいいことなのかどうかは知らないが、「上」には絶対になれないだろうとは言えるのではないか。

ま、「上」になったところで「禍福は糾(あざな)える縄の如し」で、いいことばかりではないし、絶叫マシンとか地獄のような日々もあるし・・・面白おかしく暮らしたいのなら「並、不可」でいいというのも賢い選択だが、知的興奮が大好きな小生にはまったく向かないだろう。

知的興奮があまりない病棟日記から。

【2016/11/28】*今朝の産経は、人間魚雷特攻隊員で奄美に待機していた島尾敏雄と奄美生まれの妻との葛藤を描いた作品、梯(かけはし)久美子著「狂うひと」島尾ミホの評伝」を紹介していた。ずいぶんおどろおどろしい夫婦関係で、夫の愛人も登場するというオマケ付き。

島尾の作品は「出発は遂に訪れず」と「島へ」くらいしか読んでいないが、戦後に奄美の図書館長にもなった人でもあり、それなりの人格者と思っていたが、「実は・・・」という話。

女王様「春琴」に対する下僕「佐吉」ということで島尾夫妻は折り合いをつけたようだが、小生もそんな風になりそうだ。

いずれにせよ、物事、出来事の真実はなかなか見えないものだ。蛇足ながら島尾敏雄の名を知っている島民はせいぜい10%ほどの読書階級であり、全国的にもそんなものだろう。

*10:00〜11:15、作業療法でクワガタを完成させ、木製のオートバイ組み立て開始。100ピース以上あり、かなり難しそうだ。週1回だから4週はかかるのではないか。

*3Fの38歳の女性“パニック”がようやく2Fへ移ってきたので挨拶。ずいぶん顔色が良くなっていた。「(3Fで小生に話しかけてきた)あの頃は薬の副作用で一番苦しかった」とのこと。3Fには“バスケ”などの顔見知りもいるから上手く過ごせるだろう。

*13:15、カミサン来、スニーカー風の靴、おやつ、ノート、ボールペンなどを差し入れてくれた。ありがたい。長女の5歳男児と3歳女児の七五三は、26日(土)に筑波山の五合目あたりにある江戸屋で祝い膳、翌27日はその近くの立派な筑波神社で感謝と成長祈願をしたそうで、スマホでその模様を見せてくれた。

*15:00、Dr.面談。入院当初は小生の体は急性肝炎の一歩手前だったが、予想以上に早く回復しているとのこと。11/25に書いた「自省録」に目を通してもらったが、「まず奥さんに謝ること。それをしないと自省録を見せたところで反発するだけだ」と諭された。Dr.はカミサンとも面談するという。

小生の治療は「3か月コース」確定で、退院は早くて1月末か。

*15:15、両親が迎えに来て“ボス”が退院。女性4人と小生が「お大事に」「お元気で」と見送ったが、数日後には他の病院へ行くのだろう。“転院人生”・・・残酷なものである。小生は“ボス”の席を占拠した。(つづく)2017/4/28






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創刊日:2017-02-04  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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