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「措置入院」精神病棟の日々(29)

2017/04/24

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「措置入院」精神病棟の日々(29)
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“シーチン”修一 2.0

精神科医/精神鑑定医は容疑者や被告の精神鑑定を行うことがある。小生は「医師は対象者との数回の面談や犯罪歴、カルテなどの既存資料で診断書を作るのか」と思っていたが、どんな生い立ちだったのか、どんな生活環境だったのか、親、兄弟姉妹、親族はどのような人々なのかなどなど、現地へ行って取材もしていると知って、小生はびっくりした。

「すごいものだ、デスクワークだけじゃないんだ、フィールドワークもしているんだ」

と感動し、敬意を覚えた。福島章著「犯罪心理学入門」から。

<「深川の通り魔事件」(1981/6/17、殺害4人、傷害2人、人質1人)の鑑定を引き受けた時に、私はすぐに、以前の「Q遊園地人質事件」を思い起こさなければならないはずであった。しかしながら不思議なことに“ある瞬間”まで、まったく思い出しもしなかったのである。

思い出したのは、深川の事件で(犯人の)川俣軍司の家族に会いに行くべく、車でI県のある小さな町を通り過ぎた時のことである。東京から2時間余り・・・ところどころに農家が点在し、ほぼ一直線の街道と交差する小さな道は、たいてい曲がりくねっていて、両側が夏草に覆われている。

車の窓の外に、ある四つ路を見た時、私はふと「これは前にも見たことのある景色だ」と思った。しかし、平凡な、それこそどこにでもありそうな田舎の風景なので、精神医学的に言えば「既視(デジャブ―)」体験、常識的に言えば偶然の一致でもあろうかと初めは思った。

しかし、道標を見、その土地の名前を知るに及んで、一挙に記憶がよみがえってきた。

10年近く前、私はその道を確かに歩いていたのである。今、車で通り過ぎたこの新しい国道を斜めに横切って、その道の奥へ、「Q遊園地人質事件」の犯人S(21歳)の祖母に会うために歩いて行ったことがある・・・

日常的で平凡な人々の小路が続く、その屈折の先に、突如として非日常的な決意や行動が思いもかけず現れてくる。見慣れた小道や枝道の先に、突然恐ろしい深淵が口を開けている。それが「犯罪」という名の出来事である。

そしてその「犯罪」が、不思議なことに彼(犯人)を、いつかどこかで会ったような平凡な人々ではない、まぎれもなく独自性を持った一個の人間として刻印する>

早川ミステリーよりドキドキするのは、発狂老人の小生がいつ犯人になるか分からないという恐怖心を抱えているためだけではなく、人間は十字路、Y字路、T字路、小道、枝道をほんのちょっと外れただけで「恐ろしい深淵」に落ち込むというのが冷厳な事実だからである。

がん、糖尿病、心臓疾患・・・善人だろうが悪人だろうが誰でも病気になる、そして大なり小なり同情される。ところが発狂、ましてやそれゆえの犯罪はほとんどが憎まれる、「許せない!」と。

キチ○イの小生は、やったことは反省し謝るが、「Who let me go mad?」という思いはある。「干渉しないで(俺は俺、君は君)、話しかけないで(言った言わないの争いの元)、必要なことはメモして(証拠になる)、とにかくLeave me alone!」と10年も前から言っている小生に対して、寄ってたかって小生を干渉し、狂気を育んだのは誰なのか。彼らは誰も反省していない。

城山三郎の「素直な戦士たち」そっくりの知人家族を見た。一緒にハイキングに行ったこともあるお嬢さんが中1で発狂してしまった。教育熱心な母親がせっせと「恐ろしい深淵」を掘っていたのだ。

「キチ○イにも三分の理」かもしれないが、図らずもキチ○イになったのだからキチ○イの思いを代弁するにはいい機会だろう。小生のようなキチ○イはレアのケースで、凡作、愚作だろうが、目を通していただければありがたい、ヤル気も出るでよ・・・お馴染み病棟日記から。

【2016/11/26】児童書の有力版元には岩波(日共系)、福音館(キリスト教系)、未來社(リベラル系、創業者の西谷能雄氏は小生の先生)などがある。

児童書を読んでいて気になるのは、権力、為政者、王侯、貴族、役人、地主、豪商、富商など支配階級(今でいうセレブ、メインストリーム、狡猾?な人)は「悪」、被支配階級(まあ普通の人、庶民)とかは「搾取され、虐げられている可哀そうな善人、正直者、弱者」という、ステレオタイプの表現が目立つことだ。

斎藤隆介著「職人衆昔ばなし」(文藝春秋)は小生の愛読書で、明治生まれの職人の心意気に大いに啓発されたものだが、実は彼は児童文学作家で、ウィキによると短編童話集『ベロ出しチョンマ』で1968年に第17回小学館文学賞を受賞している。

斎藤が日共党員だったことは山本夏彦翁から学んだが、どうも児童書は「悪の支配階級を倒し、庶民に善政をもたらす革命万歳!」というイデオロギーが底流にありそうだ。国旗、国歌を嫌悪、拒否する日教組はまだ生き残っているし、彼らが「革命礼賛」図書を推奨しているのではないか。

「歴史は勝者が創る」、これは概ね真実だろうが、歴史解釈は多彩であり、信長にしろ家康にしろ秀吉にしろ、人物像や政策評価が定まっているわけではない。人々がそれなりに歴史の真実を探ることができる日本人は幸せである。

真実はなかなか公表されない。日米開戦にかかわる米極秘公文書は最低100年は公表されないし、多分、よほどの政治変革がなければ永遠に秘匿されるだろう。たとえ公表されたとしても、納得せずに受け入れない人は多いものだ。

サメは人間に恐れられているが、サメに殺される人間は世界合計で年間10人前後(シドニー水族館)、せいぜい700キログラムだ。一方で、人間に食われるサメは2003年に90万トン(20万尾ほどか)に達した(のちは減少傾向)。日本では昔からサメ漁が盛んで、蒲鉾やハンペンなどの魚肉練り製品の材料として有名だし、所によっては刺身でも食べられているとか。サメこそが人間を恐れている。

ついでに書けば、原子力発電稼働から60年ほどだが、被曝による死者は世界累計で60人ほど、つまり年間1人前後しかいない。また、移動距離を基準にした統計では、航空機は最も安全な乗り物だとIATA(国際航空運送協会=民間レベル)、ICAO(国際民間航空機関=政府レベル)は公表している。

原発反対を唱える組織は宗教のようなもので、彼らは日本の交通事故死傷者が年間80万人(24時間以内の死者だけで4000人。それ以後の死者も含めれば1万人ほどになるのではないか。警察は死傷者を減らせと上から指導されているから、現場では「とにかく24時間は延命させろ」となっているのではないか)で、こういう事実を彼らがまったくスルーなのはほとんど狂気だ。

真実は人を驚かす。

・“バスケ”の首の右にハート形のピンクの刺青があった。髪を垂らしているときは分からなかったが、ポニーテールにしたので発見した。そこが性感帯か。?バスケ”は札付きの不良少女だったのかもしれない。「職人衆昔ばなし」では一人前の職人は皆刺青をしていたそうだが、今の日本では一般的に刺青=ゴロツキと見られている。“バスケ”の両親は嘆いたことだろう。

・小生より一つ下の看護助手のオッサンが夜勤明けで「疲れた、シンドイ」を繰り返している割には日に焼けて元気そうだ。「何かスポーツをやっているの?」と聞けば「ゴルフ。この辺はゴルフ場だらけだからね」。

小生「ボクのグリーンデビューは大秦野CCで、崖の上から打つホールもあったよ」

オッサン「フラットのコースは面白味がないし、でもアップダウンが激しすぎると疲れちゃうから、適度なアップダウンのコースがいい。それなら27ホール回れるしね」

オッサンはゴルフ場建設の際に土地を売るか提供して永久会員権をGETしたのではないか。病院のあたりは土地だけはうんざりするほどある。“緑の料亭”に庶民も通うのだから、日本はまったくいい国だ。ゴルフはもはや米国並みに庶民のスポーツになったようだ。

・ビートルズ大好きの“ポール”が転院した。重度の統失のFさんは荷物とともに消えたが、3Fの隔離病棟に戻されたか、90日を過ぎたので転院させられたのか。Gone with the bagageだな。

・フロアを歩きまくっているのは小生と、同室の“マジメ”だ。「競歩で競争しよう」ともちかけたら、「実はリハビリ中なんです。入院前は前のめりにチョコチョコとしか歩けなくて・・・早く治して工場に戻りたい・・・」。

思わず「頑張ってね」と言ってしまったが、これは精神病患者には禁句だった。頑張り過ぎて病気になった人が少なくないからだ。小生も頑張って飲んだから・・・「まあボチボチ、マイペースでね」と言うべきだったな。(つづく)2017/4/24






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創刊日:2017-02-04  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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