「措置入院」精神病棟の日々(9)

2017/03/01

「措置入院」精神病棟の日々(9)
“シーチン”修一 2.0

ベッドへの全身拘束のみならず、検査室への移動も徒歩禁止、車椅子に縛られ身動きできないという、以下の左上の写真と同じ、地獄のような数日間を味わった3F急性期(閉鎖)病棟。
http://www.medicpro.co.jp/mp-14-2.html

その3Fから2F急性期(準開放/社会復帰用)病棟に移されたのは入院からおよそ1週間後だった。

【2016/11/7】Dr.の診断後の15時、2F病棟へ引っ越し。個室から4人部屋になった。患者数が多く、女27人、男10人。女が3分の2と多い。

(他の病院でも同様らしいが、女は感情に支配されやすいためかもしれない。ヒステリーを起こしたり、ステージを見て失神する女は珍しくないのではないか。女は感情、男は勘定で動く?)

女が多い分、オシャベリ、サエズリが盛んで活気があり、ときどき大きな笑い声や泣き声も混じって賑やかだ。「まるで田舎から都会へ移ってきたよう」な感じがする。男女とも40代前後が主流で、17、8歳ほどの若者も数人いる。3Fはお仕着せの病院着だが、2Fは私服で、病院着の患者は「3Fから移ってきたばかりだな」とすぐに分かる。

3Fの患者は病気や拘束・拘禁にうろたえている感じがするが、2Fの患者は「今さらジタバタしてもしょうもない、とりあえずノンビリ過ごすしかない」と諦めというか、達観している印象だ。

2F病棟の廊下は1往復150メートル、院内散歩や柔軟体操をしている人も少なくないし、症状が改善し、医師の許可が下りれば外出、外泊もできる。風呂(個室)も日曜以外は午前中から(自室に戻る刻限の)午後8時まで、1人当たり30分利用できる。(3Fはせいぜい週1)

小生もさっそくシャワーを浴び、3Fの「アカ」を流したが、解放感、開放感があり、人心地ついた。

【11/8】ナースの夜勤のボスは70前の大ベテラン、通称“女帝”、顔つきが猪瀬・元都知事に似ている感じがする。体格は大きく、体重65キロはありそうで、頭のキレも良く、ネアカだが患者を?りつける(注意する)時は迫力がある。いるだけで存在感があるから患者が皆「借りてきた猫」のように大人しくしているのが面白い。長いものには巻かれよ、かニャー。

14時、作業療法(OT、Occupational Therapy)のスタッフの指導でストレッチ。来春、福祉大学を卒業予定の女学生がOJTで参加していたが、桜貝のような頬。「これからの人」と「これまでの人」、落差は大きい。

夕方、Dr.と面談、「肝機能は予想以上に改善した」とのこと。退院すれば飲めるのかどうか・・・

今日から自分で体調を記録することになったが、48キロだった体重は46.5キロまで減った。そのせいもあるのだろう、寒さに弱くなってしまった。

【11/10】午前中に家から被服、ノート、ボールペンなどが届く。まことにありがたい。ノートがない間はナースステーションからボールペンを借り、トイレの手拭き紙などにメモしていたが、これからは書き放題だ。

病院着を脱いで私服に着替えたが、温かいので助かった。地味な色で、派手好きの小生の好みではないが、贅沢は言えない。

【11/11】入院以来、下痢に悩まされたが、今日から整腸剤も飲むようになった。尻がかぶれてヒリヒリするので、メンソレ代わりにリップスティックを塗っておいた。お口もお尻も「小さな看護婦さん」依存、いささか品位がないが、「タフでないとめげてしまう」と居直るしかない。

ソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」はラーゲリの一日を描いていたが、人としての矜持を保つためには、1)皿を舐めない、2)人の食べ残しを食べない、3)仲間を裏切らない、などを挙げていた。

中核派でもパクられると情状酌量を求めてゲロる奴、仲間を裏切る奴がいた。1968/10/21の新宿騒乱事件で逮捕され、同志を売っただろう奴の「それから」を目にしたことがあるが、自分自身を卑下しているようで、いつもイライラし、交際を嫌い、趣味の世界に逃避していた。裏切りの代償は大きい。

3F病棟で人の食べ残しを食べてナースに叱られていた若者がいたっけ。矜持を保つこと、タフであり続けることは難しい。小生は晩年になってポキッと折れてしまい、家族を裏切ってしまったのだから偉そうなことは言えないが・・・病気だからと逃げるつもりはないし、酒乱で発狂したのは自業自得、自ら招いた災禍なのである。

身を責める それにつけても 酒恋し

「酒やめますか? それとも人間やめますか」・・・悩ましい問題だな。(つづく)2017/3/1






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創刊日:2017-02-04  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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