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「措置入院」精神病棟の日々(5)

発行日:2/24

「措置入院」精神病棟の日々(5)
“シーチン”修一 2.0

高校同期会の案内が届いたが、「生き永らえば恥多し」を地で行っている小生には会わせる顔もない。

六ぞろ目 病とともに 生きており 目出度くもあり 目出度くもなし

66歳、当たり前ながら小生にとっては“前人未到”の領域であり、ひたすら当惑している。なにしろ老化の進み具合が、それこそ日進月歩で、先日から杖を引いて散歩している。若い頃からの無理、無茶、無謀が祟っているのだろう。

今さら悔やんでも遅いが、とにかく“飲み過ぎ”た。ビールに始まり日本酒、焼酎、そしてウイスキー・・・一升瓶換算で6000本、1.8リットル×6000=108トンを飲みまくった。容量20トンの大型タンクローリー5台分を出獄した20歳から45年間で飲んだのだから、精神病院へ送られた際は医者が血液検査の数値を見てびっくりしていた、「急性肝炎一歩手前ですよ」と。

小生の顧客の一人は急性肝炎が劇症化したのだろう、具合が悪くなってからたったの1週間で急逝した。“これから本番”という45歳だったが、娘2人はまだ高校生で、奥さんも泣きっぱなし。あんな悲惨な葬儀は初めてだった。

さて、小生が収容された急性期病棟は3Fと2Fに分かれている。老人とは言え小生のような“活きのいい”危ない患者はまずは3Fで処置される。病院の案内から。

<3Fは24床です。激しい精神症状のために不安や混乱が著しい患者様に安心して休んでいただくための隔離室が8床・・・2Fは36床です。生活リズムを整えながら社会復帰の準備を行う病棟です>

「患者様」というのは何かいやらしい表現だが、「激しい精神症状のために不安や混乱が著しい」というのはその通りで、小生も入院当初は「俺は大したことをしたわけじゃない、なぜ俺が警察送りになったのか、病院へ転送されて身体拘束されるのか、とんでもないことだ、くそっ!」と思ったりした。

入院初期の精神病患者の多くはいわゆる「他罰的」で、「自分は悪くないのに周りから無理やり入院させられた」と思うのだ。

その一方で、小生は「俺の頭はどうなっちゃったのだろう、やっぱり発狂しているみたいだ、脳みそが正常と異常の間を揺れ動いている」とものすごく不安になったりした。

措置入院患者の多くはそんな感じではないか。痛みや体調不良といった症状なら「もしかしたら病気かもしれない」という自覚が生まれ、医者に行くだろうが、精神病には自覚症状がないようである。もっとも自覚症状があれば精神病にはならないだろうが。

自分が気付かないうちに少しずつ少しずつ、毎日ポタリポタリと田んぼや池に水が溜まり、ある瞬間に限界に達して外に溢れ出す。漏水はやがて畦や土手という防護壁、理性を侵食してどっと決壊する。氾濫、発狂だ。積もり積もって大洪水や大雪崩、警察沙汰になったりする。

身体拘束中は実に奇妙な夢を見続けた。身体拘束、拘禁への拒絶反応かもしれない。

「自分はマンションの1室に閉じ込められている、ところが隣にカミサンが引っ越してきた、それなのに鉄格子が邪魔で会いに行けない。どうしよう・・・そうだ! 体と魂を分離しよう、魂だけなら会いに行ける、でも俺が隣の部屋にいることをどうやって知らせることができるのだろう・・・見えない、書けない、話せない・・・ああ、もどかしい、どうしようもない・・・」

という夢で、最後は幽体離脱した我が身を斜め上から見ているというものだった。

まるでカフカの「城」の世界で、ひどく消耗するのだが、この夢が5日間ほど続いたときは「やっぱり俺は発狂したんだ」と思わざるを得なかった。WIKIにはこうあった。

<幽体離脱は、科学や心理学の分野では、主に白昼夢等に類似した現象で「脳の誤作動による」ものと考えられている>

脳の誤作動・・・もともとイカレポンチで、中学か高校で「エキセントリック/eccentric」という語を覚えた際は、「性格などが風変わり、奇矯なさま、か。ふーん、要は奇妙奇天烈、奇人変人の類ね。穏やかな人生か or 波乱万丈の人生か・・・ハラハラドキドキ、人のやらないことをした方が面白そうだな」と思ったものである。

出版社に就職したら上司、後の仲人がすごかった。家が貧しく早稲田を中退、銀座だか赤坂の“東洋一”のキャバレーでボーイから出世してマネジャーを勤め(酒乱の宮澤喜一なども常連だったとか)、その後にエールフランス(通称エアフラ)に採用されたのだが、「日本ではキャバレーは堅気の仕事じゃない、卑賎な仕事、と見れらているが、フランスではミシュランガイドに象徴されるように飲食業は高く評価される。エアフラは僕のその経歴を評価したわけだが、フランス人上司にホモが多いのには参った」と言っていたものである。

その上司が小生に酒と女を教えてくれたのだが、「修一クン、昔から大酒飲みは家一軒分を飲んじゃうと言う。出世するには必死で仕事をしなけりゃならないが、“飲まなきゃ心がやられちゃう、飲めば体がやられちゃう”んだ。心が壊れたら仕事はできない、だから体を犠牲にしても飲むわけよ、飲ん兵衛は」とよく言っていたものだ。

小生の場合は高齢者になって心身ともに“波乱万丈”のツケが回ってきたわけだ。終わり良ければ総て良しというが、小生は終わりにも波乱がありそうで、静かに「舞台下手へ去る」というふうにはなりそうもない。太宰曰く「嫌な予感はよく当たる」、家族に見離されて孤独死なんてありそうで怖い。(つづく)2017/2/24

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