政治・経済

必殺クロスカウンター! 政治・経済・社会

政治・経済・社会などについての徒然草

全て表示する >

必殺クロスカウンター! 「措置入院」精神病棟の日々(2)

2017/02/18

「措置入院」精神病棟の日々(2)
“シーチン”修一 2.0

退院後の翌日、久し振りに街の用水路沿いを散歩をしていたらこんな標語があった。

「責めるより 許す心と 思いやり」

法務省が提唱し、地域の防犯協会が協賛している「社会を明るくする運動」のスローガンで、うん、その通りだ、と思ったが、よく考えたら基本的に非行少年の再生を願う主旨で、非行老人、不逞老人向けではなさそうだ。

こんな言葉を家族に向かって言おうものなら、「冗談じゃない、加害者がなにバカを言っているの? 信じられない、全然反省していないんじゃない?!」とものすごい剣幕で反発されるだろう。当然と言えば当然だ。被害者である家族の心の傷の大きさを常に心していないと信用は取り戻せない。

「築城8年、落城3日」という言葉がある。信用を築くには長い年月がかかるが、信用を失うのは一瞬だ。年長らえば恥多し、とは言うものの、こんな愚かな晩年になるなんてまったく自分自身は想像もしていなかったが、家族は「いつかおかしくなるのではないか」と案じていた。「病院へ行ったら」と勧められたが、かたくなに拒否していた結果が今の自分である。

脳(brain)と心(mind, heart)はどう違うのか、入院中にずっと考えていたが、脳は人工知能(AI)で言えば基本システム(OS)で、心はその中の一部の機能とか制御盤のようだ。心で随意筋は動くが、不随意筋は別のソフトであり、心では動かない。

鉄腕アトムのOSには「人を傷つけたり殺してはいけないが、人間のためという大義のためには命を懸けよ」というソフトが組み込まれていたと記憶しているが、人間の脳には心(精神)と体(肉体)を守るために緊急避難で「強制シャットダウン」ソフトが組み込まれているようである。

簡単に言えば、本人が強烈な体験という「過電流」で身体を壊さないように失神とか記憶喪失で心を閉ざすようになっているようなのだ。ケガとかショックとかの際に失神とかを起こすのはそのひとつだろう。

よく報道されるのが、犯人や加害者が「やったことは間違いない」という言葉で、その前後を覚えていないようなのである。これまでは「本当かよ、しらばっくれているのじゃないか」と小生は思っていたが、自分が加害者になって初めて分かったのは、暴れまくった数秒間(多分5秒とか10秒)は覚えているが、前後の記憶が完全に欠落していることだ。今でも思い出せないが、家族によると目が完全に狂気だったという。

後で聞いたところでは、小生は家で転倒して気絶したようで、家族が「自分で立てれる?」と聞いたところ「ら抜き言葉はよしてくれ」と言ったそうだ。気が付いたら警察署の保護室に軟禁され、施錠の代わりに屈強な警官2人に監視されており、「これは留置なのか、それとも保護なのか?」と問い質していた。「保護です」との答えだった。

大暴れしたことをほとんど覚えていないのだが、本人にとって「不都合な真実」を記憶に残さないようにOSには本人がまったく自覚できない記憶喪失ソフトが設定されているとしか思えない。

良家の子女は乳母日傘で大事に育てられたためなのか「打たれやすい」、つまりストレスで壊れやすいようだ。実際に「良い子」が精神病(アスペルガー症候群)になったのを見たことがあるし、小生の病院でも17歳の美しく温和な娘さん、小生がつけたあだ名“セブンティーン”が入院してきた。

見舞いに来た両親は、父親は60歳ほどの大企業の役員風、母親は40歳ほどでオシャレ、びっくりするほどの若作りをしていたが、“セブンティーン”は入院当初は「ここはどこ? 私は誰?」という感じで茫然自失していたようだ。

やがて娘さんは徐々に目覚めてきたようで、ホールでの両親との会話が聞こえてきたが、「その(事件)後のことは全然覚えていない」と言っていた。アル中の場合はこれをブラックアウト(停電)と呼んでいる。

ところで精神病や精神疾患は、近年では「心の病」とか「心の風邪」などと言うようだが、複数の精神科医が執筆・監修した精神疾患ムックによると、脳内には幸福や不安を感じやすくする遺伝子(ソフト)があり、これが「ストレスの感じ方」を左右するそうだ。

日本人を含めたアジア系民族は環境によるストレスを受けやすく、逆に欧米人は不安を感じにくく、楽観的な傾向があるという。米国白人はもともとが欧州由来だから、簡単に言えば、アジア系は繊細で悲観的、保守的、欧州系は鈍感で楽観的、進取的なのかもしれない。

小生思うに、アジア系=農耕・定住・集団行動民族、欧州系=狩猟・移動・個人行動民族というククリも考えられ、アジア系は天気にも一喜一憂し、欧州系は獲物に出会うかどうかは運次第だからクヨクヨしてもしょうがない、明日はいいことがあるだろう、と楽観的、進取的になる、とも言える。

欧州系はライオンなど肉食動物のように「食いだめ」ができるようだから(中世の記録に女性2人が3日で牛1頭を平らげたという話がある)、冷夏による飢饉など飢え死にの危機感があまりないのかもしれない。

厚生労働省の平成26年調査によると、精神疾患の患者数はここ20年でずいぶん増えている。統合失調症など「妄想性障害」と、うつ病など「気分・感情障害」は、それぞれ平成8年が72万1000人、43万3000人、合わせて115万4000人、これが平成26年には77万3000人、111万6000人、合わせて188万9000人へと急増している。

小生が若いころは同僚などから「気分が落ち込んでいる、ブルーだ、やる気が起きない」などと言われたら、「まあ、そういうことはよくあるよ、テンションが上がったり下がったり・・・じゃあ今夜は女子も呼んでパーッと飲もうぜ」、本人も周囲もあまり気にしなかった。

当時は「過労死」という言葉もなく、「血尿が出て一人前」なんていう凄まじい職場もあった。自殺しようものなら「ヤワすぎ、ストレスに負けちゃった」とあまり同情もされなかった。今は残業≒悪≒ブラック企業のようで、若い女性が自殺でもしようものなら大騒ぎになり、医者が病名を創るから患者もどんどん増えるわけだ。

たとえばWIKIによると対人恐怖症は神経症の一種とされ、「恥の文化を持つ日本において群を抜いて多く、日本に顕著な文化依存症候群とされ、海外においてもそのまま『Taijin kyofusho』と呼称されている」、病名を創って患者を増やすという、ほとんどビョーキの世界だ。

かくして小生のような本物の狂人、病人の周りには、昔なら「ノイローゼ、ちょっと休めば直るよ」的な人が数多くいるという奇妙な現象になる。どう見ても病気だなというのは患者5人に1人ほどという印象で、国民皆保険や障害年金というセイフティネットも患者増を促進しているのではないかと思ってしまう。(つづく)2017/2/18





規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2017-02-04  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
Score!: 非表示   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。