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コンパイル時代のぷよぷよ・魔導物語の小説を配信します。独自設定が多目のシェDアル、サタアルなど。

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2016/10/10

 現在はシェゾとドッペルアルルの二人がメインの小説を配信しています。
 ぷよぷよ〜んではピエロに扮してアルルに近づいていたドッペルアルル。話の最後に登場し満足な情報も明かされないままエンディングを迎え、謎が多く残っていますが……
 そんなミステリアスな彼女も、皮を一枚剥いでしまえば可愛い16歳の女の子だと思いませんか?
 ドッペルゲンガーというレッテルがめくれ落ちたら、恥ずかしがりながらも笑顔を見せてくれるはず。
 大多数の皆様が思い浮かべる「ピエロのお面で顔を隠しながら笑みを浮かべる」、そんな時期を通り過ぎたドッペルアルルが物語で動いています。


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いまのお話

------------おさらい------------
ぷよぷよ〜んのストーリーの後、ドッペルアルルはシェゾに出会いました(*)。その後紆余曲折あり、街に出てシチューの香りに誘われ入ったお店で、ウィッチに出会います。ドッペルゲンガーに興味を示したウィッチは、二人を別宅へ招き一晩の部屋を提供しました。
 明けて翌日。物資の買出しの帰り、ドッペルアルルは何かを閃いたようで?

(*)……2006.3.26発行「あの場所の輝き」
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6280347


現在配信中の「あの場所の導き」(2016.4.19発行 49+まで)
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6280407
 今までの配信サービス終了に伴い、バックナンバーをまとめました。
 上記二つを読んでから本文を読むと、流れが掴みやすくなります。

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「けど理由もなく朝まで帰ってこないなんてことはあるんだろうか?」
「そんなのわたくしが知るよしもありませんわ。どうしても気になるのでしたら今すぐにでも叩き起こして問い詰めればよろしくてよ」
 嬉々として立ち上がったウィッチは軽快に階段を駆け下りる。母親に手を引かれた女児と途中すれ違い、手を振り返していた。
 厚手のポンチョの裾からは木の枝のように細い足とわずかに腕が覗く。まるでクリーム色のてるてる坊主が歩いているようだった。子供の屈託のない笑顔に、ドッペルアルルも自然と笑みを浮かべる。
「ウィッチ、お願いがあるんだ」
 一足先に通路へ降り立ったウィッチが訝しげな瞳で見上げる。その視線を受けながら、ドッペルアルルも最後の一段を飛ばして通路へ降り立つ。憑き物が落ちたような顔をしていた。

------------おさらい------------


------------本文------------
 そろりそろりと、足音を忍ばせて二人はリビングを抜けていく。朝の就眠にふけこむ人が起きやしないかはらはらしながら、ゆっくりと寝室へ滑り込んだ。
「噛んでしまいますわよ」
 それが何かの合図であったかのように、ドッペルアルルは左手を胸元に寄せてから寝室の扉を閉めた。引き寄せた腕にはもう何度もあちこち連れ回されたマントがぐったりとうなだれていて、そのマントが箒が済ませたのかベッドメイキングのされた布団の上に広げられる。
 ウィッチはもとより、ドッペルアルルもマントをゆっくりと観察するのは初めてだ。一見どこにでもありそうなただの布切れだが、手に取ってみれば水のように柔軟に流れを変える繊維達にまず驚く。そしてささやかな明かりさえも反射し、うすら輝く波紋をどこまでも広げる様に見とれ続けることになる。
 例に漏れず食い入るように見つめていたウィッチが、裾まで視線を落とし口を開いた。
「まあ。酷い有様ですこと。物がいいだけに残念ですわね。このマントがどうかしまして?」
「お願いが、このマントについてなんだ。こんなに綺麗なのに、このまま捨てるのは惜しい。何かに作り替えられないかと思った……町の子供が着ていたような、フードのついた、名前がわからないけど、あんなようなもの。それで、ウィッチに色々と相談したい」
「まあ、構いませんけど。わたくしお裁縫は得意ではありませんから、満足にお手伝いできるか分かりませんわよ。そもそも作り替えてどうしますの? シェゾさんに渡すのかしら?」
「ああ。シェゾは以前からマントの類を身につけていたらしい。けど今はそれが無い。せめて次までの繋ぎにでもなればいいと思っている」
「そういうことですのね。ですけどこの有様ですと、作れたとしてもケープが関の山かしら。腰の辺りにも穴が空いてしまってますし、フードもつけるとしたらあまり丈は長くできませんわね。折角ですしこのテープも生かして……」
 なにやら小声でぽそぽそと呟きながら、真剣な目つきでマントの端から端までを忙しなく視線が往復する。ドッペルアルルの目に、ウィッチが初めて頼もしく映った瞬間である。
「もちろんわたくしもお手伝い致しますが、さっきも申し上げた通りわたくしお裁縫はあまり得意ではありませんの。明日の夕方までに仕上がるお約束はできませんわ。ですけど、ちゃんと対処法はありますのよ」
 俯きかけたドッペルアルルの頭は見事半ばで角度を取り戻す。しかしウィッチが瞳に宿しているものは頼れる力強さではなく、そもそも自信などでもなく、もっと違う、淀んだもの。
「ドッペルさん、明日の夕方には出発されますのよね?」
 間抜けに滑り出たああ、だかうん、だかの相づちと共に、正体の見えない漠然とした不安が胸の中で渦巻き始める。
「でしたら、明後日までここにいたいとおねだりしないといけませんわ!」
「……え?」
「ですから、おねだりですわ。わたくしがしても意味はありませんのよ」
 腰の辺りに違和感を覚えれば、ドッペルアルルの寝間着の裾をウィッチの指が控えめに摘んでいた。何があったと表情を伺えば、口元は手が添えられ隠れ、恥ずかしげに伏せられた視線はどこか外れの床に向いている。何があった、いや、そもそも何を考えているのか、十分詮索する間を与えてから、うるんだ瞳だけが瞼の中で上を向く。苺の一粒もくわえられないだろう小さく開いた口で、聞こえよがしに取り込んだ空気はとてもか細い声を乗せた。
「どうしても、ドッペルさんにしていただきたいんですの……駄目かしら?」
 本来の女の子とは、こういうものなのかもしれない。奥ゆかしく、それでいて愛らしく、男性の保護欲求を刺激する、どこか儚げな……
「とまあ、こんな感じですわ」
 要素とは無縁なウィッチはさっと表情を塗り替えて、広げていた布切れを両手に取る。
「早速ですけどご説明いたしますわよ」
 穴の空いていない方の角を摘んで、箒がしていたように大げさに振り回しながら半回転。ドッペルアルルの肩に、寄り添うように布切れが垂れ下がった。
「例えば、ここが肩に沿って……」
 縁取りのテープを目印に襟元に見当をつけ、以前の持ち主は右にに寄せていたベルトを中央に据える。
 先程のウィッチの表情の切り替わりは、一体何だったのか。あのように表情を切り替える人間は、ドッペルアルルが集めたサーカス団員の中にはいなかった。我の強くない者を集めたつもりだったし、例外ではあるがサタンの様に術をかけて操作していた者もいる。
 ドッペルアルルの記憶が正しければ、ウィッチはアルルより年下のはずだ。あのアルルより歳が下だというのに、あの小慣れた流れを繰り出す目の前の年端もいかない少女には驚きを隠せない。果たしてこのままウィッチと関わり続けて大丈夫なのか、表面化し始める疑問も寝間着と布切れの間に生まれた暖かさに、次第に溶け薄れていった。
------------本文------------

 薄い衣類ほど、隙間にある熱を繊細に伝えてくれる気がします。
 そう。秋の肌寒い朝に、足にだけかかっているタオルケットをとても暖かく感じるように……


 移転後の初配信にお付き合いいただきありがとうございました。
 実際に配信されるメール本文により、今後若干のテンプレート変更があるかもしれません。
 暫く本文の流れが落ち着かないことがあるかもしれませんが、温かい目で見守っていただければと思います。

 それでは今回はこの辺で。
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創刊日:2016-09-27  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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