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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.123

2010/09/02

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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
総理のリーダーシップ
[今月のレポート]
休載
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  ■今月の一言■
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総理のリーダーシップ

1.政治家のリーダーシップ

政治家に必要なリーダーシップにはどのような資質があるのだろうか。
山内昌之東大教授は、著書「政治家とリーダーシップ」で、「教養に支
えられた“総合力”と“大局観”は、多くの場合、指導者に不可欠の条件
である。しかし、これだけではリーダーシップの十分条件とはならない」
として、戦国時代の藩主島津義弘を例にとりあげてリーダーシップを説
明している。

すなわち、義弘の判断力と大局観は、彼に備わっていたいくつかの才
能が複合した結果というべきだとして、統率者としての魅力、出所進退
の見事さ、情報収集と分析の能力、粘り強い外交交渉力の四つをあ
げている。これらの四つの能力は、“先見力”や、“統率力”、“決断力”、
“分析力”、“説得力”をあらわしているともいえよう。

先の参議院選挙で、管総理は突如消費税増税を言い出して、国民に
不信感を与えた。今回の参議院選挙の最大の争点は、「官僚支配か
らの脱却」「コンクリートから人へ」を掲げ、予算の無駄を省き、「こども
手当て」「高速道路無料化」「農業の所得保障」などを実現するとマニ
フェストで約束したが、それがどの程度実施できるのか。また、困難な
場合は、なぜ難しくなったのか、状況の変化に対して今後どのように
対応していくのか、ということを国民に示して、選挙民の判断を仰ぐと
いうことであろう。

事業仕分けをして「こども手当て」などの予算を生み出すということなら、
まず、予算額が大きい特別会計の抜本的な見直しをして、どの事業を
いくら削減して必要な予算を生み出すのかを国民に提案すべきである。

ところが、その最大争点に対して明確に答えをしようとはせずに、何を
考えたのか消費税増税論議を持ち出した。長期的には当然、税のあり
方も抜本的に検討しなければならないということは国民も理解している
が、今の民主党に答えてもらいたいのは、マニフェストで約束した「官僚
支配からの脱却」「コンクリートから人へ」などの政策が今後どうなるの
かということなのである。

国民が何を求めているのかの情報を集め分析・判断し、政治の窮極
の目的を実現するために何を行っていくかを国民に提案して説得し、
その実現を図っていくことこそが、総理に求めるリーダーシップという
ことであろう。管総理は、関が原の戦いで、適中突破を図らずに、期
待できない応援部隊を求めてうろうろしたと云われても仕方がない。
そして、大勢の部下を失ってしまった。総理の誠実さはわかるが、誠
実だけではリーダーは務まらない。

そもそも、マニフェストでは、政治の窮極の目的とそれを実現するため
に総合的な手段を、具体的な数値を含めて提示することこそが重要
であるのに、民社党は、「こども手当て」などの個別の手段を強調して
しまった。そこを野党やマスコミにつかれて、その手段が、あたかも窮
極の目的のように取り上げられてしまった。

そのような視点からみると、参議院選挙敗北の責任は、野党時代の
党幹部の責任だということになる。また、政権を担ってからは、今まで
のやり方では、それら個別手段の約束とおりの実現が難しいことに気
づきながら抜本的な見直しをしようとしなかった、鳩山内閣、管内閣の
責任でもある。以下、「こども手当て」を例に挙げて、窮極の目的と個
別手段について説明したい。

2.こども手当てと窮極の目的

「こども手当て」を取り上げた民主党の窮極の目的は、何であろうか。
たとえば、東京大学では1970年代半ば以降、専門・管理職の子弟が
入学者の7割から8割を占めており、90年には保護者の平均年収が
1000万を超えて、以後変わらぬ事実として定着したとのことである。
学生層は、親の学歴が高く、収入の多い家庭の出身者によって占め
られているのだ。このことは、学校の選択が親の職業や収入の違いに
左右されるという問題なのだ。また、親の学歴レベルと子供の学習意
欲が比例するといわれている。

問題は、これが所得格差の拡大と結びついて、ある種の階層分化と固
定化を招くことであろう。受験塾などの外部学習の環境に恵まれた富
裕層の子供に比べて、環境に恵まれない低所得家庭の子供をますま
す不利な立場に追い込む。それでなくとも、周囲に高学歴者が多い立
地条件の有利さや、子供を訓練する人々の熟練度の差は、重要な差
異の源泉であり、子供の成長とともに拡大する。

このような教育の問題は、国内の教育格差だけでなく、世界との「能力
格差」や「リーダーシップ格差」という視点からも問題である。日本の教
育の問題はこども手当てなどのお金ではなく、内容が悪くて世界に通
用する人材が育たないことだともいわれている。また、幼児期の課題
としては、「親の就労と子どもの育成の両立を支える支援」などが課題
になっており、児童虐待などの極端な事例も報道されている。

このような教育格差が小さい国としては、北欧諸国が挙げられる。なか
でもフィンランドの教育は、日本の教育のように知識の丸暗記ではなく、
答えのない世界で自分なりの答えを見出すために「考えること」を教え
る。すべての問題においてクラスのディスカッションから結論を導き出
すトレーニングを重ねる。「教育で大切なことは情報を与えることだけで
はない。自分で考える力、問題解決能力、創造力、理解力、適応力を
養うことである」というのが、フィンランドの教育である。

フィンランドの教育の特徴として、教員採用にあたっての教職課程や適
正検査、国をあげての教育プロジェクト、語学学習の重視と語学力の
高さ、授業料が無く生活援助が受けられる学生、大人になっても生涯
勉強の強い意欲、などが指摘されている。中でも「教師の質の高さ」は、
フィンランドのどの教育研究者、教師たちに聞いてみても、必ず一番に
返ってくる答えだとのことである。

フィンランドの義務教育は日本と違い、型にはまっておらず、柔軟性が
ある。地方分権が進み、学校や教師に多大な決定権が与えられてい
るフィンランドでは、担任が時間割を組む段階で多少の融通が利くよう
になっている。最低授業日数や授業の内容は、国の出す学習指導要
領に沿っていなければならないが、それ以外は地域や学校が自由に
カリキュラムを組むことができ、教科書選びも学校ごとにできる。教師
の採用に関しても学校単位なので、教師は地方公務員ではなく、その
学校の職員となる。校長は企業の社長にあたる。

このような、「受験塾などの外部学習の環境を必要としない公教育の充
実」「所得格差による教育差別と階層分化・固定化の解消」や、「世界
に通用する能力やリーダーシップ力の向上」、「幼児期のこどもの育成
基盤の充実」の実現こそが、政治の窮極の目的なのではないのか。

「こども手当て」もその手段の一つではあるが、いくつかの手段を組み
合わせた総合的な政策が必要である。地方分権をしたうえで、国が基
本方針をたて、地方自治体が実施しなければならない事業が、「こども
手当て」以外にも数多くあるのではないのか。消費税5%の日本で、そ
れらの政策をどのように実現していくのか。どの程度実現できるのか。
それを国民に提案して実施していくのが、政党の責任ではないのか。

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 ■今月のレポート■
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休載

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創刊日:2000-10-07  
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