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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.083

2007/05/03

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2007/05/03 No.083    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
ユニバーサル・デザイン
[今月のレポート]
日本の選択
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  ■今月の一言■
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ユニバーサル・デザイン

1.使いやすさの基準

日経ものづくりの2006年5月号に「使いやすさへ挑む、基準なきユニ
バーサル・デザインからの脱皮」特集が載っている。ユニバーサル・デ
ザインには明確な基準はない。しかし、ユニバーサル・デザインと謳う
製品を利用者が正確に理解するためには、「どのような利用者を想定
したのか」「どのような使いやすさを、どの程度向上したのか」といった
ことをメーカー側が明らかにすることが必要だ。メーカー独自の基準作
りや業界、国レベルでの標準化を進めることで、結局はユニバーサル・
デザインが広く、高いレベルで実現される。まえがきでこのように述べ
て、「使いやすさの基準」「実現の手段」「未知への挑戦」「生産現場に
も使いやすさ」にわけて解説している。

Part1「使いやすさの基準」では全体の概要を述べている。ユニバーサ
ル・デザインは、米国のRon Mace氏らが提唱した次の7原則によって
広く知られている。原則1:誰にでも公平に利用できること、原則2:使う
上で自由度が高いこと、原則3:使い方が簡単ですぐ分かること、原則
4:必要な情報がすぐ理解できること、原則5:うっかりミスや危険につな
がらないデザインであること、原則6:無理な姿勢を取ることがなく、少
ない力でも楽に使用できること、原則7:アクセスしやすいスペースと大
きさを確保すること。

ユニバーサル・デザインへの取り組みが盛んになってきた背景には、
障害者への配慮といった企業責任としての側面だけでなく、消費者の
高齢化や、身体的特徴や嗜好などにおける多様化が加速したことも大
きく影響している。ユニバーサル・デザインは消費者が受け取るイメー
ジも多様であるが、どの程度ユニバーサル・デザインを考慮したのかを
明確に示すことで、そのイメージは具体化できる。その方法の一つとし
て、使いやすさの基準を表現することが挙げられる。実際、基準を使っ
た製品開発や、基準の標準化は着々と進んでいるのだ。このように述
べて、各メーカー内での取り組みをPart2で紹介している。

しかし、基準を満たすことだけを目的としては、使いやすさの向上が止
まってしまう。基準を満たすのは最低条件ととらえ、さらに使いやすさを
増すための仕組みも必要となる。そこで不可欠なのが人間の研究だ。
このように述べて「人の研究で明らかになる使いにくさの原因と対応策」
をPart3で取り上げている。

Part2「現実的な対応だからこそレベルの明確化が重要に」では、トヨタ
自動車、松下電器産業、コクヨの事例を紹介している。トヨタ自動車の
ユニバーサル・デザインの評価指標としては、「エルゴインデックス」と
「シーン適合度」という二つがある。エルゴインデックスは、人間工学の
側面から見た性能評価の指標で、「主運転装置」「乗降性」「姿勢、居
住性」「視界、取り回し性」など6項目からなる。シーン適合度は、ユー
ザーの車に対する要求(シーン/使い方)が実現された度合いを示す
指標だ。

例えば、乗降性の評価項目の一つ、「重心移動のしやすさ」は足腰の
筋肉負担で評価する。また、メーター類の視認性に関する評価項目で
は、各年代の70センチ視力に基づく対応視力で評価している。

総合電機メーカーや家電メーカーなどではさまざまな種類の製品を開
発するので、製品ごとに個別の基準を作っていては、矛盾が生じる場
合がある。松下電器産業では、ユニバーサル・デザインの基本要素と
して六つを制定しており、製品によって主にどの要素が特徴となるのか
は異なる。例えば、斜めドラム式洗濯機では「楽な姿勢と動作への心
配り」であるし、フイルタの自動掃除機能付きエアコンでは「使用環境へ
の心配り」がアピールポイントだ。

2.カラー・ユニバーサル・デザイン

Part3「人の研究で明らかになる使いにくさの原因と対応策」では、沖電
気工業が開発したATM(現金自動預け払い機)「ATM-BankIT」(車椅子
利用者も近付きやすい筐体、光案内、高齢者などを対象とした「かんた
ん操作モード」)。TOTOが発売したキッチン用チェアのユニバーサル・
デザイン、および、リコーのデジタルフルカラー複合機「imagio」の事例
を挙げて、色の見え方(色覚)の違いへの配慮について紹介している。

「だれもが使いやすい」をコンセプトにさまざまな面でアクセシビリティを
追求したリコーのデジタルルカラー複合機「imagio」シリーズ。色覚特性
のある人も判断しやすいよう、スタート(またはエラー表示)を示すLED
ランプの位置や色を工夫(色弱者にとって分かりやすい波長にした)す
るなど、“色だけに頼らない”操作を可能にした。

「imagio」シリーズにおけるカラー・ユニバーサル・デザインとして代表的
なのが、正常な状態(緑色)とエラー状態(赤色)を見分ける「赤緑表示」
のLEDランプ。従来は一つのLEDランプで正常かエラーかを表示して
いたが、二つの色を見分けにくい人もいることから、各ランプの位置
を離し、さらに識別しやすい色を採用した。この事例は、下記のCUDO
のホームページでも紹介されている。

なお、色覚タイプには、日本人の約95%いるC型の一般色覚者、約
1.5%のP型、約3.5%のD型タイプがあるなどの、人間の色覚の仕
組みと色弱者については、NPO法人カラー・ユニバーサル・デザイン
機構(CUDO)のホームページ<http://www.cudo.jp/>に紹介されて
いる。また、同ホームページの「シミュレーションツールの紹介」には、
さまざまな色覚を擬似体験できるツール(CFUDとUDing、VischeckJ
など)がリンクされている。

CFUDは、デザイン上、複数の色を使いたい場合になるべく混同しない
色を選び出すソフトウエア。実際に印刷時に使用されるインキ色をイメ
ージして、或いは色見本帳でそれを確認しながら配色することができ、
画面上での配色が印刷時にズレてしまうことを防げる。 UDingは、デ
ザインに使用したい画、または自分がデザインした画に使われている
色がどのように見られている可能性があるか確認できる。混同するお
それの高い部分を探索し表示する機能で問題がないかチェックし、問
題がある場合はその部分の色を修正する。修正した画は保存できる。

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 ■今月のレポート■
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日本の選択

1.日本は正しい選択ができるか

「第三の過度期にある日本は、これからどうなる?」イギリスの賢人ふ
たりが、未来を決定する重大な選択を日本人に問う。本書(ビル・エモ
ット、ピーター・タスカ著、講談社インターナショナル(株)発行)は、英エ
コノミスト誌編集長を務め、「日はまた沈む」、「日はまた昇る」の著書で
もあるビル・エモットと、「日本は蘇るか」「日本の大チャンス」「ハゲタカ
の饗宴」等の著者でも知られる、マーケット・アナリストのピーター・タス
カ両氏の対談から構成されている。

本書は、第一部「日本は正しい選択ができるか」と、第二部「日本の未
来を決める決断」の二部構成である。そのうちの第一部「日本は正しい
選択ができるか」は、「復調の日本にひそむ問題と今後1年の展望」
「このまま“反成長主義”を貫くのか」「世界の動向の中で揺れる日本」
「これからの日本の重要課題」から構成されている。

「復調の日本にひそむ問題と今後1年の展望」では、まず「企業は豊か
だが、個人は貧しい」として、経済は順調だが、それが一般市民の生
活に変化をもたらすところまではいたっていない日本の今後1年間の
展望をしている。エモットは、「2007年中には、投資の勢いがさらに
加速して雇用状態が改善され、賃金は上昇、その結果、消費は次第
に経済を牽引するようになる」とみているのに対し、タスカは、「戦後の
歴史を振り返ってみると、日本でもどこでも、企業から個人への資産
の移行は、つねに景気サイクルの比較的早い段階で起こっているが、
今回は非常に遅くなっている。特に日本では、雇用状態の構造的な
変化と、旧態依然とした投資重視政策のため、企業と個人の不均衡
はこれからも続く」と、やや意見を異にしている。

タスカが、「資本へのリターンは大きく、労働者へのリターンは小さいと
いう構造と、女性や高齢者が労働力として果たす新しい役割が賃金の
伸びを抑制するという構造は、今後も変わらない」「企業は巨額の投資
をしながらなおかつ大きな純貯蓄を抱えているが、意味のない公共事
業への投資、見返りの小さいプロジェクトへの投資、アメリカの資産の
法外な値段での購入という、過去に起こした無駄な投資をしないか」と
危惧しているのに対し、エモットは、「日本の企業はいまも生産性の向
上のために巨額の投資を続けており、賃金の上昇が抑えられ、内需は
ますます鈍化する。しかし、いま日本経済が直面しているのは、景気
回復期の生産性と賃金アップのせめぎあい、グローバリゼーションとい
ったノーマルな問題であり、苦痛に満ちた90年代とは違う」とし、解決
できる課題であるとみている。

「このまま“反成長主義”を貫くのか」では、「日本の企業のなかには、世
界的な成功をおさめ、世界ブランドとなったところもあるが、ごく一部に
すぎない。しかも家電とか自動車とか、製造業ばかりである」「サービス
産業の分野では、残念ながら世界企業と呼べるものがない」と指摘し、
企業のグローバル化が必要であるとしている。

「世界の動向の中で揺れる日本」では、過去3年にわたって、世界経済
があらゆる地域で活況を呈し、円相場は80年代初期のレベルに落ち
着いており、日本は非常に恵まれた経済環境のもとにあったとしたうえ
で、しかし、「円高になっても不思議ではない。デフレの影が忍び寄る
可能性は充分にある。だからこそ、金融や財政政策を引き締めすぎる
のは、きわめてリスキーである」と指摘している。

「これからの日本の重要課題」では、5年から8年くらいの中期予想を
取り上げいる。日本の規制緩和はもうすでに相当程度まで進み、競争
は日増しに激化しつつあり、日本の問題は供給側の規制や競争の欠
如にあるのではなく、企業のほうに軸足を置いた経済のいびつさにあ
ると指摘している。そのうえで、「日本に必要なのは基本的には収入の
増加である。そのためには、求人が増え、労働者が雇用主との交渉力
を取り戻し、生産性や利益の伸びの恩恵をシェアできるようになる必要
がある」と強調している。たとえば、人口減少は、職場における女性の
地位の向上とも微妙にかかわっている。女性が高収入を得られるよう
になると、子供を持つことで犠牲になる経済的価値が大きくなるので、
託児所だけでなく、税制面で思い切った優遇処置を講じる必要もある
としている。

2.日本の未来を決める決断

第二部「日本の未来を決める決断」は、「アジアと組むか、アメリカと組
むか」「実践的軍事力か、平和主義か」「グローバル化か、日本的孤立
主義か」「日本はいま、第三の過度期」「「美しい国」か「刺激的な国」か」
から構成されている。

日本の未来を決める決断に関して著者達が日本の読者に言いたいこ
との概要は、エモットがまえがきで、タスカがあとがきで書いている。こ
こでは紙面の都合もあり、それを要約して第二部の紹介に変えたい。

エモットは、日本の未来を決める選択肢に関して、1)日本が経済をどれ
だけダイナミックかつフレシキブルにし、どれだけ市場原理に重きを置
こうとするか。2)日本の文化や人間や企業や考え方をどんなふうにグ
ローバリゼーションと折りあわせようとしているか、3)日本の政治や経
済や文化をどこまでアジアの近隣諸国のそれに関連づけようとするか
ということであり、アメリカとの同盟関係にどこまで固執しつづけるか、
の三つをあげている。

それは、イギリスがかって直面したのと同じものであり、地理的、外交
的ジレンマ、大陸から切り離された島国であるという点、特別な関係を
結んであるアメリカとの距離の置き方を見直さなければならないという
点でも同じであるとしている。日本と世界の関係については、タスカに
比べていくらか楽観的である。

一方タスカは、「日本は、明治維新や冷戦時代に、外部の大きな出来
事につねにきわめて敏感に反応し、そのつど国家的な戦略をすばやく
劇的に変えてきた。現在の日本を特徴づける平和主義、内向性、リス
ク回避、官僚支配、サラリーマン気質といったものを、生得の日本らし
さであると思っているものは多いが、それは特殊な世界構造の産物で
あり、そのような時代はもうすでに終わっている」と指摘している。

そして、新しい世界の構造は1600年(徳川時代)より1870年(明治
維新)の状況に似ているとし、「21世紀の鎖国はたしかに選択肢のひ
とつである。当面はそれでいいかも知れないが、長い目で見ると、受け
るダメージは大きい。今回日本のもっとも大きな脅威となるのは中国の
台頭である。日本は鎖国政策を採るのではなく、世界とダイナミックな
関係を取り結ぶという道しかないのではないか。アジアも世界もこれま
で以上に積極的で外交的な日本を必要としている」と問うている。

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