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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.082

2007/04/05

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2007/04/05 No.082    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
Web2.0時代の商品魅力の伝え方
[今月のレポート]
超・格差社会アメリカの真実
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  ■今月の一言■
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Web2.0時代の商品魅力の伝え方

1.商品魅力の伝え方

日経情報ストラテジーの2007年4月号に、「ウエブ2.0の時流に乗り、
ヒットを生み出す商品魅力の伝え方革新」特集が載っている。ウエブ
2.0時代の到来で、口コミが簡単に全国レベルで広がるようになった。
商品も広告もはんらんする今、消費者にはほかの消費者の声が一番
響きやすい。それゆえ、2006年に大ヒット商品を生み出したマーケッタ
ーは変化対応力を強く求められた。彼らの奮闘ぶりから見えてきたの
は3つの教訓だ。このように述べて、教訓1:社内常識を疑え、教訓2:
売る気になるな、教訓3:知恵は社外でつかめ、の三つの教訓を、企業
の事例をあげて紹介している。

教訓1の事例は、トヨタ自動車の「現地現物で顧客の今をつかむ」。2005
年12月に発売した2代目「bB」は、テレビコマーシャルによるマスマー
ケティングを抑え、インターネットを介して口コミが広がる仕掛けを次々
と打ち出した。その結果、20代男性を振り向かせ、販売開始1ヶ月で1
万5000台を受注した。これは目標の2.5倍。このインターネットの仕組
みは<http://toyota.jp/bb/>を参照いただきたい。

担当者が採った行動は、足で稼ぐ徹底したデータ収集とのこと。トヨタ
社内用語で言えば「現地現物」。キャッチコピーやイベントなどからなる
キャンペーン案を20通りほどチーム内で考え出し、実際の20代男性
に意見を聞いてみることにした。その後、約20あったキャンペーン案を
4つに絞込み、「この企画は面白いか」「この企画に参加してみたいか」
などのアンケートやインタビューをした。

教訓2の事例は、タカラトミーの「共感力を磨いてじわり攻める」。ぐずり
泣く赤ちゃんを笑顔に変えるメロディーを奏でるぬいぐるみ、2006年7
月に発売した「赤ちゃんけろっとスイッチ」は、空前の大ヒット商品となっ
た。2007年3月末に50万個に届く勢いだ。

成功要因の一つは、徹底的に母親の身になって商品魅力の伝え方を
考えたこととのこと。CMや雑誌広告を打たず、口コミを起こす施策の
実行を徹底したのだ。担当者はまず「ベビータウン」「ベネッセウイメン
ズパーク」など母親や女性向けの有力なコミュニティーサイトでアンケ
ートを実施し、母親たちの情報の集め方を定性分析。「ママたちは宣伝
くさいことを嫌う。特にオピニオンリーダーはそう」ことが裏づけられた。

担当者が決断したのは、売りたい気持ちを抑えながら、「商品」の「あり
のまま」の情報を発信し続けることだ。例えば母親が多いコミュニティー
の参加者に数十万通のメールマガジンを送り、商品の存在をさりげなく
告知。また紙媒体やネット媒体など多数の編集部に商品を貸し出し、あ
りのままの評価記事を書いてもらった。協業作戦については、映画館
で子連れの母親向けに上映する特別な時間帯に、商品を無償で貸し
出したり、都内のいくつかの売店で無償配布イベントを開くなどした。

教訓3の事例は、明治製菓の「伝え方も消費者とともに育てる」。明治
製菓の美容食品「アミノコラーゲン(アミコラ)」はコラーゲンを摂取する
ための食品。コラーゲンは美肌づくりに良いといわれている。初年度
の売り上げはわずか数千万円。それが4年で年商100億円に化けた。
担当者はマーケティングに関する長年の経験や社外チームでの議論
などを経て、「アコラはおいしくないので、効果を頭で理解しないと飲み
続けてもらえない。今回の宣伝活動は、「認知」「理解」「購入」「継続」
のうちの「理解」にじっくり時間をかけるべきだ」という仮説をたてた。

まずは自分自身が商品への理解を深めるべきだと考え、大学教授をた
ずねコラーゲンの美容効果を徹底的に学び、小冊子を作成した。これ
は美容に関心が高く情報発信意欲も高い消費者に受け、高頻度で小
冊子を更新し続けるうち、ネット上に口コミを書く人が増えた。アコラは
2004年度と2005年度に化粧品の口コミサイトである「アットコスメ」の
美容サプリメント部門で年間口コミランキング1位を獲得するほど、認
知度が高まっていった。

2.Web2.0 

最近Web2.0 に関するする議論が活発化し、ニュースサイト、ブログ、
雑誌でも、事例や関連情報が数多く取り上げられるようになってきた。
このWeb2.0 とはどのような情報コンセプトを指すのであろうか。Google
で、「Web2.0」のキーワードを入れて検索すると、数多くの解説記事が見
つけられるが、例えば「IT用語辞典」には次のように定義されている。
http://www.sophia-it.com/category/web2.0.jsp
 「Web2.0 とは、従来のWWWにおけるサービスやユーザー体験を超
えて次第に台頭しつつある新しいウエブのあり方に関する総称である。
Web2.0 という言葉は、あくまでもコンテンツの提供の仕方や、技術の
提供の仕方、あるいは要素技術の組み合わせの仕方、サービスの使
い方などを漠然と指しているため、明確な定義づけがなされている訳
ではない」

Web 2.0の大家として知られるTim O'reilly氏の論文「What is Web 2.0」
によれば、Web 2.0を特徴付けているのは、次のような事柄だ。

(1)ユーザーの手による情報の自由な整理 
代表的なサービスとしては、画像を共有するサービスであるFlickrや、
ソーシャルブックマークのはてなブックマーク<http://b.hatena.ne.jp/
などが挙げられる。

(2)リッチなユーザー体験 
代表的なサービスとしては、GoogleMapやGoogle Suggest(検索用語の
入力中につづりの候補をリアルタイム表示)、Gmailなどが挙げられる。

(3)貢献者としてのユーザー 
代表的なサービスとしては、AmazonのレビューやGoogleのページ重
要度の自動判定技術であるPageRank
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~baba/wais/pagerank.html>など
が挙げられる。

(4)ロングテール
従来の市場では、「2:8の法則」などと言われるように「2割の商品が売
上の8割を稼ぐ」などといった法則が成り立っていた。これに対してWeb 
2.0では、この8割の側に当たるニッチな商品や顧客基盤によってサー
ビスやビジネスが成立する。代表的なものとしては、従来大手企業しか
顧客になることが無かった広告業界において、個人のレベルまでを取り
込むことに成功したGoogle Adsense(コンテンツと一致する広告を配信
し、サイトを訪問したユーザーがその広告をクリックすることで収益を獲
得)やGoogle AdWords<http://www.google.co.jp/intl/ja/ads/>、オン
ライン書店のアマゾンなどを挙げることができる。

(5)ユーザー参加
代表的なサービスとしては、ブログ、SNS(mixiなど)のソーシアルネット
ワーキングなどがあげられる。

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、個人専用のマイページ
があり、それが他者のマイページとある関連性のもとで繋がっているこ
とが可視化されるサービス。原田和英氏は、その著書「巨大人脈SNS
のちから(朝日新書)」で、社内にSNSを導入する利点として、「社内コ
ミュニケーションの促進」「社内の知識を共有できる」「人脈の活用」をあ
げている。そして、アメリカでは「人脈のビジネスへの活用」がもっぱらだ
として、人脈のマッチングやあなたは「だれ」を知っているかが大事であ
ることなどを強調している。

(6)根本的な信頼 
代表的なものとしては、Wikipedia(フリー百貨辞典)やオープンソースな
どが挙げられる。

(7)分散性 
ファイル代表的なものとしては、Winnyなどのファイル共有ソフト、ある
いはWeb サービスなどが挙げられる。

野村総研の堀祐介氏は、@ITの記事「Web2.0の本質から読み取る
Webビジネスの心得とは?」で
http://www.atmarkit.co.jp/fwcr/special/web2001/02.html>、Webビ
ジネスの構造を、「ビジネスモデルの変化」「情報モデルの変化」「技術
トレンドの変化」の3軸に分けて考えている。

ビジネスモデルの変化では、「実店舗型からロングテール・サービス型
を意識したビジネスへ」として、ロングテールやアプリケーションのパッ
ケージ型からサービス型への変化を取り上げており、情報モデルの変
化では、「静的な情報から混ぜ合わせ活用される情報へ」として、2つ
以上の情報源を混ぜ合わせ、新たに付加価値を提供するマッシュアッ
プ手法と口コミ情報を取り上げている。

なお、Web2.0の一部を身近に体験するのなら、検索エンジンGoogleや
オンライン書店Amazon、SNSのmixi、GREE、楽天リンクス、Windows 
 Live Spacesなどが参考になろう。Googleでは、検索、ニュース、メー
ル、マップ、スケジュール管理などのサービスを殆どが無料で利用でき
る。Googleアカウントを取得して、パーソナライズドホームページを作成
すると、気になるニュースを集約し、検索履歴やブックマークからサイト
等を抽出でき、設定したキーワードでヒットするアラード機能も使うことが
できる。また、グーグルカレンダーでスケジュールを共有し、グーグルグ
ループで情報を共有することもできる。

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 ■今月のレポート■
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超・格差社会アメリカの真実

1.本書の構成

この本(小林由美著、日経BP社発行)は、筆者がアメリカで26年間暮
らしてようやく見えてきた、アメリカ社会の構造とその生成過程について、
自らの経験と知見をもとに記したものである。筆者は本書で、アメリカと
日本とのさまざまなズレに着目しながら、アメリカという国の社会構造に
ついて、日本人にも皮膚感覚で実感できるように解き明かしていこうと
試みている。そこで特に焦点を当てたのが、アメリカの「階層社会」の現
状と歴史と将来についてである。著者は、日本長期信用銀行に女性初
のエコノミストとして入社し、長銀退社後スタンフォード大学でMBA取
得。現在、経営コンサルタント/アナリスト、JSA International取締役。

いま日本では、社会の階層化に関してさまざまな議論が交わされてい
るが、その中でアメリカとの比較が出てくると、筆者はしばしば強烈な
違和感を覚えると述べている。日米間のさまざまなズレを実感するとい
うのである。そこで、アメリカの階層社会の実相を、データや事実・経験
をもとに、解明することにしたのが本書である。

本書は8章から構成されている。第1章では、アメリカの階層社会の
現実を、筆者の周りにいる人たちの具体例(特権階級、プロフェショナ
ル階級、貧困層、落ちこぼれの各階層)を挙げながら記している。第2
章ではアメリカにおける現在の富の偏在の状況を、第3章では1980
年代以降、アメリカで富の偏在が加速した過程を見ている。この中で筆
者は、「こうした富の偏在は、実はアメリカでは新しいことではなく、富の
分布が平準化した1930年代から第二次世界大戦後に至る20世紀半
ばのアメリカは、歴史的に見るとむしろ例外的な時期だった」としている。

第4章では、そのような富の偏在を当然とするアメリカの土壌、ウオー
ル街の利益を代表するワシントンの金権政治体質、アメリカの支配層
が構築されてきた過程、移民が持つ意味などについて、歴史的な経緯
を含めて説明を試みている。

第5章では、民主主義を掲げるアメリカで、なぜこのような支配構造が
維持されているのか、なぜ富の偏在が続いているのか、その主要原因
であるアメリカの職業教育とキリスト教の影響について考察している。

第6章は、グローバリゼーションを推し進めるアメリカの外交戦略の基
本と、その背後にあるアメリカ国内のパワー構造や人脈について記して
いる。

利己主義まがいの個人主義、評価の唯一の物差しがカネ、社会は一
部の金持ちと大多数の貧乏人に階層化されて、といったアメリカと、元
気で、明るく、ポピュリズムが貫徹していて、広範囲の世界で次々とス
ーパースターが生まれてくるアメリカ。第7章では、そんなアメリカのリ
アルな空気を、筆者が日ごろ暮らしているシリコンバレーの生活感覚で
描写している。そして最後の第8章では、アメリカ型階層社会の行方に
簡単に触れている。

2.アメリカ型の競争社会

第4章「アメリカン・ドリームと金権体質の歴史」で、「自由の国アメリカ
はいかにして階級社会国家となったか」、として、植民地の形成、独立
戦争、南北戦争、第一次・第二次世界大戦と、アメリカがたどった歴史
を取り上げている。そこから浮かび上がるのは次のようなことである。
アメリカの資本蓄積は軍事予算や財政が大きな役割を果たし、それを
支配したことが東北部エリート層の大きな基盤であった。経済体制は
レッセフェール(自由放任主義)のスローガンの下に規制が乏しく、所得
税がなかった(豊かな土地があったので、所得税を徴収しなくてもやっ
ていけた)から、いったん蓄積された資本は集積するのも増殖するのも
速かった。

そして、技術革新をもとに新しい産業や企業が生まれたことは間違いな
いが、それが短時間で大きな事業に成長できた背景には、エリート層に
集中していた巨大な資金とレッセフェールの枠組みがあった。いったん
特権階級の仲間入りを果たしたエリートの多くは、そのままその特権的
地位を維持し続けている。そこから落ちこぼれる比率は、一代で特権階
級入りのできる人の比率と同様、極めて稀なことであると指摘している。

「アメリカはヨーロッパの封建領主による支配体制を基本的に継承して
おり、富と権力の集中による効果は封建体制下の階級制度と実質的
に差がないし、再配分される所得や富が小さければ、富の集中が進
む」。このように述べて、全く新しいロジックで始まった法治民主主義
体制は、それらの権利の根拠を法律で明確にし、支配権の根拠を変
えた。だから支配権を握る人々は(移民当時の支配階級から)確かに
大幅に入れ替わった。しかしいったん交替した後は、制度が変わらな
い限り、世襲が続くと指摘している。

このようなアメリカの現状に対し、「民主主義を国家の基礎にしているア
メリカ国民は、特権層が存在することになぜ怒りもせず、アメリカの機会
平等を信じているのだろうか」。「アメリカの他国に対する軍事介入や経
済支配を“自由と民主主義”を広める聖なるミッションと理解し、スーパ
ーパワーの責任だと信じている理由はどこにあるのだろうか」。この疑
問に対し著者は、機会平等が一部で与えられていること、アメリカが移
民によって成り立った国であること、および教育制度をあげている。

現実的に見れば、「アメリカでは機会は平等に与えられている」という証
拠が、確率は低いにせよ、現実にある。カーネギーも最下層の移民だ
ったし、1980代以降の情報革命は、ビル・ゲイツを筆頭に多くのヌーボ
リッシュ(新興成金)を生み出した。また、移民は、新しい社会に溶け込
むために努力する。それは端的に言えば周囲の人と同じように行動す
ることである。

そして、アメリカの公教育には悲惨ともいえる状況に陥っているところも
少なくないので、教育に真剣で富裕な家庭は、子供を私立の学校へ通
わせる。だが、私立の一流セカンダリースクール(小・中・高校)へ行くと、
年間月謝は通学の場合でも2万ドル、寄宿舎ならば3万ドル近くかか
るので、これだけの教育費を出せる家庭は、アメリカでもさすがに限ら
れる。だから教育に真剣なプロフェショナル階層は、高級住宅街に住
み、その中にある公立学校やチャータースクールへ子供を通わせる。
そこでの(プロフェショナルになるための)職業教育は、既存の社会シ
ステムを前提にして、その中で役立つスキルを教えることだから、既
存体制に疑問を持つことを教えたりはしない。

最後の第8章「アメリカの本質とその行き方」で、このように、「今のアメ
リカには、階層ごとに地域的な住み分けがある。だから個人は自分の
所得水準に合わせて住む場所を選ぶ。アメリカ型の競争社会は、階層
社会の徹底化と、相互の隔離によって維持され得る」。だから、「アメリ
カ型の市場資本主義が世界に広がれば、世界中で住み分けが進むこ
とになるだろう。そしてどこに住めるのか、選択肢を決める最大の要因
は、資本の分布と教育水準ということになる」と、指摘している。

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