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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.081

2007/03/01

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2007/03/01 No.081    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
ストーリーテリングのコツ
[今月のレポート]
マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック
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  ■今月の一言■
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ストーリーテリングのコツ

1.浸透力に差がつく語りのコツ

日経情報ストラジテジーの2007年1月号に、「業務改革を持続させるリ
ーダーの条件、ストーリーテリング」特集が載っている。ストーリーテリ
ング(Storytelling)は、経営・業務革新を強力に推進するリーダーたち
の間で注目され始めた手法である。理解してもらいたいコンセプトや思
いを、それらを喚起させる物語を通じて伝えるというもの。ここで使う物
語は通常、語り手の体験や身近な出来事をベースに作る。「かつてこん
な手痛い失敗をした。このコンセプトが欠けていたからだ」といった具合
だ。物語は単なる言葉よりも、はるかに聞き手の心に響きやすい。

特集では、「理念の継承という「ナレッジマネジメント」 強さの喪失を危
惧する花王」として、花王尾崎社長。「リーダーよ、理念の語り部たれ!
 創業理念に立ち返り、心に響かす」として、カゴメ喜岡浩二社長・ワタ
ミ渡辺美樹社長・スマイルズ池本多賀正常務。そして、「浸透力に差が
つく語りのコツ」として、ビル・ジェンセン氏と、スティーブ・デニング氏の
話を取り上げている。

それぞれの企業の理念と、語り部としての社長たちのストーリーテリン
グの手法は同誌を見ていただくことにして、ここでは、米国のコンサル
ティング会社ジェンセングループのビル・ジェンセンCEOと、ストーリー
テリングを専門に教える著名なコンサルタントであるスティーブ・デニン
グ氏の「浸透力に差がつく語りのコツ」について紹介する。

ジェンセン氏は、「(1)葛藤、(2)展開、(3)クライマックス、(4)結末の4段階
構造のストーリーが、文化や時間の壁を超えて人々の心に響く。世界
中でヒットする映画はこの4段階構造」と助言する。具体的には、次に
ように話を展開すればよいという。(1)将来のバーニング・プラットホー
ム(焼け付く足場)、(2)これまでの達成状況、(3)今年度に達成されるべ
き成功、(4)我々の目指すべきもの。

(1)のステップでは、近い将来に起こり得る危機的な状況を現在のビジ
ネス環境に照らし合わせながら話をし、聞き手に変革の必要性を悟ら
せる。(2)では、これまでにチームや部下が達成した成功事例を紹介し
ながら賛辞する。その後、失敗事例を引用しながら現時点での欠点を
認識させる。(3)では、部下に今年度のチームの目標を伝え、目標をし
っかりと念頭におきながら、目の前の課題にどう対処すべきかを示唆
する。(4)は、リーダーが所属する企業の社会的使命や企業理念、行動
指針を語る。

またデニング氏は、「ストーリーテリングは万能ではないが、次の7つの
目的に効果的だ」と指摘する。(1)自分を理解してもらう、(2)価値観を伝
える、(3)変革のための行動を引き出す、(4)未来に導く、(5)共同作業を
促す、(6)ナレッジマネジメント、(7)うわさを管理する。これらのうち、(1)
〜(4)の組み合わせこそが、企業のリーダーが理念や思いを部下に伝
え、たゆまぬ経営・業務革新の意識を育み、変化に強い組織を作ると
いう目的に合致する。

ここで重要なポイントは、目的に応じて引用する物語のタイプを使い分
けることだ。(1)では自身の強みと弱みが垣間見えるドラマティックな体
験談。(2)では組織の価値観を伝えるための物語はたとえ話でもよいが、
信頼できるものでなければならない。(3)では最近の成功した事例であ
り、聞き手が自らの状況に応用できると容易に想像させるもの。(4)で
は進みたい未来が「結局間違いだった」とならぬよう、詳細に描写しす
ぎない物語を作る。

2.変革の火付け役となる物語

先の特集で、ストーリーテリングを専門に教える著名なコンサルタントと
して紹介されているスティーブ・デニング氏の著書に、「チーム・リーダ
ー」がある。この著書でデニング氏は、ある組織において、変革の火付
け役となる物語(ストーリー)をどのように作り上げ、そして、どのように
語ればいいかを詳細にアドバイズしている。また、このような変革の火
付け役となる物語以外に重要度の高いストーリーテリングを、6つに分
類(信頼を築き上げる、部下を協働させる、価値を伝える、悪い噂を骨
抜きにする、知識を共有する、未来を創出する)して展開してみせてい
る。

この著書では、(動物の)リスたちによる架空の世界にある、リス株式会
社という架空の組織を使って物語を展開している。リス株式会社は、か
つてはエリート企業であり、どの基準からみても成功していた。だが時
代は変わった。市場が変わってしまったのだ。収益は停滞し、マーケット
シェアはむしばまれている。過去に会社を成功させてきた、その体質や
実践こそが、なされるべき刷新や変革を妨げる足かせとなってきたので
ある。リス株式会社の経営陣は程度の差こそあれ、会社が凋落した理
由に気付いている。だが、何をなすべきかについての意見はばらばら、
動きそうな気配すらない。

物語は、リス株式会社の近くで、ネクター(果汁)バーを経営するバーテ
ンダーの店に、リス株式会社の前途有望な幹部社員で、「物語」の力が
行動を起こさせることを知る、ダイアナが訪れるところから始まる。この
バーテンダーが主人公の私であり、ストーリーティングのコンサルタント
の役割を果たすことになる。ダイアナは、「リス株式会社は、これまでず
っとリスたちが木の実を埋めるのを助けてきたが、人間たちが庭を年が
ら年中掘り返しているために、埋蔵事業による収益を下降させている。
今後さらに縮小せざるを得なくなるので、木の実を貯蔵する会社になる
べきだ」と考えている。だが、「会議でプレゼンをしても迷惑そうな顔をさ
れた」だけだった。

「今までに、物語を語ろうとしたことはありますか?」と私は尋ねる。その
後次のような手順を経て、組織に変革を起こすストーリーティングの完
成へと話は進む。「取り組もうとする変革の中身を明確にする」「変革が
すでになされたというエピソードや物語を考える」「想定する聞き手の象
徴となるような主人公を一人に絞る」「語る内容が実際に起きた時間と
場所は具体的に述べる」「変革へのアイデアを具体的に示せる物語か、
変革を予測させられる物語にする」「物語を語る際、変革へのアイデア
がない場合に起こり得ることを明らかにする」「物語から不要な細部は
取り除く」「物語の結末は必ず正真正銘のハッピーエンドにする」「物語
と変革へのアイデアを結びつけるために「考えてみてください・・・」とい
った語句を用いる」

できあがった物語では、ほんの数ヶ月前に起きた、ある成功した出来事
を披露して、「想像してみてください。すべてのリスが、最新の貯蔵技術
を活用したらどうなるかを。リス株式会社で、無数のリスたちがドングリ
などの木の実を貯蔵するのを手助けできたなら、どうなるでしょうか? 
考えてみてください。会社にとって、実にすばらしいビジネスになると思
いませんか?」

ダイアナの物語はこれで終わりではない。これがストーリーテリングの
始まりである。この本の中では、「物語」というのがいかに効果的なチー
ム・リーダーの手法になり得るかを、具体的な物語形式を用いて紹介し
ている。

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 ■今月のレポート■
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マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック

1.本書の構成

今回取り上げた本書(イーサン・M・ラジエル、ポール・N・フリガ共著、嶋
本恵美、上浦倫人共訳、ソフトバンククリエイテェブ発行)は、英治出版
より2002年に刊行された「マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニ
ック」を文庫化したものである。1999年に出版された、マッキンゼーの
元アソシエート、ラジエルによる「マッキンゼー式世界最強の仕事術」が、
ラジエル自身の体験やマッキンゼー卒業生の逸話などを織り込んで、
マッキンゼーのコンサルタントが用いるテクニックを紹介したものに対し、
本書では、どうすればマッキンゼーの方法を自分のキャリアや組織に
応用できるかを論じている。

マッキンゼーはクライアントが抱える戦略的課題への解決策を明らかに
し、場合によっては解決策の実行を手伝う。マッキンゼーで実践されて
いる問題解決プロセスはビジネス課題、分析、プレゼンテーション、マネ
ジメント、実行、リーダーシップの六つの要素に分けられる。このうち本
書では、「分析」、「プレゼンテーション」、「マネジメント(管理)」を中心に
取り上げている。

第1章「問題の構造を把握する(構造を把握する、仮説を立てる)」から、
第2章「分析を計画する」、第3章「データを収集する(リサーチ戦略と
ツール、面接調査のテクニック、ナレッジ・マネジメントを究める)」、第4
章「分析結果を解釈する(データを理解する、最終結果を生み出す)」ま
では、事実に基づいた仮説主導の問題解決プロセスを取り上げ、読者
の組織で発生した複雑な問題と取り組むとき、それをどう活用せればよ
いかを説明している。

第5章「最終結果をプレゼンテーションする(プレゼンテーションの構造、
同意を得る)」では、プレゼンテーションの戦略に目を向け、対象が上司、
取締役会、会社全体のいずれの場合でも、読者の考えが最大のインパ
クトとともに伝えるテクニックを紹介している。
 
最後に、第6章「チームをマネジメントする(チームを編成する、コミュニ
ケーションを促進する、きずなを育てる、成長を促す)」から、第7章「ク
ライアントをマネジメントする(クライアントを獲得する、クライアントとの
関係を調整する、クライアントを保持する)」、第8章「あなた自身をマネ
ジメントする(職場での生活、個人的生活)」で、あなたの問題解決に向
けた努力がスムーズに進むように、必要なマネジメント・テクニックを取
り上げている。

本書は「仕事術」を基盤として話を進めているが、「仕事術」を読んでい
なくても支障がないように、各章の初めに<マッキンゼーのテクニック>
という項を設け、「仕事術」で学んだことを要約している。本書執筆のた
めに75人以上のマッキンゼー卒業生と面接し、アンケート調査に答え
てもらったが、この人たちは、マッキンゼーの手法や戦略を他の組織で
実行して成功を収めている。そういうわけで、本書に示されている問題
解決テクニックと意思決定のプロセスは、マッキンゼー卒業生が退社し
てから就いた職場での経験に裏打ちされている。各章の各節は、「マッ
キンゼーのテクニック」、「マッキンゼーでの教訓と成功例」、「活用・実
践ガイド」、「練習問題」から構成されているが、ここでは、本書の目的
である応用を視点にしている「活用・実践ガイド」を中心に、その内容を
紹介する。

2.仮説主導の問題解決プロセス

第1章「問題の構造を把握する」の「構造を把握する」では、「現実を構
造化する」、「問題を構成要素に分解する」、「ロジックツリーを活用する
」、「複雑な問題を単純な形で表現する」、「新しいフレームワークを考え
る」を、取り上げている。ここで、構造を把握するために問題を分解する
のにマッキンゼー人が利用する最も一般的なツールは「ロジックツリー
(論理樹形図)」であり、ロジックツリーは、マッキンゼーのコンサルタン
トが用いる数多いフレームワークの一つで、マッキンゼー退社後もとり
わけよく利用されている。

このように適切なフレームワークを利用して、問題を本質的な構成要素
にまで煮詰めた後は、構造を把握するプロセスの次の段階に進む。解
決策となりうる仮説を立てるのであるが、仮説を立てると問題解決の効
率や効果を向上させられるとは言っても、しっかりした仮説を生み出し
てテストする必要がある。仮説は問題解決プロセスの初めに立てるも
のなので、どちらかと言うと事実より直観に頼る部分が大きい。「仮説を
立てる」では、「仮説はクイックテストにかける」、「ロジックツリーを作製
する」で、USA社(架空の会社)の有力製品であるスラム・マット製造を
例にとって、コスト削減の選択肢のクイックテストを紹介している。

クイックテストに合格する仮説を見つけることができた次の段階は、仮
説をもっと徹底的にテストし、必要であれば、イシューツリーを作製する。
ここで、イシューツリーは、ロジックツリーを進化させたもので、仮説を
証明あるいは反証するのに取り組まなければならない一連の質問や
問題点を示している。ここでも事例として、USA社のスラム・マット処理
プロセスを短縮するためのイシューツリーを紹介している。このように
初めにほんの時間をかけて、論理的なに矛盾している仮説を取り除き
(クイックテスト)、それからツリーを利用して分析の範囲を決めるほう
が時間の節約になるうえ、よりよい結果が得られる。

第2章「分析を計画する」では、「問題点を把握する」、「無用な分析を
省く」を、取り上げている。例として取り上げたUSA社では、第1章で、
インシューツリーが完成したところまで見た。そのツリーの枝の一つに
「会社は必要な変更を実施できるか」という問題点があったが、それを
展開させて細かい問題点に分け、イエス/ノーで答える質問にしている。

第3章「データを収集する」の「リサーチの戦略ツール」では、「戦略的
なデータ収集とは」、「事実を重視する文化を築く」、「適切な情報源を
探す」を、「面接調査のテクニック」では、「面接前後のフォローに気を配
る」を、取り上げている。

このように、第1〜3章では、最初に仮説を立てるところから、分析の計
画を経て、分析の対象となるデータの収集まで見てきた。第4章では、
マッキンゼー人がどのように分析から結論を導き出し、クライアントにと
って有益な提案にまとめるのかを紹介し、読者がこれを自分の組織で
実践するにはどうすればよいかを説明している。分析の解釈は、二部
に分かれている。第一部は、データを理解するプロセス、第二部では、
この作業によってわかったことを、読者の組織または顧客がとるべき処
置にまとめていく。

「データを理解する」では、「事実が仮説と矛盾するときは、仮説を変え
る」、「80対20の法則を活用する」を、「最終結果を生み出す」では、「
すべてを話してはいけない」、「クライアントが変化を起すのを手伝う」
を、取り上げている。マッキンゼー卒業生に、データの理解を助けるも
のとして何を利用しているかを尋ねたところ、ほぼ全員が「80対20の
法則」をあげた。例えば、販売員の20%が売上高の80%を稼ぎ出し
ていると判明したら、なぜそうなるのか、残りの販売員をトップのレベル
にまで引き上げるにはどうすればよいのかを考える。報告書をどういう
ストーリーにするかを決めるときにも、どの提案がクライアントにとって
最大の価値を生み出すかを考えて、重要な20%に集中する。

また、問題解決プロセスの目標は、素晴らしいアイデアを思いつくこと
だけではない。マッキンゼーのコンサルタントにファームのしていること
は何かを尋ねたら、「クライアントが変化を起すのを手伝う」という答え
が大勢から返ってくるはずだ。それは、このうえなく優れたアイデアや
巧妙な戦略でも、クライアントに受け入れられないで実行されなかった
ら何の価値もないことを知っているからだ。「クライアントが変化を起す
のを手伝う」では、「受け入れられるようにするには、人を動かさずには
おかないような物語にまとめあげることで、それにはストーリーの進行
に役立たない事実を省かなければならない」と強調している。

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