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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.080

2007/02/01

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2007/02/01 No.080    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
日本の進路
[今月のレポート]
ハイ・コンセプト――「新しいこと」を考え出す人の時代
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  ■今月の一言■
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日本の進路

1.国家の品格

約1年前に発行された、藤原正彦氏の「国家の品格」がベストセラーに
なった。前書きに書かれているように、筆者は、30歳前後にアメリカに
3年間ほど教鞭をとり帰国後、次第に論理だけでは物事は片付かない、
情緒とか形が大事だと考えるようになった。情緒と形は共に日本人を
特徴づけるもので、国柄ともいうものであった。だが、これらは昭和の
初め頃から少しずつ失われ、バブル崩壊後は、崖から突き落とされる
ように捨てられてしまった。

経済改革の柱となった市場原理をはじめ、留まるところを知らないアメ
リカ化は、経済をはるかに超えて、社会、文化、国民性にまで深い影響
を与えてしまったのである。金銭至上主義に取り憑かれた日本人は、
マネーゲームとしての、財力にまかせた法律違反すれすれのメディア
買収を、卑怯とも下品とも思わなくなってしまった。筆者は、「日本はこ
うして国柄を失った。「国家の品格」をなくしてしまったのである。現在
進行中のグローバル化とは、世界を均質にするものです。日本人はこ
の世界の趨勢に敢然と闘いを挑むべきと思います。普通の国となって
はいけないのです」と言っている。

日本が国家の品格を取り戻すために、何から手をつけ、何をしたらよい
のであろうか。筆者は最後の第7章で、この問題を取り上げている。よ
く政治家が、「日本はもっと普通の国になるべきだ」というが、その意味
するところは、たいていの場合、「アメリカみたいな国」に過ぎない。これ
に対して筆者は「異常な国」であり続けるべきだといっている。

京都議定書の批准を拒否し、国際人道裁判所の設置に反対し、自分
の言いなりにならない国連に対して分担金を滞納するようなアメリカの
鼻息をうかがい、「国際貢献」などといってイラクに戦えない軍隊を送る
ことに賛成できない。市場原理といって、各国の利己的な利潤追求を
自由に放任していたら、ゴミ問題一つ解決しない。福祉はどうなるのか。
必然的に弱者や敗者が大量に発生するが、誰が救済するのか。「神
の見えざる手」が何一つ解決してくれないことは、過去の戦争、植民地
獲得、恐慌が証明している。

筆者は、品格ある国家の指標は四つあるといっている。1)独立不羈、
2)高い道徳、3)美しい田園、4)天才の輩出。1)の独立不羈(ふき)と
は、自らの意思に従って行動のできる独立国ということ。誇りと自信が
ないと、繁栄しているならどこの植民地であろうと構わないとなる。また
2)、3)では、日本人の道徳心や美しい田園が、市場経済によりはび
こった金銭至上主義に徹底的に痛めつけられている。4)では、天才が
輩出するためには、役に立たないものや精神性を尊ぶ土壌、美の存
在、跪く心などが必要と強調している。そして、このような世界を救える
のは、日本人しかいないと主張している。

2.政党の政策ビジョン

近年、グローバル化に伴う格差の問題がクローズアップされている。経
済のグローバル化によって、中国や東南アジアで生産できるものはア
ジアで、ITなどインドで生産できるものはインドでというように、少しでも
人件費が安くすむ地域にアウトソーシングされる。それを日本でやろう
とすると、人件費をよほど安くしないと引き合わない。「新しいものを発
想していく能力」や「右脳を生かした全体的な思考能力」など、先進国で
なければすぐには生かしきれない「感性」を磨いて、新しい分野に進出
していかなければ、グローバル化によって格差が生じるのを避けられな
いのであろう。

先に、西部ライオンズの松坂大輔投手が米大リーグのボストンレッドソ
ックスへ入団した。入札額が60億円、契約金も61億円と、これは松坂
本人もビックリという額である。西部球団は、松坂の穴は大きいが、ポス
ティングシステムに乗せたお陰で、大金がはいったと報じられている。
松坂のケースは、米国の大リーグの話であり、アメリカの球団が自ら決
めたルールの中でどのような対応しようが、彼らの勝手である。野球選
手の場合、強い選手がいればその選手目当てで観客が集まるわけで、
当然、選手の年俸には大きな格差が生じる。プロ野球でなくても、利益
を上げるために貢献した人には、多くの収入が得られるのは当然であ
ろう。

しかし、世界のグローバル化のルールは特定の国だけで決めることで
はない。グローバル化の結果生じる格差社会はどうあるべきか、グロ
ーバル化の改革のために日本の政治は何をすべきか、それは日本の
国民が選択することなのである。青色ダイオード訴訟で発明者の中村
修二氏が日亜化学と8億4300万円で和解したが、金融関連企業の専
門家が数年で得られる年収相当である。それぞれ異なる分野での貢
献者がどのような評価を受ける社会が望ましい社会なのだろうか。各
階層の年収や資産の格差は。

また、ルールを勝手に作るのと同様に、ルールを無視することも許され
ないことである。無視が許されるということになれば、粉飾決算などで多
数の投資家を欺き、巨額の利益を得ようとする者がでてくる。ルールが
特定の国や特定分野の人だけが利益を得るようにつくられていれば、
合法活動の範囲でも、結果として大きな不公平が生じる。

さて日本の政治をみると、2大政党といいながら、どちらの政党も、「美
しい日本」「生活維新」というような抽象的な言葉を羅列しているだけで、
その政策が国民に見えてこない。外交では、アメリカのやったイラン政
策に賛成しており、今後も強いアメリカの傘の下で安全を守るために
両国の友好を何よりも優先して対応するというのか、それともブッシュ
のイラン政策は間違っていると考えており、日米安全保障条約はお互
いに尊重していくが、多くの友好国との協力関係を基に国を守っていこ
うとするのか。

小泉内閣の経済閣僚が進めてきた経済政策に賛成するのか、政府(
選挙の洗礼を受けない官僚ではない)が適切な規制と介入を行わなけ
ればならないと考えているのか。道路公団や郵政は、現在進めている
ような民営化がよいと考えるのか、役割を果たした事業の改革的削減
が先だと考えるのか、グローバル化の影響による格差の縮小のため、
(資産に関係なく)教育や職業訓練を受けたり、職種や勤務先を変えや
すい環境をつくるのか、再チャレンジのチャンス拡大にまかせるのか。

混沌とした今の世の中、いずれかが全て正しく、一方がまったく間違っ
ているということではないのかも知れない。いずれにせよ、2大政党が
その基本政策と実現のプロセスを提示し、国民が選択できるようにし
ていくことが民主政治の第一歩なのではないだろうか。

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 ■今月のレポート■
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ハイ・コンセプト――「新しいこと」を考え出す人の時代

1.情報化社会からコンセプチュアル社会へ

この本(ダニエル・ピンク著、大前研一訳、三笠書房)の訳者解説で、
大前研一氏は、「情報化社会もいまや最終段階に入って、早くも「第四
の波」が押し寄せつつある、というのが本書でダニエル・ピンクが指摘し
ている重要なポイントだ。だからダニエル・ピンクは本書の副題を「情報
化社会からコンセプチュアル社会へ」としている」「コンセプチュアル社
会というのは、既成概念にとらわれずに新しい視点から物事をとらえ、
新しい意味づけを与えていくという流れだ。本書の著者ダニエル・ピン
クのメッセージは、21世紀は突出した個人が富を支配する世の中だ。
そういう「突出した個人」は「六つの感性」を磨いている、というところに
ある」と紹介している。

これからは、創造や共感、そして総括的展望を持つことによって社会や
経済が築かれる時代、すなわち「コンセプトの時代」になる。この2,30
年ほどの間、世の中はある種の知識を持った特定の人たちのものであ
った。コンピュータ・コードを操るプログラマー、巧みな契約を作り上げる
弁護士、ビジネスの数字をバリバリ処理するMBA取得者などである。
だが、未来をリードするのは、何かを創造できる人や他人と共感できる
人、パターン認識に優れた人、そして物事に意義を見出せる人である。
つまり、芸術家や発明家、デザイナー、ストリーテラー、介護従事者、カ
ウンセラー、そして総括的に物事を考えられる人である。この本では、
先進各国で進行中の、それらの激しい状況の変化について述べている。

脳は右脳左脳に分かれていて、左脳は逐次的、論理的、そして分析的
に情報を処理するが、右脳は非直線的で、直感的、本能的、そして包
括的、全体的に機能する。これまでの時代を象徴する能力、すなわち
「情報の時代」を引っ張ってきた「左脳的」能力は、今日でも必要ではあ
るが、もはやそれだけでは十分とはいえない。そして、かっては軽視さ
れてきた創作力や共感、喜び、意義といった「右脳的」な特質が、これ
からの世の中で大きく飛躍できるか、もがき苦しむことになるか、を決
める重要な要素になってくる。

本書では、今後、「左脳型思考」の重要度が低くなり、「右脳型思考」の
重要度が増す原因として、下記の三つの要因をあげている。1)豊かさ
のおかげで、多くの人の物理的ニーズは過剰なまでに満たされた。そ
れによって美しさや感情面を重視する傾向が強まり、物事の意味への
追求に拍車がかかった。2)ホワイトカラーが従事する左脳型のルーチ
ン・ワークの大部分が、今ではアジアの国々で驚くほど安いコストで行
われている。3)オートメーションにより、ひと昔前のブルーカラー労働
者がロボットに職を奪われたのと同じような影響を、現代のホワイトカ
ラー労働者も受け始めた。

第一部の「ハイ・コンセプトの時代」では、幅広く活発な議論を展開して
いる。1章では右脳と左脳の働きの違いをまとめ、なぜ、脳の構造が私
たちの時代を象徴する「比喩」として用いられるのかを説明している。2
章では、三つの大きな社会的・経済的要因、すなわち豊かさ、アジア、
オートメーションが、なぜ私たちを「ハイ・コンセプトの時代」へと動かし
ているのかを考察している。そして3章では、「ハイ・コンセプト」と「ハ
イ・タッチ」について説明し、こういった能力を身につけた人々が現代
人の生活のテンポを決めることになる理由を明らかにしている。
第二部の「六つの感性」では、これから訪れる新しい世界をうまく生きて
いくために必要となる、人間の感性の領域に属する六つの資質につい
て述べている。デザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがいである。そ
れぞれに1章ずつを割き、ビジネスや日常生活においてどのように活
用されるのかを説明している。

2.六つの感性(センス)

新しい時代を動かしていく力は、これまでとは違った新しい思考やアプ
ローチであり、そこで重要になるのが、「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」
であると指摘している。「ハイ・コンセプト」とは、パターンやチャンスを見
出す能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させ
る話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構
想や概念を生み出す能力などだ。「ハイ・タッチ」とは、他人と共感する
能力、人間関係の機敏を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また、
他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出
来事についてもその目的や意義を追求する能力などである。

「ハイ・コンセプト時代」には、左脳主導の考えかたを、六つの不可欠な
「右脳主導の資質」を身につけることで補っていく必要があるが、これ
ら六つのハイ・コンセプトでハイ・タッチな感性を合わせれば、新しい時
代に求められる新しい全体思考を培うのに役立つだろう。このように述
べて、デザイン、物語、全体の調和、共感、遊び心、生きがいの六つの
感性を、次のように紹介している。

1)機能だけでなく、「デザイン」
商品やサービス、あるいは、体験やライフスタイルにおいても、もはや
機能だけでは不十分だ。外観が美しく、感情に訴えかけてくるものを創
ることは、今日、経済面において不可欠なことであり、個人のためにも
なる。

2)議論よりは「物語」
情報とデータがあふれた今日の生活では、効果的な議論を戦わせる
だけでは十分ではない。説得やコミュニケーション、自己理解に肝心な
のは、「相手を納得させる話ができる能力」なのである。

3)個別よりも「全体の調和」
「産業の時代」と「情報の時代」の大半を通じて、何かに焦点を絞った
り、特化したりすることが重視されてきたが、その対極にある資質に新
たな価値が見出されるようになった。それはばらばらなものをひとまと
めにする能力で、分析力ではなく総括力、つまり全体像を描き、新しい
全体観を築き上げる能力である。

4)論理ではなく、「共感」
情報があふれ、高度な分析ツールのある世の中では、論理だけでは立
ち行かない。成功する人というのは、何が人々を動かしているかを理解
し、人間関係を築き、他人を思いやる能力のある人である。

5)まじめだけでなく「遊び心」
笑い、快活さ、娯楽、ユーモアが、健康面でも仕事面でも大きな恩恵を
もたらすということは、数多くの例により証明されている。「コンセプトの
時代」では、仕事にも人生にも遊びが必要なのだ。

6)モノよりも「生きがい」
私たちは、驚くほど物質的に豊かな世界に住んでいる。それによって、
何億もの人々が日々の生活に苦しむことから開放され、より有意義な
生きがい、すなわち目的、超越、精神の充足を追い求められるように
なった。

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