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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.076

2006/10/05

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2006/10/05 No.076    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
飲酒運転防止装置
[今月のレポート]
学習する組織「10の変革課題」
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  ■今月の一言■
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飲酒運転防止装置

1.飲酒運転防止装置の技術開発情報

福岡市東区の海の中道大橋で8月25日夜、会社員一家5人の乗った
車が追突されて海に転落し、子供3人が死亡した痛ましい事故で、飲
酒運転の問題がクローズアップされている。福岡県警東署は9月5日、
追突した車を運転し、業務上過失致死傷容疑などで逮捕された容疑
者に頼まれ、事故現場に水を運んで飲酒検知前に飲ませたとして大
学生を証拠隠滅容疑で逮捕した。また、容疑者の飲酒を知りながら車
で自宅まで送らせたとして、 道交法違反(飲酒運転ほう助)の疑いで
会社員容疑者を逮捕した。

飲酒運転防止装置に関する自動車メーカーの技術開発情報を調べる
目的で、Webの検索サイトで事例を調べた。とりあえず、1)スエーデン
の乗用車メーカーサーブの「サーブ、アルコール検知機能付きキーユ
ニット、「アルコキー“Alcokey”」を公開」
http://www.saab.co.jp/pressreleases/pr20040622.shtml>、2)伊仏
合弁のSTMicroelectonics社の「運転者の飲酒運転を防止するアルコ
ール検地用MEMSセンサなどを搭載したマルチメディア・カーを出展」
http://techno.nikkeibp.co.jp/members/NEWS/20041007/105797/>
等が検索された。

アルコキーは既存の盗難防止装置の技術を応用しており、ドライバー
がリモコンキーのドア開閉ボタンを押すと同時にアルコール検知システ
ムの電源が入る仕組み。リモコンキー内部には小型のアルコール検知
器が組み込まれ、ドライバーが吹き込み口に息を吹き込むと、呼気中
のアルコール濃度が基準以下の場合には緑のランプが、基準を超える
場合には赤のランプが点灯する。緑のランプが点灯した場合には、車
体側の制御ユニットに警報解除の信号が送信され、エンジン始動が可
能になる。

大量の自動車を保有し、多数の従業員が業務で自動車を使用する企
業では、アルコール検知器を保有車両に取り付けることにより、社会
的責務の一端を果たすことが可能であると、サーブでは期待を寄せて
いるとのこと。会長兼CEOは、「アルコキーは極めて現実的で、効果
的な解決策だ。自分が本当に適した状態であるかどうか、正確に把
握したい人々に大いに助けになる」と語っている。市販に移された場合
の価格は約250ユーロとのこと。

STMicroelectonics社のアルコール検知用のMEMSセンサは、直径
8mnのカン・パッケージに素子を入れ、信号処理回路などと共にステア
リングに組み込んだ。運転者の呼気に含まれるアルコールを検出する
と、エンジンを始動できなくするシステムなどを想定している。アルコー
ルの測定原理は、従来のアルコール・センサと同じで、酸化スズ素子を
用いる。ヒーターを入れたままでのセンサの寿命は3〜4年。ベース車
にはイタリアSTARTLAB社の電気自動車を用いた。また同社では、ハ
ンズ・フリーを可能にするルーム・ミラーも出展した。ルーム・ミラーに
Bluetoothモジュールを内蔵することで、車室内のどこに携帯電話があ
ってもハンズ・フリー通話が可能になる。

2.国会の議論

2月10日の読売新聞(YOMIURI ONLINE)によると、トヨタ自動車の
渡辺社長は基調講演で居眠り運転や飲酒運転を防止できる装置の早
期実用化を目指す考えを示した。渡辺社長は、経営課題として、<1>
技術開発<2>品質の追及<3>原価低減<4>現地化――の4つ
の重要テーマを掲げた。技術開発では、安全技術の開発に積極的に
取り組む方針を示し、「アルコールを検知したら、エンジンがかからない
仕組みなど、いろいろな方法が考えられる」と説明した。

飲酒運転防止装置といえば、5月30日の新聞(asahi.com)に、「飲ん
だらエンジンがかかりません 飲酒運転防止に新兵器」として、ドライバ
ーの息からアルコールをかぎわけ、車のエンジンを止めて飲酒運転を
防ぐ装置のデモンストレーションが29日、都内で行われた(NPO法人
「MADD(飲酒運転に反対する母親たちの会)Japan」主催)と報じてい
る。欧米で飲酒運転の違反者の車に再犯防止を狙って取り付けられて
いるという。

ストロー状の吹き込み口に息を強く吹き込み、アルコール分が含まれ
ればエンジンをかけられない仕組み。いったんエンジンをかけて運転を
始めても、時折チェックを求められ、無視すると警察などに通報される。
米国の大半の州やフランス、英国などで違反者の再犯防止のために
導入されており、装置があると再犯率が75%下がるという報告もある
とのこと。

このような飲酒運転を防止するための装置であるいわゆるインターロッ
クについては、藤末健三参議院議員提出の交通安全対策に関する質
問書(速度制御に関する施策、スピードリミッター、ソフトカー、インター
ロック、ブレーキアシスト、研究開発と普及計画の明示)に対し、小泉総
理名の答弁書が下記のWebに公開されている。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/162/meisai/162053.htm

そのうち、飲酒運転防止装置に関しては次のような内容の答弁である。
「お尋ねの飲酒運転を防止するための装置であるいわゆるインターロッ
クについては、米国の一部の州において、飲酒運転の違反者の再犯防
止のための罰則の代替手段として位置付けられていると聞いているが、
このような装置については、吹き込んだ呼気が運転手のものであること
を正確に特定できること等の有効性は確認されていないと承知している」

第3者に息の吹き込みを代行させてもエンジンがかかってしまうので、
効果に疑問があるとの趣旨である。しかしながら、飲酒運転であること
を承知してエンジンを代わりにかけてやることは飲酒運転ほう助であり、
エンジンをかけるたびに共犯者を用意することはかなりのリスクになる
のではないだろうか。

また吹き込み時の画像か音声等をメモリーに記録するか、管理センタ
ーに通報するシステムにするとか、運転中も時折再チェックを要求す
るようにすれば、実効性を高めることもできよう。今後技術が進歩すれ
ば、センサやその回路が高性能・微細化し、運転状態で時折運転者の
吸気をチェックし、アルコール濃度が一定量を越えればエンジン停止
を警告するなどの、アルコールチェックが容易にできるようになろう。

スエーデンでは6年後の2012年までに、すべての新車にインターロッ
クの搭載が義務付けられるという。一般の運転者に対しても、前日な
いしはかなり前に飲んだ酒のアルコールの影響が完全に抜け、自分が
本当に運転に適した状態であるかどうか、正確に把握してから運転し
たいと考える人々に大いに助けになるのではないだろうか。

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 ■今月のレポート■
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学習する組織「10の変革課題」

1.導入時の課題

本書(フィールドブック、学習する組織「10の変革課題」なぜ全社改革
は失敗するのか、ピーター・センゲほか著、柴田昌治/スコラ・コンサ
ルタント監訳、日本経済新聞社)は、「最強組織の法則」の著者である
ピーター・センゲたちによって現場(フィールド)のメモとしてまとめられ
たものである。本書の読み方と題した導入部で、本書の背景について
次のように記されている。「最強組織の法則」が出版された後、多くの
読者から、「学習する組織をつくるためにはまず何から着手すればよ
いか、をもっと知りたいという要望があった。それに答えるために、本
書の著者たちは「フィールドブック――学習する組織「5つの能力」」を
執筆した。同書はさまざまな状況に中で日常的に取り組む学習を支援
する目的で、実践の手引き、演習、物語、評論、短いエッセイを収録した。

「フィールドブック――学習する組織「5つの能力」」が世に出て以来、
著者たちは、変革活動を進める過程で遭遇する様々な課題をますます
意識するようになった。1994年から1995年にかけて、このテーマを中
心としたいくつもの集中的な研究会が、MIT(マサチューセッツ工科大
学)の組織学習センター(現・組織学習協会=SoL)によって開催された。
これらの研究会で参加者から提示された洞察や研究内容を、「フィール
ドブック――学習する組織「5つの能力」」の著者たちが自身の経験や
思索を踏まえて考察し、肉付けしていくうちに、「10の課題」が浮かび
上がってきた。

そこで著者たちは、それらの課題に対して優れた取り組みを行った組
織の事例を収集する作業に取りかかったのである。本書はそのように
してできあがった。著者たちは、根本からの変化に取り組むに誰もが
直面する、壁といえる「10の課題」(下記)をこのようにして発見し、同
時に、変化を促進する3種類の成長プロセスも見つけることができた。
ここでは、同書に載せられている、スコラ・コンサルタント 三好博幸氏
の解説を引用して10の課題を簡単に紹介する。

まず、根本からの変化への取り組みが始まる導入段階では、おもにパ
イロットグループ自体に課題が現れる。

■課題1「時間がない」:パイロットグループのメンバーが時間に対する
柔軟性に欠けることから、変革活動に注力すべき時間が有効に使わ
れなかったり、変革活動の優先順位が下げられてしまう。これにより、
内省や探求、対話といった基本的な学習能力の発達が妨げられ、変
革へのコミットメントが低下してしまう。

■課題2「孤立無援」
変革活動はパイロットグループ、あるいはそのメンバーだけで進める
ことは困難であり、さまざまな「支援」が必要である。しかし、支援する、
あるいは支援を受ける土壌と体制が整っていない場合、パイロットグ
ループは十分な成果が上げられず、孤立感と徒労感のうちに変革活
動は勢いを失っていく。

■課題3「意味がない」
変革の必要性や意味がパイロットグループのメンバー、あるいは組織
内に十分に共有されていない場合、メンバーは変革の目的を自分と結
びつけることができず、コミットメントを維持することができなくなってし
まう。

■課題4「言行不一致」
変革を提唱したり、支持していると見られるリーダー、特に経営層やパ
イロットグループのリーダーの姿勢や本気度合い、価値観や変革の目
的、メンバーが内省することへの安全性に関しての言行の不一致が感
じられる場合、変革活動に関する信用が低下し、メンバーのコミットメン
トが失われていく。

2.変革を維持するための課題

変革活動から1〜2年で、パイロットグループの動きも軌道に乗り、成
果も出始めてくると、パイロットグループの活動の影響がグループ外
へも及ぶようになる。初期段階を終え、次の変革を維持する段階では、
パイロットグループ内部と外部とのかかわり合いの中で課題が発生す
る。

■課題5「恐れと不安」
パイロットグループの学習能力が高まってくると、オープンに話し合える
開放性が高まってくるが、パイロットグループや組織の中に何を話して
も安心という安全性と信頼が十分確保されていなければ、セーフティネ
ットのない変革活動に対する恐れと不安が生み出され、変革を維持す
ることが困難になってくる。

■課題6「評価と測定」
変革活動が進むと、パイロットグループの内外で変革の成果に対する
期待が高まる一方、従来の評価体系では新しい変革の意義と成果が
測定できないことから、期待と成果実感のギャップが大きくなり、次第
に根本からの変化への取り組みに対する信頼が失われていく。

■課題7「改革者と部外者」
パイロットグループの変革への熱意と信念、成果への自信が強くなる
にしたがい、グループの凝集性が高まり、外部との溝が広がってしま
う。グループに対する周囲の脅威感や反発が増し、変革活動への巻
き込みも困難になる。

3.再考とリデザインの課題

パイロットグループでの変革の取り組みがある程度成功を収め、正当
性が認識されるようになると、今まで部分的だった変革の取り組みが
組織全体に影響を及ぼすようになる。第三の段階では、変革の普及、
組織の構造基盤・統治原理・慣習への影響の中で課題が現れる。
■課題8「ガバナンス(統治)」
パイロットグループの現場での自立的な自己統治能力の高まりや、組
織内の他グループや他メンバーとの相互依存性や協働関係の自律的
な管理に対して、役員層が寛大な新しいガバナンス構造を開発できな
い、あるいは現場の自律性が未成熟な場合、管理統制への揺り戻し
が生じ、メンバーの変革に対する熱意と積極性を低下させてしまう。

■課題9「普及と浸透」
パイロットグループでの成功事例に学べない、組織の壁を越えて成功
の経験やノウハウを伝える能力がない、または組織内に学習や普及
の土壌、インフラがない場合、組織全体にわたる変革は困難なものに
なる。

■課題10「戦略と目的」
根本からの変化が進み学習能力が高まると、パイロットグループのメ
ンバーの視点が高くなり、組織全体の戦略や目的にまでかかわりを持
つアイデアが生み出されるようになる。これを受け入れ、新たな創造を
行う組織能力が不足していたり、もともとの組織戦略や目的が志の低
いものである場合、組織全体の成長が停滞してしまう。

4.GEの組織学習と進化

最後に、「時間がない」という問題が、包括的で革新的な組織学習構想
へと繋がった経緯について、ジェネラル・エレクトリック社(GE)の事例が
載せられているので紹介する。この事例は、「GEの組織学習と進化」
と題したGEの企業大学の経営幹部の解説である。GEは、「企画がす
べてを左右する」企業から、「変化を尊重する」組織に変わるための取
り組みを行っている。顧客が新しいことを要求したり、競合他社が市場
に新規参入したり、何か予期せぬ出来事が起きることを、社のメンバー
は予測できなおかも知れない。しかし、私たちはそのことを認識し、会
社全体にとってよい結果が生まれるように素早く対応していかなければ
ならない。

1989年に開始された「ワーク・アウト」は、もともと、システムから余分
な「仕事(ワーク)を取り除く(アウト)」ことによって官僚主義を根絶し、
働く人たちの時間を自由にするという考え方からつけられた名前であ
る。何年にもわたるGEの学習活動は、基本的なワーク・アウトからシッ
クス・シグマ品質プログラムに至るまで、次のような7つの段階を経て
進化してきた。

第1段階:ワーク・アウト「RAMMP」マトリックス、第2段階:ベスト・プラ
クティス、第3段階:プロセス・マッピング、第4段階:変化の加速、第5
段階:戦略的構想、第6段階:顧客を勝者に、第7段階:シックス・シグマ
品質

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