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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.075

2006/09/07

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2006/09/07 No.075    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
失敗を活かす経営
[今月のレポート]
ロジカル・シンキング入門
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  ■今月の一言■
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失敗を生かす経営

1.「失敗を生かす経営」に関するアンケート

日経BP社のビジネス情報サイト「NBonline」上で、「失敗を生かす経
営」に関するアンケートが実施され、その結果が報告されている(回答
数573)。http://business.nikkeibp.co.jp/

 「あなたの所属する組織では、失敗話を冷静に振り返って、次は同じ
失敗を繰り返さないように失敗経験を生かすマネジメントができている
と思いますか」。この質問に対しては、「できている」との答えはわずか
18.6%にとどまり、「いない」が77.6%に達した。

 「失敗を生かす組織であるためには、どのような風土やマネジメントが
特に必要だと思いますか」。この問いは7つの選択肢を示して3つまで
の複数選択としている。

その結果、圧倒的に支持されたのが「失敗に至った経緯や原因を冷静
に検証できる機会や習慣がある」という選択肢だった。有効回答573人
のうち75.6%がこの選択肢を選んだ。失敗しようものなら、直ちに担当
者の能力が疑われて不向きという烙印を押されたり、責任をなすり合う
といった組織は決して珍しくはないようだと指摘している。

自由意見欄の回答では、自分自身のミスや力不足が失敗を招いたもの
の上司の助けで窮地を脱して教訓を得たといった体験談や、反省を生
かして仕事のやり方を変えた体験談、失敗内容を文書化したりと組織
で共有する試みを語るなど、比較的ポジティブなものが多かったとのこと。

しかし中には、「失敗を冷静に話し合えない」実情を訴える声も。「悪い
報告は聞きたくない、良い報告しか聞きたくない、と経営トップが現場
に語りかけている」「経営層、幹部社員が現場から信頼されていること
が不可欠」など、まず経営幹部が姿勢を正すべきと厳しく指摘する声も
見られたとのこと。

一方で、マネジメントの仕組みだけではなく、風土の重要性を指摘する
声も目立つ。「言い訳する個人に、自分のしていることを見つめ直すこ
とを求め、かつそれをフォローする風土が必要。仕組みだけでは失敗
はなくならない」「理屈で分かってはいても減点主義の意識はなくならな
い」「個人個人が個性を見出す努力をし、得意分野を生かす場を作るこ
とが失敗を生かす組織作りにつながる」などである。

日経情報ストラテジーの2006年8月号に、このアンケートに関する内
容の特集が載っている。冒頭では、「失敗社員を前向きに評価する経
営者は、社員が主体的に目標に向かっていると信頼し、たとえ失敗に
終わったとしても挑戦によって得られた少しの進歩と、得られたノウハ
ウの価値を高く認める。経営者がこういった価値観をしっかり打ち出し、
マネジメントの仕組みと企業風土を粘り強く変えていけば、失敗を生か
す経営は実現できる」と強調している。

企業の事例としては、1)「クリエティブ企業は失敗を生かす」「挑戦意欲
を引き出せ、ゲーム感と信頼が決めて」として、三洋化成工業。2)「失
敗を生かすマネジメントの仕組み」「問われるトップの姿勢、失敗の基準
作りも大事」として、キャノン電子、サイバーエージェント。3)「失敗を生
かす風土作り」「負け組みにしない信頼感、挑戦を認める教育を」として、
サントリー、ブラザー工業、日本ペイント、日本郵政公社の事例を紹介し
ている。

2.再チャレンジ推進会議

新聞報道によると、政府は、事業に失敗したり、リストラや病気で退職し
た人の再挑戦を支援するため、「多様な機会のある社会推進会議」(略
称=再チャレンジ推進会議。議長安部官房長官)を設置した。小泉内
閣が進める構造改革路線に対し、「社会格差を広げている」との批判が
出ていることに対応する狙いがあるとのこと。

初会合では、取り組むべき課題をまとまた論点案が安部氏から示され
た。挫折からの再起支援、新卒一括採用などの見直しなどを盛り込ん
だとのこと。挫折と例として、事業の失敗、受験の失敗、リストラなどを
例記。結婚・出産で退職した女性や、団塊の世代の退職者の再挑戦、
故郷にUターンして再起を目指す人たちへの支援などを検討課題に挙
げた。

さらに、採用の大半を新卒でまかなう慣行を見直すことや、正社員とパ
ートや派遣社員など非正社員との格差是正に取り組むとした。会議で
は、倒産した経営者に対する低利融資や、開業資金の助成制度の創
設、中途採用者を雇用する企業への助成などを検討する方針とのこと
である。

政府の経済戦略会議は1999年に打ち出した「日本経済再生への戦
略」のなかでわが国を「過度に結果を重視する」努力の報われない国
と特徴づけ、「健全で創造的な競争社会」に再構築する必要がある」
と主張した。そして、個人所得税の最高倍率を70%から37%に引き下
げられた。

しかしながら、人々の労働のインセンティブ(誘因)を高めるには、だれ
もがいつでもチャレンジする機会が均等に与えられ、公正な評価がな
されなければならない。機会均等や公正な評価が満たされないまま結
果の格差だけが広がり、その競争社会の勝者を評価する政策をとれば、
社会は階層化して閉塞感が強まるだけである。

経済産業研究所のホームページで、樋口美雄氏が「経済格差と日本人
 再挑戦の機会拡大が急務」と、正規雇用と非正規雇用の給与格差固
定化問題に絞って次のように論じている
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/higuchi/>。「景気回復
が本格化すれば、企業も正規雇用を増やすだろう。だが企業が非正規
雇用を増やしてきた背景には、政策の進め方も少なからず影響してい
ると思われる。政府は労働基準法の改正により原則1年に限定してい
た有期労働契約の上限を3年に延長した。労働者派遣法でも同じ事業
所の同一業務に派遣できる期間は1年から3年に延長された。この規
制緩和が非正規雇用に集中し、法制面での格差が広がったことはない
のか」「日本は6番目に正規・非正規の規制強度の差が大きな国にな
った」

そして、「均等政策を強化し、厚生年金などの社会保障におけるパート
労働者の労働時間や年間収入の適用基準を緩め、適用拡大を図って
いく必要がある。現行制度では、保険料の雇用主負担のない労働者
を増やしている可能性もある」「非正規労働者の場合、今日のがんば
りが明日の仕事につながらず、挑戦したいと思うチャンスが与えられな
いといった問題が起きている」「再挑戦を助けるのは、親身になって相
談に乗ってくれる社会的機能を強化し、情報面・経済面で能力開発を
支援する仕組みが必要である。チャンスを増やすには、紹介予定派遣
やトライアル雇用を拡充するのも一案である」「人口減少社会では階
層の固定化を阻止し、だれもがいつからでも意欲と能力を発揮できる
公正かつ効率的な労働市場を作っていくことが求められる」と指摘して
いる。

政府の「再チャレンジ推進会議」の中間とりまとめ報告
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/s0704-4.html>を見ると、結
果として生じている現象と本質的な問題を混同しており、表面的な現象
一つ一つを取り上げて、対症療法を羅列しているように見える。今まで
政府などが対応してきたどのような政策が階層の固定化を作り出した
のかなどを、徹底的な情報収集、問題領域の設定、本質的な問題と副
次的な問題の区別などにより見極めるべきである。そして、その内容を
掘り下げて分析し、問題を解決するためのビジョンを掲げ、本質的な解
決策を提案すべきである。挑戦者の失敗事例を活かし、それぞれの適
性にあった挑戦意欲を引き出すような政策を実施していただきたいもの
である。

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 ■今月のレポート■
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ロジカル・シンキング入門

1.ロジックの壁を突破する

本書(ロジカル・シンキング入門、日本経済新聞社発行、日経文庫)の
著者茂木秀昭自治医科大学助教授は、教育ディベートの啓蒙、普及
活動をおり、著書に「論理力トレーニング」などがある。本書は、論理的
な思考法のみでなく、あらゆる事に疑問を持ち合理性を検証していく方
法としてのクリティカル・シンキング(批判的なものの見方)も併せて「論
理力」として解説している。また、本書では、ロジカル・シンキングのベー
スとしてディベート的な手法を用いるが、ディベートからロジカル・シンキ
ングを学び、それらをビジネスにおける問題解決や説得力向上のため
の手法として実務に活かす事を意図したものであるとしている。

本書は、第1章「ロジックの壁を突破する」、第2章「問題解決に活かす
ロジカル・シンキング」、第3章「意思決定に活用するロジカル・シンキン
グ」、第4章「説得力を高めるロジカル・シンキング」、第5章「日常で鍛
えるロジカル・シンキング」から成っている。

第1章「ロジックの壁を突破する」では、「ロジックの壁(論理的になれな
い障壁という意味)を認識することから始めよう」として、まずロジックの
壁を突破する心構えとして次の五つのヒントを挙げている。(1)他人の
立場に立って、客観的にものを見る。(2)感情的にならない。(3)問題
を両面から、複眼的に見る。(4)結論を先に述べ、合理的な根拠で具
体化する。(5)異見の中に良い部分を見出し活かしていく。

コミュニケーションは「相手に何が伝わるか」という受け手の問題が全て
といっても過言ではないので、相手の立場に立って考える態度や自分
の意見を客観的に見る視点がどうしても欠かせない。ロジカル・シンキン
グのスキルを学ぶために越えなければならない最大の壁は、この客観
的な論理が使えるかどうかにかかっているといってもよいと指摘してい
る。たとえば、個人的には「成果主義を導入すべきである」と思っていて
も、即断したり、押し付けたりしないで、成果主義の功罪を多角的な視
点で考え、それぞれの理由に対して具体的なデータを挙げ、最終的に
より合理的な方策を客観的な基準で判断することが必要になる。

「問題を両面から複眼的に見よう」では、ディベート的手法を用いれば、
たとえば、社内に10名程度のプロジェクト・チームを設置し、社内外の
情報や意見を徹底的に収集し、次に肯定側・否定側の二手に分かれそ
の是非を議論し、そこであらゆる面から成果主義を検討した上で、そこ
で提示された合理的な根拠をもとに、最終的にトップや上層部が判断す
るということになる。もちろんディスカッションでも意思決定は可能だが、
特定の人しか意見を言わなかったり、議論がかみ合わなかったり、建設
的な結論がでなかったり、ということがしばしば起こるとしている。

なお、ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングの関係について、
「問題解決の手法としてロジカル・シンキングを用いるためには、単に
問題を「分類・整理・組み立てる」だけでは不十分で、問題の全体像を
把握したり、問題を多角的に見たり、深く掘り下げて分析することが必
要となる。そうした多様な視点や発想の転換、客観的な問題分析をす
る際に必要となるのが、クリティカルなものの見方です」と説明している。
クリティカル・シンキングは、「多角的な視点や客観的な根拠をもとに、
合理的な判断を主体的に下していくこと」だとしている。

2.問題解決・意思決定・プレゼンテーションに活用するロジカル・シン
キング

第2章「問題解決に活かすロジカル・シンキング」では、次の点を実践
することが重要だとまとめている。(1)徹底した情報収集により、問題
の全体像を浮かび上がらせる。(2)その際には、従来のやりかたにこ
だわらず、予測や偏見を排し、客観的にゼロペースで行う。(3)チェッ
ク・リスト(リサーチ・シート)を早めに作成し、問題点のピックアップやデ
ータのファイリングに活用し、さらなる情報収集をしてMECE(モレなく、
ダブリなく)を意識しながら適宜項目を追加したり、修正していく。(4)あ
る程度情報収集が進んだら、重要な問題点に絞込み、早めに問題解決
のロジック・チャートを仮説として構築してみる。(5)論理の一貫性を含
め、ロジック・チャートの各ポイントをどれだけ具体的に証明できるか、
データと照らし合わせ、必要なデータを絞ってさらに情報収集をする。
(&)問題解決チャートの五つのポイント(問題の深刻さ、因果関係、改
革案の実現可能性、改革案の問題解決力、メリットとデメリットの比較)
を両面から検証する。(7)逆の論理で反対の提案を構築してみる。(8)
反論を乗り越えて当初の案を再構築できるか、そのための補強材料は
あるかを考えて、どちらも難しい場合には、一部反対側の論を踏まえて
第三の案に昇華する。

第3章「意思決定に活用するロジカル・シンキング」では、ディベート的
な発想を活かした意思決定を行うのに必要なポイントを挙げている。ま
た、このような賛否両論を自分自身で組み立てて、五つの基本争点(深
刻性への反論、因果関係への反論、プランの実行可能性、プランの問
題解決能力、デメリット)に沿って、どちらの議論がより合理的かを判断
するというディベートを自分で行う方法のほか、もっと簡略したセルフ・
ディベートの方法も紹介している。すなわち、メリット・デメリットを中心に
両論を組み立てる。その際の主要なポイント(比較優位型議論の基本
争点)は次の五つである。実行可能性、メリットの発生過程、メリットの
意義、メリットの証明、メリットとデメリットの比較。

第4章「説得力を高めるロジカル・シンキング」では、「説得力を高める
ロジカル・コミュニケーション」「三角ロジックを用いたプレゼンテーション」
「ロジック・チャートを用いたプレゼンテーション」「論理力を活かした企
画提案や報告」「合理的な意思決定に向けた会議の進め方」「論理力
を活かした「対立解消」の交渉」を取り上げている。

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