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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.074

2006/08/03

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2006/08/03 No.074    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
研究開発のタコツボ化
[今月のレポート]
ファシリテーション入門
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  ■今月の一言■
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研究開発のタコツボ化

1.日経ものづくり誌のアンケート

日経ものづくり誌が経済産業省と共同で調査したアンケート結果が、同
誌Webサイトに開設の「ものづくり立国支援フォーラム」に、「研究開発
の「タコツボ化」が浮き彫りに、情報交流は個人の努力に依存」
とのタイトルで掲載されている。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060403/115686/

研究開発の専門化が進みすぎて研究開発担当者が孤立した状態にな
り、ほかの研究者や研究組織との情報交換が少なくなっているーとい
う研究開発の「タコツボ化」が、明らかになった。この調査は、日本の強
みといわれる「摺り合わせ」が研究開発のおいても本当に機能している
かどうかを検証しようとしたもの。摺り合わせのためにはさまざまな分野
の研究開発者が互いに交流することが不可欠だが、現状では十分とは
いえないようだと、調査結果をまとめている。

研究開発担当者を対象に「情報共有の必要性」について聞いたところ
「増加している」との回答が71.0%と多いのに対し,「減少している」は
わずか4.4%だった。その状況下で,研究組織内での情報共有を個
人的な取り組みとして実行しているとの回答が64.4%に上り,組織とし
て制度やシステムがあるとの回答は約半数にとどまった。また、研究
組織外との情報共有になると,個人的な取り組みとして実行している
との回答が71.9%と増加し,組織的に制度があるとの回答は28.3%に
減少。また異分野の担当者と情報共有しているとの回答も23.3%と僅か
ながら少なくなる。

このことから、情報共有は個人的な取り組みによるところが大きく,組織
的な取り組みはあまり盛んではない。組織としての研究開発上のビジョ
ンをはっきり示せているかどうかを聞いた質問では,ビジョンを明確に示
している上に担当者間で共有できているとした回答が34.5%だったのに
対し,ビジョンを示してはいるものの共有できていないとの回答が40.4%,
ビジョンそのものを示していないとの回答は25.1%あった。要するに,担
当者がバラバラに動いている研究開発組織の方が多いということになる
と、指摘している。

同サイトに載せられているアンケート結果の図を簡単に紹介すると、
・図1:研究組織内での情報共有(異分野の部署の研究者との情報共有
は少ない)
・図2:研究組織外との情報共有(異分野の研究者,海外の研究者との
情報共有は少ない)
・追加図1:研究開発の広がり(研究開発の対象領域は非常に拡大して
いる。さまざまな研究分野にまたがるテーマが増えているとも読み取れる)
・追加図2:情報交流や意見交換の必要性(減少しているとの回答は非
常に少ない。情報の交換や共有はますます重要になっている)
・追加図3:研究開発のスピードアップ状況(「見切りをつけるまでの期
間が短くなっている」も含め,大多数がスピードアップしていると解答)
・追加図4:研究開発予算の制約(この5年間,厳しくなることはあって
も緩くなることはなかった)
・追加図5:自由な研究(現在でも,3割を超える回答者が業務上のテ
ーマとは別に自由な研究をしていると回答した)
・追加図6:方向性やビジョンの共有(示されていない,あるいは共有さ
れていないとの回答が3分の2を占める)
・追加図7:研究開発の数値目標(数値で目標を設定するのが難しい
場合も多いと考えられる。何も言われないという回答が10%を超えた)

2.大量採用時代の人づくり

研究開発のタコツボ化が起きないように企業ではどのようなことをして
いるのであろうか。日経ものづくり2006年4月号の特集「大量採用時
代の人づくり」では、新人の育成にさまざまな工夫を凝らしている事例
が紹介されているが、そのなかのいくつかの事例は参考になる。若い
時にものづくりの上流開発工程から下流の量産工程までを幅広く学ぶ
機会を設けているのが、TOTOやセイコーインスツル、これと正反対に、
仕事の仕方は提携先に外部企業に出向いて学ぶのが内田洋行だ。

TOTOのケースはA氏。TOTOが「戦略技術」「大型技術」と位置付ける
「エアロゾルデポジション(AD)法」の開発に携わり、入社3年目で、イッ
トリア膜の透明化と大面積化という、事業化に弾みをつける大きな成果
を上げた。AD法の研究グループは総勢20人で、二つのチームがある。
新規用途を開拓するチームと、AD法の基礎から生産技術までのもの
づくりの全工程をブラッシュアップしていくチーム。同氏が所属したのは、
公社のチームだった。ものづくりは材料だけでなく、製造プロセス、加
工プロセスの三つのどれか一つでも欠けていたら、製品化はままなら
ない。新人のA氏にはそこを学んで欲しいので、最初にものづくり全工
程を学べるチームに所属させたとのこと。

セイコーインスツルのケースはK氏。半導体全工程技術部ICデバイス
技術二グループに配属された同氏は、製造工程の改善に取り組み、シ
リコンウェハーの歩留まり向上や熱処理時間の短縮といった成果を上
げている。若いエンジニアをいち早く一人前に育てるため、半導体全工
程技術部では新入社員と30歳前後の中堅のエンジニアとでペアを組
ませて仕事を任せている。同時に技術や知識の幅を広げる配慮も。IC
デバイス技術部二グループには新しい技術を開発する技術開発チー
ムと、実際の製造工程の改善などを主なミッションとする生産技術チ
ームがあるが、二つのチーム間で若手エンジニアをローテーションさ
せている。例えば、技術開発チームで開発にかかわったテーマにメド
がついたら、生産技術チームに移って量産化までの面倒を見るといっ
た具合だ。

内田洋行のケースはI氏。2001年に開設した「次世代ソリューション開
発センター」は、ITを中核技術として「これまでの事業の枠にとらわれず、
横断的に活躍できるエンジニアを育成し、新しい力で新しいビジネスを
開発する」ための部門だ。若手の成長に合わせて組織編制を変えなが
ら専門知識を身に付けさせるとともに、他社の下請け開発などで修行
させて短期間でシステムエンジニアとして育成する。今では、他社と共
同で新製品を開発するまでになった。そんな若手の一人がI氏。JR東
日本研究開発センター・フロンティアサービス研究所と共同で、行き先
案内システム「Cochira」を開発している。新人を受注先の顧客に常駐
させて、開発を通じて技術や仕事の仕方を学ばせた。

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 ■今月のレポート■
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ファシリテーション入門

1.ファシリテーションの応用

ファシリテーションは、問題解決や合意形成を促進する技術としてアメリ
カで生まれた。「中立な立場で、チームのプロセスを管理し、チームワー
クを引き出し、そのチームの成果が最大となるように支援する」(フラン・
リース)のがファシリテーションであり、またその役割を担う人がファシリ
テーター(協働促進者または共創支援者)である。この著書「ファシリテ
ーション入門」(堀公俊著、日経文庫)では、応用範囲が高い、会議やプ
ロジェクト活動でのファシリテーションに焦点を当てて、「場のデザイン」
「対人関係」「議論の構造化」「合意形成」の4つのスキルを解説している。

著者は、ファシリテーションが持つ機能について、次のように従来型の
リーダーシップやマネジメントと対比している。今までのリーダーは、コ
ンテンツにもプロセスにも強い指導力を発揮していた。それに対して、
ファシリテーターは、コンテンツはメンバーに任せ、プロセスのみにイ
ニシャティブを発揮する。いわば黒子(演出家)的なリーダーである。
ただし、これで組織が回っていくには三つの条件がある。一つ目は、
ミッション、ビジョン、バリューなど、組織としての大まかな方向性が共
有されていること。二つ目は、環境に対する認識が正しくなされ、それ
が組織のなかで一致していること。三つ目は、メンバー間の相互理解
が進んでいることである。

また、今までのマネジメントのやり方は、ピラミット(ヒエラルキー)型の
構造を前提に、組織活動を意思決定の連鎖ととらえて考え出されてき
た。組織の機能や目標をブレイクダウンして個人に落としこむ、あるい
や個人の特性や能力を組み合わせて組織をつくりあげる、構造的(要
素還元的)な考え方が根本にある。それに対してファシリテーションは、
組織活動を人と人との相互作用の集まりと考え、人の能力も働きも、
環境や周囲の人々に応じて変化するものととらえる。そのため、個人
(要素)ではなく、人々が協働する「場」(関係性)を重視する。こういった
「場のマネジメント」を促進するための実践的なスキルがファシリテーシ
ョンなのである。

ファシリテーションの応用分野は、問題解決型、合意形成型、教育研修
型、体験学習型、自己表現型、自己変革型の六つのタイプにわかれる
が、この著書では、ビジネス活動そのものである問題解決型のタイプを
中心に、それと比較的近い合意形成型、教育研究型を取り上げている。

問題解決型のファシリテーションが威力を発揮するのは、なんといって
もビジネス活動であり、その中で現在もっとも応用が盛んなのは、会議
やワークショップでのファシリテーションである。たとえば、ワークシップ
を使って組織のビジョンをつくりあげ、問題点や可能性を探求していく。
次に多いのは、クロスファンクショナル(部門横断的)なチームによる大
きな組織変革やシステム開発など、継続的なプロジェクト活動のファシ
リテーションである。なおワークショップとは、多様な人たちが主体的に
参加し、チームの相互作用を通じて新しい創造と学習を生み出す方法
であり、ビジネスから自己変革まで、あらゆる分野で利用されている。

2.ファシリテーションのスキル

本書の後半は、会議やプロジェクト活動でのファシリテーションに焦点
を当てて、「場のデザイン」「対人関係」「議論の構造化」「合意形成」の
4つのスキルを次のように解説している。

1)場のデザインのスキル――場をつくり、つなげる
異なる人々が知識を共有しながら、新しい創造を生み出していく知覚
的なスペースを「場」と呼び、そのデザインが場のデザインである。何
を目的にして、誰を集めて、どうゆうやり方で議論していくのか、という
知的相互作用からファシリテーションは始まる。これらの作業では、リ
ーダーやクライアントと相談しながら、目的、目標、規範、プロセス、メ
ンバーを決めていく。もう一つ大切なのが活動のプロセス設計である。
活動のプロセスには「起承転結」「発散・収束」「ダイヤログとディスカッ
ション」「問題解決」「体験学習」の型(パターン)がある。

2)対人関係のスキル――受け止め、引き出す
活動がスタートすれば、自由に思いを語り合い、あらゆる仮説を引き出
しながら、チーム意識と相互理解を深めていく。このときファシリテータ
ーは、しっかりとメッセージを受け止めると同時に、そこにこめられた意
味や心の底にある本当の思いを引き出していかなければならない。具
体的には、(1)聴く力(傾聴で共感を呼ぶ):耳で聞かず、心で聴く、復
唱で相手を承認する、ペースを合わせてから引き込む。(2)訊く力(質
問で話を深める):開いた質問で発想を広げる、閉じた質問で話を絞り
込む、内に秘めた想像力を引きだす、メンバーを依存的にさせない。
(3)観る力(言外のメッセージ):口調、表情、態度の三つに注目する、
聞く力と観る力で場の空気を読む。(4)応える力(話をつないで広げる)
:要約と言い換えで橋渡しをする、事例と比喩で直感的に理解させる、
質問を使って自己主張する。

3)構造化のスキル――かみ合わせ、整理する
互いの意見を尊重するだけでは創発は生まれないので、意見の幅や
深さなどがある程度見えてきたら、異なる意見を整理して、少しずつま
とめていかなければならない。発散から収束へ、ダイアログからディス
カッションへと切り替えていくのである。ところが、そもそも議論がかみ
合っていないケースがよく見受けられる。互いの主張を正しく理解しな
いままに、誤解や曲解にもとづいて議論しているのである。こうなってく
ると、正しく議論がかみ合うよう、ファシリテーターが橋渡し役をしなけ
ればならない。ロジカルシンキングや図解技法など、思考系のスキル
の出番となる。

誤解が生まれるのは、論旨があいまいだったり、意見を理解するのに
十分な情報が話してから提供されなかったりするからである。このとき
大切なのは「論理」である。論理とは話の道筋であり、話の前提となる
知識、根拠(理由)、主張したい結論の三つをそろえればよいのである。
これを「論理の三点セット」と呼んでいる。

具体的には、(1)前提となる知識を明らかにする:テーマを明らかに
する、前提となる事実を明確にする、事実と意見を切り分ける、言葉の
定義を明確にする、暗黙の価値観を明らかにする。(2)主張の根拠を
提示させ・論理の飛躍をつなげ直す:根拠を提示させる、根拠のつ
ながりをチェックする、例証の適切さを確認する、基準の妥当性を確か
める、他に根拠がないかを調べる。(3)あいまいな結論を明確にする
:主張を具体化させる、事例や定量的表現を求める、文脈を明らか
にする、思考停止ワードを避ける、他に結論がありえないかを調べる。
また、ダラダラと脈略もなく意見を述べる人には、発言全体を整理して、
ポイントを分かりやすく言い換えてあげる。ツリー(ピらミット)構造を頭
のなかに描きながら、発言を整理していくのである。これをロジックツリ
ーと呼ぶ。

いろいろな人の意見を引き出し、かみ合わせていくと、膨大な意見が出
てきて、そのままでは収拾がつかなくなってくる。このときは、「同じもの
を束ねる」(ブロック化)と「順番に並べる」(体系化)の二つを組み合わ
せて整理する。これを「構造化」と呼ぶが、そのために開発されたのが、
「ファシリテーション・グラフィック」と呼ばれる技法である。発言のポイン
トを短い言葉で要約したり、キーワード(キーフレーズ)を抜き出したりし
て、箇条書き(アウトライン)の要領で並べていく。次に、このキーワー
ドに装飾をほどこし、ポイントとポイントとのつながりを、矢印を使って関
係づけていく。

ファクシリテーション・グラフィックスを使って発言を逐次記録していくと
、だんだんホワイトボードが言葉で一杯になる。ある程度議論が出尽く
したところで、別のスペースを使って、整理しなおす。この情報整理の
基本パターンは、ツリー型、サークル型、フロー型、マトリックス型の4
種類あり、それぞれの図解ツールが用意されている。その多くはQC
活動などで使われてきたものであり、例えば「ツリー型」では、ロジッ
クツリー、意思決定ツリー、特性要因図、マインドマップなどがある。

4)合意形成のスキル――論点がある程度絞られてきたなら、創造的
なコンセンサスに向けて意見をまとめていく。集団による意思決定に
は、メリット・デメリット法、ペイオフマトリックス、意思決定マトリックス、
イーブンスワップ法など、いくつかのやり方がある。

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「情報と中小企業」メールニュース
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