企業

「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

全て表示する >

「情報と中小企業」メールニュースN0.073

2006/07/06

=======================
   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
=======================
★2006/07/06 No.073    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
◇----------------------------------------◇
 //ISSF//      // ISSF//      //ISSF//
情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
◇----------------------------------------◇
もくじ
[今月の一言]
プロフェショナルの定義
[今月のレポート]
ウイニング 勝利の経営
◇----------------------------------------◇
◇--------------------◇
  ■今月の一言■
◇--------------------◇
プロフェショナルの定義

1.プロフェショナル仕事の流儀

NHK総合テレビの木曜日午後10時から、「プロフェショナル仕事の流
儀」が放送されている<http://www.nhk.or.jp/professional/index3.html>。
「プロフェショナル仕事の流儀」は、さまざまな分野の第1級で活躍する
一流のプロの「仕事」を徹底的に、掘り下げる新しいドキュメンタリー番
組である。番組紹介によれば、「番組に登場するのは、誰もが認める、
その道のプロ、斬新な仕組みに挑戦し、新しい時代を切り開こうと格闘
中の挑戦者であり、数々の修羅場をくぐり、自分の仕事と生き方を確固
とした「流儀」を持っている仕事人たち」であり、「時代の最前線にいる彼
らはどのように発想し、斬新な仕事を切り開いているのか。これまでどん
な試行錯誤を経て成功をつかんだのか。そして、混沌とした今の時代を
どのように見つめ、次に進んでいこうとしているのか」プロの仕事に迫る
としている。

これまでの放送は、第1回が経営者・星野佳路の「“信じる力”が人を動
かす」、第2回が小児心臓外科医・佐野俊二の「ひたむきに“治す人”」、
第3回がパティシエ・杉野英実の「当たり前が一番難しい」、第4回がア
ートディレクター・佐野可士和の「ヒットデザインはこうして生まれる」、第
5回が弁護士・宇都宮健児の「人生も仕事もやり直せる」。5月までに15
回放送されている。

それぞれの登場者が定義するプロフェショナルとは、星野氏「常に完璧
を目指そうとしている。完璧になるなんてことはおそらく生涯ありえない
けれど、そこを淡々と目指している」。佐野俊二氏「誇りと責任です。誇
りをもたないといけない。誇りだけで責任がとれない人はだめです。そ
れをしようと思えば、やっぱり努力しないといけない」。杉野氏「永遠の
未完成でいたいと思っているんです。だから、今日よりも明日、明日よ
りもまた次の日が、もっとおいしい菓子ができるように、あきらめないで
自分を高めていきたい。それがプロなんですかね、やっぱり」。

佐野可士和氏「やっぱりハードルが高いことを越えられる人がプロじゃ
ないですか。だから、普通の人ができないことをやるのが、プロだから、
と思うんですけど。自分がいいと思うものを世の中に出したいと思って
いるし、自分がいいと思うものが一番実は難しくて、すごいハードルが
高いので、それをクリアしようかなと」。宇都宮氏「弱者のためにとこと
んがんばれる人、徹底的にやっている人だろうと思いますけどね。もう
少し広く考えれば、他人のために頑張れる、一生懸命に仕事をやって
いる。そうゆうことなのだろうと思うんですけどね」。

すでに前号のファシリテーションでとりあげた、星野佳路氏が第1回の
紹介者である。「星野リゾート」は1904年に軽井沢に誕生し、軽井沢の
発展とともに歩んできた企業である。星野氏が社長に就任したのは
1991年。31歳で同社の経営を引き継いだ。軽井沢のしにせ温泉に長
男として生まれた星野氏は、大学を卒業後、アメリカでホテル経営学を
学ぶ。

「現場をもっともわかっているのは、これまで働いてきた社員たち」。星
野氏の経営の根幹にある考え方だ。客と直接向き合う「現場」に限り権
限を委譲し、「任せる」ことで、社員のモチベーションをかきた。星野氏
の会社の組織はきわめて独創的だ。社長を中とするピラミット型ではな
く、いわばフラット型。社員を10人程度のユニットに分け、ユニット毎に
責任者のディレクターを置く。通常の会社の役員会にあたる経営方針
決定会議も、社員に公開され、社員同士の議論で、大事な案件が決め
られていく。

星野氏は行き詰ったリゾート施設や旅館の再建にあたるとき、徹底した
マーケティングリサーチを行い、それをもとに、再生のための「コンセプト」
を立てる。どういう人たちをメインターゲットとして、どんなおリゾートを目
指すのかを明確に示す「道しるべ」である。このコンセプト作りに正解は
ないと星野氏は言う。大事なのは「共感」。現場で実際に接客をする社
員たちが、共感できるコンセプトを作り上げることが、リゾート債権の鍵
だと考えている。

2.ザ・プロフェショナル

大前研一氏は、その著書「ザ・プロフェショナル」で、プロフェショナルを
次のように定義している。「プロフェショナルは感情をコントロールし、理
性で行動する人です。専門性の高い知識とスキル、高い論理観はもと
より、例外なき顧客第一主義、あくなき好奇心と向上心、そして厳格な
規律。これらをもれなく兼ね備えた人材を、私はプロフェショナルと呼び
たい。厳しすぎるでしょうか。私はそうは思いません。まだ足りないと思
っているくらいです。」

第1章の「プロフェショナリズム」の定義では、まず「ピプクラテスの誓詞」
の9ヶ条を紹介している。そこには、全生涯を人道に捧げる、恩師に尊
敬と感謝を捧げる、良心と威厳をもって医を実践する、患者の健康と生
命を第一とする、人道に反したものにわが知識を悪用しない、などが記
されている。しかし、医療ミスと改善されない病院の対応などのように、
このプロフェショナル観は、明らかに今の時代と齟齬を来し始めている。
プロフェショナルの医師もいれば、単にスペシャリストとしての国家資格
を持っているだけのアマチュアの医師もいると大前氏は指摘している。

大前氏は、このプロフェショナルとアマチュアを分けるものこそ、「顧客に
対するコミットメント」だといっている。そこでは、道なき道、ルールのない
世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェシ
ョナルである。ルールに精通し、定められたやり方での業務執行能力を
有しているスペシャリストに対して、組織を動かすのに不可欠な人々や、
業務の流れ、意思決定のプロセスなどに熟知しており、またボトルネッ
クを次々に解決していく力を持つことが必要になる。

21世紀の経済社会は「見えない空間」との戦いである。見えている人や
組織を動かすのではなく、見えていない経済社会を切り取って、そこに
人や組織を追い込んでいく作業である。顧客といっても「触れる顧客」で
はないかも知れないし、いまの顧客も変質するかも知れない。想像もつ
かない企業、不特定多数が顧客になるかも知れない。このためには、
見えないものを見る力、構想力、分析する力、インテグレート(合成する)
力、そして何よりも21世紀経済に対する正しい理解と洞察が必要だと
大前氏は指摘している。

全生涯を人道に捧げる、顧客や社会に対する奉仕と責任感。完璧を求
めて、常に高いハードルに向かって努力していく。そして、見えない空
間を見る力、構想力、分析する力を磨く。これらが現代のプロフェショシ
ョナルの条件なのであろうか。ワールドサッカーのグループリーグで日
本が敗退したのは、日本人の体格・コンタクトプレーに対する弱さ、好
機にシュートを打てなかった選手の責任感・判断力の欠如、後退枠を含
めた14人の選手の起用を通じてメッセージを伝えきれなかった指揮官
の解決力などが指摘されている。プロサッカーの、プロフェショナルと
は何であるか、スペシャリストとはどこが違うのかを、今一度見つめな
おす必要があるのかもしれない。

◇--------------------◇
 ■今月のレポート■
◇--------------------◇
ウイニング 勝利の経営

1.ウエルチの経営哲学

強烈なリーダーシップでGEを時価総額・世界No.1企業に育て上げ、
「20世紀最高の経営者」とよばれるジャック・ウエルチ。そんな彼が、
「人材採用のチェックポイント」から、「ライバル会社に勝つ「戦略」の選
び方」「社内に率直なコミュニケーションを根付かせる方法」「新規事業
に挑戦するときのガイドライン」「天職の探し方」「中国との競争に勝つ
方法」まで、ビジネスで成功するためのノウハウをたっぷりと、具体的
に明かす。本書「ウイニング 勝利の経営(日本経済新聞社発行)」は、
自伝「ジャック・ウエルチ わが経営」の出版後の講演で、寄せられた
多くの質問に答えるために書かれたものである。

この本は四つのパートに分かれる。まず、最初の「四つの原則」のパー
トは、経営哲学について書かれている。著者のビジネスに対するアプロ
ーチの基礎をなす原則とも言うべき内容である。次のパート、「あなたの
会社」では、組織の内部構造について書いており、その次の「あなたの
競合会社」では、あなたの組織の外の世界について語っている。次は
「あなたのキャリア」である。ここでは職業人生の軌跡とクオリティをどう
管理するかについて述べる。適切な仕事を見つける、昇進するには何
をすればよいか、いやな上司のもとで働くという厳しい状況、仕事と家
庭のバランスについて書かれている。

PART1の「最初の四つの原則」では、「ミッションとバリュー」「率直さ」
「選別」「発言権と尊厳」が取り上げられている。ミッション(経営理念)は
方向性を正確に示し、バリュー(行動規範)は、その目的に到達するた
めに取るべき行動を表現する。著者の経験から言えば、効果的なミッシ
ョン・ステートメントは、基本的には次の問いかけに回答を与えるものだ
としている。「私たちはこのビジネスチャンスでどうやって勝とうとしてい
るのか」。この問いかけは、激しい競争の中、収益を上げながら戦える
分野はどこかを評価するために、会社の強み、弱みを明確にすることを
迫る。

ミッション策定とは違い、バリューに関しては全社員が発言の機会を持
つべきだとしている。最初の原案は役員クラスが作ることになると思う
が、それを社員全員に発表して、繰り返し、細かに吟味・詮索してもらう。
このように、コメントを出して会社に貢献するのが社員の役目だと思わ
せるような雰囲気づくりに、役員は全力を尽くすべきだと強調している。
そして、どんなに明確なバリューと行動規範を書いたとしても、サポート
体制がなければ意味がない。好成績を上げているマネージャーを解雇
し、その理由はバリューに基づく行動をしなかったからだ、と公に発表す
るたびに、GEの組織は信じがたいほどよい形で反応したと述べている。

四つの原則の最後は「発言権と尊厳」。ウエルチ氏の信念は、「世界中
の人が発言権と尊厳を求めており、誰にでもその権利がある。」そこで、
みんなが自由に発言できるような環境を作り出さなくてはいけないと、
ワークアウトを始めた。世界中のGEで、2、3日かけて行うイベントで、
30人から100人の社員が集まり、外部のファシリテーター(進行役)を
招いて、どうすれば仕事が改善されるか、官僚的な部分、障害を取り除
くにはどうしたらよいかを話し合う。どこでもワークアウトは画期的な生
産性向上をもたらした。GEが変わった最大の理由は、一つにはワーク
アウトがあると信じているとのことである。

2.あなたの会社と競合会社

PART2の「あなたの会社」では、組織の仕組み、人材、業務手順、カル
チャーについて取り上げ、リーダーシップ、人材採用、人事管理、解雇、
変革管理そして危機管理について書かれている。

「リーダーシップ」では、八つのリーダーシップのルールを挙げている。
第1のルールは、評価し、コーチし、自信を持たせること。第2のルー
ルは、常にビジョンを語り続け、きちんとやったときに「お金を見せる」こ
と。第3のルールは、ポジティブなエネルギーと楽天的志向。第4のル
ールは、率直な態度、透明性。第5のルールは、人から嫌われるような
決断を下す勇気。第6のルールは、好奇心で部下に質問し、プッシュ
する。第7のルールは、リスクをとること。第8のルールは、派手にお
祝いをする。

「人材採用」では、「採用を考える前に、厳しくチェックすることは三つあ
る」として、そのチェックポイント(「誠実かどうか」「知性」「成熟度」)を取
り上げ、次に4つのE(と一つのP)のフレームワークを説明している。こ
のフレームワークは、ポジティブなエネルギー、エナジャイズ(周囲の人
にエネルギーを吹き込む能力)、エッジ(イエス・ノーを決めづらい事柄
に決断を下す勇気)、エグゼキュート(仕事を実行する能力)、パッション
(情熱)である。

変革管理については、会社に「変化」を起そうとするときの行動は次の4
点に絞られると説明している。変化の一つ一つに明確な目的と目標を持
たせること。変化の必要性を心底感じ、一緒にやっていこうとする人だけ
を採用する。抵抗する輩を探し出して放り出す。不幸な出来事があって
もあらゆる機会を捉える。

PART3の「あなたの競合会社」では、戦略的優位性をいかに作り上げる
か、意味のある予算策定方法、新規事業で成功する方法とM&Aによる
成長を取り上げ、戦略、予算、社内ベンチャー、企業合併・買収、シック
ス・シグマについて書かれている。

「戦略」では、それを実践するための三つのステップについて書かれて
いる。第1に、「あ、そうか!」ということを思いつくこと。すごく冴えてい
て、現実的で、永続的な競争優位性を比較的早くもたらす何か、だ。「
あ、そうか」となるには、ウエルチが「5枚のシート」と呼ぶ質問に答えて
いくのが一番だとしている。シート1:競技場は今どんな状況か? シー
ト2:競合相手は何を考えているのだろう? シート3:あなたは何をして
いるんだ? シート4:曲がり角の向こうには何がある? シート5:勝
利するための一手は? そして、どんなにすごい戦略だって、人を配し
て息を吹きこまなくては最初から死んでいるようなものだと、適材適所
の重要性を強調している。

社内ベンチャーに関しては、新規に何かを立ち上げるとき、会社は共
通の三つの過ちを起こすようだとして、成長して勝つための三つのガ
イドラインを紹介している。ガイドライン1:最初に金をたっぷり使うこと。
ハングリーで熱意のある最高の社員をリーダーに据えること。ガイドラ
イン2:新規事業の可能性と重要性を、大げさすぎるくらい騒ぎ立てる
こと。ガイドライン3:自由裁量を与えない間違いを犯すより、与えすぎ
る間違いをしよう。新規事業を放っておくように。

PART4の「あなたのキャリア」では、職業人生の軌跡とクオリティをどう
管理するかについて述べている。適切な仕事を見つける、昇進するに
は何をすればよいか、いやな上司のもとで働くという厳しい状況、仕事
と家庭のバランスについて書かれている。そしてPART5「最後のまとめ」
では、「あれ、これ、すべて」として、中国との競争に勝つ方法など、これ
までの章で抜け落ちた質問をカバーしている。

=======================
「情報と中小企業」メールニュース
発行:降旗清司
[issf;情報と中小企業] http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
アドレス変更/配信停止 http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
本メールマガジンは下記のサービスで発行しています。
インターネットの本屋さん「まぐまぐ」http://www.mag2.com/
マガジンID:0000037775
メールマガジン「melma!(メルマ!)」http://www.melma.com/
マガジンID:m00019936
=======================

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-10-07  
最終発行日:  
発行周期:月刊  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。