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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.071

2006/05/04

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2006/05/04 No.071    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
ブルー・オーシャン戦略の実践
[今月のレポート]
コーチングマネジメント
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  ■今月の一言■
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ブルー・オーシャン戦略の実践

1.ブルー・オーシャン戦略の徹底検証

日経情報ストラテジー2006年2月号の特集「ブルー・オーシャン戦略
の徹底検証」で、「ブルー・オーシャン戦略」の著者であるW・チャン・キ
ム、レネ・モボルニュの両氏に戦略の本質をインタビューし、また、日本
における事例を紹介している。製品・サービスのライフサイクルが短く
なり、価格と機能の競争は激しさを増している。そんななか、海外発の
「ブルー・オーシャン戦略」という理論が注目を集めている。両氏は、価
格や 機能などで血みどろの競争が繰り広げられる既存市場を「レット・
オーシャン(赤い海)」と呼ぶ。一方で、競争自体を無意味にする未開
拓の新市場を「ブルー・オーシャン(青い海)」と呼ぶ。

著書「ブルー・オーシャン戦略」で、ブルー・オーシャンを創造した事例と
して紹介しているのが、「10分1000円」の理容店「QBハウス」を展開
するキュービーネットである。成熟産業である理容業界にあって、2005
年6月期の売上高は前年比約4割増の37億9200万円、経常利益3
億5700万円という高収益を上げている。ブルー・オーシャンを創造して
も、すぐに他社がマネをするのが世の常だが全く意に介さない。「作業
自体はマネできる。だから、我々はシステムに投資をした」「この投資を、
(後発チェーンが)数店で償却するのか、300店で償却するのかの違い
は大きい」(小西会長)。

顧客は入り口の券売機で1000円を出してチケットを買う。一方で、理
容師がチケット番号と顧客の年齢・性別などを入力しなければ、エアー
ウオッシャーが動作しない仕組み。これらのデータはインターネット経
由で本部に送られる。本部は店の繁閑を把握できるうえ、現金と来店
客数の一致を常にチェックできるため、内部不正の余地がない。こうし
た仕組みに約4億円を投資。ビジネスモデル特許も取得した。

著者たちはインタビューで、「提示したツールで有効なものは」との質問
に、まず、「戦略キャンパス」を使ってみてほしいと答えている。特集で
紹介している日本サムスンのブルー・オーシャン戦略では、特に戦略
キャンパスの考え方を組織に根付かせようとした。1日目の研修では、
まず午前中に、書籍に出てくる事例を基に、グループ単位で戦略キャ
ンパスを描く演習を行う。「レンズ付きフィイルム」「高齢者向け携帯電
話」など日本の事例も提示した。その後、ブルー・オーシャン戦略を応
用した新事業を考えて発表する。

特集の中の「ブルー・オーシャン戦略を実践する」で取り上げている3
つの事例は、1)KDDIの携帯電話「ツーカーS」、カシオ計算機のカード
型デジカメ「EXILIM(エクシリム)」、イサキグリコのオフィス向け菓子販
売事業「オフィスグリコ」である。

液晶画面を無くし、機能を徹底して取り除いた「ツーカーS」は高齢者の
間で利用が広がり、当初は月間2万件ペースで新規契約を獲得した。
「EXILIM」のコンセプトは「ウエアラブル(身に付ける)カメラ」。画素数は
130万画素にとどめ、光学ズームもオートフォーカスもない。その代わり
に、名刺サイズでわずか11ミリの薄さを実現した。「オフィスグリコ」は、
薬箱に似たプラスチック製の「リフレッシュボックス」をオフィスに設置。
顧客は菓子を取ったら付属の貯金箱に100円を入れる。1999年事業
開始以来、ボックス設置数は6万6000個、2006年3月期は、前年比
6割増の18億円の売り上げを見込む。

特集で挙げている3社の事例は、技術そのものの力で成功しているわ
けではない。例えば、カシオ計算機の場合は、ズームや画素数などは
減らし、小型化という価値を「付け加える」ことに技術開発のリソースを
集中させた。単に「減らす」「取り除く」だけでは顧客は満足しない。減ら
すことが、使いやすさや感動など新たな価値につながるように製品・サ
ービスを設計する必要があると強調している。

2.戦略キャンパス

戦略キャンパスは、ブルー・オーシャンを創造するための分析を助ける
だけでなく、行動のためのフレームワークにもなる。その狙いは二つあ
る。第一に、既存の市場空間について現状を把握することだ。これを通
じて、競合他社が何に投資しているか、各社が製品、サービス、配送な
どの何を売りにしているのか、さらには、顧客はどのようなメリットを享
受しているのか、などが理解できる。例えば、「ブルー・オーシャン戦略」
の第2章で紹介しているアメリカのワイン業界の戦略キャンパスで、横
軸に並ぶのは、業界の各社が力を入れる競争要因(価格、ワインづくり
の極意や謳い文句、マス・マーケティングなど)。これに対してカセラ・ワ
インズが開発した「イエロー・テイル」は、飲みやすさ、選びやすさ、楽し
さや意外性という三つの要素(競争要因)をワイン業界に持ち込み、瞬
く間に新規顧客の心をとらえた。イエロー・テイルは、味がまろやかで、
ビールやカクテル飲料と同じ様に気軽に飲め、フルーティな口当たりの
ワインを狙ったのである。

また、サウスウエスト航空の戦略キャンパスはほかの航空会社の戦略
キャンパスの競争要因(機内食、ラウンジ、座席の選択肢など)の値は
低くして、心のこもったサービス、スピート、本数の競争要因を高く(価
格は低く)した。自動車による移動のように、多くの人々にとって手の
届きやすい運賃で、便数の多い融通の利くフライトを提供したのである。

日経情報ストラテジーの特集で紹介している日本サムスンは、薄型デ
ィスプレーを使ったコンテンツ表示機「サイトスクエアらくっぴー」を企画、
NECネクサソリューションズを通じて2005年10月から販売しているが、
予想を超える引き合いが来ており、2006年3月までに500台以上の
販売を見込む。「サイトスクエア」ブランドの表示機は、銀行の店頭にあ
る金利・為替情報表示機などに使われている。サイトスクエアは、為替
やニュースなど刻々と変わる情報をネットワーク経由で受信して表示す
る高度な機能を持つ。一方でもっと単純に、ホテルで宴会場の催事を
表示したり、小売店の店頭で目玉表品を「ポスターチェンジャーのよう
に表示したいという需要もある。

そこで、日本サムソンの宮田営業企画担当次長はNECネクサと相談し
ながら、余分な機能を取り除いた。ネットワーク機能を無くし、表示内容
はUSBメモリに入れた。ネットワーク工事が不要でどこにでも設置でき
るという、顧客にとっての価値を生む。また、静止画に特化するため簡
易な表示ソフトを使うなどして、コストを削減。1台60万円程度で販売
できる。ホテルチェーンなど大口顧客のほか、メニュー表示に使う居酒
屋など、従来にない顧客を開拓した。

このように見てくると、ブルー・オーシャン戦略とは、既存市場での市場
開発競争から抜け出し、未開拓の新市場を開拓して競争自体を無意味
にするための、競争戦略の一つである。その分析ツールとして、「戦略
キャンパス」「四つのアクション」「アクションマトリックス」を提案している
ということであろう。

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 ■今月のレポート■
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コーチングマネジメント

1.知識と行動の溝を埋めるコーチング

 (株)コーチ・エイ代表取締役社長であり、日本における国際コーチ連
盟マスター認定コーチである伊藤守氏による本書「コーチングマネジメ
ント」(ディスカバー・トゥエンティワン発行)は、最近注目されているコー
チならびにコーチングに関する著書の一つである。コーチングとは、「会
話を重ねることを通じて、相手に、目標達成に必要なスキルや知識を
備えさせ、目標に向けての行動を促していくプロセスである」と定義して
いるが、本書では、著者の20余年にわたるコミュニケーションに関する
実践と5年間のコーチングの実績をもとに、コーチングの本質からその
実践的応用までを紹介している。

本書は、PART1「今求められるマネジメント革命(「知識と行動の溝を埋
めるコーチング」「テーチングからコーチングへ」)」、PART2「コーチング
の基本にあるもの(「なぜ話すのか?」「如何に聞くのか?」「コーチング
・フローとPOS(パーソナルOS)」)」、PART3「コーチング・スキル(「リク
エスト」「クリエイティブ・リスニング」「聞き分ける」「クリエイティブ・クエス
チョン」「アクナレッジメント」「目標達成プログラム」)」、PART4「コーチ
ングの導入のために(「コーチングを導入する」「現役コーチに」「コーチ
ングの今、そして今後」)」からなっている。

PART1の「知識と行動の溝を埋めるコーチング」では、「必要なのは何
をすべきかではない。それを実際に行動に移す方法。その方法を部下
に伝える方法」である。経営コンサルタントの提案されたアドバイスの
ほとんどは、日の目を見ないといわれているとして、「必要なのは、ユ
ニークなアイデアだけでなく、そのアイデアを行動に移すためのもうひ
とつのアイデア」「アイデアを具現化し、行動に結びつけていくには、ア
イデアを生み出す時以上のコミュニケーション量が必要」としている。
このように、ビジネスやパーソナルな目標達成の分野において、頭でわ
かっていることと行動との間に横たわる深い溝――この溝を双方向の
コミュニケーションによって埋めていく仕組みがコーチングだとしている。

スポーツ選手の場合、最近になって、一方的に教えても選手はその技
術や知識をそのまま使えないということがわかってきた。選手が本当に
使えるアイデアとは、それを使う本人が自分で見つけ出し、そのアイデ
アを発展させるアイデアも自分で見つけ出すという過程を踏むことが必
要だったのである。この「一方通行ではなく、双方向でアイデアを出し合
い、それを検討する。行動に移すためのアイデアもまた双方向のコミュ
ニケーションから生み出す」。この一連のプロセスを「コーチング」という。
つまり、目標やテーマを設定しそれを実現する過程で、クライアントとコ
ーチが会話を重ね、その双方向のコミュニケーションを通じて課題を解
決していく(インタラクティブ・ソリューション)のだと指摘している。

コーチはクライアントがより自由に発想し、アイデアをより具体的にする
ためのコミュニケーションをつくり出す。このプロセスを「コーチング・カン
パセーション」という。そして、「物語をつくる過程が未来をつくる。コーチ
はそれをともにつくるコークリエイター(共同創作者)」だとしている。また、
現在、医療の最先端では、個々に合わせた予防薬、健康法――「テー
ラーメード・メディスン」の開発が進んでいるが、コーチングに求められ
ている背景というのも、これと同様だとして、テーラーメイド・マネジメント
を説明している。

2.コーチングの基本にあるもの

PART2では、プロによるコーチングは、次の五つのステップ(コーチン
グ・フロー)で行われると説明している。ステップ1:現状の明確化、ステ
ップ2:望ましい状態の明確化、ステップ3:現状と望ましい状態のギャッ
プを引き起こしている理由と背景の発見、ステップ4:行動計画の立案、
ステップ5:フォローと振り返り。

この中で、身体を構成している細胞もまた、お互いにコミュニケーション
を交わしており、Aという細胞が情報を発信し、Bという細胞のリセプタ
ー(受容器)がそれをキャッチしている(この過程をパラクラインという)。
また、Aという細胞が情報を発信している時、Aという細胞は自分でもリ
セプターを出して、自分の発信している情報を受信していた(このことを
オートクラインという)。このような事例をあげて、「およそ生物は自分の
内側の情報を一度外に出さないと認識しない。クライアントも部下も「オ
ートクライン」を求めている」と指摘している。

このコーチング・フローに従って、現状と理想のギャップが明らかになっ
たら、後は、そのギャップを埋めるための行動プランを立てて実行して
いくだけである。しかし、先にとりあげた細胞は外からの情報と接点は
持つけれど、それを簡単に細胞の中に取り入れるわけではない。なぜ
なら、外からの情報を取り入れるとその細胞は分裂するか、アポトーシ
ス(いわば自殺)を起こしてしまうからだ。人間も同じであり、簡単に取り
込むことはできない。これまでのプログラムがそれによって使えなかっ
たり、混乱してしまうのは、あまりにも危険だからだ。

ここでいう人間のプログラムのことをPOS(パーソナルOS)と呼び、POS
には変えられるものと変えられない(変える必要がない)OSがある。変
える必要がないOSは、性格、価値観、タイプ、ハイパホーマンス・パタ
ーンなど。一方、バージョンアップできるOSには、「ものの見方」「もの
のとらえ方」がある。POSのバージョンアップとは、より柔軟で状況に対
応できる「スタンダード(基準)」を持つことを意味する。物事のとらえ方
や見方の幅が広がることにより、行動に向けた選択肢が増える。

新しいPOSのための八つのガイドラインとしては、その一:自分の価値
観をはっきりさせる、その二:未完了を完了させるシステムを持つ、その
三:自分の感情、考え、欲求、行動、自分の役割と距離を持つ、その四:
「私たち」という視点で人と関わる、その五:バイオリアクション(二極化
のパターンに伴い、心身に起こる反応)から自由でいる、その六:成功
のバランスがとれている、その七:楽観的である、その八:オリジナルの
ガイドラインを持つ。

PART3「コーチング・スキル」では、学校の先生、会社の上司、医者や
看護婦、親、時には子供の中にも潜在的に優秀なコーチがいる。彼ら
は何かを教えるというよりは、相手の意欲を高め、持っている才能を目
覚めさせることに長けている。彼らと話していると、「気づき」「ひらめき」
がある。また焦点が絞れて、深く考えたり集中したりすることができるよ
うになる。「コーチング」というのは、そうしたネイティブコーチが自然に
行っていることをリサーチし、標準化してつくられたものであり、コーチは、
よい人間関係を築くためのヒューマン・スキルと、目標を達成していくた
めのコーチング・スキルの双方を持って、部下や選手を育成するのだと
している。

そして、コーチング・スキルを、大きく次の六つに分類して、説明してい
る。「リクエスト●コーチは要求する」「クリエイティブ・リスニング●コー
チは創造的に聞く」「聞き分ける●四つのタイプ」「クリエイティブ・クエス
チョン●コーチは行動を起こす質問をつくり出す」「アクナレッジメント●
受け入れられてはじめて人は行動を起こせる」「目標達成プログラム●
ゴールの先にあるものを見る」

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