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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.070

2006/04/06

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2006/04/06 No.070    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
企業力競争とコンピテンシー
[今月のレポート]
顧客不満足度のつかみ方
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  ■今月の一言■
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企業力競争とコンピテンシー

1.コンピテンシー活用の実際

マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(株)副社長の相原
孝夫氏は、コンピテンシーの概念について、氷山モデルを使って説明し
ている(日経文庫、コンピテンシー活用の実際)。人を氷山にたとえて
見ると、氷山の8割以上は水面より下にあると言われる。水面下の見えて
いない部分は、持って生まれた性質であり、人格や性格、才能などにた
とえることができる。これらは先天的なものであり、後天的に変えよう
と思って変えられるところではない。一方、表面上に現れている部分は、
後天的に習得することができる知識やスキルにたとえることができる。
これらはこれまで企業の中で、人の評価や育成においてフォーカスされ
てきた部分であり、この部分の向上に関しては、従来から様々な教育研
修プログラムが用意されている。

しかし、多くの場合、入社後4,5年もすれば、営業職などは特に、その
業績の個人格差は大きく表れてくる。この差はいったいどこから生まれ
てくるのであろうか。確かに、知識やスキルは職務を遂行していくうえ
でのベースとして必要なものであるが、それらを活用して好業績を上げ
るという点においては、何か別の要素が大きく関係しているということ
になる。コンピテンシーの開発がなされる以前は、これらの差はすべて
水面下にあたる人格や性格、もって生まれた才能によるものだから、
後天的にはどうしようもないものとあきらめられてきた。

しかし、コンピテンシーの研究、開発によって、氷山で言えば水面すれ
すれのところに、もう一つ別の、仕事上での業績と結びつきの強いファ
クターが存在することが明らかになった。これらは継続的に高い業績
を上げる人に特徴的に見られる、物事の考え方や仕事に対する姿勢、
こだわり、行動特性であり、それらは明確に定義でき、観察でき、測定
もできるものと確認され、コンピテンシーと名づけられた。ただし、欧米
では、知識やスキル、または動機なども、コンピテンシーに含められる
ことが多い。相原氏は、それらの部分は除いた形で、氷山でいうところ
の水面すれすれの部分のみを捉えて、コンピテンシーとして取り上げ
ている。

マーサー社の保有するコンピテンシーの体系をもとに、コンピテンシー
モデルの構築について、全部で28のコンピテンシーに分類している。
「28のコンピテンシー」は基本構造として、「7つの分野」と「4つの次元」
を掛け合わせることで導かれている。「7つの分野」とは、「ヒト・モノ・カ
ネ・情報・時間」という経営資源から導き出されており、「4つの次元」は、
仕事のタイプ分けをするマトリックスであり、遂行・適応・統合・創造から
なる。

「コンピテンシーモデルを通じて、あるべき行動様式を明らかにし、ある
べき行動様式に照らして自らの行動様式を見直し、具体的な行動変革
を積み重ねていく、それによって、コンピテンシーの獲得につなげる」と
いうのが、ラーニングのプロセスである。情報通信会社での導入事例を
見ると、コンピテンシー・ラーニングのプロジェクトの進め方は、

・プロジェクトは、大きく二つのフェーズに分けて実施した。

・第1フェーズにおいて、まず、PM(プロジェクト・マネージャー)を仕事
内容別に三つのタイプに分類した。新規のシステム開発を行うPM,シ
ステムの保守・運用を行うPM,そして、特定業種向けの特殊なシステム
の開発を担うPM,の三種類である。

・それぞれの分類の中から、実績を上げているPMを4,5名ずつ選定し、
インタビューを行い、コンピテンシーモデルを構築した。

・構築したコンピテンシーモデルに基づき、PM全員の360度アセスメン
トを行い、その結果を基にラーニング・セッションを実施した。

・第二フェーズにおいて、高い成果に結びつくファクターのさらなる絞込
みのために、第一フェーズで構築したコンピテンシーモデルの各行動
指標をもとにアンケート調査を行い、それらの中でも特に、優秀なPM
に特徴的なコアの行動、つまり、PM各人の業績効果を生み出す主た
る要因となっている行動を抽出した。

・このように抽出した、全部で30の行動指標をチェックリストとし、それ
ぞれについて、毎週、チーム内で相互にチェックを行うようにしたもので
ある。

・今回、七つのコンピテンシーについてそれぞれ4,5個の行動指標を
作成した。そのうちの主要な四コンピテンシーは、対人協調力、成果統
合力、対人影響力、戦略立案力である。

2.企業のコア・コンピテンシー

「コンピテンシー活用の実際」でも書かれているように、事例として取り
上げているマネージャーや営業でも、コンピテンシーは万能薬ではなく、
知識やスキルを否定するものではない。それらが備わっていることを
前提として、それらを活用して成果を上げるためのプロセスを示したも
のである。このような現在または近い将来の企業間競争でも知識やス
キルが備わっていることが前提であるが、未来のための競争では、「未
来を創造するには、自らの手で会社の進むべき道を発見しなければな
らない」(G.ハメル等「コア・コンピタンス経営」)。

未来のための競争とは、生まれつつある市場機会を自ら創造し、それ
を制覇する競争、すなわち新しく生まれる戦場の支配権を巡る競争で
ある。「コア・コンピタンス経営」の「どうすれば未来を展望できるか」で、
優れたシナリオをつくったり、技術の方向性を予測したりすると有効な
足がかりが得られる場合が多いが、産業の未来を展望するためには
それ以上のものが必要であるとして、「シナリオづくりや予測というのは
たいてい現状からスタートして、そこから将来起こりそうなことを考えて
いく。産業の未来を展望するときにはまず、ひょっとしたら実現できるか
もしれないことからスタートし、それを実現するには何が起こらなければ
ならないかを逆戻りしながら考えることが多い」と指摘している。

また、「未来の可能性を敏感に察知するための秘訣は、何が可能であ
るとか、どうあるべきだというような先入観を捨てて、子供のように純真
になること。経営者自身が無限の好奇心を持っていること。現時点では
自分の専門外のことでも、いろいろ考えてみる意欲を持っていること。
我々の経験では、こうすると産業の未来が展望できる」としている。そし
て、未来をイメージしたり、新しい競争の場を発見したりできないのは、
未来が予測不可能だからではなく、管理職が既存の市場という狭いの
ぞき窓から未来を見てしまうからだ。そのために、技術面を考える想像
力が新しい製品を考える想像力を、新製品を考える想像力がビジネス
を考える想像力を上回ってしまうとしている。

未来のための競争に勝利するには、ビジネスチャンスの限界を広げる
力が必要である。そのためには、経営トップは会社を個々の事業部の
集まりというよりも、企業力の集まりと考える必要がある。会社を企業
力の集まりと考えると、まったく新しいビジネスチャンスが見えてくる。
「コア・コンピタンス」では、既存の商品に基づいたビジネスの狭間や外
側に存在するビジネスチャンスを「空白エリア」と呼んで、キャノンの例
をあげている。キャノンはコア・コンピタンスと強力なブランド力をレバレ
ッジ(てこ入れ)しようとしたが、新しいビジネスチャンスを探すにあたっ
てはコア・ビジネスに縛られはしなかった。

既に紹介したように、「産業の未来を展望するときにはまず、ひょっとし
たら実現できるかもしれないことからスタートし、それを実現するには何
が起こらなければならないかを逆戻りしながら考えること」が必要である。
産学連携での大学のシーズ紹介を調べる場合も、企業が「ひょっとした
ら実現できるかもしれないビジネスプラン」を持っており、それを実現す
るために自社のコア以外に何が必要かを考えながらシーズを調査しな
くては、ビジネス開発に結びつかない。的確なコンセプトももたずにシ
ーズ調査を繰り返しても、新しいビジネスに繋がるマッチングは実現し
ないのではないだろうか。

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 ■今月のレポート■
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顧客不満足度のつかみ方

1.顧客不満足度調査

「顧客満足度調査」を実施し、その点数が毎年上昇しているにもかかわ
らず、なぜか業績は右肩下がりといった企業が増えている。また、綿密
なマーケティング調査を実施し、それに基づいて新商品・新サービスの
開発を行い、満を持して市場に投入したにもかかわらず、「市場の反応
なし」といった話も多い。いずれも、顧客のニーズを把握しきれていない
のである。ところが、「顧客不満足度調査」を実施すると、顧客は微に入
り細にわたり、驚くほど親切にさまざまなことを教えてくれる。

本書「顧客不満足度のつかみ方(武田哲男著、PHP研究所発行)」は、
「調査票作成の具体的テクニック」、「調査結果の分析方法と、その活か
し方」、「顧客継続のための取り組み」等を取り上げている。

多くの企業が実施している「顧客満足度調査」は顧客がどれだけ満足し
ているかに焦点を当てた調査方法であり、顧客満足度の点数が高けれ
ば高いほど、顧客が満足し企業を支持してくれている、という判断を行う。
したがって、企業と社員は、顧客満足度の点数が高くなるよう努力する。
よからぬ加工が入るようにもなる。顧客の満足を知るための「顧客満足
度調査」や実態把握のためのマーケティング調査では、「これから先を
どうするか」の課題に対する貢献度が低い。また、自社の抱えている問
題点に対峙して課題解決をはかり、それ以上に顧客に対して提案や画
期的な商品・サービスを提供する活動に役立ちにくい。

「顧客不満足度調査」の場合は、直近の課題を明らかにして、さらに、
短期、中期、長期にわたる実活動の課題を明白にし、顧客への提案や
各種の商品、サービス提供で評価を受けている実績がある。そのメリッ
トは、1)顧客ニーズの把握により顧客の意識下に潜んでいる商品、サ
ービス開発のヒントがキャッチできる。2)過去に企業が取り組んできた
「問題把握型」から脱却し、「問題解決型」への移行を果たすことができ
る。3)「人間ドック方式」の調査方法から、よりきめ細かいその企業の
実情を踏まえたうえでの「精密検査方式」の調査方法へ移行し、実効に
貢献する。4)「そこまではわかった。しかし、そこから先をどのようにし
たらいいのか」を明らかにして、具体的な活動に導入し貢献する。

第4章の顧客不満足度を引き出す「アンケート票」に調査票の一例が
載っているので、質問の項目だけを以下に紹介する。

・まず、具体的な○○店のご利用や印象についておたずねします。(以
下省略)

・ここからは、○○店のことについておたずねします。
Q8 :どのくらいの頻度でご来店いただいていますか。あてはまる番号
に○をおつけください(○印は1つだけ)。(以下省略)

・店舗や立地や概観についておたずねします。
Q13a:店舗の立地や外観について、あなたが不満に感じていらっしゃる
項目に○をおつけください(○印はいくつでも)。
Q13b:店舗の立地や外観について、率直なご意見をお聞かせください。
次のそれぞれの項目について、あてはまる番号に○をおつけください
(○印はそれぞれ1つだけ)。
Q13c :店舗の立地や外観について、具体的なご意見・ご提言がござ
いましたら、どんなことでも結構ですので、ぜひお聞かせください。

・店内のレイアウトや設備についておたずねします。(省略)
・お店の商品についておたずねします。(省略)
・従業員についておたずねいたします。(省略)
・サービスや××についておたずねします。(省略)
(以下省略)

2.調査結果を整理・分析する

個別満足度・不満足度をいくつかの領域に分類し、満足度と不満足度
の乖離を知ることによって、満足度と不満足度を規定する要因が見え
てくる。その領域のなかで、とくに乖離が大きい箇所を見る。それが満
足層と不満足層を分ける要因である。第5章「調査結果を整理・分析
する」の第1節「定量情報を整理・分析する」にある図表17では、顧客
満足度の領域について、満足層(とても満足、かなり満足、まあ満足の
回答者の計)と不満層(とても不満、かなり不満、やや不満の計)との
乖離(満足―不満足)を求めている。 とくに乖離が大きい「販売員」は、
満足層と不満層を分けるもっとも重要な要因になっている。

今後の活動を展開するにあたって、何を優先するかは戦術的に検討す
べき大切なテーマである。というのは、不満足度指数は非常に高いも
のの、その課題を解決しても大した効果があらわれず、業績貢献度も
低いという課題もあるからである。図表19は、タテ軸が個別満足度の
高低を示し、ヨコ軸は総合満足度との相関関数の高低を示している。
つまり個別の満足度と総合満足度との相関分析である。この結果から、
第1象限にある項目(個別満足度が高く、相関係数が高いエリア:サ
ービス、マナー、訪問回数など)は、当該企業に対する顧客の評価基
盤であり、このエリアの問題は企業にとってその低減が致命傷になる
ことを示している。

また、個別満足度は全体的に低いが、総合満足度との関係が比較的
強い項目(第4象限部分:情報の提供、商品の包装、アフターサービ
スなど)が、今後の重点課題として位置づけられる。ここに優先的に手
をつけることによって、総合満足度を高める効果が予測できる。「価格
が高い」などの第4象限に位置する項目は、構造的な不満で、長期的
に取り組むべき課題である。このほか、対象者特性別の個別満足度、
製品・サービスの利用意向、宅配の利用継続の調査結果が事例として
挙げられている。

アンケートで「世の中にないモノ・サービスで、あなたが欲しいものは?」
と尋ねても顧客は解答できない。しかし、「要望」「困っていること」「不
満」について教えて欲しいとすると、多くのことを記してくれる。第2節
「定性情報を整理・分析する」では、このような視点から、定性情報の整
理のポイントとして次の三つを挙げている。

1)生データ(加工しない生の顧客の意見・意義)が重要である。
2)分類基準の設定を行う(問題所在別、属性別)。
3)データベース化(エクセル等の活用、検索ソフトの活用など)。

また、定性情報の分析方法・表現にはいろいろあるが、たとえば次のよ
うな方法を活用するとして、下記の方法を挙げ、さまざまなアウトプット
の表現方法の図を例示している。1)KJ法、2)エクセル活用、3)データ
マイニング、4)ローデータの「姿」から読む(生データの状態から何かを
読み取る)5)定量情報との相関関係を見る(「普通」と答えた人の意見の
裏づけを定性データから見る)、6)因果分析法(因果関係を分析する方
法)ほか。

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