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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.067

2006/01/05

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2006/01/05 No.067    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
市場にでてきた儲かるナノテク
[今月のレポート]
TQM時代の戦略的方針管理
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  ■今月の一言■
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市場にでてきた儲かるナノテク

1.フラーレンとカーボンナノチューブ

日経ものづくり1005年6月号「儲かるナノテク」特集で、フラーレン、カ
ーボンナノチューブといった「ナノテク素材」が市場にでてきた。多くても
各社(フラーレンのフロンティアカーボン、カーボンナノチューブの昭和
電工)40t/年というささやかな生産規模だが、これを数%入れて製品の
機能が上がるので、争って採用している。応用には、効能を引き出すユ
ーザーの技術力が問われると、紹介している。特集では、Part1で「戦略
と限界」を概観し、Part2 で「フラーレン」、Part3 で「カーボンナノチュー
ブ」を取り上げている。

2004年末から、フラーレンを採用したスポーツ用品が相次いで登場し、
フラーレンが身近になった。もう一つのナノテク素材であるカーボンナノ
チューブは、既に身近にある。世の中に出回っている高性能なリチュー
ムイオン電池の多くにカーボンナノチューブの一種であるVGCFが入っ
ているという。フラーレンの応用がスポーツ用品にまで広がった陰には
急速な素材の価格下落がある。フラーレンの製造方法はアーク法から
燃焼法、さらに連続燃焼法と変わり、1992年に10万円/gだったものが
500円/gにまで下がった。カーボンナノチューブでは、触媒を使った気
相成長法によるVGCF(信州大学の遠藤教授が開発した遠藤ファイバ
ーで、VGCFと称しNWCNTである)の量産が軌道に乗った。

Part2「フラーレン」では、「2005年型スポーツ用品の目玉、高価格を納
得させる機能あり」として、シャフトにフラーレンを入れたヨネックスのバ
トミントンラケット、テニスラケットやゴルフクラブ、ガットにフラーレンを入
れたゴーセンのソフトテニス用ラケット、SMJ  CORPORATIONのフラー
レン入りワックスなどを紹介している。

バトミントンラケットはCFRP製シャフトの全体にフラーレンを入れたこと
で、耐衝撃強さを20〜30%上げた。同じ強さを保つには中空のCFRP
シャフトの肉厚を20%薄くできる。この軽量化してできた余裕を生かし
て、グリップ部を重くした。がっちりしたフレームを持つため反発力が高
い。高速度カメラで0.007秒後の反発距離を測ったところ、従来のモデ
ルより5%余分に飛んでいることが分かった。フラーレンの量は母材に
対して1%程度。衝撃強さが上がるのは隣り合った炭素繊維同士の結
合力が上がることによると推定されるとのこと。

Part 3 「カーボンナノチューブ」では、シチズン時計の関連会社である
ミヨタが、信州大学工学部と共同で、VGVFを樹脂に混ぜ込んで制度
を高めたレンズホルダーを開発した事例等を紹介している。PBT(テレ
ブチレンテレフタレート)に5質量%のVGCFを混ぜてレンズホルダー
を試作した。この技術を使ったCMOSカメラモジュールを2005年7月
にサンプル出荷、12月に量産を始める。携帯電話機に使うカメラモジュ
ールのようなレンズホルダーを試作したところ、転写性が高く、各レンズ
の外周を案内する内壁の同心度等が向上した。新材料の流動性が高く、
低温で成形できることを示す。収縮性能も少なくなる。

ここでは、ソニーのスピーカー、カーボン・ナノチューブを入れたCFRP
(炭素繊維強化プラスティック)を紹介している。また、金属にカーボンナ
ノチューブを入れようとする試みの事例として、日精樹脂工業が信州大
学工学部と共同で、VGCFをめっき液中に分散させて電解めっきし、ニ
ッケル(Ni)や亜鉛(Zn )とカーボンナノチューブを複合生成させる技術
を開発したことを伝えている。厚みが均一で表面に凹凸がない滑らかな
膜状複合めっきを生成できる。カーボンナノチューブのないNi メッキに
比べて熱伝導率、熱放射率を高めることができ、表面硬度も向上させた。
熱伝導率のよいAl やMg にカーボンナノチューブ入りのめっきをして、
電熱体としての機能を損なうことなく機械的な性質を高める使い方も考
えられる。さらに進んで、日精樹脂は自動車部品の一部を鉄から軽金属
に転換することを視野に入れているとのこと。

2.カーボンナノチューブが分散した金属微粒子

カーボンナノチューブが含まれた金属微粒子といえば、シナノケンシと
信州大学工学部 遠藤研究室は共同で、カーボンナノチューブが分散
した金属微粒子の製法を開発した。「遠藤ファイバー」の名で知られる
直径が100nm程度の多層カーボンナノチューブ(MWCNT)が均一に分
散した球状の金属微粒子を作成する技術を開発した(日経ナノテクノ
ロジー inside eReport 20039−22No.1 )。最初に作ったのは銅の微
粒子。この微粒子は銅の導電性とカーボンの熱伝導性および摺働性を
兼ね備えていることから、シナノケンシでは精密モーター用ブラシの摩
擦部分などに適用する実験を開始した。また信大は、銅以外の金属に
MWCNTを分散した微粒子を作製できることも確認しつつある。

金属微粒子は電解メッキ法で析出物として得られた。銅微粒子が析出
した実験の場合、まず硫酸銅水溶液中にMWCNTを入れる。そのまま
ではMWCNTは溶液中に浮くが、あらかじめ硫酸銅水溶液に特殊な界
面活性剤を混合。そこにMWCNTを入れると溶媒中に均一に分散し、
青色の硫酸銅水溶液が黒色の縣濁液に変わった。続いて通電すると、
ステンレス製の陰極が析出物で覆われて黒く変わった。析出物は指で
触れても分離することができた。厳密に言うと、陰極表面は銅メッキされ、
その外側に黒色の物質(球状の銅微粒子)が付着した。粒子は数μm
から約30μmで、銅の母体の中に分散しているMWCNTは数質量%と
分析された。

現在、信大はMWCNTを分散した他の金属微粒子を析出させる研究を
行っている。シナノケンシは、この銅微粒子の各種物性データを測定す
るために焼結体を作り、電機特性や機械特性を測定しており、精密モー
ター用ブラシ以外にもさまざまな製品への適用可能性を検討していると
のこと。なお、この研究は文部科学省が進める 長野・上田地域知的ク
ラスター創生事業で実施している。

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 ■今月のレポート■
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TQM時代の戦略的方針管理

1.戦略的方針管理とは

この著書の初版の1996年ごろTQCは、より経営に密着した管理技術
とするためにTQM(Total Quality Management)と呼ぶようになった。新
生TQMにはいくつか新しい発想が期待されている。その一例が方針
管理であろう。方針管理は、トップダウンの考え方を反映させたツール
として海外からも高く評価され、日本的TQCの特徴となっており、広く
普及している。とくに方針が与えられてからの方針展開がわかりやすく、
日本企業に定着しているように思われる。

しかし、元のトップの方針がどのように策定されるのかがわかりにくく、
それが適切なものかも疑問である。また事業の方針(戦略)が誤って策
定されると、方針管理もムダなものとなってしまう。今後の方針管理には、
従来行われているようなトップの方針(与えられた方針)に基づきそれを
各部門、各階層に展開し部門別管理や機能別管理を重点的に推進する
といった方針管理に加え、企業(事業)の目標を的確に定め、その方向
を正しく導く方針、すなわち戦略の策定が望まれている。これはかっての
TQCが主に効率を追求してきた(How to do)型とすれば、効果を求める
(What to do)型TQMが必要になってきたといえる。言い換えると戦略
的TQCの確立である。

本書「TQM時代の戦略的方針管理(長田 洋編著、内田 章、長島牧
人著、日科技連出版社発行)」のまえがきで、山形大学工学部教授の
長田氏は上記のような書き出しで、本書の内容を紹介している。「当時
から5年前にTQCの将来を憂えてTRG(TQC Research Group)が設
立されたが、その当初、従来の方針管理にあきたらない企業のTQC
研究者を中心に「戦略立案と方針管理」研究会が発足し、以来戦略的
方針管理の構築に関する研究と討論を重ねてきた。本書はこの研究
会の成果をベースにしている」

本書は、「1.TQMにおける方針管理」、「2.いま、経営に求められる方
針管理−戦略的方針管理の提唱―」、「3.戦略的方針管理のフレーム
ワーク−戦略立案と方針管理の統合―」、「4.戦略立案のための7つ
の手法―戦略手法の使い方―」、「5.戦略的方針管理の事例による検
証―キャノン(株)複写機事業の戦略分析―」の5章から構成されている。

1章では方針管理がどのようにして考案されたか、方針管理のベースに
なっている目標管理との違いを明らかにし、次に方針管理の構造と進め
方、効用と課題を述べている。目標管理は1954年、ドラッカーが「現代
の経営」で提唱したのが始まりである。この目標管理は、目標設定への
参画と自己統制の2面性をもち、自己啓発やモチベーション、さらに組
織力の向上という点で人事管理や組織管理に大きなインパクトを与えた
のであった。このドラッカーの目標管理をさらに具体化したのがE.シュレ
イである。

目標管理が米国から紹介され始めたころ、日本の品質管理はSQC(統
計的品質管理)からTQC(総合的品質管理)への転換期にあった。ブリ
ジストンタイヤでは、目標管理の導入を検討したが、目標管理が結果重
視に対し、プロセス、すなわちQC手法により目標を達成するプロセス
を重視するTQCを選択し、目標管理における優れた点をTQCの一環
として実施し、総合管理体制を確立しようとした。その結果、「ポリシー
管理」というコンセプトが1964年に生まれ、翌年「方針管理」と正式に
名称決定した。方針管理は、目標管理のもつ2つのコンセプトである目
標設定への参画と目標の自己統制をベースにし、目標をQC手法、つ
まりQC的問題解決法により達成するという、目標管理に欠けていた
プロセスを付与した管理手法といえる。

日本科学技術連盟TQC用語検討小委員会による方針管理の定義は、
「方針管理とは、経営基本方針に基づき、長(中)期経営計画や短期経
営方針を定め、それらを効率的に達成するために、企業組織全体の協
力のもとに行われる活動」。方針管理とは、企業の経営理念をさし、経
営理念にもとづいた経営ビジョン、そしてこのビジョンを具体的に達成
するために経営戦略が策定される。この戦略の実行計画が、長(中)期
計画や短期経営方針(計画)である。短期経営計画は、中・長期経営
計画に基づくのは当然であるが、前期までの実績と計画(目標)との差
異分析を行い、未達成の原因を明らかにし、それに対する処置が方針
のなかに織り込まれなければならない。

このように方針を定め、その方針を構成する目標を達成するための方
策を細分化しながら展開し、目標達成のためにQC的問題解決法を方
策に適用し、PDCAサイクルを回す管理手法である。ここにPDCAとは、
Plan:事業部レベルの場合は事業部長方針、Do:実施、Check:確認、
Action :処置のことである。

2.7つの手法とその応用

4章では、戦略立案のための次にあげる7つの手法を取り上げている。
(1) 環境分析(マクロ分析、業界構造分析)
(2) 製品分析
(3) 市場分析
(4) 製品・市場分析
(5) プロダクト・ポートフォリオ分析
(6) 戦略要因分析
(7) 資源配分分析

環境分析は大きく分けると、マクロ分析と業界構造分析がある。マクロ
分析とは一般的な景気指標やマクロ情報を使って産業全体を取り巻く
環境を分析することである。業界構造分析は、M.E.ポーター教授によっ
て開発された業界環境の分析法である。ポーターは、業界環境と業界
内における自社の位置づけとを切り離して分析すべきであるとし、さら
に業界環境の構造的かつ包括的な分析方法を提示した。すなわち、業
界の魅力度を決定する要因を5つに分けて構造的に分析した。5大
要因とは、(1)既存業者間の競合、(2)買い手の交渉力、(3)供給業者の
交渉力、(4)新規参入の脅威、および(5)代替品の脅威である。

製品分析は、市場にでている製品を差別性(基本性能、操作性、信頼
性、耐久性、耐環境性、保全性、納期、サービスなど)、価格面(絶対的
な価格、ランニングコスト、経済性)から比較、評価する。主に製品その
ものの客観的な評価であるが、目に見えないサービスや販売活動も評
価の対象になる。

市場分析は、1)市場を細分化して、セグメントごとに買い手の要求(ニー
ズ)を把握する。2)セグメントごとに顧客の購買決定要因を把握する。3)
競合優位性の源泉を明確にする。4)現在・将来の市場規模を推定する。

製品分析と市場分析の結果を掛け合わせることにより、製品・市場分析
ができる。すなわち、どんな製品がどんな顧客の要求にマッチしている
のか、どの供給業者がよりよく顧客を満足させているのか、さらには、
顧客の要求に対応した製品のない空白なセグメントが存在するかを見
ることになる。

プロダクト・ポートフォリオ分析(PPM)は、株などの金融資産の分散投
資の手法から概念を借りてきて開発された手法であり、本来の主な目
的は企業全体の戦略として、どんな事業をもち、それぞれどのくらい資
源配分を行うかを決定することにある。本章ではPPMを事業戦略のな
かで製品群に関する分析手法として扱っている。PPMにはBCG版(ボ
ストン・コンサルティング・グループ社)と、その後マッキンゼー社などに
よって手を加えられた新版がある。BCC版は、完全に定量的な分析で
あり、ごくかぎられたデータから作られる。一方、新版は膨大なデータに
基づいた定性分析である。本書では両者を説明しているが、BCG版
PPMは、本格的な分析である新版のPPMを作成する前に、企業の現
在もっている製品と、そのポジションを概観するのに用いるのが正しい
としている。

対象製品で対象とする市場に参入し、事業を展開する場合、その戦略
の決め手となる要素を本書では戦略要因と呼んでいる。多くの戦略論
でその事業を成功に導く要因を成功要因と読んでいるがほぼ同意語
である。戦略要因は、客観的で汎用性が高くかつ具体的なものとし、
方針展開に結びつくようなものとしなければならない。そこで本書では
戦略要因をTQMの要素である品質(Q)、コスト(C)、量・納期(D)、安
全(S)に分類している。

資源配分分析は、戦略要因分析から得られた基本戦略から人・物・金・
時間などの資源配分を決定する手法である。すなわち、基本戦略を実
行する場合、どの(a)製品部門や、(b)機能部門に予算や人材その他の
資源を優先的に投入するべきかを考えるのである。この目的のために
プロダクト・ポートフォリオ分析(PPM)の手法を応用する。

5章の「戦略的方針管理の事例による検証」では、4章で紹介した戦略
立案のためのいくつかの手法を実際のケースに当てはめ、その妥当性
の検証を行っている。ケースとしてはキャノン(株)複写機事業を取り上
げ、公開情報に基づき、戦略・方針策定のプロセスを具体的に分析し
た。各手法の妥当性を検証するとともに、具体的な応用例によりビジュ
アルでかつ全員参加型の戦略立案イメージを提供するのが目的であ
る。情報にかぎりがあるため一部筆者の推定が含まれるが、非常にわ
かりやすく紹介されている。1章から4章までの概要を読んだ上で、5
章の事例を読むだけでも非常に参考になるであろう。

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