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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.066

2005/12/01

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2005/12/01 No.066    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
ものづくりマーケティングWEB
[今月のレポート]
マーケティング実践講座
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  ■今月の一言■
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ものづくりマーケティングWEB

1.業務発注先としての中小企業

日経ものづくり2005年11月号に、ものづくりサーチ「業務発注先として
の中小企業」の調査報告が載っている。同誌は中小企業の活用状況や
情報取得方法に関するアンケートを実施した。調査方法は、2005年9
月末〜10月上旬にWeb サイトで実施した。ニュース配信サービス「日
経ものづくりONLINEメール」の読者を対象に、アンケート用のURLを
告知して回答を依頼。376の有効回答を得た。中小企業の定義は「従
業員300人くらいまでの企業」とした。

まず、ここ3年のうちに新規に開拓した中小企業に業務を発注したこと
があるかどうかを尋ねたところ、全体の62.4%が「ある」と回答した。「あ
る」と回答した人に限り、発注した業務の出来に対する満足度を聞いた
ところ、4.8%が「要求以上の出来であることが多い」、61.0%が「ほぼ要求
通りの出来であることが多い」を選択。全体の6割以上が新規開拓先
の中小企業の仕事におおむね満足していることが分かった。

逆に言えば、3割以上は満足できなかった(要求水準にやや達しないが
28.6%、程遠いが4.3%)ことになる。そこで「満足できなかったと回答した
人を対象に、満足できなかった要因を尋ねたところ、76.6%が「指定した
品質に達していなかった」、42.9%が「指定した納期に間に合わなかった」、
24.7%が「追加コストが発生し、それを請求された」を選んでいる。
業務発注先の中小企業を見つけるために利用している情報収集手段を
尋ねたところ、取引先やインターネットを情報源として活用している人が
多いと判明した。「取引先からの紹介・推薦」(46.8%)、「企業のWeb サ
イト」(44.6%)、「取引先からのクチコミ」(41.9%)、「中小企業の営業活動」
(29.8%)、「メールマガジン・インターネット上の広告など」(21.2%)、「雑誌」
(19.1%)。

こうした情報源の中でも、企業のWeb サイトは完全に自分のペースで
情報を集められるという点で、比較的敷居が低く、利便性の高い手段
といえる。そこで「企業のWeb サイト」と回答した人に対して、Web サイ
トに求める情報の種類を尋ねたところ、83.1%が「発注可能な業務を選
んだ。これは、自社が発注したい業務をこなせる企業でなければ、それ
以外の情報を集めたところでムダになるため。

次に多かったのは「コストの目安」で、回答率は63.3%。「発注先企業の
取引実績」(46.4%)、「成形品などの実物写真」(45.2%)、「担当者の直接
連絡先」(39.2%)、「発注先企業の生産能力」(38.6%)なども回答率が高
かった。

最後に、企業のWeb サイトに掲載されていると役に立つと思う情報を、
自由形式で聞いた。目立っていたのは、中小企業を審査する第三者機
関を設け、審査結果を掲載してほしいというもの。「取引先や商社の紹
介といったワンクッションがないと、なかなか発注できない」という意見も
あった。筆者は、こうした“壁”を取り払えるくらいにWeb サイトを充実
させることが新規顧客の獲得につながるといえそうだとコメントしている。

2.受発注にITを利用しているWeb事例

中堅・中小企業で、受発注にITを上手に利用しているWeb サイトの事
例を探したらCOMPASS 2005冬号<http://www.compass-it.jp/>に、
東海バネ工業の事例」が紹介されていた。東海バネ工業はあらゆるバネ
を1個から生産可能という多品種微量生産が売りのバネ製造業。優れ
た技術とフルオーダーメイド生産体制を強みにバネの設計・製造・販売
を手がけている。以前の東海バネ工業には営業担当者ほどおり、売上
が10億円強という中で、営業経費負担が大きかった。営業効率を上げ、
社内スタッフの業務をプロフェッショナル化することが急務だった。

当時「よい営業マン」と評価されていた人物は「3年前に頼んだバネが
欲しいといったときに、すぐに思い出して過去の設計図を出せる」点が
顧客に重宝されていた。つまり、注文情報を記憶していて迅速な対応
ができればリピート注文が獲られやすい。こうして、同社は注文情報の
データベース化をテーマに、IT活用を開始する。今から25年前のこと
である。試みは見事成功。営業人員は約半数の20人、そしてその80
%が女性、しかし売上は同じラインをキープ。バネの営業にITと女性が
活躍した。

しかし、既存顧客の満足は得られたが、新規顧客開拓の課題は依然残
っている。またあらゆるバネのオーダーに応えるために材料在庫を豊富
に確保しておかねばならない。合理化、省力化で営業は安定したが「損
はしないが儲からない」状態が続いた。2002年5月、大阪産業創造館が
主催する「西岡IT塾」へ参加し、ITコーディネータから、在庫削減や新規
顧客開拓の必要性を指摘。プロダクトアウトの発想をやめ、情報開始と
共有で儲かるIT化をするよう提言された。

渡辺社長はITを使った新たな改革を決断する。ITCの薦めで新規顧客
開拓の重要ツールとして選ばれたのはWeb 。Webページの内容の充実
や検索エンジン対策などいくつかの試みをした結果、Web をきっかけに
した新規顧客が、2003年は100件以上・金額3000万円に、2004年は
さらに伸びて209件・8400万円に拡大した。同社の年平均取引先数は
700件ほどだからインパクトがある。

Web マーケティングGr.リーダーの渡辺氏によると(同誌「Web マーケテ
ィング講座」)、Web サイトをリニューアルするときの戦略は、「技術情報
開示により新市場開拓で新規顧客を獲得する」というもの。そのコンセ
プトは、「ばねe-ディクショナリ型Web サイト」。要するにばねの事なら
何でもわかる、そんな辞書のようなWeb サイトにして、そこから新しい
お客様に出会おうと考えたとのこと。サイト作りにあたっては、お問い合
わせボタンを出来るだけ目につく場所に配置した。

Webサイトに掲載する情報(コンテンツ)作りでは、まず「わかりやすく」
を優先させた。「ばねのお話」というタイトルで、いろんな部署の人にば
ねに対する思いを書いてもらっている。そのほとんどのコンテンツを社
内で制作している。プロが作るきれいなサイトには到底およばないもの
の、重要なのは見た目の綺麗さではなく、あくまでその中身と思ってい
たとのこと。成果が上がりそうなアイデアがあればすぐ試せるし、気に
入らなければすぐ変更できる。

2004年10月にはWeb 上の新しい顧客サービス「リ・オ・ダ」システムを
スタートさせた。本システムは、リピートオーダーや納期確認が行える専
用Web サイト顧客ごとに開設するというもの。自社のサイトに入ると過
去の注文品が一覧でき、一度頼んだ商品であれば、ここから選んで24
時間いつでも発注が可能だ。FAXや電話で注文した商品であっても発
注履歴や納品予定日が記録されるので、「発注管理や納期確認にも利
用していただけるとのこと。

東海バネ工業(株)のホームページ<http://www.tokaibane.com/>を見る
と、バネ・ばね・スプリングの事なら東海バネ工業へとして東海バネ工業
株式会社のロゴがつけられ、上部に「ばねの案内」「ばね購入事例」「ば
ね技術情報」「設計資料のご請求」「ばねの話」「会社案内」「掲示板」の
リンクがついている。ホームページにはこのほか、「ばねお問い合わせ」
「ばねでコミュニケーション」「1個のばねが欲しい」「過去に注文したば
ねが欲しい」等へのリンクがついている。紹介は省略するが、アクセスす
ると参考になろう。

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 ■今月のレポート■
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マーケティング実践講座

1.概要

本書(須藤美和(ベイン・アンド・カンパニーパートナー)著、ダイヤモンド
社発行)のは、PART1マーケティングとは何か、PAET2マーケティング
戦略の実践法、PART3マーケティング調査分析手法「多変量分析の実
際」、PART4これからのマーケティングに何が求められるか?、PART5
[演習]サントリーDAKARAのマーケティング戦略を立てる、の5章から
なっている。

PART1マーケティングとは何かでは、マーケティング活動全体のプロセ
スを、マーケティング戦略とマーケティング戦術に分けて概観している。
マーケティング活動は、具体的には以下のような5つのステップに沿っ
て進められる。一般的に、環境分析からマーケティングミックスの策定
までをマーケティング戦略、それ以降をマーケティング戦術と呼ぶ。1)環
境分析:自社が置かれている外部環境、内部環境を分析し自社のポジ
ションを知る、2)ターゲットの特定:市場を切り分けて狙うべきセグメント
を特定、ターゲットセグメンテーション、3)マーケッティングミックスの策定
:ターゲット顧客に選んでもらうための具体的な商品の中身、その価格、
流通経路、プロモーションの決定し、自社に選んでもらうためのシナリオ
を描くプロセス、4)アクションプランづくり:実行シナリオの策定、5)アクシ
ョンプランの実行:営業活動、取引、ロジスティックス管理、アフターサー
ビス、継続的販売機会の探索。

そして、ホンダのオデッセイのケースを解説しながら、市場の潜在的な
ニーズを浮き彫りにして顧客の求める商品を作り、新たな市場を創造し
ていくプロセスを説明している。市場セグメンテーション、切り口を変えた
セグメンテーションで、購入したい乗用車のタイプをRVとその他に分け、
それぞれの人に現状のRVに不満があるか、満足しているかを聞く。そ
して、次に購入したい車種がRVかそうでないかに関係なく、その不満
が解消されればタイプの車を買うというセグメントに切り分けようと試み
る。こうした切り分け=セグメンテーションを行うことによって、ホンダは、
現状のRVに対する市場の不満を明らかにし、そうした不満を持ってい
る層をターゲットにした。

ホンダが目をつけた差別化要因は、ファミリーユース不向き、値段が高
い、長時間の運転に乗り心地が適していない、といった具体的な不満の
解消である。ユーザーに関しては女性、子供、お年寄りに配慮した。RV
はトラックをベースにすることが多かったが、アコードをベースにすること
によって、走り心地や乗り心地を快適にし、床を10cm以上低くして車高
を下げるなど、セダンのような快適性を実現した。また、コストダウンの
徹底によって200万円台前半を実現した。商品開発から販売部門まで
同じ目線で考えられるように全機能横断チームをつくり、新車の総開発
責任者、RADを任命した。

PART2マーケティング戦略の実践法では、具体的なマーケティング戦略
の立案方法と、商品を市場で展開するための戦術の実践方法を解説し
ている。まずはじめに、「顧客を知る」「競合を知る」「自社を知る」という
環境分析のアプローチについて学んでいる。続いて、「商品」「顧客」「流
通経路」「プロモーション」という観点から、市場で勝つための差別化の
方法を解説している。

PART3マーケティング戦略の立案そして実践のプロセスでは、市場の
ファクトをきちんととらえるためにリサーチを行うことがしばしばある。さ
まざまなリサーチ手法とその分析手法を知ることで、理にかなったマー
ケティング戦略を立てやすくなるとして、クラスター分析やコンジョイント
分析、回帰分析、主成分分析、因子分析、藩閥分析など、代表的な調
査分析手法について解説している。

PART4これからのマーケッティングには何を求められるか?では、市場
の成熟化そして細分化が進むと、企業が市場に働きかけていかなくて
は生き残ることが難しくなってくる。マーケティング発想こそが企業戦略
の差別化の源泉となるゆえんだが、ここではその発展形として、2つの
重要な考え方を紹介するとして、既存顧客との関係を重視するリレーシ
ョンシップマーケティング、ブランドマネジメントは究極のマーケティング
手法を取り上げている。リレーションシップマーケティングの根底に流れ
る考え方は顧客開拓から既存顧客との関係を強化する方向に軸足を
移すべきというもので、One to Oneマーケティングはその一つである。

2.サントリーDAKARAのマーケティング戦略を立てる

PART5では、実際に大きなヒット商品となったサントリーの「DAKARA」
を例にとりながら、サントリーDAKARAのマーケティング戦略を立てる
演習をしている。マーケティング活動の流れに沿って、どのような順番
で、何を拠り所に、どのようなことを意思決定していけばいいかというこ
とを考えている。

演習の問題を解いていく前に、サントリーがどういう会社か、どういう背
景を背負っているかということを理解する必要がある。サントリーという
会社の大きな特徴は、「やってみなされ」という進取の気性を大事にす
る会社ということである。もう一つの重要なDNAは「見せる遺伝子」とい
う言葉で表わされている。表現することを非常に大事にしている会社で
ある。

設問と回答例を並列すると、設問1「競合と自社を知り、自社の勝ちパタ
ーンを考えよう」(1)「マーケティング戦略」を立てるプロセスに生える前
にやるべきことは、チーム編成。マーケティング責任者、それ以外のマ
ーケッター、商品開発研究員、デザイナーといったベンバーがチームを
構成した。コピーライター、アートデレクターも参画した。(2)「マーケティ
ング戦略立案プロセス」の3つのステップは、環境分析をして、自社が
狙うターゲットを特定して、その中で自社を差別化させるためにどうすべ
きかを考える。

設問2「マーケットリサーチを始めよう」(1)マーケティングリサーチを進
める上でのポイントは、仮説の立案。仮説とは、「スポーツドリンクは○
○のときに飲むものだろう」「スポーツドリンクを飲むヒトは□□な人だろ
う。顧客を知るためのアンケート調査で、質問をつくるにあたってのタブ
ーは、一般的な選択肢からは何もわからないのでよくない。(3)あなた
が考えた仮設を明らかにした上で、聞くべき調査項目と注意すべき点を
示しなさいは、「スポーツドリンクはスポーツの最中やスポーツの跡に飲
まれるのではないか。だから、今のスポーツ飲料のユーザーの不満を
明らかにして、何かスポーツに役立つような機能を加えた、本格的なス
ポーツドリンクが開発できればヒット商品に育てられる」。調査項目の回
答では、顧客がドリンクに持っているイメージを知るための質問。飲み物
をいつ飲んだか、どこで飲んだか。スポーツドリンクに対する不満や今後
どんなスポーツドリンクがあったら飲んでみたいと思うか。

設問3「顧客の深層心理からマーケティング戦略の方向性を見つけよう」
(1)調査結果からわかったことは、スポーツドリンクを飲んでいる実態を
聞いてみると、スポーツをしているときやその後に飲んでいるのは17か
ら18%程度にすぎず、残りの80%はお風呂上がりだったり、二日酔いの
ときであったり、職場や学校でのどが渇いたときに飲んでいたというので
ある。(2)顧客のニーズに応えるという観点からどのようなことができそう
かには、不満解消が差別化の方向性だと最初に仮説を立てていたが、
今ある商品の価値を超えるような付加価値を探し出すことがポイントだと
いうことがわかった。また、その分析のアプローチから、「スポーツ」「海」
「メディカル」という3つのキーワードがでてきた。そして、メディカルという
イメージをもう少し深堀りしていくことで差別化の方向を出せないかという
ことになった。

設問4「競合と自社を知り、自社の勝ちパターンを考えよう」では、市場
の定義、シェア・マップ、Five Forces分析、自社の成功ストーリーから
強みを知る。設問5「ターゲットを定め、他社製品との差別化を徹底しよ
う」では、セグメンテーションの切り口を解説している。

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