企業

「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

全て表示する >

「情報と中小企業」メールニュースNo.055

2005/01/06

=======================
   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
=======================
★2004/01/06 No.055    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
◇----------------------------------------◇
 //ISSF//      // ISSF//      //ISSF//
情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
◇----------------------------------------◇
もくじ
[今月の一言]
ITを活用して技能を伝承
[今月のレポート]
経営の構想力
◇----------------------------------------◇
◇--------------------◇
  ■今月の一言■
◇--------------------◇
ITを活用して技能を伝承

1.戦略的な人づくり

日経ものづくり2004,6号に「強さ再びだから始める人づく
り」特集が載っていた。技能者の質と量の低下が製造現場の弱体
化を招いた。そして、それに気付いた企業がこぞって「人づくり
」に取り組み始めたことを伝えている。ここでは戦略的人づくり
を三つに分けて説明している。第一は、技能者全体のレベルアッ
プと高度な技能者の育成。付加価値の高い製品を作るためには、
独自技術や競争力を高めるために不可欠な技術を守り、そして育
てていくための人づくりが重要なのだ。

第二の戦略的人づくりは、さまざまな技能を身に付けた多能工の
育成である。消費者の多様化するニーズに、多品種少量生産に応
えたい。季節や天候などによって生産量が大きく変動する製品に
も柔軟に対応していきたい。このどちらにも、多能工の存在が欠
かせない。第三の戦略的人づくりは、海外に進出した工場を成功
させるための人材育成である。工場に国内回帰が一部で始まって
いるものの、依然生産拠点の海外シフトが大きな流れであること
に間違いない。海外工場の立ち上げ、高い競争力を確保するため
には現地スタッフの育成、そして日本人指導者の育成が課題になる。

特集のPart2からPart4で、「技能者」「多能工」「指導者」の育
成について、日本企業各社の取り組みを紹介している。「技能者の
育成」では、セイコーエプソンの「ものづくり塾」、オリンパスの
「高度技能育成制度」、ダイキン工業の「卓越技能伝承制度」、マ
ツダの「卓越技能者育成コース」、日立製作所のITを活用した
「e-Meister」などを紹介。「多能工の育成」では、ダイキン工業
滋賀工場の「素人工数教育道場」、オリンパス伊那工場の「TM(テ
クニカルマスター)」制度、「指導者の育成」では、ダイキン工業
の卓越技能伝承制度により認定されたマイスターやネットワーク
を利用した海外拠点の指導、アルプス電気の技能研修所、ブラザ
ー工業の製造現場を中心とした教育実習などを紹介している。

このうち、日立製作所が2001年10月に開始した「e-Meister」
は、ITを活用した技能伝承への取り組みだ。伝承すべき技能を形
式化し、ITを活用したコンテンツとして作成。標準化された指導
者用ツールとして利用することで、後継者への効率的かつ確実な
伝承を推進。さらに、コンテンツを共有することで日立グループ
全体の基板技術を強化していく。

ノウハウの抽出は、作業者に直接聞いてもなかなか教えてくれな
い。そこでまずは撮影し、なぜそのような動作をするのか、なぜ
そうなるのか(そうするのか)を、その技能者の関係者で十分議
論し、分析するのが重要。コンテンツを作成する行為自体が、従
来見えなかった技能ノウハウの伝承へともつながる。

コンテンツは静止画解説と動画解説から構成され、作業を分割し、
階層構造に整理してある。技能(ノウハウ)を分かりやすくする
と同時に、操作性も向上できるためだ。技能の作業だけでなく不
具合や規格といった関連情報も含めている。

E-Meister活動は現在、コンテンツをデータベース化するフェー
ズに入っている。2004年上期後半からは、共通性が高く、公
開に問題がないコンテンツについてはイントラネット上で活動参
加部門に対して公開する計画とのことである。

2.技能・技術データベース

このような技能データベースをインターネットやイントラネット
で公開するには、ホームページ作成ソフトを利用するのが便利で
ある。例えば、IBMのホームページビルダーには豊富な表・図形
の作成機能があるので、表とテキスト、図形を組み合わせて基本
的な構成とし、画像、PDFファイル(スキャナーから読み込んだ
資料など)等を貼り付けてデータベースを作ることができる。

あるページにリンクを貼る際にパスワードを設定することで、リ
ンク先のページに移動すると、パスワードを入力する画面が表示
されるので、仲間限定のページなどが作成できる。別売りソフト
のe-ラーニング教材作成エクステンションを使用すれば、ホーム
ページ上でMicrosoft PowerPointとビデオ映像の同期をさせた動
画が見られるビデオ教材や、採点のできるテキスト教材を作るこ
とができ、採点結果はメールで送ることができる。

アニメーションや効果音を駆使したWEB上のオンラインデモスト
レーション(ビューレット)を作成するためのソフトウェアであ
るビューレットビルダーでは、テキスト、画像、サウンド等を駆
使して、顧客向けにソフトウェアの操作方法を説明したり、商品
のプロモーションや社内向けのトレーニング等に用いることがで
きる。

最近、「TeamPage」などの企業向けブログが紹介されるようにな
ってきた。主な利用範囲としては、市場情報・競合情報の収集、
分析、配信など調査活動、顧客企業とのコラボレーションスペー
ス、プロジェクト進行の促進などがある。ブログの基本的なスタ
イルは、各自が記事を書き、特定のURLに投稿するというもの
だ。チームやプロジェクトごとに記事の投稿先を決めておくこと
で、メンバー全員がいつでも情報を登録、更新、共有できる。ID
とパスワードによるアクセス管理に加えて、暗号化ができるブロ
グツールもあるとのことで、社外メンバーとの情報共有も可能だ。

このブログ、個人のWebページに限っていえば、大手ポータルサ
イトや検索サイト、プロバイダなどがブログ運営サービスを無料
でスタートさせているので、簡単に作成できる。例えば、エキサ
イトブログ(http://www.excite.co.jp/)にアクセスし、新規登録で
IDを取得する。次に、ブログ作成ページでブログの情報を設定す
る。ブログの基本的な設定がすんだら、マイブログのトップページ
のメニューから「投稿」を選び、記事を投稿する。

他のブログ記事を読み、それに対する感想などを投稿するときは、
トラックバック機能が利用できる。トラックバック機能を利用す
るときは他のブログの記事に設定されているトラックバックをク
リックし、表示されたトラックバックのURLを、このブログの
「トラックバックURL」に記述する。記事を記入し、必要事項を
設定したら、「送信」ボタンを押す。トラックバックの目的の一つ
は、ある記事を読んだ人がその記事の感想などを自分のブログに
書いたとき、その元の記事の作者に「あなたの記事に影響されて
私も記事を書いた」と伝えることである。

RSSニーダーと呼ばれるソフトを利用すると、ブログやニュース
サイトが手軽に楽しめる。例えば、glucoseのホームページ
http://glucose.jp/>からRSSリーダーをダウンロードして、イン
ストールする。このglucoseを起動し、自分のブログのアカウント
名を入力して、RSS追加をクリックして登録する。このようにし
て好きなブロックを登録しておくと、登録したブログの記事を表
示してくれる。

ブログの特徴は、?自分の見るべき情報のうち最新のものがすぐ
分かる。情報同士の相互リンクにより「脈路」「経緯」が効率よく
つかめる。?情報の内容によって自動分類され、「発信者」「日時」
「内容」「キーワード」など様々な検索が可能。?投稿された情報
はXMLで記述された「構造化文書」になる。営業支援システム
やナレッジマネジメントシステムなどの業務システムでの再利用
が可能。

「TeamPage」のISPによる企業用ブログサービスも開始されて
いる。日立製作所が、社外向け情報発信や社内での情報交換を、
Weblog(通称:Blog)において容易に実現する企業向けブログサ
ービス「BOXER BLOG powered by TypePad」(BOXERブログ)
を発表している。米国Six ApartからOEM供給を受けたもので、
国内の中堅・中小企業向けに提供する。利用料はディスク容量
200MBで帯域が月間5GBまでの「プロ」が月額1,260円、ディスク
容量1GBで帯域が月間50GBまでの「ビジネス・クラス」が月額
15,750円。

また、Weblogベースで構築するサービス「BOXER イントラログ」
を、国内の中堅・中小規模の企業や教育機関などのむけ提供開始
した。「イントラログ」では、社員一人一人、あるいは事業部門や
部署別、プロジェクト単位でブログを開設する。テクストや画像
といったさまざまな情報の掲載や更新は、PCだけでなく携帯電話
などから容易に処理が可能である。また、「イントラログ」は、「
トラックバック」機能や、「RSS」に対応している。

◇--------------------◇
 ■今月のレポート■
◇--------------------◇
経営の構想力

1.構想力とは

この本「経営の構想力」(ローランド・ベルガー代表取締役兼CEO
の西浦裕二著、東洋経済新報社発行)は、「構想」とは何か、「構
想力」はどのように磨けばよいか、について経営の観点から検討し
ている。執筆のきっかけとなったのは、大前研一氏が主宰するBB
T(ビジネス・ブレーク・スルー)というCS放送局における対談
シリーズ「経営者の構想力」であったとのことである。西浦氏は、
「企業経営者、あるいはビジネスリーダーと呼ばれる人々の重要な
要件の一つは「方向性を決めること」であるとし、その時に拠り所
となるものとして、その人なりの「哲学」、「大局観」や「洞察力」、
「現実に対する勝負勘」の三つをあげ、こうした「拠り所」をすべ
て総合して、「構想力」という概念を使っている。

西浦氏は、「構想」を生み出すために、「編集」という行為ないし
は能力が、極めて重要な役割を果たすとし、「こうした「編集」は、
「構想」を生み出すための前工程である。ここから実際に「構想」
につながるためには、「創造的な飛躍」が頭脳のなかで行われなけ
ればならない。それは「化学反応」の結果生まれる思考エネルギ
ーの爆発でもある」と指摘している。そして、思考の化学反応を
起こすためには、いくつかの条件があると、「徹底して考え抜くこ
と」「明確な哲学と、それに裏打ちされた使命感が存在する」「異
質な世界との交流」の三つの条件をあげている。

組織としての「構想力」について、日本の企業や研究所は、チー
ムワークは大切にされてきた。しかし、狭い組織のなかでチームワ
ークを大切にすると言うことと、オープンな環境のなかで、「知の
格闘」を行う(ナレッジ・マネジメントの考え)こととは根本的
に異なると述べている。ここで取り上げているナレッジ・マネジ
メントとは、基礎的情報の共有ではなく、様々な知恵や情報が、
たんに共有化されるだけでなく、合成され、化学反応を起こし、
新しい「知」の創造(供創)につながらなくてはならないと指摘
している。

また、ナレッジ・マネジメントの成果がなかなか上げきれていな
い原因は、ナレッジ・マネジメントというものに対する三つの「
誤解」があるからだ。第一は、「ナレッジとは何か」に対する誤解、
第二の誤解は、「IT(情報技術)によりドキュメントを電子化す
ればよい」というもの、第三の誤解は、ナレッジ・マネジメント
は「現場の知」の共有化を目指すものであり、経営者が関わるもの
ではないというものだと述べている。

「ナレッジに関する誤解」に関しては、たんなる「情報」の共有
化から、本当の意味の「知恵」の共有化に進み得るか否かにかか
っている。「ITに関する誤解」に関しては、知恵が活発に流通し
活用されて自己増殖していくためには、ITの整備だけでは無理
である。組織のあり方、社内運動、知恵の編集等々において、「人
間」の工夫が不可欠としている。「現場の知に関する誤解」に関し
ては、経営者は、「大局的な視点」あるいは「理念」を現場に投げ
かけることによって、知の生成が可能。また、経営者自身が「現
場の知」から多くのことを学び、「経営の知」に昇華させることが
できるとしている。

2.ナレッジ・マネジメントにおける人間系の工夫

先に述べた「人間系の工夫」に関して西浦氏は、「組織の工夫」「
知のマップづくり」「編集者の配置」の三つのキーワードをあげて
いる。第一の「組織の工夫」は、異なる知恵がぶつかりあうよう
な「場」をつくっていくことが必要と、カルロス・ゴーンによる
CFT(クロス・ファンクショナル・チーム)や、シリコンバレ
ーでの知のコミュニティを事例にあげている。第二の「知のマップ
づくり」では、「社員がすでに持っている専門知識の把握、競走す
べき市場に参入するために必要な知識・能力の目録化、さらに今後
開発されるべき知識の方向を示すのが、マップ化の意義である」と、
「知識資産の経営」の著者である紺野登氏の発言を引用している。

「人間系の工夫」の第三は、「編集者の配置」である。構想につな
がる「化学反応」を促進するためには、「編集」という行為が前段
において必ず必要となる。「知のマップづくり」も、暗黙知の交流
が活発になることを目指した「編集作業」の一環なのであると指
摘している。編集作業は、まず社内に存在するナレッジを発掘し、
価値を見極めることから始まる。そのうえで、無秩序なものを秩序
だてながら、「知のマップ」をつくる作業の音頭を取っていく。別の
言い方をすれば、企業内の才能や知恵が交流し、化学反応が起きる
「場」をつくり、運営することである。さらに、知恵を生み出す原
動力となっているのは、一人一人が持っている「問題意識」ではな
かろうか。この問題意識とは、既存の情報や知恵の大海から、新た
な知恵を抽出するための「釣針」であるとして、経営者は、こうし
た「釣針」を、組織全体が、従業員一人ひとりが持つように仕掛け
ていかなければならないと指摘している。ここで指摘しているのは、
経営としての考え方(理念やミッション)を組織全体に浸透させて
いく努力のことである。

前半で取り上げたリーダーが持つ構想力のまとめで、一人のリー
ダーが構想力を持つためには、「大局的な視点」と「現場の視点」
の両方が必要だと述べているが、組織全体の構想力のまとめでも、
「ナレッジ・マネジメントの仕組みにおいても、「大局的な視点」
と「現場の視点」の融合が重要である」と強調している。

本書の最後で、ローランド・ベルガー行ったアンケート調査の結
果が紹介されている。アンケート調査の質問内容は、?あるべき
リーダー像を考えていくうえで、参考となる経営者は? ?ビジ
ネスリーダーに求められる要件は? そのなかでも、とりわけこ
れからますます重要になってくることは? ?企業経営を行うう
えで役に立った経験は? ?トップに就任するまでにやっておく
べきこと、就任してから必ずやるべきことは?

参考までに紹介すると、リーダーに求められる要件の結果は、過
去・現在・将来を問わず、「構想力」「コミュニケーション力」な
らびに「インテグリティ」(誠実さ、公平さやリーダーとしての規
範)の三つが大切であるというものであり、なかでも「構想力」
が極立って多い。また、社会的価値や社会貢献の指摘も多い。「企
業経営を行ううえで役に立った経験」では、「海外経験」「子会社
・関連会社での体験」が圧倒的に多かった。最後の「トップに就
任するまでにやっておくべきこと」として多かった指摘が「思考力
・経営知識の修得」「社外とのネットワークづくり」である。また、
「就任してからやるべきこと」で圧倒的に多かったのが「社内との
コミュニケーション」「ビジョン・方向性の提示」の二つであった。
興味深い内容である。

◇--------------------◇
   ■編集後記■
◇--------------------◇
降旗清司と(有)技術創造マネジメントは、経済産業省の平成16年度
委託事業「新産業創出コーディネート活用モデル事業」に、「企業の技術
ロードマップの作成による産学連携の促進」のテーマで応募申請してい
ましたが、このたび採択されました。

この事業の目的や内容を紹介し、企業の技術ロードマップ作成や産学連
携についてお話を伺うために企業を訪問しています。また、経営戦略や
産学連携情報を紹介して質疑するケース・メソッド(交流会)や産学連
携相談も参加者を募集しています。

すでに、産学連携相談を受けたことがある企業を主な対象としておりま
すが、技術ロードマップや産学連携について関心のある新たな企業の
参加も期待しております。降旗までお問い合わせください。

=======================
「情報と中小企業」メールニュース
発行:降旗清司
E-MAIL:furihata@techcm.co.jp
[技術創造マネジメント] http://www.techcm.co.jp/
[issf;情報と中小企業] http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
アドレス変更/配信停止 http://www31.ocn.ne.jp/~issf/
本メールマガジンは下記のサービスで発行しています。
インターネットの本屋さん「まぐまぐ」http://www.mag2.com/
マガジンID:0000037775
メールマガジン「melma!(メルマ!)」http://www.melma.com/
マガジンID:m00019936
=======================

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-10-07  
最終発行日:  
発行周期:月刊  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。