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「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

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「情報と中小企業」メールニュースNo.042

2003/12/04

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   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
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★2003/12/04 No.042    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行
★issf(情報と中小企業)<http://plaza23.mbn.or.jp/~issf/
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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
ASPを利用した離散拠点/外部組織との情報共有
[今月のレポート]
日本の優秀企業研究(文献紹介)
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  ■今月の一言■
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●ASPを利用した離散拠点/外部組織との情報共有

1.簡易ファイル共有機能
当方が利用しているASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)
ベンダーの提供する標準機能に「簡易ファイル共有機能」が加わったの
で、テスト利用をした。ASPとは、「月額数千円の料金だけでグループウ
ェアなど高機能なソフトを使え、自社でサーバや運用担当者を抱える必要
が一切なく、ソフトの保守やバージョンアップまで対応してくれる」もの
で、利用企業はASPが持つソフトの機能だけをインターネット経由で借り
て使う。IT担当者がいない中小企業でも安く早く簡単にシステム化できる。

こう聞くと、何でもできるような錯覚を覚えるが、勿論、月あたり数千円
の費用で何でもかなえられるわけではない。当方が利用しているASPベ
ンダーが標準で提供する機能は、電子メール機能(メールングリスト等を含
む)、WWWサーバ機能(会員制WEB等を含む)、FTP機能、CGI機能
(アンケート、掲示板、会議室、前文検索、オリジナルCGI等)、シンプ
ルスケジューラ、等であり、オプションでグループウェアを提供(ただし、
利用料がかなり高い。グループウェアを購入して、自前で構築したほうが
安いと思う)している。この9月から、「簡易ファイル共有機能」を標準
で提供するようになったので、利用してみた。

「簡易ファイル共有機能」とは、専用のログインIDとパスワードの発行
機能に、接続元IPアドレスやホスト名によるアクセス制限機能を付加し
たものである。ユーザは、Windows XPのリモートフォルダ機能やブラ
ウザを使い、ログインIDとパスワードを入れて、サーバやサーバの専用
デレクトリにファイルをアップロードしたり、ダウンロードすることがで
きる。全員が共通で使うデータやファイルなどを置いたり、大容量のファ
イルをやり取りしたり、社内の情報共有やファイル管理にとても便利な機
能である。

また、IPアドレスとホスト名を管理して、ユーザ毎にアクセスできる場所
を変更することが可能なので、個人的にファイルをインターネット上のサ
ーバに保管することができる。そして社内だけでなく、社外からもインタ
ーネット接続されたノートPC等からのファイルのやり取りができる。

私は、自宅で作ったファイルを、出先の職場のパソコンや携帯用ノートパ
ソコンで開けて、継続して作業をすることも少なくないが、あらかじめメ
ールで配信したり、フロッピーを持参したりと面倒である。また、メール
の添付ファイルでは大容量のデータを送れないが、CAD図面等の大容量デ
ータを、FTP転送で、短時間でアプロードしたりダウンロードできれば、
MOやフロッピーで郵送しなくとも済む。

ASPの標準料金内で提供している機能であるので仕方がないことであるが、
「簡易ファイル共有機能」では、ファイルのログインIDとパスワードだけ
でセキュリティを保っているので、データの安全に不安があるし、個々の
デレクトリやホルダごとに操作したり、利用者ごとのRead/Lightの制限
が設定できない。また、IPアドレスとホスト名で管理できるのは個人ファ
イルだけだと考えたほうがよさそうである。そこで、個人ベースでなく、
企業の離散拠点や企業間向けの、もう少し高度な機能を持っているASPデ
ータ共有を調べてみた。

2.InternetDisk ASP

ジャストシステムのInternetDisk ASPは、オンラインストレージを利用し
たデータ共有・配信ソリューションである。複数のメンバーでデータ共有
できるディスク領域を設け、共有ディスクには複数の共有フォルダを作成
することができる。一つの共有フォルダに対して複数のアカウント(お客
様ID,メンバーID,パスワードで管理)からアクセスできるが、R/
Wのアクセス権は、共有フォルダ単位で設定することができ、それぞれ異
なったメンバー(にアクセス権を与えるよう運用が可能である。

例えば、1)同じ組織に属するメンバーへ一律にR/Wアクセス権を設定
して全員の共有ディスクにしたり、一部のフォルダにだけR/Wフリーに
してデータ受け渡しの場にしたり、1人だけR/W権、残り全員にR権のみ
で主催者情報の発信に利用することができる。

事例としては、複数の取引先とデータ共有(データ配信)を行ないたいが、
各取引先には、他の取引先のことを知られたくないときは、複数の共有デ
ィスクを設定する。また、複数の取引先とのデータ共有(データ配信)で、
他取引先情報は知られたくないが、一部の取引先グループ間で情報共有も
したい場合は、複数の共有ディスクを設定した上で、共有フォルダ単位で
アクセス権を設定する。このようにすると、ある情報は排他的に管理し、
ある情報は共有できる。

このInternetDisk ASPでは、専用のクライアントツール「ディスクマネー
ジャ」を用意している。「Webビュー」とできることはほぼ同じであるが、
操作性が直感的なことや、複数ファイル・フォルダのアップロード/ダウ
ンロードができることなど、使い易くなっている。このように、インター
ネット上のお客様専用スペースにて各種データを管理することで、離散拠
点間におけるデータ共有を可能にする。また、社外組織への大容量データ
配布、重要データの安全なバックアップを実現する。

同様な企業向けオンラインストレージは、NTTコミュニケーションズの
ShareStage ASPサービスもあるが、InternetDisk ASPには基本共有ディ
スク容量が0.1GBで月額2700円からという小規模で安価なコースが設定
されているのが嬉しい。なお、100MBあたり350円のオプション料金で、
個人が専用に利用できる個人ディスクを追加することができる。現在2週
間使える無料トライアル提供を実施している。

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 ■今月のレポート■
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●日本の優秀企業研究

1.優秀企業の抽出と調査の方法

優れた企業とは一体いかなる特質を有しているのか。どうすれば優れた企
業に変革しうるのか。優れた経営とは一体いかなるものなのか。戦前、戦
中、そして戦後の国土荒廃の中、今の日本を背負っている多くの企業が産
声を上げた。これらの企業の創業者は、日々の事業を推進する中で、企業
の「本質」をそれぞれ経験的に学習した。それを当時の時代環境に合わせ
て具体的な経営活動に表し、企業の「形」を作り上げていった。しかし、
次代環境は移り変わり、かって本質から生み出された「形」は時代との間
でズレを生じることとなった。「形」が時代に合わなくなった今、我々が行
なわなければならないことは、もう一度、事業の「本質」まで立ち戻って、
時代環境の変化を踏まえて、考え直すことではないか。この原点復帰がこ
の本(日本の優秀企業研究、企業経営の原点――6つの条件、新原浩朗著、
日本経済新聞社発行)の著者が抱いてきた問題意識だった。

著者は、独立行政法人経済産業研究所コンサルティングフェロー(経済産
業省情報経済課長兼任)であるが、本研究も、経済産業研究所の場を借り
て、3年ぐらい前から調査検討を積み重ねてきたものの成果である。本研
究の目的は、優秀企業を抽出して、そこに共通点を見出せて、しかも、そ
うでない企業に見出せない特徴を探すことである。サンプルの抽出は、企
業の収益性、安全性、成長性の三つの要素に着目し、過去15年にわたる数
字を追って、リストアップした企業から、約30社を優秀企業のモデル企
業として選んで、どのような要因がうまくいっていない企業との違いかを
調査した。

調査では、約30社の優秀企業のモデル企業全般の共通的特徴を抽出し、
その上で、六つ抽出された一般的法則のそれぞれをビビッドに説明するた
めにわかりやすい例示を個々のモデル企業に関する情報の中からピックア
ップして本文の例示としている。企業の競争力には、「オペレーションによ
る競争力」と「経営能力による競争力」あるが、この研究では後者、すな
わち、経営トップの戦略策定能力、それを実施する実行力、そして本社機
能や官設部門に焦点をあてている。

2.優秀企業六つの条件

その六つの条件と優秀企業として取り上げられているケースを羅列すると、

1)「分からないことは分けること」:優秀企業に共通する第一の条件は、
取り組む事業の範囲についての考え方で、「分からないことは分けること」
である。「今までになかった新しい娯楽、つまり新しい楽しさと面白さをユ
ーザーに提供すること」をコンセプトとした任天堂。「単品」に絞った専門
店ビジネスで世界市場で勝負するマブチモーター。「最終消費財で、かつ、
アウトドアで使われるもので、極限的な性能や高度な金属加工が要求され
る」コンセプトとしたシマノ。

2)「自分の頭で考えて考えて、考え抜いていること」:優秀企業に共通す
る第二の条件は、「自分の頭で考えて考えて、考え抜いていること」。「顧客
の視点で素人のように考え抜いた」セブンーイレブン。「力の勝負を避け、
他社と違う軸で競争する」任天堂。「機能的につながっている部品を組み合
わせて全体をシステムコンポーネントとして統合した」シマノ。

3)「客観的に眺め不合理な点を見つけられること」:優秀企業に共通する
第三の条件は、改革のため、自社を「客観的に眺め不合理な点を見つけら
れること」である。良好な成果を上げている企業、特に企業改革に成功し
た企業の経営者は傍流体験をしているというのである。キャノンの御手洗
富士夫社長。花王の後藤卓也社長。ヤマト運輸の小倉昌男社長。

4)「危機をもぅて千載一遇のチャンスに転化すること」:優秀企業に共通
する第四の条件は、「危機をもぅて千載一遇のチャンスに転化すること」玩
具用のシェアが100%であったマブチモーターは、日本製玩具の鉛毒問
題で大打撃を受けたからこそ、モーターの多様途化という基本戦略を確立
した。長距離輸送への進出に出遅れたからこそ、ヤマト運輸は、宅急便市
場を切り開いた。

5)「身の丈に合った成長を図り、事業リスクを直視する」:優秀企業に共
通する第五の条件は、「身の丈に合った成長を図り、事業リスクを直視する
」経営方針である。自らが生み出したキャッシュフローの範囲のなかで、
身の丈に合った研究開発、長期投資を行っていくというのが、優秀企業に
総じて観察された考え方であった。花王、キャノン、信越化学などの事例。

6)「世のため、人のためという自発性の企業文化を企業に埋め込んでいる
こと」:最後の、優秀企業に共通する第六の条件は、お金以外の「世のため、
人のためという自発性の企業文化を企業に埋め込んでいること」である。
優秀企業には、企業とは「利益を上げることを通じて長期にわたり社会に
貢献することを目的とする組織」との企業観がある。個人の意識や心のあ
りよう、会社の文化といったものに従って、経営者や従業員が自らを自己
規律する「自発性のガバナンス」をどう実現するかが大切。ホンダ、ヤマ
ト運輸、花王、キャノン。

著者が最後にたどりついた優秀企業の企業像とは、「自分たちが分かる事業
を、やたら広げずに、愚直に、真面目に自分達の頭できちんと考え抜き、
情熱をもって取り組んでいる企業」である。

この本を読んで抱いた疑問は、このように至極シンプルで当たり前すぎる
結論であるならば、その当たり前なことがなぜできなくなったのであろう
かということである。新原氏は終章で、戦後、わが国経済が成長し、企業
が大きくなるに従い、あるいはバブルの時代を通過して、この原点が見え
にくくなったのではないかと指摘している。時代が変わり企業の表に現れ
ている「形」が時代に合わなくなった今、企業の本質までいったん戻って、
今に時代にどうそれを適用するかを考え抜く、その上で、新しい「形」を
つくり上げるべきだということであろう。企業の創業理念、経営理念など
の優秀企業の本質は変わらない。そこで、「形」を真似るのではなく、企業
の本質までいったん戻って、もう一回見定めれば、そこから見えてくるも
のが必ずあるというのである。優秀企業の「形」は一つではない。

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   ■編集後記■
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(財)大田区産業振興協会では、産業クラスター形成促進事業の一つと
して、「研究シーズ紹介産学交流サロン」を開催しております。この事業
は、降籏がコーディネータ、協会がその支援機関として、国のコーディネ
ート支援を両者で受けて、実施しているものです。このサロンでは,まず
教官の研究室で取り上げている研究開発の現状を説明した後,質疑応答を
行い,この技術の可能性,企業の皆様との連携の可能性について議論して
いきます。

現在決まっているテーマは下記の通りです。10月と11月は、a)
「超微細加工によるマイクロ部品・マイクロ金型製作」、b)「表面皮膜・
表面処理」を中心に設定していますが、12月、1月は、c)「環境・福祉
機器」、d)「バイオ・自然エネルギー」分野のテーマを取り上げていきま
す。詳細は次のホームページを参照ください。http://www.techcm.co.jp
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