企業

「情報と中小企業」メールニュース

中小企業の経営者・技術者と行政関係者の方を対象に、中小企業の経営戦略、情報ネットワーク、技術、産学連携、支援制度等の情報を提供していきます。今月の一言、トピックス、今月のレポート等から構成。

全て表示する >

「情報と中小企業」メールニュースNo.030

2002/12/05

=======================
   中小企業の経営・技術開発支援情報
   経営/情報/技術/連携/特許/支援等

   「情報と中小企業」メールニュース
=======================
★2002/12/05 No.030    発行:降旗清司
★毎月第1木曜日発行   配信部数 1040部
★issf(情報と中小企業)<http://plaza23.mbn.or.jp/~issf/
◇----------------------------------------◇
 //ISSF//      // ISSF//      //ISSF//
情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業  
◇----------------------------------------◇
もくじ
[今月の一言]
2001年のヒット商品
[今月のレポート]
理系人間のための経営戦略入門(文献紹介)
◇----------------------------------------◇
◇--------------------◇
  ■今月の一言■
◇--------------------◇

●2001年のヒット商品

1.売れる理由、売れない理由

日経メカニカル2002年1月号に「売れる理由、売れない理由」の特集が
載っている。「2001年のヒット商品」と「2002年に期待する商品」の二
つについて、企業側にアンケートを実施し、ヒット商品を調べた。対象
は、自動車メーカーと、売り上げ規模が3兆円規模の電機メーカー、携
帯電話の通信事業者の3業種。

PART1−ヒット商品の真相「本能に訴えるものだけが生き残る」では、
ヒット商品の条件として、「本能」というキーワードが浮上してきたと
解説している。消費者は、人間の本能的、根源的な要求を満たすものを
峻別する。それに対する少々の出資は厭わないとして、J-PHONEの「写
メール」などを紹介している。また、PART−2の売れる理由「圧倒的な
「差」で消費者の琴線に触れる」では、見事ヒットの栄冠を手にした7
個の製品群を取り上げ、その成功を支えたのは、従来製品、他社製品と
の差を明確にアピールするための技術と製品コンセプトだとして、ヒッ
トに結びついた個々の戦略に迫っている。

小型化を優先したため、画素数は最多のシャープ製「J-SH07」でも11
万画素止まり。それでも、カメラモジュール付き携帯電話機は売れる。
なぜ、“写りの悪い”カメラ付き携帯電話機が、これほどまでにもては
やされるのか。「誰かとつながっていたいという気持ちを上手くとらえ
た」からだと分析する。本当に欲しいのは、自分のカラダが欲しがるも
の、からだの求め、つまり本能と言うべき精神的要求、肉体的要求を充
足させることこそが、ヒット商品となるための必要条件というわけだ。

自動車では、ガソリンタンクの配置などを工夫することで、車内空間を
大きくしたホンダのスモールカー「フィット」。経費が安く済むスモー
ルカーであっても、「できる限りゆったりしたスペースで、多くの人と
一緒に走りたい」というユーザーの望みを叶えてくれるからだ。

自己保存本能に直接訴えかける製品も、着実にヒット商品になってい
る。大自然の空気に多く含まれるマイナスイオンを家庭の中に取り込
むことで身体を癒す東芝のエアコン「プラズマイオン大清快」や三洋電
機の洗剤不要の洗濯機「超音波と電解水で洗おう」。自動車の分野で
は、障害者や高齢者が楽に扱えるように設計した福祉車両が好例とし
て取り上げられている。消費者に選ばれるために必要なのは、「これま
で見たことがない」、「ほかの製品とは全然違う」といった、明らかな
優位性や明瞭な差別化だ。

日立製作所の乾燥機一体型の洗濯機「浸透イオン洗浄洗乾白い約束」
は発売直後の販売台数が3万2000台。洗剤が持つ洗浄力をできるだけ引
き上げる「浸透イオン洗浄」を使って、洗浄技術の向上にこだわった
ことが奏功した。洗剤パワーチェンジャーで市販の粉末洗剤と少量の
水をかき混ぜて、通常の300倍に濃縮した洗剤液に水を加えながら10倍
の濃度にした洗剤液をまんべんなく衣類に降りかける。こうして衣類
の隅々にまで濃い洗剤液を含ませたら、通常通りの水を加え、洗いを
開始する。

東芝の掃除機「コードがゼロ」は、2次電池を採用することで煩わしいコ
ードをなくした点が受けた。手軽さを実現するために東芝は大きく二つ
の工夫を加えた。できるかぎり軽くしたことと、様々な持ち方を可能に
し、ショルダーベルトを添付してショルダーバックのように肩に掛けな
がら掃除できるようにもした。

東芝キャリアのエアコン「プラズマイオン大清快」は、エアコンの吹き出
し口のすぐそばにマイナスイオン発生器を搭載した。マイナスイオンは
寿命が2〜3分と短いので、電極の周辺で発生したマイナスイオンが風
に乗って部屋中に拡散し、高濃度を維持できるようにした。また、マイナ
スイオンは汚れた空気の中では寿命が短いことも分かり、空気清浄機
能ユニット「プラズマ空気清浄」とマイナスイオン発生器の両方を搭載し
た。

同じくイオンを使ってヒットを飛ばしたのが、シャープの空気清浄機「プ
ラズマクラスター搭載空気清浄機」だ。シャープが採用したのはマイナス
イオンではなく、クラスターイオンだ。空気中の酸素と水との間で電子を
やり取りしてできた、水素イオンに複数の水分子が配位したプラスイオ
ンと、酸素分子イオンに水分子が配位したマイナスイオンの両イオンが、
ちょうどぶどうの房のように連なった集合体を指す。クラスターイオンは
特にカビの分解を得意とする。

一方、PART3−売れない理由「「ところで、何がうれしいの?」分かりに
くさが敗因に」では、ETC(自動料金収受システム)、BSデジタル放送、
「Lモード」、無線通信方式の一つであるBluetoothを取り上げている。

国土交通省が音頭をとって実用化を進めるETCの普及率はわずか0.11
%。2001年3月31日に一般ドライバーへのサービスを開始し、10月一杯
までの7ヶ月で集めた登録者は約5万人。それまでにモニター募集した
登録者の3万人を合わせて、ETCの登録者は現在合計で8万人程度。

ETCは、自動車に取り付けた車載器と、有料道路の料金所レーンに設
けたアンテナを主とする路側器との間で相互に無線で通信し、クレジッ
トカード会社で登録した「ETCカード」などを介して自動的に料金を徴収
するシステム。だが、ETCを使ったところで、一般ドライバーが満足する
レベルまで渋滞を減らすことは期待できそうもない。ETCを一般ドライバ
ーに普及させたいのであれば、既存のハイウエイカードにはないメリット
を探り、それに見合ったコストを設定するという基本に戻る必要があると
いうのである。

2000年12月から本格的な運用がスタートしたBSデジタル放送は、国策
として準備が進められた背景もあり、業界では同放送を受信できるBSデ
ジタルテレビ受像機の普及台数を「1000日で1000万台」と大きく見積も
ったが、放送開始1周年を迎えた時点で、販売台数はわずか23万台前
後。2001年一杯で合計70万〜80万台程度だろうと見積もられている。

売れない理由は、BSデジタルテレビは現行の放送と変わらないものに
見えるからであり、明確な優位性を消費者に示すことができなかったと
いうわけだと解説している。現行のテレビ放送以上の何をBSデジタル放
送がもたらしてくれるのか。それをアピールし切れなかった。差異化の
ポイントだったはずの画質も、残念ながら消費者の心を動かすまでには
至っていない。BSデジタルテレビ受像機でしか見られない面白い番組を
いかに提供できるか。BSデジタル放送の未来はこの一点にかかっている
と結論している。

2.消費者不在の開発

同じ日経メカニカルの2002年11月号では、「消費不況の今こそ「こんな
のウチだけ」で勝つ」との特集を載せている。Part1−ソニーに学ぶ、
「人真似なんかしなかっただからこそ世界で勝てた」、Part2−Mr.ウオ
ークマンに学ぶ、「多数決の会議から独創的な製品は生まれない」と
「事例に学ぶ」の4例から構成されている。

事例に学ぶでは、1)「洗剤が要らない」のはうちだけ、三洋電機の洗濯
機「HYBRID電解水で洗おう」、2)「水に浮く」のはうちだけ、日本無線
の携帯電話「R692i」、3)「乗れる」のはうちだけ、タカラの電気自動車
「Q-CAR」、4)「胸元に収まる」のはうちだけ、カシオ計算機のデジカメ
「エクシリム」、5)「硬水で洗う」のはうちだけ、シャープの食洗機「
なベピカさらピカ」を取り上げている。

このように、売れる理由、売れない理由を見てくると、近頃の消費者ニー
ズが見えてくる。消費者は買うモノと買わざるモノをより一層峻別するよ
うになると、そこで選ばれるためには、キラリと光る存在感を示さなけれ
ばならない。「何を作るべきかを市場に聞け」と言われているが、消費者
に選ばれるために必要なのは、「これまで見たことがない」、「それがほ
しかった」といった、明らかな優位性や明瞭な差別化だ。消費者不在の
開発では売れる製品はできないということである。

またこれらの事例は、日本のものづくり産業がいまだ健在であることを教
えてくれる。GEのジャック・ウエルチ前会長は2001年11月に開かれた世
界経営者会議で、「日本の改革の参考は日本企業の中にある」と語った
とのことである。日本の産業は構造の変革に遅れ、空洞化が指摘されて
いるが、健全な製造業も数多くあるのだ。

ただ、売れない理由として挙げられている事例の多くがシステムの提案
に問題があるように見られるのは気にかかる。日本人は「戦略を構築し
て攻める」のは苦手であるといわれているが、個々の製品の機能差別以
前に、全体のシステムの提案自体に、ユーザー不在が見られるのである。
これについて、ジャック・ウエルチは何に学べと言うのであろうか。

◇--------------------◇
 ■今月のレポート■
◇--------------------◇

●理系人間のための経営戦略入門

1.組織のつくり方

 「東大先端研での実験的経営教育の記録!」とのサブタイトルが付け
られているこの本(柴田英寿著、実業の日本社)は、2002年の夏学期
に行った東京大学先端学際工学専攻の大学院生向け講座を下敷きに
したものである。

今回の講座は、5つのセクション、12回講義から構成されている。最初
に、セクション1で「事業が生み出す価値の測り方」について話をしてい
る。セクション2は、「落とし穴にはまらないためのリスクマネジメント」
がテーマである。続いて、セクション3で事業を行っていく母胎になる
「組織のつくり方」、セクション4では、「事業を始める際の資金調達の
方法」について学ぶ。そして、最後は事業を成功させるためには欠かせな
い「リーダーシップ」でまとめる。

どのセクションも講義ではなく実際の事例を分析する演習中心になって
いる。演習課題については、講義の際に受講者が発表(プレゼンテーシ
ョン)する。演習を考えるのは講義以外の時間になる。ここでは、セクシ
ョン3とセクション4について取り上げ、この講座の雰囲気を味わっても
らうことにする。

セクション3の「組織のつくり方」では、1回目は、組織について基本的
なことを議論している。残り2回は、事例企業の分析を通じて具体的な組
織のつくり方を考えていく。基礎知識では、「なぜ組織をつくるのか」
「組織が果たさなければならない役割は」「みなさんが、お弁当屋さんを
始めるとしてどんな組織をつくっていくか」などの設問をしながら、どの
ようなプロセスを経て、どのような商品やサービスをお客さんに提供し、
どうやってお金を回収するかというビジネスモデルを考えていく。

講義の最後に、「キーエンスという会社を題材に、組織と経営戦略の関係
について考えましょう」として、課題:「利益を生む会社の組織−キーエ
ンス」を与えている。情報源として、キーエンスを取り上げた書籍等の刊
行物やホームページを読んで、「キーエンスの好成績を生み出している背
景を以下の4つの視点から検討してください」が、課題の内容である。

その視点は、1)製品別事業部製:キーエンスの組織は製品別になってお
り、顧客別にはなっていません。2)直販営業体制:キーエンスは、国内
では原則として販売代理店を活用しない直販体制をとっています。3)汎
用品主義&在庫販売、4)ファブレス(工場を持たない)主義。課題を考
えてみて、組織と戦略とは非常に関係が深いものだということをわかって
もらうように進めていく。

1チームに発表してもらいそれをもとにさらに考えていく。「顧客にコン
サルティングするなら製品に詳しいより顧客に詳しいことが重要では」
「なぜ競合他社は直販体制にしない」「在庫販売をしなくてはならない理
由は」「営業が顧客から聞いてくる情報は」。最後に、いくつかの視点に
ついて捕捉して、この課題を締めくくっている。

次の課題は「キーエンスの管理制度」である。前の課題と同様に、三つの
視点から課題を検討してくるよう演習を出し、次の講義で発表させる。こ
の発表をもとに質問をしながら議論を進めていく。

2.事業を始める際の資金調達の方法

いよいよ、事業のために資金をどうやって集めるかについての検討となる。
事前に取り組む課題にあたっては、「ベンチャー企業」(松田修一著、日
経文庫)の3章、4章を参考にしてくださいとして、次の課題を与えている。

あなたは2年前の卒業を期に、大学院時代の同級生ふたりと、自分の研
究テーマをもとにJAVAをベースにしたソフトウェア開発会社を設立した。
設立後は大企業からのシステム開発の仕事を順調に受注した。その間、
受注業務のかたわら、独自のパッケージソフトの開発を手がけ、今月、
ようやく試作品が完成し、パソコン専門雑誌にも取り上げられた。

資金計画を策定したところ、総額約1億円の資金が必要となることがわか
ったが、ベンチャーキャピタル会社数社から出資をしたいとの申し出があ
る。また、東証一部上場の事業会社からも出資の打診がある。政府系金融
機関から低利での借り入れが可能と思われる。

そこで、資金調達の方法に関して、次の項目を検討したうえ、項目ごとに
「出資」と「借入」の優劣とそう判断した理由を述べよ。?経営権の確保、
?資金コスト、?事業計画の数字が変更となった場合の影響度、?事業
拡大への寄与、?その他の検討項目。講義では、事前に提出された回
答を見ながら解説し、質疑応答をしていく。

次に、「ベンチャー企業の資金政策」として、サイバーレーザー?代表取
締役の関口仁志氏の講演を取り入れている。関口氏は、大手電機メーカー
の研究所時代の留学体験したシリコンバレーのカルチャーに触発されて
「21世紀の光産業」をつくろうと考え起業した。直接金融と間接金融の
割合、持株比率、VC、補助金や助成金などについて話しているが、先の課
題について事例を通して理解することができる。

最後の課題は、大学院在籍中にインターネットを活用したIR情報提供サー
ビスを検討し、IRネットコンファレンスおよび関連事業について、米国の
市場調査結果も踏まえて、起業したベンチャーD社(仮定)を取り上げてい
る。課題は総合演習のかたちになっており、事業差別化戦略、マーケティ
ング戦略、投資/資金調達戦略、知識創造戦略について、想像力と分析力
をフルに使って取り組む。参考資料として、「インターネット戦略入門」
とカンパニーホットライン、イー・アソシエイツのホームページを挙げて
いる。

課題発表の後、分析が足らなかった点を見ていく。「理念と差別化」では、
競業の大手証券会社のサービスはオンデマンドサービスだけであるが、こ
れは、アナリストの仕事との競合に配慮していると考えられること。D社は、
大手だけでなく、同業のイー・アソシエイツ社とサービスの開発競争をし
なくてはならないことを捕捉している。また、「知識創造戦略」では、ベン
チャー支援専門家、業界のオピニオンリーダー、ベンチャーキャピタル、
システム・ベンダー、IRコンサルチング会社などの、パートナーについて
紹介している。

◇--------------------◇
   ■編集後記■
◇--------------------◇

1年ほど前になりますが、釧路市経済水産部商工労働課のホームページを
作成している?サイエンス・マネジメント様から、「産業支援情報の提供、
地域の企業情報の発信、産学官交流の促進などの機能を持ったホームペー
ジ「くしろ産業情報ネットワーク」を作成したところであり、近日中に公
開するが、貴殿のホームページをリンクさせていただいている」との連絡
をいただいた。
(URL http://kdb.city.kushiro.hokkaido.jp/

先日、このホームページを閲覧して、使い易く整理されているのに感心し
ました。また、「産業支援情報のご紹介」には、「市の産業施策」「国、
道、団体の産業施策」「高等教育機関・試験研究機関」「特許情報」「創
業支援」「資格試験案内」「経済動向、統計」「官公需・受発注」のほか、
「機関情報1(行政)」「機関情報2(団体等、人材)」「機関情報3
(金融、報道等)」に分けて、多くの情報ページがリンクされているのは
圧巻です。

「市の産業施策」の「働く事業主と企業の皆さんへ」ページには、融資制
度、助成制度などが紹介されていますが、その「トピックス」の一つに、
「釧路地域における産業クラスターの創造に向けて」という「釧路産業ク
ラスター創造研究会」の提言(77ページ)が載せられています。ちなみ
に、ISSF(情報と中小企業)は、「機関情報2」の「中小・ベンチャー・
研究助成等」の「全国」にリンクされています。

=======================
「情報と中小企業」メールニュース
発行:降旗清司
E-MAIL:furihata@techcm.co.jp
http://www.techcm.co.jp
http://plaza23.mbn.or.jp/~issf/

アドレス変更/配信停止 http://plaza23.mbn.or.jp/issf/
本メールマガジンは下記のサービスで発行しています。
インターネットの本屋さん「まぐまぐ」http://www.mag2.com/
マガジンID:0000037775、発行部数:762部
メールマガジン「Pubzine(パブジーン)」http://www.pubzine.com/
マガジンID:9467、発行部数:80部
メールマガジン「melma!(メルマ!)」http://www.melma.com/
マガジンID:m00019936、発行部数:198部
=======================

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-10-07  
最終発行日:  
発行周期:月刊  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。