名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『権力−その歴史と心理』第4章 聖職者の権力 n.25

2019/05/16

 この(マキャベリの)言葉が書かれたのは,レオ十世が教皇職に就いていた
時期のことであり,それは宗教改革が始まった時期であった。敬虔なドイツ人
たちにとっては,(ローマ教皇)アレクサンデル六世の冷酷な親族登用主義
(nepotism)やレオ十世の財政的な強欲が「神によって高められ,支えられる」
ことが可能だとは,しだいに信じることが不可能になっていった。"押しが強
く,向こう見ずな”ルター(ルーテル)は,教皇権に関する論議に心から望ん
で入っていったが,マキャベリは恐れをなして尻ごみしてしまった。そうして
,カトリック教会に対する反抗のための道徳的及び神学的支持が出てくるとす
ぐに,私利私欲の動機はその反抗を非常に急速に拡大させた。教会の権力は,
天国への門をあける鍵(の所有)という力に基礎を置いていたので,教会に対
する反抗は,義認(注:Justification :キリスト教で,神によって人が義と
認められること)という新しい教説に関連づけらていたことは,当然のことで
あった。ルターの神学は,平信徒の諸侯は天罰を受ける(地獄に落ちる)恐れ
もなく,また臣下からの道徳的非難を引き起こすことなく,教会(所有のもの)
を略奪することを可能とした。

 経済的動機が宗教改革の流布(普及)に大いに寄与した一方,それだけでは
,宗教改革の流布(普及)の説明としては不十分であることは明らかである。
経済的動機は何世紀にも渡って働いてきた(作用してきた)からである。多く
の皇帝が教皇に抵抗しようと試みた。即ち,いたるところの元首たち −たと
えば,英国(イングランド)のヘンリー二世やジョン王 − は抵抗を試みた。
しかし,彼らの試みは邪悪とされたので,従って,失敗した。教皇職(権)に
対する抵抗が成功することが可能となったのは,教皇職がその伝統的な権力を
道徳的反抗を引き起こすほど長い間乱用した後であった。

Chapter IV: Priestly Power, n.25

These words were written during the pontificate of Leo X, which was 
that in which the Reformation began. To pious Germans, it gradually 
became impossible to believe that the ruthless nepotism of Alexander
VI, or the financial rapacity of Leo, could be "exalted and maintained
 by God." Luther, a "presumptuous and rash man," was quite willing to
 enter upon the discussion of the papal power, from which Machiavelli
shrank. And as soon as there existed moral and theological support for
 opposition to the Church, motives of self-interest caused the 
opposition to spread with great rapidity. Since the power of the 
Church had been based upon the power of the keys, it was natural that
 opposition should be associated with a new doctrine of Justification.
 Luther's theology made it possible for lay princes to despoil the 
Church without fear of damnation and without incurring moral 
condemnation from their own subjects.
While economic motives contributed greatly to the spread of the 
Reformation, they are obviously not sufficient to account for it, 
since they had been operative for centuries. Many Emperors tried to
 resist the Pope ; so did sovereigns elsewhere, e.g. Henry II and King
John in England. But their attempts were thought wicked, and therefore
 failed. It was only after the Papacy had, for a long time, so abused
 its traditional powers as to cause a moral revolt, that successful
 resistance became possible.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER04_250.HTM

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創刊日:2014-12-19  
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