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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第19章 性と個人の福祉 n.3

2018/11/15

 『結婚論』第19章 性と個人の福祉 n.3:道徳的恐怖心を与えること                                

 幼年期と少年期(幼少年期)は,人生において,いたずらや腕白や禁じられ
た行為をすることが自然で,自発的なものであり,行きすぎないかぎりは嘆く
にあたらない時期である。しかし,性的な禁止の違反は(違反をすると),大
人は他の規則を破った場合とはまったく違った扱いをするので,子供はこれ
(性的な事柄)はまったく違った種類(カテゴリー)に属するものだと感じる
ようになる。子供が食料貯蔵室(食料棚)から果物を盗むと,あなたは怒って
,子供をきつく叱るだろうが,道徳的恐怖(心)はまったく感ずることはなく,
また,何かぞっとするようなことが起こったという感じを子供に伝えることは
ない。一方,あなたが旧式の考えの持ち主であり,子供がマスターベーション
をしているのを見つけるならば,あなたの声には他の場合には子供が絶対に耳
にしないような調子がこもるだろう。この調子は,卑屈な恐怖心を生み出す。
おそらく,子供は,あなたの非難を招いた行動をやめることができないので,
その恐怖(心)はますます大きくなる(のである)。子供はあなたの真剣さに
印象づけられて,マスターベーションはあなたの言うとおりに邪悪なものだと
深く信じ込む。それにもかかわらず,それをやめようとしない。こうして,お
そらく一生涯続く病的な傾向の基礎が築かれる。

 少年期のごく早い時期から,子供は自分のことを罪人(つみびと)だと考え
る。やがて彼は,こっそり罪を犯すことを学び,誰も彼(自分)の罪を知らな
いということに中途半端な慰め(a half-hearted consolation)を見いだすよ
うになる。彼は,とても不幸なので,似たような罪を彼ほどうまく隠しおおせ
なかった人々を罰することで,世間に復讐しようととする(注:自分は最新の
注意をはらってわからないようにやっているのに,あいつは堂々とやっている
。あいつを処罰すべきだ,といった感情)。子供のころに嘘をつくことに慣れ
たので,大人になっても平気で嘘をつくようになる。こうして,彼は,病的に
内向的な偽善者でありかつ迫害者になる。これは,両親が判断を誤って子供を
自分たちの考える道徳的な人間にしようと試みた結果である。 

Chapter XIX: Sex and Individual Well-being, n.3

Childhood and youth form a period in life when pranks and naughtiness
 and performances of forbidden acts are natural, spontaneous, and not
 regrettable except when carried too far. But infraction of sex 
prohibitions is treated by grown-up people quite differently from any
 other breach of rules, and is therefore felt by the child to belong 
to a quite different category. If a child steals fruit from the larder
 you may be annoyed, you may rate the child soundly, but you feel no 
moral horror, and you do not convey to the child the sense that 
something appalling has occured. If, on the other hand, you are an 
old-fashioned person and you find him masturbating, there will be a
 tone in your voice which he will never hear in any other connection.
 This tone produces an abject terror, all the greater since the child
 probably finds it impossible to abstain from the behaviour that has
 called forth your denunciation. The child, impressed by your 
earnestness, profoundly believes that masturbation is as wicked as
 you say it is. Nevertheless, he persists in it. Thus the foundations
 are laid for a morbidness which probably continues through life. 
From his earliest youth onward, he regards himself as a sinner. 
He soon learns to sin in secret, and to find a half-hearted 
consolation in the fact that no one knows of his sin. Being 
profoundly unhappy, he seeks to avenge himself on the world by
 punishing those who have been less successful than himself in
 concealing a similar guilt. Being accustomed to deceit as a child,
 he finds no difficulty in practising it in later life. Thus he 
becomes a morbidly introverted hypocrite and persecutor as a result
 of his parents' ill-judged attempt to make him what they consider 
virtuous.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM19-030.HTM

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