名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第十八章 優生学 n.3

2018/10/29

 『結婚論』第十八章 優生学 n.3:積極的優生学と消極的優生学

 優生学には,積極的なものと消極的なものの,二種類がある。前者(積極的
優生学)は良い血統の促進を,後者(消極的優生学)は悪い血統の阻止(抑止)
を取り扱う(に関心を持つ/に関わる)。現在は,後者(消極的優生学)のほ
うがいっそう実施可能である。事実,アメリカのいくつかの州では,長足の進
歩をとげており,英国においては,実際,不適格な人びとの断種(不妊化)が
直近の政治問題になろうとしている。そのような措置に対しては,当然反発を
感じるだろうが,それは正当化されない,と私は信じている。精神薄弱の女性
は,周知のように,えてしてとてつもなく多くの私生児(illegitimate 
children,)を産みがちであり,一般的に,どの子も(知的障害を持っている
ため)社会にとってまったく無価値である(注:誤解されやすいが,ラッセル
は,ここでは,親にとって価値がないと言っているのではなく,社会にとって
価値がないと言っている。手をつくしても生まれてしまったのであれば仕方が
ないが,育てられない場合は生まれないようにしたほうがよい,と主張してい
る。なお,言葉は時代により意味内容が変わってくるが,ラッセルが言ってい
る「精神薄弱」は,遺伝による'重度の'知的障害を指していると思われる。)
こういう女性たちは,断種(不妊治療)されるなら,本人自身より幸福になれ
るだろう。精神薄弱の女性が妊娠するのは,なにも子供を生みたいという衝動
(philoprogenitive impulse 小児愛の衝動/子供が欲しいという衝動)から
ではないからである。もちろん,同じことは精神薄弱の男性にもあてはまる。
 確かに,この制度(精神薄弱者断種制度)には重大な危険がある。当局(政
府や権力者)は,変わった意見や当局に対する反対をいかなるものも精神薄弱
の印(現れ)だ,と安易に考えるようになるかもしれないからである。けれど
も,こういう危険を負うのも多分無駄ではないだろう。白痴,低能,精神薄弱
者の数が,こういう手段で大いに減らせる(生み出されるのを事前に防ぐこと
ができる)ことは,まったく明らかであるからである。(注:生まれてから困
るのではなく,可能な限り生まれないようにするほうがよいということ)

Chapter XVIII: Eugenics, n.3

Eugenics is of two sorts, positive and negative. The former is 
concerned with the encouragement of good stocks, the latter with the
discouragement of bad ones. The latter is at present more practicable.
 It has, indeed, made great strides in certain States in America, and
 the sterilization of the unfit is within the scope of immediate 
practical politics in England. The objections to such a measure which
one naturally feels are, I believe, not justified. Feebleminded women,
 as everyone knows, are apt to have enormous numbers of illegitimate 
children, all, as a rule, wholly worthless to the community. These 
women would themselves be happier if they were sterilized, since it 
is not from any philoprogenitive impulse that they become pregnant. 
The same thing, of course, applies to feeble-minded men. There are, 
it is true, grave dangers in the system, since the authorities may 
easily come to consider any unusual opinion or any opposition to 
themselves a mark of feeblemindedness. These dangers, however, are
 probably worth incurring, since it is quite clear that the number of
 idiots, imbeciles, and feeble-minded could, by such measures, be 
enormously diminished. 
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM18-030.HTM

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創刊日:2014-12-19  
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