名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第十六章 離婚 n.3

2018/09/20

 第十六章 離婚 n.3:

 一般的に,新教徒(プロテスタント)もカトリック教徒も,離婚を家族の生
物学的な目的の観点から見ないで,神学的な罪の観念の観点から見てきた。カ
トリック教徒は,結婚は神の視点から見れば解消できないものであると考えて
いるので,二人の人間がひとたび結婚した以上,どちらも,相手が生きている
間は,結婚生活にいかなることが起きたとしても,罪を犯さずに誰かほかの人
と性交することはできないと必ず主張する。新教徒は,離婚に賛成してきたか
ぎりにおいては,次のような理由でそうしたのだった。即ち,ひとつには,カ
トリックの秘蹟に関する教義に反対するためであり,またひとつには,結婚を
解消できないことが姦通を引き起こしていることだと認識したため(気づいた
ため)である。新教徒はまた,離婚を容易にすれば,姦通を減らすこともより
困難でなくする,と信じていた。
 その結果,そういった結婚が容易に解消される新教国においては,姦通は極
めて不快感をもって見られるのに対して,離婚を認めない国々においては,姦
通は罪深いものとみなされはするけれども,少なくとも男性に関するかぎり,
見て見ぬふりをされる(be winked 黙っていようねと目で合図される)。帝
政ロシアでは,離婚が非常にむずかしかったので,ゴーリキーの政治思想につ
いてどう思ったにせよ,私生活に関してゴーリキーのことを(離婚がより簡単
なところで思われるほど)より悪く思うものは(no one thought the worse of
 Goriki),だれ一人としていなかった。アメリカでは,その反対に,だれも
ゴーリキーの政治思想に反対するものはいなかったけれども,彼は,道徳的理
由で追い立てられ,一夜の宿を与えようとするホテルは一つもなかった(no 
hotel would give hime)。

Chapter XVI: Divorce, n.3

Both Protestants and Catholics have, in general, viewed divorce not 
from the point of view of the biological purpose of the family, but 
from the point of view of the theological conception of sin. 
Catholics, since they hold that marriage is indissoluble in the sight
 of God, necessarily maintain that when two persons have once married,
 neither of them can, during the lifetime of the other, have sinless 
intercourse with any other person, no matter what may happen in the
 marriage. Protestants, in so far as they have favoured divorce, have
 done so partly out of opposition to Catholic doctrine on the
 sacraments, partly also because they perceived that the 
indissolubility of marriage is a cause of adultery, and they believed
 that easier divorce would make the diminution of adultery less 
difficult. One finds, accordingly, that in those Protestant countries 
where marriages are easily dissolved, adultery is viewed with extreme
 disfavour, while in countries which do not recognize divorce, 
adultery, though regarded as sinful, is winked at, at any rate where
 men are concerned. In Tsarist Russia, where divorce was exceedingly
 difficult, no one thought the worse of Gorki for his private life,
 whatever they may have thought of his politics. In America, on the
 contrary, where no one objected to his politics, he was hounded out
 on moral grounds, and no hotel would give him a night's lodging.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM16-030.HTM

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