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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』 第十六章 離婚 n.1

2018/09/18

 第十六章 離婚 n.1:国による離婚に対する姿勢の違い

 制度としての離婚は,大部分の時代と国において,一定の理由で許されてき
た。離婚(制度)は,決して一夫一婦制家族に代わる制度を生み出そうとする
もの(ひとつの代替制度/代替制度の一つ)ではなく,単に,特別な理由で結
婚生活を続けることが耐えがたいと感じられる場合,苦しみを和らげることを
意図したものにすぎない。

 この問題に関する法律(離婚関係法)は,時代と場所の違いによって(応じ
て),(これまで)著しく異なっていたし,今日,アメリカ合衆国の中におい
てさえ,南キャロライナ州の離婚をまったく認めない極端な場合から,ネヴァ
ダ州の正反対(離婚はとっても簡単)の極端にいたるまで様々である。
(原注:ネヴァダ州で離婚容認の根拠とされるのは,故意の遺棄(willful 
desertion),重罪(felony)か破廉恥罪(infamous crime)の有罪判決,常
習的な大酒飲み,結婚時から離婚時まで続く性的不能(インポ),極端な虐
待,一年にわたる扶養(義務)無視,二年にわたる精神異常である。V・F・
クラヴァートン,S・D・シュマールハウゼン編『文明における性』(ロンド
ン,アレン&アンウイン社,一九一九年)p.224参照)。

 多くの非キリスト教国においては,離婚を夫がかちとるのは(これまで)非
常に容易なことであったし,一部の国においては,妻にとっても(これまで)
容易であった。モーゼの律法(The Mosaic Law)は,夫が離縁状(a bill of 
divorcement)を書くこと(妻に渡すこと)を許している。中国の法律は,妻
が結婚の際持参してきた財産を(夫が)返しさえすれば,離婚を許していた。
カトリック教会は,結婚は秘蹟であるという理由で,いかなる目的であろうと
も,離婚を許していない。しかし,実際には,結婚無効の理由(nullity)は
いくらでも見つかるので 特に,この世の偉大な方々(the great ones of 
the earth 支配層)に関する場合は この厳格さもいくらか軽減されている。
(原注:マールボロ侯爵夫妻の場合は,妻が強制されて結婚したために結婚は
無効とされたことが思い出される。しかも,この根拠は,夫妻が長年いっしょ
に生活し,二人の間には子供までいたのに有効とされたのである。)

 キリスト教国においては,離婚に対する寛容さは,(これまで)プロテスタ
ンティズム(清教徒主義)の度合いに比例してきた。ミルトンは,周知のとお
り,離婚を支持(擁護)する本を書いた。彼は熱心なプロテスタント(清教徒)
であったからである。英国国教会は,自らをプロテスタントだと考えていた時
代には,他の理由ではだめだが,姦通のかどによる離婚は認めていた。今日,
英国国教会の大多数の聖職者は,いっさいの離婚に反対している。スカンジナ
ビア(諸国)には,寛大な離婚法(easy divorce laws)がある。アメリカの
大部分のプロテスタント地域もそうである(寛大な離婚法を持っている)。
スコットランドは,イングランドよりも離婚に寛大である。フランスでは,反
聖職権主義(anti-clericalism)のために離婚が容易になっている。ロシアで
は,離婚は当事者の一方の要求があれば許されるが,姦通(adultery 不義密
通)にも,私生児(を生むこと)にも,社会的あるいは法的な刑罰が加えられ
ないので,ロシアにおいては,少なくとも支配階級に関するかぎり,結婚は
,ほかの国に見られるような重要性を失っている。

Chapter XVI: Divorce, n.1

Divorce as an institution has been permitted in most ages and 
countries for certain causes. It has never been intended to produce
 an alternative to the monogamic family, but merely to mitigate 
hardship where, for special reasons, the continuance of a marriage 
was felt to be intolerable. The law on the subject has been 
extraordinarily different in different ages and places, and varies
 at the present day, even within the United States, from the extreme
 of no divorce in South Carolina to the opposite extreme in Nevada.
 (note: In Nevada, the grounds are wilful (= willful) desertion, 
conviction of felony or infamous crime, habitual gross drunkenness,
 impotency at the time of marriage continuing to the time of the 
divorce, extreme cruelty, neglect to provide for one year, insanity
 for two years. See Sex in Civilization, edited by V. F. Claverton 
and S. D. Schmalhausen. London : George Allen & Unwin Ltd., I929, 
p.224.) In many non-Christian civilizations, divorce has been very 
easy for a husband to obtain, and in some it has also been easy for
a wife. The Mosaic Law allows a husband to give a bill of divorcement;
 Chinese law allowed divorce provided the property which the wife had
 brought into the marriage was restored. The Catholic Church, on the
 ground that marriage is a sacrament, does not allow divorce for any
 purpose whatsoever, but in practice this severity is somewhat 
mitigated - especially where the great ones of the earth are concerned
 - by the fact that there are many grounds for nullity. (note: It will
 be remembered that in the case of the Duke and Duchess of Marlborough
 it was held that the marriage was null because she had been forced 
into it, and this ground was considered valid in spite of the fact 
that they had lived together for years and had children) In Christian
 countries the leniency towards divorce has been proportional to the 
degree of Protestantism. Milton, as everyone knows, wrote in favour 
of it, because he was very Protestant. The English Church, in the days
when it considered itself Protestant, recognized divorce for adultery,
 though for no other cause. Nowadays the great majority of clergymen 
in the Church of England are opposed to all divorce. Scandinavia has 
easy divorce laws. So have the most Protestant parts of America.
 Scotland is more favourable to divorce than England. In France, 
anti-clericalism produces easy divorce. In the Soviet Union divorce
 is permitted at the request of either party, but as neither social
 nor legal penalties attach to either adultery or illegitimacy in
 Russia, marriage has there lost the importance which it has 
elsewhere, at any rate so far as the governing classes are concerned.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM16-010.HTM

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創刊日:2014-12-19  
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