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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第十四章 個人心理の中の家族 n.9

2018/08/30

 ラッセル『結婚論』第十四章 個人心理の中の家族
           n.9:男が結婚する主な理由は?

 個人心理における家族に関連して最大級に重要な問題は,父親に及ぼす影響
である。我々は,既に繰り返し機会をとらえて,父性(父親であること)とそれ
に付随する情熱の意義を指摘してきた。また,古代史において(in early 
history),父性が父家長制家族の発達と女性の隷属とに関連して,どのような
役割を演じたかを見てきた。そうして,このことから,父親の感情がどれほど
強い情熱である(にちがいない)かを判断することができる。理由はなかなか推
測できないが,父親の感情は,高度に文明化された社会(高度文明社会)にお
いては,それ以外の社会におけるほど,決して強くない(not nearly so
 strong)。帝国時代の上層階級のローマ人は,どうやら(apparently 見たと
ころ)父性を感じなくなっていたようである。また,現代の多くの知的な男性
は,父性をほとんど,あるいはまったく欠けている。にもかかわらず,最も文
明化した社会においてさえ,非常に多くの男性はいまだ父性を感じている。男
性が結婚する理由は,性(セックス)のためというよりも,むしろ,この(理
由の)ためである。というのは,結婚しなくても性的な満足を得るのは困難で
はないからである。子供を欲しがる気持ちは,男性よりも女性のほうに一般的
であるという説があるが,私自身の印象は,真偽のほどはわからないが(for 
what it is worth),正反対である。非常に多くの現代の結婚において,子供
は,男性の欲求に対する女性の側の譲歩にほかならない。結局,女性は,子供
を生むためには,出産と陣痛(labor and pain)と美しさの喪失に直面しなけ
ればならないが,男性にはそういう心配をする理由がない。

 男性が子供の数を制限したいと思うのは,一般的に言って,経済的な理由か
らである。この理由は,同様に女性にも働いているが,女性にはさらに,女性
自身の特別な理由もある。男性の子供を欲しがる気持ちがどれほど強いかは,
専門職についている男性が,わざわざ物質的な安楽を喪失を引き受けてまでも
,その階級に必要とされる高価な方法で子供を教育しようとすることを考えて
みれば,明らかである。

Chapter XIV: The Family in Individual Psychology, n.9

Much the most important question in relation to the family in 
individual psychology is the effect upon the father. We have already
repeatedly had occasion to point out the significance of paternity and
its attendant passions. We have seen what part it played in early 
history in connection with the growth of the patriarchal family and 
the subjection of women, and we can judge from this what a powerful 
passion paternal feeling must be. For reasons not easy to fathom, it 
is not nearly so strong in highly civilized communities as it is 
elsewhere. Upper-class Romans in the time of the Empire apparently 
ceased to feel it, and many intellectualized men in our own day are 
nearly or quite destitute of it. Nevertheless, it is still felt by the
 great majority of men, even in the most civilized communities. It is
 for this reason, rather than for the sake of sex, that men marry, for
 it is not difficult to obtain sexual satisfaction without marriage.
 There is a theory that the desire for children is commoner among 
women than among men, but my own impression, for what it is worth, is
 exactly the contrary. In a very large number of modern marriages, the
 children are a concession on the part of the woman to the man's 
desires. A woman, after all, has to face labour and pain and possible
loss of beauty in order to bring a child into the world, whereas a man
 has no such grounds for anxiety. A man's reasons for wishing to limit
 his family are generally economic; these reasons operate equally with
 the woman, but she has her own special reasons as well. The strength
of the desire that men feel for children is evident when one considers
 the loss of material comfort that professional men deliberately incur
 when they undertake to educate a family in the expensive manner that
 their class considers necessary.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM14-090.HTM

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