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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第十三章 今日の家族 n.4

2018/08/02

『結婚論』第十三章 今日の家族 n.4:親を敬うという道徳の起源?

 けれども,知能の発達とともに,人は遅かれ早かれ,善悪の知識の木の実を
いくらか食べなければならない(注:eat of 文語的な言い方で「少し食べる
」)。彼は,子供は自分の種から生まれることを知るようになり,それゆえ,
妻の貞操を確実なものにしなければならない(注:安藤訳では「確かめる」と
訳されているが,単なる check ではなく,ここでは「確実なものにする」の
意味)。妻と子供は,彼の財産(所有物)となる。また,経済的発展のある段
階においては,非常に価値のある財産となりうる。彼は宗教を持ち出して
(bring ... to bear),妻と子供が自分(彼)に対して義務感を持つように仕
向ける。
 子供に関しては,このことは特に重要である。なぜなら,子供が幼い時は,
彼(父親)は子供よりも強いけれども,やがて,彼(父親)のほうは老いぼれ
て(ヨボヨボになって)いくのに対して,(一方)子供たちのほうは精力旺盛
な大人になる時期がくるからである。この段階においては,子供が彼(父親)
を尊敬することは彼(父親)の幸福にとって絶対に必要である。

 この問題に関する十戒の言葉は,人を惑わせるものである。実は,こうある
べきなのだ。「あなたの父母を敬え。そうすれば,あなたの父母はこの土地に
長く生きることができる。」 初期の文明に見られる親殺しに対する恐怖は,
打ち勝つべき誘惑がいかに大きかったかを示している。なぜなら,我々が自分
で犯そうとは夢にも思わないような犯罪,たとえば人食いは,その恐怖(心)
を呼び起こすことはないからであ。る(注:初期の文明においては,飢餓状態
などの危機的な状況においては,年取った親を食べることは稀なことではなく
,人食いに対する恐怖心もあまりなかった。)

Chapter XIII: Family at present day, n.4

With the development of intelligence, however, man is bound sooner or
later to eat of the tree of the knowledge of good and evil. He becomes
 aware that the child springs from his seed, and he must therefore 
make sure of his wife's virtue. The wife and the child become his 
property, and at a certain level of economic development they may be
 very valuable property. He brings religion to bear, to cause his wife
 and children to have a sense of duty towards him. With children this
 is especially important, for although he is stronger than they are 
when they are young, the time will come when he will be decrepit, 
while they will be in the vigour of manhood. At this stage, it is v
itally necessary to is happiness that they should reverence him. 
The Commandment on this subject is deceitfully phrased. It should run:
 "Honour thy father and thy mother that their days may be long in the
 land." The horror of parricide which one finds in early civilization
 shows how great was the temptation to be overcome; for a crime which
 we cannot imagine ourselves committing, such as cannibalism for
 example, fails to inspire us with any genuine horror.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM13-040.HTM

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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