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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第十二章 試験結婚 n.7

2018/07/27

 『結婚論』第十二章 試験結婚 n.7:結婚と同棲との法的意味合いの違い

 私としては,友愛結婚は正しい方向への一歩であり,大きな利益をもたらす
ものであると固く信じているけれども,友愛結婚は(だけでは)まだ不十分で
あると考える。子供を伴わない(子どもが生まれない)あらゆる性関係は,純
粋に私事と見なすべきであり,仮にある男女が子供を作らないで,一緒に暮ら
そうと決心(選択)したとしても(if = even if),それは当事者同士の問題で
あり,他人に関係ないことである,と私は考える。(また)男にせよ女にせよ
,事前に性体験をしないままに,子供を作るつもりの(法制度としての)結婚
という重大な仕事(事柄)を開始することは望ましいことではない,という考
えを私は抱いている。(性の)初体験は,予備知識のある人とするほうがよい
ことを示す証拠は非常に多く存在している。人間の性行為は,本能的なもので
はないし,後背位(a tergo)から行われなくなってからは(以後は),明ら
かにそうではなくなっている。(注:本能であるならば、他人から一切教えて
もらわなくても性行為ができるはずであるが、そうではないので、他人から教
えてもらうか、本を読んだり、ビデオを見たりしないとどうしてよいかわから
ない、ということ。なお、ラッセルが言っている「結婚」は法的制度としての
「結婚」であり、法的に制限しなくてもよい場合は「同棲」でよいということ
を主張していることを理解しておく必要がある。)

 この議論は別にしても,お互いの性的な相性について何らの予備知識なしに
,人びとに終生続けるつもりの関係に入ることを求めることは,不合理である
(馬鹿げている)と思われる。それは,ちょうど,家を買おうとする人が,購
入(手続き)が完了するまでその家を見ることを許されないの(は不合理であ
る)と同様に,不合理である。結婚の生物学的な役割が十分に認識されたなら
,妻が初めて妊娠するまでは,いかなる結婚も法的な拘束力を持たないとする
のが適切な方針(道行き)であるだろう。

 現在は,性交が不可能な場合は結婚は(法的に)無効であるとされているが
,(法的な)結婚の真の目的は性交よりもむしろ子供にあり,従って,子供が
生まれる見込みがつくまでは,結婚は完成(達成)されたものとして考えられ
るべきではない。この見解は,少なくとも部分的には,避妊具によってもたら
された生殖と単なるセックスとの区別(分離)に依存している。避妊具は,性
と結婚の姿(様相)をすっかり変えてしまったので,以前は無視することがで
きた区別をする必要が生じている(のである)。人びとは,売春に見られるよ
うに,性(性交)のみのために,あるいは,リンゼー判事の友愛結婚における
ように,性的な要素を含んだ親密な交わりのために,あるいは最後に,子供を
作るために,一緒になる(一緒に暮らす)かもしれない(注:最初に「売春」
があげられているが,これはもちろん,性的満足のためにだけ結婚する,とい
う意味)。これらは,それぞれ異なるものであり,それらを十把一からげにし
て考えるような道徳は,いずれも現代の状況においては適切なものにはなりえ
ない。

Chapter XII: Trial Marriage, n.7

For my part, while I am quite convinced that companionate marriage 
would be a step in the right direction, and would do a great deal of
 good, I do not think that it goes far enough. I think that all sex 
relations which do not involve children should be regarded as a purely
 private affair, and that if a man and a woman choose to live together
 without having children, that should be no one's business but their
 own. I should not hold it desirable that either a man or a woman 
should enter upon the serious business of a marriage intended to lead
 to children without having had previous sexual experience. There is 
a great mass of evidence to show that the first experience of sex 
should be with a person who has previous knowledge. The sexual act in
 human beings is not instinctive, and apparently never has been since
 it ceased to be performed a tergo. And apart from this argument, it
 seems absurd to ask people to enter upon a relation intended to be
 lifelong, without any previous knowledge as to their sexual 
compatibility. It is just as absurd as it would be if a man intending
 to buy a house were not allowed to view it until he had completed the
 purchase. The proper course, if the biological function of marriage
 were adequately recognized, would be to say that no marriage should
 be legally binding until the wife's first pregnancy. At present a
 marriage is null if sexual intercourse is impossible, but children,
 rather than sexual intercourse, are the true purpose of marriage, 
which should therefore be not regarded as consummated until such time
 as there is a prospect of children. This view depends, at least in
 part, upon that separation between procreation and mere sex which 
has been brought about by contraceptives. Contraceptives have altered
 the whole aspect of sex and marriage, and have made distinctions 
necessary which could formerly have been ignored. People may come 
together for sex alone, as occurs in prostitution, or for 
companionship involving a sexual element, as in Judge Lindsey's 
companionate marriage, or, finally, for the purpose of rearing a 
family. These are all different, and no morality can be adequate to
modern circumstances which confounds them in one indiscriminate total.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM12-070.HTM

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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