名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第十二章 試験結婚 n.2

2018/07/20

『結婚論』第十二章 試験結婚 n.2:隠せば隠すほど・・・ 

 私自身は,現状を満足すべきものと見ているとは言えない。現状には,因習
的な道学者(モラリスト)によって押しつけられた望ましくない特徴がいくつか
あり,また,因習的な道徳が変わるまでの間は,そういった望ましくない特徴
がどのようにして消えていくのか私にはわからない。密かにされる(隠される)
性は,もっとはっきり言えば(注:in fact は,前の文章を受けている。),
密造・密売された酒と同様,本来のもの(what it might be)よりも,劣って
いる。裕福なアメリカにおいては,禁酒法を導入する前よりも,若い男性の間
に非常に酒に酔う者が増えているし,若い女性の間ではなおいっそう増えてい
ることは,誰も否定できないと思われる。法律の裏をかくこと(注: 
circumventing the law 法律の網にひっかかるのを回避すること)には,もち
ろん,ある種(一定の)の痛快さと,頭の良さ対するある種(一定の)の誇り
(プライド)がある。飲酒に関する法律の裏をかいている一方で,性に関する
因習の裏をかくのは当然である(自然なことである)。この場合もまた,大胆
であるという意識が,媚薬として働くのである(acts 働きをする/acts を名
詞ととると,動詞がなくなってしまう)。

 その結果,若い人たちの間の性関係は,愛情からではなく,虚勢(bravado)
から,しかも,(酒や薬で)陶酔した時に性交渉に入っているという,愚劣きわ
まりない形をとりがちになる(のである)。性は,酒と同様,濃縮された,か
なり口あたりの悪い形で味合わなければならない。(なぜなら)そういう形だ
けが,(警戒する)当局の警戒の目を逃れることができるからである。全人格
が協力する,品位のある,理性的な,真心のこもった行為としての性関係は,
アメリカにおいては,婚外ではめったに起こらないのではないか,と私には思
われる。この程度まで(この限りでは),道学者たちは成功している(注:隠
れていやっているので,道学者が目にして憤激しなくてすむ。)。道学者たち
は,姦通(私通)を防ぐことはできていない。逆に,道学者たちの反対は,ど
ちらかと言えば(if anything),スパイス(薬味)となって,姦通(私通)
は,(米国では)ますます一般的なものとなっている。

 ただし,道学者たちは,姦通(私通)を,ほぼ彼らの言うとおりに望ましく
ないものにすることには成功した。それは,ちょうど,消費されるアルコール
の大部分を,彼らがアルコールはすべて有害だと主張するとおりに,有害だと
思わせることに成功したのと同じである。道学者たちは,性を日常の交際や,
普通の仕事や,あらゆる心理的な親密さから切り離された,こぎれいなもの
(neat)と考えるように,若者に強いてきた。

 もっと臆病な青年たちは,完全な性関係までは進まずに,性的興奮が満たさ
れことなく先延ばしにする状態を作り出すことで満足している。これは,神経
を衰弱させるものであり,後になって,性を完全に楽しむことを困難あるいは
不可能にする恐れがある。アメリカの若者の間に広まっているタイプの性的興
奮のもう一つの欠点は,そのために仕事ができなくなったり,睡眠不足になっ
たりすることである。なぜなら,それは,夜半すぎまで続くパーティー
(parties which continue into the small hours)とどうしても結びついて
いるからである。

Chapter XII: Trial Marriage, n.2

I cannot say myself that I view the present state of affairs as 
satisfactory. It has certain undesirable features imposed upon it by
 conventional moralists, and until conventional morality is changed, 
I do not see how these undesirable features are to disappear. 
Bootlegged sex is in fact as inferior to what it might be as 
bootlegged alcohol. I do not think anybody can deny that there is
 enormously more drunkenness among young men, and still more among
 young women, in well-to-do America than there was before the 
introduction of Prohibition. In circumventing the law there is, of
 course, a certain spice and a certain pride of cleverness, and while
 the law about drink is being circumvented it is natural to circumvent
 the conventions about sex. Here, also, the sense of daring acts as an
 aphrodisiac. The consequence is that sex relations between young 
people tend to take the silliest possible form, being entered into not
 from affection but from bravado, and at times of intoxication. Sex, 
like liquor, has to be taken in forms which are concentrated and rather
 unpalatable, since these forms alone can escape the vigilance of the 
authorities. Sex relations as a dignified, rational, wholehearted 
activity in which the complete personality co-operates, do not often, 
I think, occur in America outside marriage. To this extent the 
moralists have been successful. They have not prevented fornication;
 on the contrary, if anything, their opposition, by making it spicy, 
has made it more common. But they have succeeded in making it almost 
as undesirable as they say it is, just as they have succeeded in 
making much of the alcohol consumed as poisonous as they assert all 
alcohol to be. They have compelled young people to take sex neat, 
divorced from daily companionship, from a common work, and from all 
psychological intimacy. The more timid of the young do not go so far 
as complete sexual relations, but content themselves with producing 
prolonged states of sexual excitement without satisfaction, which are
 nervously debilitating, and calculated to make the full enjoyment of
 sex at a later date difficult or impossible. Another drawback to the
 type of sexual excitement which prevails among the young in America
 is that it involves either failure to work or loss of sleep, since 
it is necessarily connected with parties which continue into the small
 hours.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM12-020.HTM

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創刊日:2014-12-19  
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