名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
読者と一緒に育てていきたいと思っています.


全て表示する >

ラッセル『結婚論』第十章 結婚 n.4:

2018/06/25

 第十章 結婚 n.4: 結婚の「秘蹟化」(秘蹟としての結婚)

 キリスト教の到来とともに,この見方は変わった。結婚における宗教の役割
は大幅に増大し,結婚の法(綻/慣わし)に違反することは,私有財産(の侵
犯という根拠)よりも,むしろ,タブーの(侵犯という)根拠から非難される
ようになった。もちろん,他の男の妻と性交することは,相変らずその男
(夫)に対する罪であったが,婚外の性交をすることは,神に対する罪であり
,教会の視点から見れば,これは,はるかに重大な問題(事柄)であった。同
じ理由で,離婚も,以前には軽い条件で男性に認められていたが,許可できな
いと宣告された。(こうして)結婚は,一つの秘蹟となり,従って,終身続く
ものとなった。

 これは,人間の幸福にとって利益(得)であったか,損失であったのか?
 どちらか断言することは非常に困難である。小作農(peasant)の間では,
既婚女性の生活は,常に非常に厳しいものであったし,全体的に言って文明度
の最も低い小作農の間においては,既婚女性の生活は,最大限厳しいものであ
った。大部分の蛮族(未開種族)の間では,女は25歳で年寄りになり,その年
齢では,美の名残りを少しでもとどめようと望むことはできない(無理な願い
である)。女性を家畜とみなすのは,疑いもなく,男にとってははとても心地
よいものであったが,女性にとっては,困難辛苦(注:toil and hardship 辛
苦と困難)にすぎない生活を意味していた。

 キリスト教は,特に富裕階級の場合,ある面で女性の地位をいっそうひどい
ものにしたけれども,(キリスト教は)少なくとも神学上は,男女の平等を認
め,女性をまったく夫の財産と見ることを拒否した。既婿女性には,もちろん
,夫を捨てて別の男のもとへいく権利はなかったが,宗教生活に入るためであ
れば,夫のもとを去ることが許された。そして,概ね,大部分の人にとって,
女性の地位改善は,キリスト教以前の立場よりも,キリスト教の立場からのほ
うがより容易になった(のである)。

Chapter X: Marriage, n.4

With the coming of Christianity this outlook was changed. The part of
 religion in marriage was very greatly augmented, and infractions of 
the marriage law came to be blamed on grounds of taboo rather than of
 property. To have intercourse with another man's wife remained, of 
course, an offence against that man, but to have any intercourse 
outside marriage was an offence against God, and this, in the view of
 the Church, was a far graver matter. For the same reason divorce, 
which had previously been granted to men on easy terms, was declared
 inadmissible. Marriage became a sacrament and therefore lifelong.

Was this a gain or a loss to human happiness? It is very hard to say.
 Among peasants the life of married women has always been a very hard
 one, and on the whole it has been hardest among the least civilized
 peasants. Among most barbarous peoples a woman is old at twenty-five,
 and cannot hope at that age to retain any traces of beauty. The view
of woman as a domestic animal was no doubt very pleasant for men, but
 for women it meant a life of nothing but toil and hardship. 
Christianity, while in some ways it made the position of women worse,
 especially in the well-to-do classes, did at least recognize their 
theological equality with men, and refused to regard them as 
absolutely the property of their husbands. A married woman had not, 
of course, the right to leave her husband for another man, but she 
could leave him for a life of religion. And on the whole progress 
towards a better status for women was easier, in the great bulk of
 the population, from the Christian than from the pre-Christian 
standpoint.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM10-040.HTM

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
Score!: 97 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。